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教員研修改悪に歯止めを 地方の課題(メモ)

藤森毅 「安倍政権による教員研修改悪に歯止めを~教育公務員特例法改正と地方の課題」 議会と自治体2017.4より
新たに都道府県の教員研修の「指標」「研修計画」の策定がぎむづけられる。教育支配の道具にさせず、国会論戦で確認された教員研修の「自由と自主性の尊重」、多忙化に歯止めをかける研修の「精選」「教員の負担軽減」にもとづき、実態の告発を力に、真にこどもにも教員に喜ばれるような研修への改善へ・・・地方自治体でのとりくむべき課題を整理したメモ
  なお、昨年11/2の畑野衆院議員、11/21吉良参院議員の国会質問が詳しく展開している。

【安倍政権による教員研修改悪に歯止めを~教育公務員特例法改正と地方の課題】

・2016年11月 教育公務員特例法等の一部改正~教員研修が中心
→今後、都道府県、政令市、中核市で、公立学校の教員研修に関する「指標」(中核市除く)や「研修計画」を策定


(1)狙い~教育支配に必要な教員統制の一環となりえるもの

・安倍政治の暴走の1つに教育問題(メモ者 戦争する国づくり、資本の役立つ人材づくりのため)
・支配層による教育支配の方法 ①教育内容の支配、②その教育内容を子どもに教える教員の支配
→ 教員研修改悪は、教員支配の一環

・法案提案理由 団塊世代の大量退職、若い世代の大量採用~「教員の資質向上のため新たな研修体制を構築する必要」
→資質向上と研修は大事。が/権力側の「あるべき教員の資質」の強制は、資質向上に逆行、教員支配の手段に


(2)そもそも研修とは~ 札幌高裁確定判決より

・教員研修は、一般公務員とは違う「研究と修養」/「自由と自主来の尊重」が判決で確定
・一般公務員の研修/「勤務能率の発揮及び増進のため」に、「任命権者がおこなう」(地広法39条)ものに限定
・教員研修/「研究と修養」(教基法9条、教育公務員特例法21条)~ 教育に関する様々な研究、みずからの人間性を豊かにする人間修養/形態も個人実施、学校内外の自主的な各種研究会、行政研修と様々

・大事なのは、教員研修てば「自由と自主性は尊重されなければならない」(77年2月10日、札幌高裁判決・確定)
・同判決の概要/校長の許可なしに勤務時間中に組合の研究集会に出かけたこと自体には咎めがあったが/「教員の研修」については合理的な判断

・「自由と自主性」の根拠~教員の仕事の特殊性にある/教員は子どもの人格形成に深い影響を与える特別な職業。教科の指導を通じ、人類の蓄えた文化を伝える職業であり、そのため専門分野での高い能力と人間味をあふれる人格をもつくことが強く期待される。その力を身につけるには、他人のお膳立てでなく、個人の自主的取り組み以外にない
→ 判決「従って、教師にとって研究修養は、自己完成目的に志向された手段であるとともに、教師たる資格を具備するための必要不可欠の要件ともいわなければならず、その自由と自主性は尊重されなければならない」

・法も「自由と自主性」を規定
→教特法21条「絶えず研究と修養に努めなければならない」/22条「研修を行うことができる」~「絶えず」とは勤務時間外もふくめ、「できる」と主体が教員であることを示している
→勤務時間内に校長の承認を得ての学校外での研修、現職のまま長期の研修を行える/教特法22条

・行政の役割~条件整備/「教育公務員の研修について、それに要する施設ね研修を奨励するための方途その他の施設に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない」(同21条2項)

☆法制度の基本/自由と自主性が尊重させる研修を教員ができるよう、行政が条件整備をおこなうというもの


(3)法改正の中心問題/ 国「指針」、自治体「指標」「計画」を策定することで教員研修への支配が強まる危険

・教育委員会が「教員としての資質に関する指標」を定める(22条3)/この「指標」にもとづき「教育研修計画」を定める
→教育委員会は「指標」を定めるとは、国のつくる「指針」を「参酌」(22条2.3)/「指標」を定めるには、教育委員会と教育要請系の大学等と協議を経る必要があり、「協議会」を設置する(22条5)

