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共謀罪  基地反対運動、容易に弾圧する恐れ~ 沖縄ではプレ「共謀罪」捜査

「辺野古では、コンクリートブロックをゲート前に置いた行為が威力業務妨害罪として起訴されている。「共謀罪」ではブロックを置こうと計画し、仲間への連絡や資金を引き出した時点(準備行為)で同意した全員が逮捕される可能性がある。」〔沖縄弁護士会会長〕
 その捜査の異常さを、金平茂紀テレビ報道記者・キャスターが紹介している。長期拘留と接見禁止は、「治安維持法下の『予防拘禁』を想起」とのべ、「山城氏の逮捕・再逮捕と相前後して東京、神奈川など全国十数カ所で家宅捜索が行われ、主にパソコン、USBメモリーやハードディスクなどの記録媒体、携帯電話などを集中的に押収していった。パソコンの押収点数は計8台、記録媒体が15台、携帯電話も7台が押収された」ことの目的を「米軍基地建設反対運動を、山城氏を『首謀者』とする壮大な犯罪組織に見立てようとしているのである」と指摘する。
 国会前のデモを「テロ」と表現した自民党幹事長の本音が、共謀罪の狙いをよくあらわしている。

【「人権が大きく制限される」共謀罪、沖縄弁護士会長が批判 沖縄タイムス3/22】
【沖縄で進行する共謀罪的捜査 長期勾留と「予防拘禁」の類似性  沖縄ではプレ「共謀罪」捜査 金平茂紀の新・ワジワジー通信 沖縄タイムス4/6】

【「人権が大きく制限される」共謀罪、沖縄弁護士会長が批判 沖縄タイムス3/22】

 政府が閣議決定した「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法の改正案に対し、沖縄弁護士会の池田修会長は「一般市民が捜査の対象になり、国民の表現の自由やプライバシーが制限される」として、反対する姿勢を示した。「取り締まりの対象が不明確で、政府の説明も不十分だ」と指摘する池田会長に改正案の問題点を聞いた。(聞き手=社会部・国吉聡志)

◆既存の法体系覆す

 -改正案の問題点は。
 「政府は目的をテロ対策としているが、重大犯罪は予備罪や準備罪などを備えた現行法で対応できる。必要のない法律だ」

 -政府はどんな説明をしているのか。
 「国連総会が2000年に採択した国際組織犯罪防止条約の要請で、新たな法整備が必要だと説明している。だが、同条約はマフィアや国際詐欺集団などの経済犯罪を取り締まるためのもので、テロ対策が目的ではない。『共謀罪』を創設しないと条約を批准できないというのはおかしい」

 -改正案の成立で懸念されることは。
 「成立すると『不正なことを計画しているらしい』という曖昧な状況で捜査が始まるだろう。捜査範囲が計画の周辺にいる一般市民にも及ぶ可能性がある。昨年の改正で対象犯罪が拡大した通信傍受が使われる可能性があり、令状を示されることなく秘密裏に電話を盗聴される気味の悪さを想像してほしい」

 -反対する理由は。
 「刑事法は、犯罪の実行を処罰するのが原則だ。だが改正案は計画段階での処罰を認めてしまい、既存の法体系を根本から覆す。人権を侵害する法律で、法律家として許容できない。政府は東京五輪対策なら、何でもしていいということにはならない。この法律が必要なのか、一人一人が考えてほしい」

