ビジネス系弁護士 共謀罪の危険性訴え「いかようにも解釈・運用できる」 「企業活動が萎縮」
企業法務などを専門とする弁護士の会が、法案にいかようにも解釈・運用できる余地が残っている、とし「ビジネスへの萎縮効果は非常に大きい」と指摘している。
「ビジネスの世界では、法律に違反しないよう慎重な計画検討が行われるが、専門家ですら判断が割れることもある」と節税対策の検討が、脱税を組織的検討した犯罪集団と扱われかねない、というもの。
【ビジネス系弁護士、共謀罪の危険性訴え「企業活動が萎縮」…法人税法や破産法も対象 弁護士ドットコム5/20】
【ビジネス系弁護士、共謀罪の危険性訴え「企業活動が萎縮」…法人税法や破産法も対象 弁護士ドットコム5/20】共謀罪(テロ等準備罪)法案が衆院法務委員会で強行採決の末、可決された5月19日、企業法務などを専門とする弁護士7人でつくる「共謀罪法案に反対するビジネスロイヤーの会」が、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を行い、「ビジネスへの萎縮効果は非常に大きい」と危険性を訴えた。
法案はテロ対策をうたっているが、対象となる犯罪は277種類(数え方によっては316種類)と広範。同会は、法人税法や金融商品取引法、破産法など、企業活動に影響しかねないものまでが対象となっていることに大きな危機感を抱いている。
「ビジネスの世界では、法律に違反しないよう慎重な計画検討が行われるが、専門家ですら判断が割れることもある。たとえば、A案とB案があって、最終的にA案はやめましょうとなっても、この法案では起訴されるリスクがある」(山中眞人弁護士)
仮に無罪になっても、起訴による信用低下は免れないし、捜査により業務に支障が出る可能性もあるという。
では、具体的にどんな企業活動に影響する可能性があるのだろうか。武井由起子弁護士は、節税を例にあげる。
「節税はどの企業もやっているが、脱税になるかどうかの境目は曖昧だ。たとえば、現地会社を作るのがいいかどうかなど、活発な議論ができなくなる」
一般企業であれば、「組織的犯罪集団」にならないとの指摘があるかもしれない。しかし、法案の定義は「結合関係の基礎としての共同の目的」が、「(該当する)罪を実行することにあるもの」というもの。「罪のみ」と限定されていない以上、濫用の恐れがあるというのが、同会の見解だ。
同会はテロ対策そのものは否定していない。法案にいかようにも解釈・運用できる余地が残っていることが問題だという。同会は法案を廃案ないしは、ビジネスへの萎縮効果が生じないように修正することを求めている。
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