☆文科省が1つのモデルと説明した横浜市教育委員会「教員のキャリアステージ」
 教員人生を3つのステージにわけ、ステージ毎に身につけるべき資質・能力を細かく規定し、行政研修を実施/子どもの権利や人間の尊厳にかかわる行政研修ははとんど見当たらない
→その横浜市で、原発事故被害者のいじめが長期に放置され、その後も、被害者から加害者にわたった150万円のお金を「いじめ」と認めず、国民的批判が集中した。
→ 行政が教員研修を支配することで、本当に資質ある教員が育つのか? 考え直すとき
(メモ者 滋賀県大津市のいじめ自殺/同校は、前年まで道徳教育強化モデル校)


(4)国会論戦の成果~ 自由と自主性の尊重、行政研修の精選する認めさせる

2つの大きな成果~衆院11月2日、参院11月17日でたった一日の審議で強行


■法律と判例にもとづく教員の研修の特別の性格を認めさせる

①教員研修の特別な性格と自由と自主性

・文科省「教育の本質は教員と児童生徒の人格的な触れ合いにあり、単なる知識、技術の伝達にとどまらないものであることから、公教育の担い手である教育公務員には絶えず研究と人格の修養に努めることが求められて」る (文部科学省初等中等教育局長11月2日答弁)

・松野文科大臣「本件判決は、児童生徒の人格的完成を担うという教職の性質上、教員にはそれにふさわしい能力、識見を有する人格者であることを求められることから、教員にとっての研修は、教員たる資格を具備するための必要不可欠な要件であり、その自由と自主性は尊重されなければならない旨、述べております。」(11/2)

・文科大伸「教育基本法において、教員は、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならないとされているとおり、教員等がその時々において必要な資質、能力を身につけることは、教育の充実を図る観点から非常に重要であります。 そうした教員等の研修については、自発的に、その職責の重要性に鑑み、みずから研修するという基本的な態度が必要であると考えており、そのことは、本法案により制度が改正されたとしても、変わるものではありません。 (11/2)

・行政の研修についても「教員の自由と、そして自主性の尊重が入っているということでよろしいですね」との問いに、大臣は「自主性というのは尊重されるべきであるかと思います」と答弁(11/2)

・高裁判決について大臣が「無制限に認めたものではない」と「自主性」を薄めようと躍起
→ 同判決が「無制限ではない」としたのは、勤務時間中に校長の許可なしに校外に行って研修することまでは「自主性」とまではいえない

②国や教育委員会の価値観を押し付けるものではない

・指針について中教審答申、「決して国の価値観の押しつけ等ではなく、各地域の自主性や自律性を阻害するものとなってはならない。」(15/12/21)
→これについて大臣答弁「国が決めたものを地方や現場に押し付けるものにはならない」(11/21)

・「指標」は、あくまで教員の研修について/人事考課、人事異動とむすびつくものではないことも確認(11/21)


■教員の「超多忙化」と行政研修の精選の必要性

~ 超多忙かのもとで、これ以上、行政研修をふやしていいのか、が問題に

・この間、国は「1時間の授業には1時間の準備ができるよう教員定数を配置している」と説明
*林紀子参議院議員への局長答弁~「昭和三十三年のいわゆる標準法制定時における教職員定数を算定するに当たりまして、一時間の授業につきましては一時間程度は授業の準備が必要ではないかと考えて、それをベースに教職員定数を算定した」というもの

・→が、実態は/平均勤務時間で過労死ラインを超えても、/小学校では45分の授業に、14分の準備、中学では50分の授業に20分の準備(文科省「教員勤務実態調査」 06年度

