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温暖化防止と再生可能エネルギー飛躍的普及の課題〔メモ〕

 「議会と自治体」2016.12。温暖化防止と再生可能エネルギー飛躍的普及の課題〔和田武・自然エネルギー市民の会代表、元日本環境学会会長〕、「進む節電、拡大する再生エネルギー」〔党政策委員会 佐藤洋〕からのメモ。

【温暖化防止と再生可能エネルギー飛躍的普及の課題】

 和田武・自然エネルギー市民の会代表、元日本環境学会会長 「議会と自治体」2016.12

1. 地球環境の壊滅的破壊防止は人類の最優先課題
2. 「再生可能エネルギー中心」は世界の流れ

3 ドイツ、デンマークで再エネの飛躍的導入が進む理由

  飛躍的普及へのヒント。単に数値的な増加だけでなく、地域と社会の発展方向が示されている

(1) 再エネ電力は、デンマーク60%、ドイツ30%超と急速に拡大

・発電(2015年 IAEAデータ) デンマーク60%超、ドイツ30%超。日本15%
・90-2015年 デンマーク23.8倍、ドイツ11.5倍。日本1.7倍
・日本の再エネ 一番大きいのはダムに伴う大規模水力発電、約半分 
・ドイツも90年代までは水力中心。今は風力が水力の2倍以上。太陽光、バイオマスもそれぞれ水力上回る
・デンマーク 平らな国、水力使えず風力中心。風力が全電力の4割、次にバイオマス(畜産糞尿)発電

(2)普及飛躍 3つの理由

■積極的普及推進政策

・電力買取制度 ①電力会社の買取義務 ②発電設備所有者が一定の利益がでる買取価格と期間を法律で決める。
→最初はデンマークの風力発電。それに学びドイツで91年「電力供給法」、00年「再生可能エネルギー法」

・現在は、再エネ熱の利用する政策も実施
~ドイツ 暖房の1/3がペレットストーブ 新築住宅はじめ新しい建物では一定割合以上で再エネ熱で賄わなければならない(「再生可能エネルギー熱法」)
~デンマーク 地域暖房(一定の地域ごとに熱供給施設を整備、パイプで熱水を各家庭に供給)、人口の6割利用

■市民・地域主体中心という普及方法

・再エネの担い手が、市民、地域主体(自治体、協同組合、市民会社、中小企業など)
~デンマーク 風力発電設備の8割が住民所有、一割の家庭が風車の所有者(2014年)/すべての風力発電所で、設備容量の20%以上を、地域住民が所有することを法律で義務付け /地域暖房を行う約450の企業もすべて地域住民、自治体の所有・経営

~ドイツ 全国7291万kWの再生エネ発電施設の46%が市民所有、共同組合、市民出資/ 企業等の所有42%の中には、自治体、地域の中小企業、地元木材会社等によるのバイオマス発電も多く含まれる /再生エネの約3分の2が地域主体で担われている

・日本 企業の取り組みが中心/ しばしば、騒音、住環境、景観、自然破壊など問題から住民の反対運動発生
→ デンマーク、ドイツではほとんどない。/市民や地域が設置主体だから、暮らしに悪影響を及ぼす計画は手で来ず、適切な再エネ活用で利益を生み、地域に還元されるので、普及がスムーズに進む /外からきた開発企業にほとんど利益が流れだすやり方でなく、地元に還元される仕組みが必要

■普及促進による社会的好影響

・再エネ普及が経済的利益にとどまらない、多様な形での社会的好影響を実感できる仕組みの整備

①地球と地域の環境保全

・「京都議定書」第一約束期間の排出削減 90年比で、08-12年の5ヵ年平均
~ ドイツ24%削減、デンマーク15%削減/日本 1.4%増加させながら、超過達成した国からの排出量の買取、山林の吸収源整備による削減効果で、8.2%減と「目標達成」

