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農業の衰退加速する「収入保険」~価格保障を崩す日本 強化するアメリカ

 農業共済制度を改定し、新たに収入保険制度を作る「農業保険法」案が国会に提出されている。
 高い負担金の一方、補填の目安となる基準収入がどこまで下がるかわからないしろもの。アメリカにならって収入保険というが、アメリカには不足支払い制度という生産費をまかなう「岩盤」の上での追加制度であり、まったく違う。
 WTO加盟以来、価格保障を崩してきた日本政府の姿勢が、この法案にも色濃くでている。
 農民新聞の連載からのメモ。

【「収入保険は役に立つのか? 今こそ本物の価格保障を」農民新聞2017/5/22・29より】

・農業共済制度を改定し、新たに収入保険制度を作る「農業保険法」案が国会に提出されている/アメリカにならって「農業収入の減少に伴う農業経済への影響を緩和する」とのフレコミ…果たしてそうか。

◆ 生産費を償わず、農業経営は「底なし沼」に

・収入保険制度…ある年の収入が基準収入以下の9割を下回った場合/下回った額の8-9割を補てんするもの

・問題点
①生産費保障ではない/「基準収入」は過去5年間の平均収入
②収入が減れば「基準収入」も低下していく
③農家に高額の掛け金/従来の価格保証、戸別所得補償は、農家負担ゼロ
④対象は、42万戸、2割弱の青色申告者のみ
⑤農業共済と統合することで、災害補償が危うくなる恐れ

~ 高額の掛け金を負担し、どこまで下がるかわからないもの

(1)「岩盤」なしの収入保険、生産費を償う気はさらさらない

・「アメリカにならった制度」はうそ
 アメリカは、生産費を基準にした基準価格と市場価格との差額を支払う「不足払い制度」があり、/その「岩盤」の上に、収入保険制度がある。農家は、自己負担なして生産費がほほ償われる

・日本の収入保険 生産費を基準にした「岩盤」はなく、過去5年間の「平均収入」を基準に、当年の収入が基準収入の9割(補償限度額)を下回った場合に、下回った額の9割(支払い率)を補てんするだけ
→ 補償限度額、支払い率は、9割を上限に農家が選択/ 9割の場合でも基準収入の81%までの補てん、8割なら、64%までしか補てんされない

・1990-2015年間で、米価で生産費を上回ったのは8年のみ。慢性的な採算割れ状態で、基準収入の6-8割しか補てんしない収入保険は「農家経営への影響を緩和」とはとてもいえないもの

・実行ある改善策を/肉用牛・豚の経営安定化事業(マルキン)・・・粗収益が生産費を下回った場合に、差額の8割を補てん/ の制度を改善し、対象を農畜産物全体に拡充すべき

(2)市場価格・収入が下がれば、所得は底なしに下がり続ける

・米価 93年の2万2760円をピーク。2015年、1万2121円 と47%も低下 
→ 政府は「競争力強化」の号令で、さらなる価格低下をねらっている

・基準収入が毎年5%低下した場合のモデル計算(農水省資料16年12月より農民連)
 基準収入1000円の大規模農家 

 1年目 補てん後の収入1000円・補てん後の所得586円
 7年後 補てん後の収入731円・補てん後の所得317円 

→ 所得はほぼ半減し、経営は破綻する

(3)水田活用交付金は、収入保険の対象外

・収入保険の対象は、作物収入であり、農業粗収益でも農業所得でもない

 例) 7-10haの水田経営
 農業粗収益(作物収入+補助金) 1673万円
 作物収入          1054万円
 生産コスト         1055万円
 農業所得(粗収益-生産コスト)  618万円
 補助金(水田活用直接支払い交付金など) 619万円)
(「平成27年個別経営の営農類型経営統計」より)

・農水省「補助金は政策判断で改廃されるので保険になじまない」と主張
→ 上記モデル生産 7年後の所得317万円/補助金が半分になれば、大規模農家も所得ゼロに

*飼料米助成で、最高10アール10万5千円。これを「政策判断て改版」すれば、経営破たんは必至

(4)重い掛け金負担

・農水省試算 基準収入1000万円、補償限度額・支払率9割の場合 農家負担30万円
 → 農家所得は586万円なので、負担率5.1%
・農水省 保険料率を2%として5割補助すると言うが/ 「ナラシ対策」、補てん率9割、国の補助は75% → 新制度は、補てんの割合を8割に引き下げ、保険料負担を25%から50%に引き揚げるもの
 
・保険料に危険段階別を設定 /保険金の受け取りが多い農家の保険料は段階的な引きあがる恐れ

(5)「青色申告者」に限定

 青色申告している農家は2割弱。魅力のない保険にわざわざ差別のもちこみ
→ ナラシ対策のある間は、米農家が青色申告に張り替えて収入保険に入る必要はない/肉牛・養豚農家は最初から対象外。収入保険に入るとしたせ野菜・果樹農家だけではないか/関係者の声

(6)災害補償(農業共済)の行方は?

・農業保険法のもとで、収入保険が農業共済を則り、災害補償が行方が危うくなる懸念
・現在、農作物共済(米・向き)は当然加入、畑作物・果樹・家畜共済は任意加入/統合後の収入保険は任意加入
→ 農作物共済は当然加入だからこそ国の支えもあり成り立っている。任意加入となれば共済制度がもたない

◆アメリカは生産費を償う価格補償を強化している。

・日本/WTO加盟以来、食管制度による米麦の価格保障制度を投げ捨て、民主党政権が始めた戸別所得補償制度も廃止を決定し、生産費基準でない市場価格を基準にした経営安定化政策にほぼ一本化
・アメリカ 2014年農業法で、「不足払い」+「価格支持融資」+「ナラシ対策」+「収入保険」の4層構造を充実
(メモ者 食糧輸出を促進するための「攻撃型補助金制度」)

①不足払い(価格損失補償)

市場価格が生産費をもとにした基準価格を下回った場合に、その差額を国費で支払うもの。農民負担なし

②ナラシ対策(収入補償)

収入が基準収入を下回った際に、基準収入の86%まで補償するもの。農民負担なし

③価格支持制度

市場価格が大暴落した時に、農家が国営の「質屋」(商品金融公社)に農作物を「質入」して、代金を受け取り、価格が回復すれば代金を払って「質草」を回収して市場に売り、価格が回復しなければ「質流れ」にするアメリカ独特の制度 農民負担なし
→ 融資単価は、生産費のほぼ50%。あとは不足払い制度で補てん

④収入保険

作物別収入保険で、ナラシ対策を補完するもの。ナラシ対策の保障は86%までなので、それ以上は収入保険でカバーする。農家負担あり

*農家は、「不足払い」と「ナラシ対策」のいずれがを選択


・基準価格を30-40%引き上げ(2014年農業法) 小麦を除いて生産費を上回っている
・不足払い・ナラシに農家負担なし
日本の制度で不足払いに近いのが肉用牛・豚の経営安定化事業だが、過重な農家負担(牛33%、豚50%)
日本のナラシ対策の農家負担は25%/しかも認定農業者に限定
→アメリカの制度は、副業・兼業も含めて全生産者が対象

◆「戸別所得補償制度」の復活を足がかりに、今こそ日本でも価格保障の復活を

・価格保障とはえんもかりもない収入保険ではなく、日本でもアメリカ並みの価格保障の復活を
・野党共通の要求 戸別所得補償制度の復活、/すでに「マルキンの充実」法案を提出


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