北朝鮮政策 「悪循環」から脱却を~米中ロの発言と日本共産党の提案
米政府が「核放棄しないがきり交渉に応じない」という「戦略的忍耐」の方針を「失敗」と評価し、政策の見直しに言及。中国、ロシアは軍事的な緊張の高まりを「深刻な懸念」「衝突の恐れ」とし、平和的解決策を示唆した。
軍事的衝突となれば、どれだけの犠牲が出るか。また2千万人民、100万人民軍が難民化したら、中国、韓国、日本への影響も極めて大きい。
【朝鮮半島情勢に「深刻な懸念」=2プラス2で議論期待-ロシア次官書面インタビュー3/17】
【北朝鮮政策見直しへ連携=米国務長官「20年間失敗」-安倍首相らと会談 3/16】
【李克強首相、朝鮮半島に懸念「衝突の恐れ」NNN3/15】
戦略の練り直しが必要。変化のきざきを捉えた日本共産党の提言はさすが(この提唱、HPの「政策」欄に出ていない。ミス?)。
【北朝鮮問題―「外交交渉のなかで非核化を迫れ」という提唱について 志位委員長が語る2/20】
【朝鮮半島情勢に「深刻な懸念」=2プラス2で議論期待-ロシア次官書面インタビュー3/17】【モスクワ時事】ロシアのモルグロフ外務次官は時事通信との書面インタビューに応じ、最近の朝鮮半島情勢について「深刻な懸念を招いている」と述べた上で、東京で20日に再開される日ロ両政府の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で北朝鮮問題について議論が深まることに期待を示した。
北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議のロシア首席代表を務めるモルグロフ氏は「緊張の悪循環を断ち切るために、われわれは(朝鮮半島)情勢を複合的に見ることを提案している」と説明。北朝鮮の核・ミサイル実験を受け、「米国とその同盟国が軍事的な演習や活動を活発化させ、それが北朝鮮を新たな行動に駆り立てている」といった「悪循環」があると指摘した。
その上で外交的手段による平和的な問題解決が「われわれの共通目標だ」と述べ、2プラス2は「われわれのやり方を日本のパートナーに伝える良い機会だ」と意欲を表明した。
また、ショイグ国防相が年内に北方領土などに1個師団を配備する方針を示したことに関しては「国防省の同僚の仕事を奪いたくない」と詳細な説明を避けた。しかし、「大事なのは、一連の方策はロシアの主権で行われているということだ」と述べ、配備方針は何ら問題ないという認識を示した。
さらに「もし、日本側が2プラス2でこの問題を提起するとしたら、日本側もロシアが疑問を持つ日本の軍事的発展についての説明を準備しておかなくてはならない」とけん制した。日本の「軍事的発展」が何を指すのかは不明だが、ロシアは米国主体のミサイル防衛にたびたび懸念を示している。
2プラス2にはロシアからはラブロフ外相とショイグ国防相が参加。モルグロフ氏は18日に東京で開かれる北方四島での共同経済活動に関する公式協議にも出席する。(2017/03/17-15:30)
【北朝鮮政策見直しへ連携=米国務長官「20年間失敗」-安倍首相らと会談 3/16】安倍晋三首相は16日、ティラーソン米国務長官と首相官邸で約1時間会談し、日米同盟を不断に強化していく方針を確認した。トランプ米政権が進める対北朝鮮政策の見直しについては、日米間で綿密に擦り合わせ、戦略目標を共有することで合意。これに関し、同長官は岸田文雄外相との共同記者会見で「(米国の政策は)過去20年間、失敗したアプローチを取ってきた」と指摘した。
ティラーソン長官は首相との会談で、北朝鮮への圧力を強めるため、トランプ政権が軍事力行使を含む「全ての選択肢がテーブル上にある」との姿勢で政策を見直していることを説明。米国による北朝鮮のテロ支援国再指定についても協議し、日本側は再指定を求める立場を伝えたとみられる。また、韓国を交えた3カ国の連携を強化し、中国に積極的な関与を促すことも確認した。
北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結交渉について、首相は解決への強い意欲を持ってプーチン大統領と議論を交わしていると説明。長官は「北方領土問題についてはよく理解している」と述べた。一方、東・南シナ海への中国の強引な進出に関し、両氏はベトナム、フィリピン、オーストラリアとの協力を深めていく方針を確認した。