◆曖昧な処罰対象 基地反対運動、容易に弾圧する恐れ

 「共謀罪」の政府案は、処罰対象の「団体」や「罪名」が次々と変遷した。法務省は「普通の団体は対象外」と答弁を続けていたが、議論終盤には「目的を一変した団体は処罰対象」と対象を広げた。曖昧な処罰対象と、277にも上る違法行為を組み合わせれば、市民運動や基地反対運動を容易に弾圧する可能性がある。
 法案は「一般人が対象になるのでは」と懸念の声が上がり、法務省は打ち消しに躍起になってきた。
 1月31日の予算委員会で、福島瑞穂参院議員(社民)は名護市辺野古の新基地建設抗議行動を例に「共謀罪の取り締まり対象か」と質問。法務省の林真琴刑事局長は「普通の団体、会社、労働組合、NPO団体は除外される」と答弁した。
 しかし半月後の2月16日、同省は「正当な活動を行っていた団体でも目的が一変した場合は処罰の対象」と解釈を広げた。何をもって「一変」かの議論は深まらず、「捜査側が恣意(しい)的に『危険性』を判断することになる」との指摘が上がる。

■膨大な違法行為

 「共謀罪」は当初、676の犯罪を対象にしたが、277に絞りこんだ。だが中には労働基準法や著作権法、スポーツ振興投票法などテロとの関連が不明確なものも多い。
 県内の抗議運動では座り込みなどに「組織的威力業務妨害」、建物へのビラ掲示が「組織的建造物等損壊」、刑事特別法の「軍用物の損壊」が適用される恐れがある。
 辺野古では、コンクリートブロックをゲート前に置いた行為が威力業務妨害罪として起訴されている。「共謀罪」ではブロックを置こうと計画し、仲間への連絡や資金を引き出した時点(準備行為)で同意した全員が逮捕される可能性がある。



【沖縄で進行する共謀罪的捜査 長期勾留と「予防拘禁」の類似性  金平茂紀の新・ワジワジー通信 沖縄タイムス4/6】

しばらくぶりの「ワジワジー通信」だ。けれどもこの間、沖縄をめぐる出来事はワジワジーすることがあまりにも多くて、それらを記すだけでも紙面を覆いつくしてしまいかねない分量になるので、今回は論点を絞ることにしよう。沖縄の米軍基地建設反対運動のリーダー的存在である山城博治氏の保釈と、そこで考えなければならないこの国の司法の「変質」についてである。

沖縄平和運動センター議長の山城氏は3月18日保釈された。初公判の翌日のことである。去年の10月、東村高江のヘリパッド建設反対の抗議行動のさなか、米軍北部訓練場内の有刺鉄線を切ったという器物損壊の容疑で逮捕されて以来、いくつもの罪状で再逮捕が繰り返され(公務執行妨害、傷害、威力業務妨害)、何と5カ月以上、152日という長期勾留の末に保釈されたのだった。

 那覇地検は最後の最後まで保釈に反対し続けた。裁判所は長期にわたって家族も含めた接見禁止処分を認めていた。山城氏に対しては、靴下等の生活必需品の差し入れも2カ月以上禁じられ、さらには那覇地検は、国民の最低限度の権利である弁護士との接見にさえもさまざまな注文をつけ続けた。山城氏にあてられた励ましの手紙約400通も全く本人のもとに届かないようにされていた。逮捕・起訴された山城氏は、保釈に至るまでの長期間、そのような境遇に置かれていた。このこと自体がまず異常である。

 今年1月26日には、国際的人権団体アムネスティ・インターナショナルが、早期釈放と適切な医療措置等を求める異例の声明を出していた。山城氏は悪性リンパ腫を患って入院していた経緯がある。また複数の人権団体や刑事法学者、有識者からも、山城氏の長期勾留は、露骨な運動つぶしを企図した動きであって、司法の機能を逸脱しているとの訴えがなされていた。だがこの国の司法を担う裁判所や検察庁は、聴く耳を持たなかったようだ。

 山城氏が勾留中に〈現場〉では一体何が起きたか。東村高江では米軍用のヘリパッド建設が力づくで完了した。反対派市民を機動隊がごぼう抜きにして、工事車両を何台も走らせての、まさに突貫工事の果ての完成だった。いわゆる「辺野古訴訟」は県の敗訴が確定し(去年12月20日)、国・沖縄防衛局は、司法によって工事GOの「お墨付き」を得られたと主張して、まさにその通りにことが進められた。

