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自民「改憲案」の先取り  「家庭教育支援法」

 1月下旬から始まる通常国会に、自民党が提出する予定の「家庭教育支援法案」(仮称)。「家庭で親が子に、国家や社会で役に立つ人になるための教育をしなさい」「国や自治体はその手助けをするので、地域住民は協力しなさい」という内容である。
 子どものための支援ではない。非正規の増加、家庭の貧困、教員の多忙化を放置して、国家に奉仕する国民づくりのための法律、「家庭の責任」などを規定した自民改憲案の先取りであり、新自由主義が不可避的にもたらす社会の分断・分裂を、治安対策としても「統合」させるための国家主義的仕組みの一環である。

【「家庭教育支援法案」自民検討、「家族の役割固定化」批判も  毎日2016/11】
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比較的肯定的解説をしているベネッセも「家庭支援が不可欠」としている。
【家庭教育の「責任」、どう考える? 政府会議が議論 ベネッセ2016/11】

【「家庭教育支援法案」自民検討、「家族の役割固定化」批判も  毎日2016/11】

 家庭での教育について国や自治体が支援の責任を負うとする「家庭教育支援法案」を、自民党が来年の通常国会に提出しようとしている。家庭教育を公的に助ける内容だが、公権力が家庭に介入していくとも受け取れる。「家族は互いに助け合わなければならない」とうたう同党の改憲草案と合わせて、「家族生活での個の尊厳をうたう憲法24条の改正への布石ではないか」との批判も出ている。【中川聡子、遠藤拓】

 法案の素案は、目的について、核家族化の進行や家庭と地域社会の関係希薄化で家庭教育の支援が緊急に必要だと説明。家庭教育を「国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる」などと規定する。その上で、まず文部科学相が「家庭教育支援基本方針」を定める。これに沿って自治体も基本方針を定め、地域住民も国と自治体に協力するよう努める、とうたう。

 法案の前提には、家庭教育を保護者の一義的責任と明記した第1次安倍政権時代の改正教育基本法がある。

 法案の検討は2014年秋、自民党青少年健全育成推進調査会(会長・中曽根弘文元外相)に設置されたプロジェクトチーム(PT)で始まった。調査会とPTの事務局長を務める上野通子参院議員(元文科政務官)は「地域で困難を抱えた家庭が目に余る。子の命に関わることで、国も自治体も見て見ぬふりはできない」と説明。「家庭教育ができていない親は責任を負っておらず、明らかに法律(教育基本法)違反。支援法で改めて正す必要がある」と語った。

 改憲への布石と見るのは、24条に基づく選択的夫婦別姓訴訟で原告弁護団事務局長を務めた打越さく良(ら)弁護士だ。「戦前は家長が家族を支配し、妻には何の法的権利もないという家制度があった。戦後の24条は家制度を否定し、個人を基礎とした」と指摘。法案について「国に役立つ人材を育てよ、と保護者に命じる内容。家族が基礎的集団で国家を支えるという発想が改憲草案に通じる」と批判した。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)も24条を念頭に「法案は男女や親子の役割を固定化しかねない」と批判。「人々は家族生活を営む上で保育所や高齢者施設の整備、労働環境改善など多様な生き方や家族関係を支える社会保障政策を国に求めている。法で家族のあり方を定めれば、育児や介護に縛られてきた女性の社会進出や社会保障の充実を阻害しかねない」と語った。

 国会では12年4月、安倍晋三氏を会長とする超党派の「親学推進議員連盟」が発足し、今回の家庭教育支援法案と同趣旨の立法も模索された。「親学」は伝統的な子育てを重んじる内容で高橋史朗・明星大教授(教育学)が提唱したが、伝統的な子育てが発達障害を予防するなどの主張が強い批判を浴びた。
 上野氏らによると親学議連での立法の動きは自民が政権に復帰した12年末以降うやむやになったという。今回の法案について、高橋氏は取材に「自分とは無関係だ」と話した。