日米両政府が4月に予定する「経済対話」については、2国間経済関係の強化に向け「有意義な対話を期待したい」との考えで一致した。
これに先立ち、日米外相は東京都内の外務省飯倉公館で約1時間20分会談。両国の対処能力強化や自衛隊の役割拡大を話し合うため、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の早期開催へ調整を加速させることで一致した。
同長官は会見で、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について「一方的な行動により日本の施政権を脅かすことに反対する」と明言。日米安保条約に基づく対日防衛義務は「変わりはない」と強調した。
外相会談ではこのほか、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設が「唯一の選択肢」とする立場を再確認。沖縄の基地負担軽減に協力して取り組むことを申し合わせた。◇日米会談のポイント
一、米の北朝鮮政策見直しで日本と擦り合わせ
一、米長官は北朝鮮政策について「過去20年間、失敗した」と指摘
一、外務・防衛閣僚の2プラス2を早期開催
一、首相が北方領土問題で対ロ交渉説明
一、米長官は対日防衛義務を確認
【李克強首相、朝鮮半島に懸念「衝突の恐れ」NNN3/15】中国の国会にあたる全人代(=全国人民代表大会)が閉幕した。15日午後に行われた閉幕後の会見で李克強首相は、緊張が高まる朝鮮半島情勢について「衝突を引き起こす恐れがある」と強い懸念を示した。
最高指導部が入れ替わる党大会をひかえ習近平指導部は、内政だけでなく、外交でも安全運転を目指している。その外交のかじ取りを難しくさせる北朝鮮問題について、李首相は強い懸念を示した。
中国・李克強首相「朝鮮半島や東北アジアで緊張が高まり、衝突を引き起こす恐れがある。これは各国の利益にならない」
李首相は「誰しも隣の家が騒がしいのは好まない」と関係各国に自制を求めた。
また、注目の対米関係では、現在、調整中の習主席とトランプ大統領の初の首脳会談に言及し、米中関係の重要性を強調。南シナ海問題など対立する問題でけん制するコメントは避けて関係改善のメッセージをアメリカ側に送った形。
一方、国内に向けては今回の全人代期間中、繰り返し、習主席の権威が強調された。15日午前の閉幕の演説でも、共産党幹部が「習主席が党、軍、すべての民族の威信を高め、核心となったことを誇りに思う」と訴えた。
政権運営方針や予算案に大多数が賛成し、去年より反対や棄権票が減った。習近平主席への権力集中が投票結果でも色濃く表れた形。習主席は、党大会での最高指導部の人事に向けてさらに有利な環境を整えつつあるといえる。
【北朝鮮問題―「外交交渉のなかで非核化を迫れ」という提唱について 志位委員長が語る】日本共産党の志位和夫委員長は19日、NHK番組「日曜討論」終了後、記者団が、「(志位氏は)NHK討論のなかで北朝鮮問題の対応について『外交交渉のなかで北朝鮮に非核化を迫れ』『それしか選択肢はない』と発言された。この意味と、こうした外交交渉をどういう形で訴えていくのか」と質問したのに対して、次のように答えました。
◆先制攻撃などの軍事力行使の選択肢は絶対にとってはならない――1994年の経験から
(米国が)先制攻撃などの軍事行動を行う――戦争という選択肢をとった場合には、おびただしい犠牲が出ることは避けられません。地域と世界の平和を深刻な形で覆すことになることは間違いありません。
この点で、1994年のクリントン政権の時代に、アメリカによる北朝鮮への先制攻撃の一歩手前までいったことがありました。その時は、韓国の金泳三大統領(当時)がクリントン大統領(当時)に電話して、“戦争は絶対にだめだ。そんなことになれば南北で数百万人もの人々が死亡する。もしも米軍が戦争を始めたとしても、韓国軍は一人たりとも動かさない”と、断固反対の談判をやって止めたことを、(金泳三氏)本人が証言しています。こうして(先制攻撃を)一歩手前で止めて、カーター(元米大統領の)訪朝となったわけです。世界は、この時に、地獄を垣間見たのです。こういう経験を経ている。
先制攻撃などの軍事力行使の選択肢は絶対にやってはいけない。これは、こういう経験を踏まえても明らかなことです。◆「戦略的忍耐」と呼ばれる従来の方針の破たんを、米国政府自身が認めた