②経済成長を実現

・GDP2000-2015年比 2000年を1として、ドイツ、デンマーク1.5前後。日本1弱
・ドイツが脱原発に踏み切った背景/市民、地域主体の再エネ普及で、減少した原発の発電量を上回る発電を量を供給し、経済にも、環境にも、地域社会にも好影響を及ぼしてきた経験があった
→ ヨーロッパの国々には、実体験から「温暖防止の取り組みは首魁を発展させる」とのプラス評価がある
/日本で主張される「温暖化対策は経済活動にマイナス」「原発は経済成長にかかせない」が実践的に克服されている

(3)デンマーク 市民主体ですすめた風力発電

・電力 再エネ6割/ 1次エネルギーで再エネ28%(15年)
・市民運動の中で/石油危機のもと各地の農業用風力を発電に利用しようとの動きのもとも小型発電用風車を建設。自分たちだけでは使えきれないので電線網につないで買い取ってほしいと要求し、買取制度を実現
・再エネ資源が乏しい国ながら、2050年までに、電力だけでなく一次エネ全体を100%再エネにする計画
~20年風力で電力の5割、30年に石油火力・ボイラー廃止、35年電力と熱100%

(4)ドイツ 再エネ活用で地域が豊かに

(5)市民・地域主体の再エネ普及は、地域と社会を発展させる

4 日本の再エネ導入の現状と課題

(1)豊富なエネルギー資源=導入可能量

・再エネ資源量は、ドイツ、デンマークより日本が豊富
・環境省導入可能量 発電量4兆5千億kW時/ 現在の年間使用量1兆kW時の4倍以上
~可能量はもっとある/営農型太陽光発電など新しい可能性、高性能太陽電池、風車、水車など技術進歩
 〔農地の上、数mに間隔をいてパネルを設置し、両立させるもの/本山町で導入予定〕

(2)市民の強い思いで共同発電始まる

・90年代中ごろから市民共同発電所、地域共同発電所が展開/94年宮崎県で第1号、FIT前400ヵ所、現在1000

(3)日本のFITスタートと課題

①東日本大震災・福島原発事故をうけ、ようやく12年7月より、FITがスタート

・適切な買取価格/太陽光発電の買取価格の低下~普及とともにパネル価格の低下/買取価格はIRR(内部収益率)を一定にする前提であるために下落

・急速な普及/認定量8739万kW、FIT以前の累積導入量2060万kWの4.2倍/実際の導入量も3047万kW
~太陽光・認定7989万kW、導入2912万kW。非住宅用が著しく増加/ 以外は導入量134万kWと伸び悩み

②運用上の課題

・企業主導、利潤拡大に走りがちで、乱開発など地域社会から批判を受ける事例の発生
 → その防止には、発電規模別の買取価格を設定。市民、地域主体が取り組みやすい小規模発電中心の太陽光発電を増加させるべき/ 環境アセスや計画段階ら住民の意見を反映される仕組みの構築
(デンマーク 一定割合の住民所有を義務づけたり、地域貢献を求める制度)

・木質バイオマス発電/規模に関係なく32円の買取価格を決定。利益を見込める大型発電所ばかりの申請
・→当初から、その危惧を指摘 /15年から2000kW未満の小規模発電に対し価格40円が設定。申請が増加
→ 効率のよいコジェネを増加させるために、さらに細分化した規模別設定が必要

(4)再エネ普及抑制と原発回帰の動き

 以上のような制度運用上の課題改善とともに、最大の問題は、原発回帰、強力な再エネ抑制の動き

①接続制限問題
・14年9月九電 10kW以上の太陽光などの系統連系への接続を認めない事態が発生
「理由」は“これ以上の再エネ導入は、電力システムが不安定となって停電をおこしたりしかねない”

~その後、北海道、東北、四国、沖縄電力で同様の対応

・15年2月FIT法運用見直し/太陽光、風力の買い取る電力量の上限設定(接続可能量)
→ 新規設置に大ブレーキ、人員削減など事業縮小を余儀なくされる事例も

②背景に、原発最優先の「エネルギー基本計画」「長期エネルギー需給見通し」

「基本計画」(14年4月閣議決定)と、2030年の電力構成を示した「需給見通し」(15年7月)

