日欧EPA 国内林業に打撃 TPP水準で大量流入の危険
EUは製材・集成材の先進地で、日本の主要輸入先。EUから輸入する農林水産物(酒やたばこを除く)の中で2位。TPPで構造用集成材の関税(3.9%)を即時撤廃となっている。
すでに丸太など関税ゼロになっており、これが山を荒廃させる大きな原因ともなった。2割以下に落ち込んだ自給率がようやく3割台に回復してきた。高知県では、さらにA材だけでなく山をまるごと活用する策としてCLT〔直交集成板〕を今後の林業振興の柱の1つにしている。もしTPPなみの関税撤廃をされれば打撃はおおきい。また、乳製品、養豚などにも大きな影響が出る。
アメリカのTPP離脱が大きく報道されるが、TPP同様の日欧EPA---物品関税,非関税措置,政府調達,サービス,投資,地理的表示(GI)を含む知的財産など極めて広範囲であり、可能な限りの早期の大筋合意をめざして議論が続いている。 早急な反撃が必要。
【日欧EPA 国内林業に打撃必至 TPP水準で大量流入 農業新聞1/17】
【川村外務報道官会見記録 1/18 日EU・EPA交渉の現状について】
【日欧EPA 国内林業に打撃必至 TPP水準で大量流入 農業新聞1/17】日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉に対し、林業関係者の懸念が高まっている。日本はEUから製材・集成材を大量に輸入しており、環太平洋連携協定(TPP)と同水準の関税撤廃とされたら、国産材の需要をさらに圧迫する可能性があるためだ。与党の農林議員も危機感を強める。
■成長産業化阻むEUは製材・集成材の先進地で、日本にとっても主要輸入先だ。輸入額は製材が830億円で、EUから輸入する農林水産物(酒やたばこを除く)の中で2位。住宅の構造用集成材も315億円で4位で、これらはナチュラルチーズを上回る。家具に使われるパーティクルボードも94億円で15位になる。
輸入先の国・地域別シェアでも構造用集成材で86%、パーティクルボードで64%、住宅資材として使われるSPF(トウヒ、松、モミ)製材で49%に及び、いずれも他を引き離す。EUにとっても日本は第3位の輸出先で、非欧州圏では最大の市場となっている。
日本は既に、丸太や一部の製材、木製家具などは関税を撤廃している。加えてTPPでは、構造用集成材の関税(3.9%)を即時撤廃。TPP参加国からほとんど輸入がないためとみられる。パーティクルボード(5、6%)、SPF製材(4.8%)も、セーフガード(緊急輸入制限措置)を設けたが、11~16年かけ関税を撤廃する。
政府は日欧EPAで、TPPと同水準までの自由化は容認する方向で交渉を進める。だが、TPP参加国からは合板、EUからは製材・集成材が中心と、日本が多く輸入する品目が異なる。自民党農林幹部は「TPPの数字をEUにもそのまま適用すれば、大変なことになる」と指摘する。
これらの品目の関税は数%のため、「影響は限定的」(政府筋)という見方もある。だが、利用拡大が期待される直交集成板(CLT)も含む国産材とは厳しい競合関係にあり、「数%でも関税を削減すれば、それだけ国産材の価格も下げざるを得ない。もともと薄い利益がさらに薄くなる」(林業関係者)。
木材は1964年の自由化などにより自給率は2002年に最低の19%にまで低下。だが、最近は国産材利用の機運が高まり、15年に33%まで回復してきた。林業の成長産業化へ動きだしている中で、政府には慎重な対応が求められる。
【川村外務報道官 記者会見1/18】日EU・EPA交渉の現状について,昨年末の岸田外務大臣とマルストローム欧州委員との電話会談において,可能な限り早期の大枠合意を目指すべく,今月速やかに交渉を開始することで一致しています。双方の首席交渉官以下,様々なレベルで電話会議等も活用しながら,間断なく継続的に交渉を行ってきています。その一環として今月17日からブリュッセルで首席交渉官会合を開催しています。分野等につきましては,残された課題として,大枠合意の実施に向けて解決が必要なものとして,主に,物品関税,非関税措置,それから政府調達,サービス,投資,地理的表示,これはGIと略していますが,GIを含む知的財産などがあり,議論を継続しています。今後の閣僚会合等の具体的な予定は決まっていませんが,鋭意,交渉を進めていくことにしています。
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