北の危機を騒ぐならば、まずは原発全廃を
トランプ大統領、ティラーソン国務長官が「北朝鮮との対話の用意」と表明、オスロで事実上の米朝協議が始まった。中ロは「6カ国協議を含む対話」を呼び掛け、韓国でも「対話による解決」を主張する新大統領が誕生。そのなかで日本だけが対話に後ろむき軍事一辺倒。しかも実際は、韓国国内はまったく平常とおりであり、危機をあおる日本政府に苦言を呈している。
安倍政権は、安保法制の実績作り、軍拡や改憲の道具につかおうとしているだけ。政府の言動が軍事上まったく無意味であることを2名の軍事ジャーナリストが指摘している。その中で、清谷氏は、本当に危機なら、まずは原発全廃と触れている。もし、こんな意見書が地方議会に出てきたら、自公議員はどうするだろう。
【「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない 田岡俊次5/11】
【半島危機なんぞない。将軍様の走狗となって危機を煽る我が最高司令官。 清谷信一 5/3】
【「Jアラート」の警報は北朝鮮ミサイル落下に間に合わない 田岡俊次5/11】政府は4月21日、北朝鮮の弾道ミサイルに対する住民避難訓練を早期に実施するよう都道府県に求めた。このため各市町村だけでなく、企業、業界団体、学校などでも、ミサイル飛来時の対策が検討され、学童、保護者への通知なども行われている。これらは弾道ミサイル発射の警報が落下の4分前に出ることを前提としている。だが現実には、これまで警報を出せたのは北朝鮮が事前に発射を通告していた人工衛星打ち上げの際の2回だけだ。北朝鮮は予告なしに北海道沖、秋田沖などの日本海に向けて次々と弾道ミサイルを発射し、実験や戦力の誇示をしてきたが、それに対しては陸地で警報が出なかったのはもちろん、船舶に対する注意報が出たのもミサイルが落下した後だった。
菅官房長官はその度に「事前通告なしに発射されると、どこに飛ぶか事前に察知することは極めて難しい」と弁解してきた。実戦で弾道ミサイル攻撃をする場合に相手が事前通告をしてくれるはずがない。ミサイルの落下前に警報を出すことが至難であることを知りながら、あたかもそれが可能であるかの如き想定で対策を示し、訓練をさせるのは国民に対して不遜の極みだ。◆ 地下鉄の運転見合わせ、発射30分後 Jアラートは情報流さず
4月29日午前5時30分頃、北朝鮮西部の平安南道(ピョンアンナムド)、北倉(プクチャン)付近から弾道ミサイル1発が発射されたが、約50キロ飛んで高度71キロに達したところで爆発、実験は失敗に終わった。
この際、東京メトロは同6時7分頃から約10分間運転を見合わせ、北陸新幹線も6時8分頃から11分間、金沢駅と上越妙高駅間で運転を見合わせた。
これは全く間の抜けた話だ。北朝鮮から発射された弾道ミサイルは7、8分、長くても10分以内に日本に達するから、発射後30分以上も過ぎて電車を停めても意味がない。まるで踏切を列車が通過した後に遮断機を下したような恰好だ。午前6時頃のテレビの速報を見て決めたようだが、発射から報道までに早くて数分、さらに停車の指示にも数分掛かるから、弾道ミサイル対策に列車の運転停止が役に立つことは無さそうだ。
この経験から東京メトロとJR西日本では今後は政府の「Jアラート」(全国瞬時警報システム)による緊急情報により運転見合わせを決める、とした。だが4月29日にはJアラートは「ミサイル発射」の情報を流していなかった。◆機能した過去2回は、北朝鮮の事前通告があった
これまでJアラートが「ミサイル発射情報」を発したのは僅か2回、2012年12月12日と2016年2月7日、「テポドン2」による人工衛星打ち上げの際だけだ。
この場合には北朝鮮が発射の計画をロンドンの国際海事機関に通告し、発射の日時(幅がある)や場所、第1段、第2段ロケットの落下予定海面も分かっていた。