・原発、石炭火力、水力などを「ベースロード電源」と明記/優先的に活用する電源と位置づける
~エネ庁「発電コストが低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼動できる電源」
・2030年 原発の発電量20-22%(再稼働させ40年以上運転、また新増設が必要な数字)
     再エネとその熱利用が不十分という問題もある

(5)再エネ普及抑制策の転換へ、なにが必要か

①当面の対策(揚水発電活用、融通拡大)、根本対策としての送電網整備

・再エネの接続拒否、出力抑制問題 ~ 揚水発電の活用と電力会社間の融通の拡大で十分対応できる/再エネ50%とか、それ以上に普及には、送電網の整備が必要。原発推進予算などを回し計画的整備が必要

・再エネが、大規模水力を除くと7%台(15年度)という現状で「受け入れ不可能」という状況ではない
→揚水発電2700万kW存在/100万kWの原発27基分~揚水発電は出力調整できない原発の夜半の発電を使ってダムに水を汲み揚げた「蓄電池」
→再エネが過剰となる場合には、ここにエネルギーを貯蔵すればよい
・地域間連系で活用する~従来は自社管内での完結させることが基本/それが電力自由化のもと変わりつつある


②“再エネ最優先”システムへの転換

・天候等を踏まえ需要予測、再エネ発電予測を細かくおこなうことで対応することが可能
→ スペインでは、国内調整を強化。電力の輸出入をしていない/ 再エネ比率40%。国全体で送電を一体管理して需給調整。独自に開発したシステムで再エネの発電予測を正確に行い。火力発電を調整して対応

・再エネ導入に積極的に国/再エネ最優先で、火力はそれを補うものと位置づけ。/再エネが需要を上回りそうなときには抑制措置もあるが、まず火力をとめるのは当然。燃料代を払い、CO2を増やす選択はない
(メモ者 小規模な単位で再エネのネットワークを形成。自給率100%の地域では過剰分は「燃料電池」(水素)として蓄電)

(6)主権者として、消費者として、生産者として、再エネ推進を

・ドイツ 15年間で、再エネ活用を5倍化/ 日本も可能。「需給見通し」で示された原発分も含め可能
~ そのために、主権者としての一定の役割発揮が求められる/主権者、消費者、生産者として国の政策を変えていくことができる

①再生エネの生産者に

・自然エネルギー市民の会・福島県農民連で、太陽光発電 50kWと100kWを開設〔13年9月〕
・郡山市 市民共同210kW、農民連300kWの太陽光発電開設〔15年4月〕
~ 全国から10万円、20万円の市民出資で設置したもの
・市民・地域共同発電所全国フォーラムを毎年のように開催

・電力小売自由化のもと、168万世帯(3.3%、8月末)が新電力 /生協が立ち上げた新電力など再エネを扱うことに努力している新電力会社も少なくない
→ 現状では、再エネ利用の願いに答える再エネ電力量がまだない/よって再エネ発電への参加が必要/そうしてこそ、原発ゼロ・地球温暖化防止の国際的責務を果たせることができる。

②自治体で促進条例の制定も

④経済成長に寄与する再生エネ

・IRENA(国際再生可能エネルギー機関)報告~2030年に再エネを倍増した場合の各国GDPの分析
→日本の伸びは世界でトップクラス  再エネ電力の割合を2倍にした場合 3.6%の伸び

・2025年に、陸上風力の発電価格 1kW時 約5円、太陽光発電 約6円になると予測
/原発、石炭火力より低く、再エネが有利な時代に入ってきている。
・いまこそ、再えね中心の社会へ方向転換するとき