■家庭教育支援法案の骨子
・保護者が子に社会との関わりを自覚させ、人格形成の基礎を培い、国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる環境を整備する
・保護者が子育ての意義を理解し、喜びを実感できるようにする
・国と自治体、学校、地域住民などの連携の下、社会全体で取り組む
・文部科学相は家庭教育支援基本方針を定める。自治体は実情に応じて基本的な方針を定めるよう努める
・国と自治体は、家庭教育に関する保護者への学習機会の提供や相談体制の整備に努める



【子育て困る親は無視!? 安倍政権「家庭教育支援法」の仰天中身 女性自身1/10】

野党の反対を押し切り、カジノ解禁を含むIR法案、年金カット法案を強行採決するなど、“数の力”でやりたい放題の安倍政権。今度は1月下旬から始まる通常国会に、自民党が提出する予定の「家庭教育支援法案」(仮称)が物議を醸している。

家庭への支援というと「経済的な理由で進学できない人への支援」「いじめにあっている子どもの家庭にカウンセリング」など、困っている人に手を差し伸べるような法律なのかと思いきや、そうではない。憲法改正へ着々と準備を進めているのが透けて見えると識者は警告する。

どんな内容なのか、立命館大学法学部教授の二宮周平さんに聞いてみた。

「平たく言うと『家庭で親が子に、国や社会で役に立つ人になるための教育をしましょう』『国や自治体はその手助けをします』ということです。今、学校では、いじめや不登校といった問題が起きており、先生たちは、生徒一人一人のケアに手がまわらない状態です。家庭でしっかり子どもを指導してください、という趣旨でとらえると、法律を作るのは意味があると思いがちですが、そうではない。家庭教育に国が介入することを意味します」

また、全日本おばちゃん党代表代行、大阪国際大学グローバルビジネス学部准教授の谷口真由美さんも、こう語る。

「みんなが同じ方向を向きなさいという教育を家庭でも学校でもしようということ。枠からはみ出ないで、従順でお上にも逆らわない、そういう子どもを育てようとしているようなものです」

学校と家庭での意見が割れないようにしようというのが、この法律の狙いと谷口さんは指摘する。

報道によると、素案は、「国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる環境を整備する」「生活のために必要な習慣を身に付けさせる」などと規定するという。そしてこれらが身に付くように、地域住民については「国及び地方公共団体が実施する家庭教育支援に関する施策に協力するように努める」ことを「責務」と位置づけている。なぜ今、家庭教育なのか。話は10年前までさかのぼる。

「’06年、第一次安倍政権のとき、『愛国心の導入』を目標の1つにして、教育基本法を改正し、『家庭教育』の項目を新設しました。そこで、『保護者が子の教育に第一義的責任を有する』と明記しました。『家庭のあるべき姿』を規範として定めようとする、安倍晋三首相の一貫した考えが根底にあるのです」(谷口さん)

親による子育てが大事だと強調し始めたのが「親学」だ。安倍政権は’07年の教育再生会議で、親になろうとする人が、育児について親学を学び、自治体に親学を学ぶ機会を提供することを提案した。ところが、当時、首相補佐官だった山谷えり子元拉致問題担当相が中心になってまとめた「親学マニュアル」がやり玉に挙ったのだ。

そこには、「脳科学では5歳くらいまでに幼児期の原型ができあがる。9歳から14歳ぐらいに人間としての基礎ができる」などと極論を展開したうえで、「赤ちゃんの瞳をのぞきながら子守歌を歌い、できるだけ母乳で育てる」「授乳中はテレビをつけない」「早寝早起き朝ごはん」「親子で感動する機会を大切にしよう。
テレビではなく演劇など生身の芸術を鑑賞しよう」などと、家庭生活の“あるべき姿”が具体的に記述されていたからだ。

このトンデモ提言は、世間から猛反発を食らっただけでなく、内閣からも「人を見下したような訓示」だと厳しい批判が出て、「親学」の2文字は消えた。しかし、それでもめげない自民党は、野党だった’12年春、超党派の議員で「親学推進議員連盟」を発足させ、安倍首相が会長(当時)に就任。家庭教育支援のための法律の制定に再び舵を切った。ここでも「伝統的な子育てで発達障害を予防できる」という内容の勉強会を開いて、発達障害の当事者や支援団体から非難の声があがった。