 名護市辺野古では、海上埋め立て工事が再開され、巨大な作業船が海上に姿を現し、再び反対派の抗議船などの海域進入禁止を表示するオレンジ色の浮具(フロート)が大浦湾に張り巡らされた。海の機動隊=海上保安庁の警備艇も以前のように存分に力を行使し始めた。その傍らで、工事にともなう汚濁の防止膜を固定するためだというコンクリート・ブロックが次々に海中に投げ込まれていった(最終的には228個)。山城氏の勾留中に、国・防衛局はまさに思いのままにことを進めることができた。これが客観的な事実である。

 僕は、山城氏が勾留されていなかったら、これらのことは止まっていたかもしれない、などと空想的なことは言うつもりはさらさらない。国・防衛局の、政治的な、物理的な力はこの国においては圧倒的なのであって、アメリカ政府から「待て」と言われない限り、工事は進められただろう。ではなぜ山城氏はやられたのか。彼は非転向を貫く米軍基地建設反対運動の象徴的存在であって、まさにそのことが彼が長期勾留を課された理由なのである。それを裏付ける種々の事象がある。

 僕らの国の司法にはかつて「予防拘禁」という仕組みが合法的制度として存在していた。戦前、あらゆる社会運動を弾圧する機能を果たした法律に治安維持法があった。この法律に違反したとして摘発された受刑者のうち、非転向、あるいは転向が不十分だとみなされた者は、「再犯のおそれあり」として出獄を取り消し勾留し続けることができる制度が「予防拘禁」だった。

 僕は山城氏の尋常ではない長期勾留や接見禁止措置を考えた時に、この治安維持法下の「予防拘禁」のことをすぐに想起した。今、政権は「平成の治安維持法」と言われている共謀罪法案(彼らによる呼称はテロ等組織犯罪準備罪法案だが)を国会に上程し成立を急いでいる。この動きと山城氏逮捕・長期勾留の動きは連動したものと思わざるを得ないのだ。

 実は山城氏逮捕の捜査を顧みる時に見過ごせない司法警察・検察の動きがある。山城氏の逮捕・再逮捕と相前後して東京、神奈川など全国十数カ所で家宅捜索が行われ、主にパソコン、USBメモリーやハードディスクなどの記録媒体、携帯電話などを集中的に押収していった。パソコンの押収点数は計8台、記録媒体が15台、携帯電話も7台が押収された。

 捜査当局はこれらの押収物から、メールやラインなど会員制交流サイト(SNS)での通信記録を細かく掌握しチャートを作成していった。なぜそんなことをするのか。彼らは、米軍基地建設反対運動を、山城氏を「首謀者」とする壮大な犯罪組織に見立てようとしているのである。「一味」が事前に「共謀」してあのような大反対行動を企てているのだと。

 しかし僕は長年の記者取材経験からわかるのだが、公安警察や公安検察のなかには、想像力がとてつもない奇形的な膨張を遂げてしまった人々が存在していたりする。彼らの頭のなかには常に「国策にまつろわぬ者=犯罪集団=取り締まり対象」という図式が出来てしまっている恐れがある。そう、彼らの頭の中には戦前の治安維持法が生きているのである。だから、まるでアルカイダかイスラム国に対するような扱いがとられてしまいかねないのだ。

 山城氏の公判に証拠申請されている膨大なビデオ映像の記録(ブルーレイディスク数十枚)はどのようにして撮影されたかを想起してみるといい。彼の行動の一挙手一投足をバーの先に取りつけた小型ビデオカメラ20台以上で、警察、防衛局等の「撮影班」がよってたかって撮影したものがそれである。そのこと自体が実は異常なのだ。それを異常と認識できないほどに僕らの感覚がすでに麻痺(まひ)してしまっているのかもしれない。

 沖縄ではプレ「共謀罪」捜査が先取りされている。これは憲法のもとにある民主主義国家においてあってはならない、司法の「変質」を象徴する動きである。

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