そうすると外交的解決という選択肢しかありません。それでは北朝鮮に対してどういう外交交渉を行うか。これを根本から考える必要があります。
NHK番組の中で述べたようにオバマ政権時代に、米国は「戦略的忍耐」と呼ばれる方針をとってきました。これは、北朝鮮との外交交渉は、北朝鮮が非核化の意思を示さない限り応じないという方針です。北朝鮮が何度も国際約束を破ってきたことから、こういう方針がとられてきたわけですが、結果は成功したとはいえません。
オバマ政権時代の8年間、米国は「戦略的忍耐」の方針をとってきたわけですが、その間に、北朝鮮は、核兵器・ミサイル開発をどんどん進めてしまいました。結果を見れば、この方針が失敗だったということは明らかです。
この点で、私が、注目したのは、安倍首相が日米首脳会談を受けての国会答弁で、「米国がトランプ政権に代わり、オバマ政権時代の戦略的忍耐から、方針の変更について今議論している最中である」(2月14日、衆議院予算委員会)とのべたことです。
これは、「戦略的忍耐」と呼ばれる従来の方針の破たんを、米国政府自身が認めたことを意味するものにほかなりません。
そのことが、安倍首相自身の口から語られた。私が、日米首脳会談後の安倍首相の発言で、最も注目したのはこの発言でした。◆経済制裁の厳格な実施・強化と一体に、外交交渉のなかで非核化を迫れ
それではどうするかとなった場合に、マティス米国防長官は、米国の上院軍事委員会の公聴会(1月12日)で、「軍事力という選択肢は持っておく必要があると思うか」との質問に対して、「われわれはいかなる選択肢も除外するべきではないと思う」とのべています。「いかなる選択肢も除外するべきではない」という場合に、選択肢のなかには軍事力行使の選択肢もある。外交的解決の選択肢もある。いまの段階では、軍事力行使の選択肢から外交的解決の選択肢まで、すべての選択肢がテーブルの上に乗っているわけです。
したがって、いまは重大な分かれ道であるわけです。先にのべたように先制攻撃などの軍事的選択肢は絶対にとってはならない。米国が、北朝鮮に対して、経済制裁の厳格な実施・強化を行いながら、従来の方針を転換して外交交渉に踏み切る。そして外交交渉のなかで北朝鮮に非核化を迫る。北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛り、放棄させる。こうした方向に進むことがいま何よりも重要です。トランプ政権でも「方針の変更」が議論されているわけですから、日本政府は、こうした方向に進むよう、米国に働きかけることが必要です。国際社会も一致結束してのぞむ必要があります。
北朝鮮の核・ミサイル開発をいかにして止め、放棄に向かわせるかを真剣に考えたら、これが唯一の道となるのではないか。私は今日の「日曜討論」で、そのことを提起したわけです。これは新しい問題提起ですが、(政府・与党は)ぜひ真剣に受け止めてもらいたいと思います。◆解説
日本共産党第27回大会決議の具体化として
北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会がどう対応すべきかについて、日本共産党第27回大会決議では、次のようにのべています。
「国際社会のさまざまな努力にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めることができていないという事実を踏まえ、従来の延長線上にとどまらない外交的対応と、中国を含む国際社会による制裁の厳格な実施・強化という両面での対応を抜本的に強化することによって、北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛り、その放棄に向かわせることが重要である」(第3章第14項)
今回の志位委員長の提唱は、ここで大会決議がのべている「従来の延長線上にとどまらない外交的対応」について、トランプ米新政権のもとで、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」と呼ばれる対北朝鮮政策の変更についての議論が開始されるという新しい局面で、具体化したものです。
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