「政府、過度な権力行使」 山城議長長期勾留 国連特別報告者が懸念・不適切
昨年4月に日本を調査した言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書を公開した。
報告は、日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性に言及、メディアの独立性に懸念を示し、日本政府に対し、特定秘密保護法の改正と、政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法四条の廃止を勧告した。同時に、沖縄の抗議行動に対し、過度の権力行使に懸念、山城議長の長期拘束は不適切で表現の自由に対する萎縮効果を懸念する報告をしている。
【「政府、過度な権力行使」 山城議長逮捕に 国連報告 琉球新報5/31】
【特定秘密保護法の改正 国連特別報告者が政府に勧告 東京5/31】
【「政府、過度な権力行使」 山城議長逮捕に 国連報告 琉球新報5/31】ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所は30日、昨年4月に日本を調査した言論と表現の自由に関する特別報告者デービッド・ケイ氏による対日調査報告書を公開した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設や、北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設などに抗議した市民が逮捕されたことを挙げ「政府が過度な権力を行使している」と指摘し、懸念を表明した。報告書は6月12日の人権理事会本会議でケイ氏が発表する。表現の自由に関する正式な報告書で沖縄に言及するのは初めて。
沖縄平和運動センターの山城博治議長が抗議行動を巡って逮捕され、長期勾留されたことを踏まえ、日本政府に対して「抗議行動に不釣り合いな制限が加えられている」「裁判なしに5カ月間拘束したのは不適切で、表現の自由に対する萎縮効果を懸念する」とした。
記者の取材を警察が妨害したことにも触れ、「過度の制限を回避するため(規制の適用に至る)経緯を慎重に見直さなければならない」と指摘した。
沖縄の状況については「表現と抗議に対し、継続的に規制が加えられている」と指摘。その上で「全国の人々が反対意見や沖縄に関する情報に接する機会を確保することについて、懸念を表明する」とした。
自民党の改憲草案に対しては「日本の人権保護を弱体化する恐れがある」と批判したほか、女性差別を含めた広範な差別禁止法の制定も求めた。
第35回人権理事会は6月6~23日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれる。沖縄国際人権法研究会など複数の非政府組織(NGO)は15日ごろ、山城博治氏を本会議に登壇させ、沖縄の基地問題と人権状況について訴える。同研究会などは、国連欧州本部でシンポジウムも開き、沖縄で表現の自由が侵害されている状況を伝える。
【特定秘密保護法の改正 国連特別報告者が政府に勧告 東京5/31】【ジュネーブ=共同】国連人権高等弁務官事務所は三十日、言論と表現の自由に関するデービッド・ケイ特別報告者がまとめた対日調査報告書を公表した。その中でケイ氏は、日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性に言及、メディアの独立性に懸念を示し、日本政府に対し、特定秘密保護法の改正と、政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法四条の廃止を勧告した。
言論・表現の自由を巡る特別報告者の日本の調査は初めて。ケイ氏は昨年四月の訪日時に暫定調査結果を発表したが内容に大筋で変化はない。ケイ氏は報告書を国連人権理事会に提出、来月十二日の理事会会合で説明する予定。報告書の勧告に法的拘束力はない。
報告書に対し、日本政府は「日本の現状について不正確で不十分な内容だ」と反論。放送法についても「憲法に基づき公共の福祉を守るため制定された」とし、批判は当たらないとした。
メディアの自由について報告書は、放送法が民間放送局とNHKを規制できることを問題視し「メディアの自由と独立に対し制約を課しかねない」と指摘した。特定秘密保護法については、安全保障上問題がなく一般市民の関心のある情報については開示しても処罰されない例外規定を設けるべきだとした。
また、沖縄での抗議活動への圧力に懸念を表明。抗議活動や取材を行えるよう政府に努力を求めた。
ケイ氏は米カリフォルニア大アーバイン校の教授。二〇一四年八月、国連人権理事会から「言論および表現の自由の保護に関する特別報告者」に任命された。
<国連特別報告者> 国連人権理事会の任命を受け、特定の国やテーマ別の人権状況について事実調査・監視を行う専門家。いかなる政府、組織からも独立して調査に当たり、調査結果は同理事会に報告する。金銭的報酬はない。北朝鮮の人権問題、子どもの人身売買やポルノ問題、集会や結社の自由に関する人権状況などの報告者がいる。
« 日本国憲法施行70年を迎え、改めて憲法の意義を確認し、立憲主義を堅持する宣言 日弁連5/26 | Main | 特別報告者の共謀罪への懸念 真摯に対応するのが人権理事国としての国際公約 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 2024.11地方議員学習交流会・資料(2024.12.02)
- 所得などの「控除方針は金持ち優遇」と闘ってきた歴史(2024.11.15)
- 「立憲民主」の選挙政策を見る (2024.10.09)
- 「賃上げ・時短」政策と「人手不足」問題~ カギは、持続可能な働き方(2024.10.01)
- 24総選挙~前回の共闘の到達点をリアルに見、大切にする(2024.09.26)
« 日本国憲法施行70年を迎え、改めて憲法の意義を確認し、立憲主義を堅持する宣言 日弁連5/26 | Main | 特別報告者の共謀罪への懸念 真摯に対応するのが人権理事国としての国際公約 »
Comments