・一番肝心な授業の準備に手がまわっておらず、これ以上行政研修を増やすべきではないとの追求に
→文科大臣答弁 11/2
「各主体が実施する研修の体系化、効率化が全体として図られ、研修の精選が進むものと考えております。」
「本法案が成立をすれば、これまで免許状更新講習と重複しやすかった研修の実施時期を当該学校や地域の教員の年齢構成を踏まえて調整することが可能となり、研修や講習の受講に係る過密なスケジュールが緩和されるなど、学校現場における教員の負担軽減の観点からも効果が期待できるもの」

■審議を反映した付帯決議

・国の指針は、地域や学校現場に押しつけにならないようすること、教育委員会の策定する「指標」は「画一的な教員増を求めるものでないこと」などが明記

○教育公務員特例法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 2016年11月17日
参議院文教科学委員会

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一、文部科学大臣が策定する指針については、教育委員会等が地域の実情に合わせた指標を自主的・自律的に定めるための大綱的な内容のものとし、地域や学校現場に対する押し付けにならないようにすること。

二、教育委員会等が策定する指標については、画一的な教員像を求めるものではなく、全教員に求められる基礎的、基本的な資質能力を確保し、各教員の長所や個性の伸長を図るものとすること。また、同指標は、教員の人事評価と趣旨・目的が異なるものであることを周知すること。

三、指標の策定に関する協議会においては、任命権者の判断の下、教育委員会や大学の教員養成課程の関係者のみならず、地域の実情に応じ、多様な教育関係者等で構成するよう努めることとし、協議等を通じて、地域における課題や学校現場の状況を指標等に反映させること。また、協議の内容等について積極的な情報公開を行うとともに、協議会の構成員以外の者からも幅広く意見を聴取するよう努めること。

四、指標を踏まえた教員研修計画の策定に当たっては、教員が主体的に研修に取り組むことができるよう配慮しつつ、教員の資質能力の向上に資する効果的・効率的な研修計画を体系的に整理し、教員の更なる過重負担を招かないようにすること。また、教員は現場で育つということを考慮し、日常の校内研修の充実を図ること。

五、中堅教諭等資質向上研修の実施に当たっては、十年経験者研修と免許状更新講習の時期等が重複することによる教員の負担を軽減する観点から、免許状更新講習の科目と中堅教諭等資質向上研修の科目の整理・合理化や相互認定の促進を図ること。

六、中堅教諭等資質向上研修の実施時期の設定に当たっては、指標に基づき、地域・学校現場の実情を踏まえ、柔軟な取扱いとするよう周知すること。

七、学校現場で多忙を極める教員が、児童・生徒と向き合う時間や教材研究の時間を確保しつつ法の趣旨にのっとった効果的な研修を受講できるよう、事務職員や他の専門スタッフの拡充を推進するとともに、昨年六月に「教育現場の実態に即した教職員定数の充実に関する決議」を全会一致で行ったことを踏まえ、教職員定数の計画的拡充を図ること。

八、略
九、略


(5)地方議会でとりあげる観点

①国会論戦をいかした取り組み
教員研修とは何かを議論し、「指標」「研修計画」でも教員の自由と自主性を尊重することを確認する/現場の声を聞いて、行政研修の精選と中身の改善をもとめていく

~実態の告発が重要(国会論戦から)
○吉良質問「東京都で行われている東京教師道場と呼ばれる研修についてもお話を伺ってまいりました。この道場というのは、初任者研修の後から十年目程度の教員が対象となっており、中でも教科等の指導において専門性を身に付けたいという教員や、校長が授業力向上のためのリーダーとして育成したい教員らを集めて、二年間掛けて実践的な授業研究を進めて教科等の専門性を高めるとしているもので、その中では部員同士で相互研さんをするなどということもうたっているわけです。
 しかし、実際はどうかといえば、研修組織である班というものにおいて二年間継続的に指導に当たる教授と呼ばれる学習指導専門員の言うことが絶対視されているというわけです。教科ごとに集まっている部員数名の意見よりも、その教授の意見が優先されて、およそ相互研さんとは言えないなどというような不評の声も上がっていると伺いました。このように、行政が行う研修において、既にあるべき教師像であるとかあるべき指導方法の押し付けが行われているのは本当に問題だと思うわけです。」