「何度たたかれても、手を替え品を替え、親学を出してくる。安倍首相の執念を感じます」(谷口さん)

そんな自民党の動きと連動して、改憲運動を展開している保守団体の「日本会議」が、3世代同居の「サザエさん」一家を理想として持ち上げ、憲法24条を改正すべきという主張を強め始めている。

「夫婦は平等であることを保障する24条は、『配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊重と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない』(2項)として、戦前、男女が不平等だった時代への反省を踏まえたうえでできました。今回の家庭教育支援法案は、男女や親子の役割を固定化しかねない。憲法24条改正への布石とも読み取れます」(二宮さん)

憲法で家族の助け合いを義務づけ、法律が標準的な家族像を示すことは、単身者や子どものない人、性的少数者など多様な生き方を否定し、人権を侵害することにつながりかねないと、二宮さんは懸念する。


【家庭教育の「責任」、どう考える? 政府会議が議論 ベネッセ2016/11】

政府の教育再生実行会議は、10月以降の新たなテーマとして、(1)学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実(2)子どもたちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくり……の二つを設定し、議論を始めています。いずれも家庭教育に、大きく関わるものです。どう考えればよいのでしょうか。

■学校の教育力向上のため!?

1つ目のテーマについて、教育再生担当相でもある松野博一文部科学相は「家庭や地域の教育力の低下が指摘されるなか、今日の教育現場は、教師の長時間労働によって支えられている面があり、そうした状況は変えていく必要があります」と説明。教育現場の教育力が低下することのないよう、学校・家庭・地域が担うべき役割を明確にするとともに、家庭・地域の教育力の向上について検討してほしい……としています。

どうやら、家庭教育などの問題を正面から取り上げるというより、多忙化する学校の問題の解決が念頭にあるようです。前任の馳浩文科相は1月、中央教育審議会からの3答申(2015<平成27>年12月)をもとに「『次世代の学校・地域』創生プラン」(通称・馳プラン)を策定し、「チーム学校」や地域との連携・協働で、学校の教育力を向上させる方針を打ち出しました。今回の実行会議での検討も、その延長線上にあるといえそうです。

年内の答申を目指して改訂論議が進められている次期学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。そこには、家庭や地域の理解と協力があってこそ、次代に必要な資質・能力を子どもたちに育むことができる……との考えも含まれています。「馳プラン」も、そうした教育課程を実現させるためのものという位置付けです。

もちろん、実行会議に示された参考資料のように、本来は家庭で行うべき礼儀やマナーなど子どものしつけを、教員に期待する保護者が一定程度いることは、否定できません。

■具体的な支援策も不可欠

確かに、第1次安倍晋三内閣の下で改正された教育基本法(2006<平成18>年12月)では、「保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」として、生活習慣や自立心を身に付けさせ、心身の調和の取れた発達を図ることを、努力義務としています。当時の「教育再生会議」も、家庭が教育の原点であること、保護者が率先して子どもにしつけをすることなどを提言しました。

しかし、法律に家庭の責任を定めたからといって、家庭の教育力が充実するわけはありません。むしろ第1次内閣のころと比べても、家庭を取り巻く状況は、さらに厳しくなっていると言うべきでしょう。とりわけ経済的格差の広がりで、子どもに十分な目を向けられない家庭の増大が指摘されています。家庭教育の充実には、家庭自体の支援という視点も不可欠でしょう。子どもの自己肯定感を育むにも、まずは家庭の中で存在が認められ、心身ともに安定した生活を過ごすことが大前提です。

文科省も強調しているように、日本の学校は、学力だけでなく、心や体の育成も担っているところが、諸外国との違いであり、よさでもあります。責任の押し付け合いではなく、お互いの相乗効果によって、将来の社会で活躍できる子どもを育みたいものです。そのための具体的な手だてを、実行会議には提言してほしいものです。


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