このため日本はイージス艦を出動させ、長距離レーダー、情報収集衛星などで必死に監視していた。米軍、韓国軍も厳重な見張りを行っていた。2012年12月には発射の6分後にJアラートがミサイル発射を伝え、2016年2月には発射の4分後にJアラートが作動した。だが、昨2016年8月3日午前7時53分頃、「ノドン」と思われる弾道ミサイル2発が発射され、1発は空中爆発、1発は秋田県男鹿半島沖約250キロの排他的経済水域内に落ちた際には、防衛省がそれを発表したのは発射から1時間15分後の9時8分で、防衛省はどこに落下したかもすぐに把握できていなかった。人工衛星打ち上げの場合と違い、防衛省は発射を知った時間などの詳細を公表しなかった。「手の内を知られるから」と言うが実は不手際を知られたくなかったのだろう。
同年9月5日午後0時13分頃には「スカッドER(射程延伸型)」とみられる弾道ミサイル3発が発射され、9分後の同22分頃北海道奥尻島沖約200キロの排他的経済水域内に落下した。この際海上保安庁が防衛省や内閣官房の危機管理センターからの情報により、船舶に航行警報を出したのは0時31分で、落下の9分後だった。
今年3月6日午前7時34分頃には、北朝鮮は「スカッドER」らしいミサイル4発を同時に発射、秋田沖と能登半島沖の排他的経済水域内に落下、北朝鮮は「在日米軍基地攻撃訓練だった」と翌日発表した。この際にも船舶に対する注意喚起が出されたのは発射から13分後の7時47分で、またも落下の後だった。
海上保安庁は危機管理センターなどから来た情報を直ちに船舶に伝えるから、航行警報が出たのがミサイルの落下より後だったことは、もしJアラートで市町村などに警報を出すとしても、サイレンが鳴るのはミサイル落下後になることを示している。
◆どこに向かうかすぐには分からず 警報出しても、間に合わず
度重なる秋田、北海道方面への弾道ミサイル発射に対して、これまでJアラートの警報が出されない理由について、内閣官房の危機管理担当官は「Jアラートのミサイル発射情報は、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性があると判断した場合に出す。領海外に落下すると判断すれば警報は出さない」と言う。
だが、弾道ミサイルは発射後しばらく、ほぼ垂直に上昇し、その後、徐々に向きを変える。ミサイルが「スカッドER」か「ノドン」か、「ムスダン」かによって射程は大きく異なるが、それもすぐには分からないから、日本の方向に飛ぶミサイルが日本海に落ちるか、陸上の目標に向かうかは発射を知ってから、さらに後でないと判断できない。内閣官房のJアラートについての資料ではまず「ミサイル発射情報」を出し、「その後日本の領土、領海に落下する可能性があると判断した場合には続報として屋内避難を呼びかける」と述べている。これまでほとんどJアラートが使われていないのは「日本に落下しない」と判断したからではなく、落下地点を予測してから警報を出しても間に合わないのが実態だろう。政府(内閣官房と消防庁)は4月21日に都道府県の危機管理担当者約70名を招集し、市町村でも住民避難訓練を早期に行うよう要請した。
その際2016年2月の北朝鮮の「人工衛星打ち上げと称するミサイル発射」の際には「発射後4分で警報が出た」ことが強調された。
だがこれは事前に北朝鮮から通告があり、待ち構えていた場合の話で、実戦とは程遠い状況だったことを忘れてはならない。北朝鮮の人工衛星打ち上げを「人工衛星打ち上げと称するミサイル発射」と防衛省が言い続け、メディアもよく分からずにそれを繰り返すから、ミサイル発射は4分程で分かると思い込むのだろう。だが、2012年と2016年の「テポドン2」の発射で北朝鮮は重さ200キログラム程の小型人工衛星を周回軌道に乗せることに2回成功した。これは、米国戦略軍統合宇宙運用センターが認めている。