~特に初任者研修における不満が強く、改善が急務
・子どもから引き離され、月1度校外で研修、中身もなく、レポート作成も負担/授業の代わりの教員も配置されず、経験あさい非常勤教員ならその教材づくりも必要
(代替の臨時教員の費用は、一般財源化され、教員数を測定単位で計算されており、実際の必要数でだされているのではない。)
・内容を精選し改善させる(国が目安をさだめ、都道府県がそれぞれ内容を決める)
・教員は現場で育つことが基本。その時間を保証するために「多忙化」の解消と、学校の自由闊達な雰囲気づくりが重要

○畑野質問「初任者研修を受ける一年間はちょうど条件つき任用の期間です。ある教員からは、初任者研修に行くたびに、仮採用だからねと言われるというのがつらかったと。つまり、言外に、いつでもやめさせることができるという圧力があるわけですよね。
 校外研修で一部の指導の教員がそういう高圧的な態度や物言いをする。退勤時間の時刻になっても終わってくれない、休憩なしでぶっ続けでやられる。体育館の講話では、椅子もなしに、足を伸ばして体育館座りを強制された。スーツ姿だから、スカートの女性にとってはセクハラじゃないかという事態が起きている。それから、クールビズを推奨している自治体で夏の研修があって、クーラーが故障してしまった、でも、研修は身なりからといって、猛暑にもかかわらず、ジャケットの着用を義務づける。
 こういう、パワハラではないかと言わざるを得ない、上から目線の研修が横行しているのではないかと思わざるを得ません。その殺し文句が、初めに紹介した、仮採用だからだという発想なんです。」

「初任者研修の問題、そのものの問題点があると思います。無理なんですよ、今のやり方が。
やはり条件整備として国が行うべきは、三十五人学級のさらなる推進を初め計画的な定数改善を行って、現場に、子供たちのところにちゃんと教員がいる、手厚くいると。人間と人間の力によって、学校は現場で成り立っているわけです。
 初任者の願いは、悩みを聞いてくれる先生が欲しい、いい授業のコツのようなものを知りたい、暴れている子供への温かい見方を教えてくれる先生が欲しい、保護者への対応のコツも知りたい、そういう支援を心から望んでおります。
 それを上から目線で締めつける初任者研修はやめて、教師は現場で育つ、初任者も現場で育つ、それを豊かに支え合える教員定数の増員を初め条件整備こそ行うべきだ」。

②中堅教諭等研修への目配り

・「10年経験者研修」が「教員免許更新研修」(10年に1度)と時期的にかさなるため、実施時期を弾力化したもの
・条文は「学校運営の円滑かつ効率的な遂行をする上での資質の向上」となってえり、教育委員会に忠実な「中堅教員」をそだてるなど、ゆがたんだ中身の具体化や肥大化することのないよう(精選の観点)注意が必要

③地方独自の研修の見直し

  退職した元職員へのアンケート調査、意見募集など、実体把握にとって有効

④行政研修の内容の改善  

例)いじめ問題 ・・各地で学校、教育委員会の対応への批判が強まっているが、教員養成課程でも、行政研修でも深く学ぶことがおこなわれていない
→ 遺族団体から話を聞く、日弁連の出前授業など、当事者め関係者の話を聞く機会の保障

例)子どもの権利条約の学習 
 締結国は、子どもの権利条約の周知徹底の義務を負う /勧告なとも
(メモ者 児童福祉法改正16年5月 ~ 学校教育法はじめすべての子どもに関する法律の上位法
 第1条「すべて児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり(中略)その心身の健やかな成長及び発達(中略)を等しく保障される権利を有する」/第2条「社会のあらゆる分野において子どもの意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるよう努めること」)

例)子どもをブラックバイトから守ったり、教員の多忙化解消のための労働法制の研修

☆行政研修をすめなら、子どもにも教師にも喜ばれるような、すぐれた指導助言行政であるべき。

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