大阪市議会 「水道民営化」議案廃案へ ~世界の流れは再公営化
周回遅れで、すでに世界各地で失敗があきらかになっている「民営化」を「改革」と称する愚策。安倍政権が成長戦略の1つとして掲げている分野。途上国へのインフラ・システム輸出のために、公務がもつノウハウをかすめ取ろうとするのが本質。歯止めがかかったのはよかった。
高知市の清掃工場は直営で、職員が多数の資格を持つ専門性を発揮し、メーカー言いなりでなく極めて効率のよい運営・維持管理をしている。医療センターもPFiを解除してから黒字に転嫁。
公務が本当に役割を発揮すれば、トータルコストとして効率性を発揮できる実例である。同時に、産業振興、観光などは民間の知恵、地域の資源をどう行政がサポートするかが重要である。
リアルな実態にもとづく議論が大事だと思う。
【大阪市議会 「水道民営化」議案廃案へ 市長、再提案はせず 自公が慎重 毎日3/27】
【世界的趨勢になった水道事業の再公営化~日本政府は周回遅れで逆走 2016/11】
【大阪市議会 「水道民営化」議案廃案へ 市長、再提案はせず 自公が慎重 毎日3/27】大阪市議会で審議中の水道民営化関連議案が、審議未了で廃案となる公算が大きくなった。大阪維新の会は賛成の立場だが、他の主要会派は慎重な姿勢で、採決の条件が整っていない。吉村洋文市長は再提案しない方針で、橋下徹・前大阪府知事時代の「二重行政の解消」を発端とした民営化議論は仕切り直しとなる。【念佛明奈】
大阪市案は、水道局を市から切り離し、市が100%出資する運営会社を設立。浄水場や水道管などの資産は市が保有し続け、30年間の運営権を株式会社に与える方式を想定していた。これに対し、公明は「運営会社の経営が行き詰まった場合、代わりをすぐ見つけられない。水道は一日の空白も許せない事業だ」と反対、自民も「公共性の担保ができるのか」などと慎重な意見が強い。
27日の市議会交通水道委員会で、大阪維新は賛成、自民は継続審査、公明は反対の立場を表明する方針。いずれも採決に必要な過半数に達しないため、本会議にかけず廃案となる見通しだ。
市はこれまで、運営会社が府内全市町村の水道事業を受託する形での「府域1水道」を目指していた。吉村市長は廃案となった場合、大阪市を除く42市町村による大阪広域水道企業団との協議を視野に府域1水道を検討する考えを表明している。
同時に、今国会に提案された水道法改正案に着目。水道事業者は自治体のままだが、施設を使って事業を運営する民間会社に厚生労働相が「許可」を与える仕組みで、民営化に近づけることが可能だ。他自治体からの受託もできる。
府内では大阪市が同市内に、府がそれ以外の市町村に水を供給してきたが、節水と需要減で府・市いずれも浄水場の能力は余っている。2008年に橋下知事(当時)と平松邦夫市長(同)が水道事業の一元化に向けた協議を開始。調整がつかず頓挫し、11年12月に大阪市長に転身した橋下氏は府域1水道の実現に向け、企業団への参加を目指した。しかし大阪市議会が「水道料金の値上げにつながる」と反対し、橋下氏は民営化に方針転換した。
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大阪市の水道事業をめぐる流れ
2008年4月 橋下徹大阪府知事と平松邦夫大阪市長が府・市の水道事業の統合協議をスタート
2010年1月 統合協議が破綻
2011年4月 大阪市を除く42市町村でつくる「大阪広域水道企業団」が事業開始
2012年1月 大阪市長に就任した橋下氏が、市の企業団への参加を表明
2013年5月 大阪市議会で企業団と市水道局の統合の関連議案を否決
6月 民営化に方針転換
2015年3月 大阪市議会が民営化関連条例案を否決
2016年2月 市が関連条例案を再提案。12月までに3回継続審議
2017年3月 関連条例案廃案へ
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