ただ人工衛星は2回とも故障し、電波が出ていないことを理由に防衛省はなお「人工衛星としての機能はない」と主張する。だが「テポドン2」が高度約500キロで水平に加速して衛星を放出、それが地球を南北方向に周回していることは事実で、放物線を描いて飛ぶ弾道ミサイルとは全く異なる軌跡だ。
「テポドン2」は全長30メートル、重量90トンもの大型で、海に面して丸見えの高さ67メートルもの巨大な固定発射機の側で2週間程かけて組み立て、液体燃料を注入して発射する。こんな物は航空機などの先制攻撃で簡単に壊されるから軍用ミサイルには全く不適で、日本の人工衛星用のH2Aなどと似た性格のロケットだ。これに対して軍用の弾道ミサイルは自走発射機に乗せて移動したり、潜水艦内に立てて積めるようにしたりするために、極力小型にし、発射準備時間を短くしようとする。例えば「ムスダン」(射程3000キロ以上)は全長12.5メートル、重さ12トン、10分で発射可能とされる。
「弾道ミサイルも人工衛星用ロケットも基本的には同じ」と言う人が多いが、それは1950年代に、ICBM(大陸間弾道弾)と人工衛星が誕生した当時の話だ。その後の60年間で、弾道ミサイルと、人工衛星用ロケットは別々の方向に進化した。それを知らないこの説は「旅客機も爆撃機も基本的技術は同一」と言うような粗雑な論だ。テレビで人工衛星打ち上げの画像をながめて、「ミサイル発射とはこんな物」とのイメージを抱くのはまちがいの元だ。「2016年のテポドン2発射の際にはその4分後に警報が出た」と政府が言うのは事前通告があったことを言わない点で誇大広告じみており、対ミサイル防衛に関し「イージス艦のSM3ミサイルはハワイ沖の実験で4隻が1発ずつ発射し、3回命中したから75%の命中率だ」との宣伝と類似する。
ハワイのカウアイ島沖でのイージス艦の実験では、標的となる模擬弾道ミサイルの性能、発射地点、落下する海面、発射時間などのデータが分かっていて、それを入力して待ち構えるのだから当たらない方が不思議な位だ。野球の練習で「センターフライ、行くぞ」と叫んで取らせる「シートノック」同然だ。実戦ではありえない最良の条件の下での成績を基準に防衛戦略や住民避難を考えるのは児戯に類する。◆ 湾岸戦争でも ミサイル警報、空振りに
1991年の湾岸戦争中、私はサウジアラビアの首都リヤドに居てイラクによる弾道ミサイル「アル・フセイン」(スカッド改)の攻撃を体験した。イラクは88発を発射、うちリヤドには13発が落下した。
ミサイル発射の際に出る大量の赤外線(熱)を、赤道上空約3万6000キロの高度で周回する米国の「早期警戒衛星」が感知すると、米本土の北米航空宇宙防衛司令部をへて情報が現地の米軍に伝わり、リヤドの市街でサイレンが響き、ホテルの火災報知ベルが鳴った。
ロビーでコーヒーを飲んだりしているテレビカメラマンや、米中央軍の士官達、ペンタゴン担当記者らと共に一斉に階段を屋上に駆け上り飛来するミサイルを見ようとするのだが、何分待っても来ない。がっかりして部屋に戻ってテレビをつけるとイスラエルのテルアビブとか、ペルシャ湾岸のサウジアラビアの港町ダーラン(多国籍軍の補給拠点)など、他の地点に落ちたことが分かることが多かった。
弾道ミサイルは発射後しばらく垂直に上昇するからどこに向かうか分からない。このため目標になりそうな地点すべてに警報を出したから空振りが多いのは当然だった。◆確実な対策は、離れた場所に一時避難しかない
Jアラートは落下地点が予測できたのちに屋内避難を呼び掛けることにしているが、それまでに数分間の時間を失えば避難はますます非現実的となる。
一方、ミサイルが発射されるたび、日本全国、あるいは目標になりそうな基地周辺と大都市に警報を出せば国民は警報慣れし、避難をおこたることになる。湾岸戦争の停戦3日前の1991年2月25日、ダーランの米軍兵舎にミサイルが命中、28人が死亡、97人が負傷した。ミサイル発射警報は出ていたが米兵達も慣れて「めったに当たらない」と軽視して昼食中、偶然食堂にミサイルが飛び込んだのだ。
北朝鮮が実用化している核弾頭は多分プルトニウムを使う初期型原爆で、長崎に投下されたものと同等と考えられる。その効果は、爆心地から熱線が半径約3キロ(第2度火傷を起こす)、爆風が同約2キロ(大部分の家屋が倒壊)、放射線(1ヵ月以内に死亡)が同約1.8キロに及ぶ。巻き上げられた土砂は強い放射能を帯び、風下50ないし100キロで致死的な放射線量を出す。「サリン」などの化学兵器は2、300メートルの範囲を汚染するが、原爆の被害の及ぶ範囲はまったく違う。地下に避難すれば熱、爆風は免れるし、湿った土は中性子、ガンマ線を減衰させるから生存率は高まる。だが、現実には警報を聞いてから核爆発までの間に地下に入れる人は少ない、と考えざるをえない。
もっとも確実な対策は、朝鮮半島で戦争が起こりそうになれば標的になりそうな場所(軍事基地や大都市中心部)から、ミサイルの誤差(左右よりも前後方向の誤差が大きい)も考え、飛来するコース(関東地方なら西北西から来る)から横方向に5キロ以上離れた場所に、一時的に疎開し、爆発後は風上に逃れることだろう、と考えざるをえない。
【半島危機なんぞない。将軍様の走狗となって危機を煽る我が最高司令官。 清谷信一 5/3】「北朝鮮危機」はあざとい猿芝居だ! 日米朝「形だけ」の演出
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51641本当に危ないならば閣僚が外遊も、首相がイベントなんぞに参加もしていません。
米軍のオープンハウスも中止でしょう。安倍首相は北朝鮮の弾道ミサイルに化学弾頭が~と大騒ぎしていますが、それを本気にしているならば軍事知識の欠如です。弾道弾に化学弾頭つけても意味がありません。天候にも左右されるし、地表に着弾するまえに噴霧しないとならない。それにすぐに拡散してしまいます。威力は通常弾頭よりも低いでしょう。それならむしろ核廃棄物を詰めた方が余程、威力と、アナウンス効果があります。国民に与える心理的な恐怖も格段に違います。
にも関わらず化学弾頭がぁ、VXガスがぁ、と北の将軍様の尻馬に乗って大騒ぎするのは、内政の失敗やスキャンダルから目をそらして政権支持率を維持したいからでしょう。
権力の維持、手段の目的化こそが安倍政権の本質です。そのためには半島の独裁者の尻馬に乗っても構わない、と。これが「戦後レジームからの脱却」とか「日本を取り戻す」ということなのでしょう。ま たヘリ空母いずもが米艦を護衛するのも噴飯ものです。いずもは事実上「被護衛艦」です。通常の護衛艦をつけるべきで、一番見栄えのいい、大きいフネを使ったのは話題性を狙ったのでしょう。危機なんかサラサラなかったわけです。
それほど北の弾道弾が怖いならば、なんで原発を全廃しないのでしょうか。
原発に通常弾頭が命中しても一大事でしょうに。今北の核弾頭付弾道弾よりも心配すべきは、原発に対する通常弾頭弾による攻撃です。
さらに「戦争の危機」がせまっているならば、警戒すべきはその他の手段による原発攻撃でしょう。迫撃砲でもロケット弾でも原発の攻撃は可能です。防衛大綱でも一番の脅威はゲリラ・コマンドウ事態だと述べています。諸外国では例えば、イスラエルのエルビット社やドイツのラインメタル社などは原発など重要アセットの防御システムを販売しています。これらはミサイルや迫撃砲弾などを迎撃するシステムですが、我が国はこのようなシステムを導入していない。また自衛隊が原発を守っているわけでもない。事実上丸裸です。
これを「危険」と思えないのはそんな危険はサラサラ無いと高をくくっているのか、原発利権の人たちに大きな借りでもあるのか、あるいはその両方ではないでしょうか。
あるいは軍事知識が小学生並みであるか。北の危機を煽るならば、まずは原発を全廃すべきだと思いますけどね。
まあ、国を守るよりも、私欲で自分の権力を守りたい人が合理的な決断をするとは思えませんけどね。
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