【進む節電、拡大する再生エネルギー】
 
 党政策委員会 佐藤洋

・福島原発事故以降、初の冬季の節電要請見送り(政府、10月28日)
・原発の発電量の比率 12年度1.5%、13年度0.9、14年度0、15年度0.9/13年度以降、太陽光発電以下

1.減少する発電量、節電の効果

・10年度 1兆1569億kW時―― 15年度1兆241億kW時/1328億kW時、11.5%減少
・節電電力量~ 「電力需給検証報告書」 電力広域的運営推進機関 10月18日
  16年7-8月 気候影響・経済的影響などをのぞいた節電率 前年比-7.8%(15年も-7.1%)/「節電が使用電力量の削減に相当貢献した」

2「最大電力」も減少傾向

・電力需要 夏場午後2-3時、冬場朝・夕/関東以西は夏場、北海道は冬場がピーク
・「瞬間最大電力」をカバーできるよう設備能力を整備するのが、電力会社の対応
→ ピークが高いほど、あまり利用しなくても発電設備を多く準備 
(メモ者 総括原価方式で、資産と一定の比率での利益が確保されるため、課題な設備投資の進められた)

・最大電力の推移/ 07年史上最大の発電量の年。この時のピーク1億7928万kW
→ 15年度、発電量、ピークとも14.3%減少 /最大電力1億5367万kW

3 大手電力会社の販売電力量の減少

・原発のない沖縄電力以外軒並み減少/ 需要電力量の07-15年度比
北海道▲12.1%、東北▲10.7、東京▲16.9、中部▲11.3、北陸▲6.1、関西▲15.2、中国▲10.8、四国▲25.9、九州▲10.1、沖縄2.1、全国▲13.9

→ 節電(省力化)の努力、企業の自家発電、個人の自家発電・自家消費

・電力小売完全自由化(総括原価方式の廃止)で、大手電力会社は、大きな転換点に直面
 ~ 「原発由来の電力はつかいたくない」「温暖化を促進する火力発電は避けたい」など国民の要求と、大手電力会社の経営は大きな矛盾に直面

4 原発停止を、節電と再エネ電力増がカバー

・原発発電量  10年度2882億kW時 15年度94億kW時/ 2788億kW時の減少
・再エネ発電量 15年度1339億kW時/ 10年比、393億kW時
・節電効果=原発の基数に置き換えると
100万kW原発 年間フル稼働87億6千万kW時/ 実際の設備利用率(01-10年度)67.8%
7割とすると、原発1基の年間発電量61億kW時
→10-15年度比の減少した年間発電量1328億kW時/ 100万kWの原発、約22基分
・10-15年度比で増加した再エネ発電量 393億kW/原発 約6基分

・原発の発電量減少2788億kW時のうち、節電、再エネ増で1721億kW時、約6割をカバー

・/WWFジャパン報告/九電館内 今年5月4日午後1時 太陽光と風力で電力の66%を賄い、日中の太陽光発電を使って揚水ダムに水をあげ、朝夕に発電する調整をおこなった。5月全体でも再エネが供給電力量の2割を超える~もはや「天気まかせのあてにならない電源」という思い込みから「予測可能な変動電源」として位置づけるべき時が来た、と強調/また、再エネ電力の供給量が、30%までなら大手電力管内で、地域間連系による運用を行えば50%まで対応可能。

・今後の省エネ、再エネ推進で、残る42基の原発廃炉、効率の悪い火力発電のなくして温暖化対策をすすめていくことに道が開ける。

5 安倍政権の新たな国民負担の押し付け

・福島原発の賠償費用、40年以前に廃炉をきめた原発の廃炉費用を、託送料金に転嫁する方針
(加害者である東電が、被害者の福島県民にも負担をもとめるもの)
・現在も、福島事故の賠償のために、東電だけでなく、他の電力会社からも「負担金」として1千億円超の負担を国民におしつけ

→“原発の電力は「安い」”と強弁して再稼働を推進しながら、
①「賠償や廃炉費用が巨額になる」と、東電をはじめ原発を持つ電力会社の負担を救済しようとするもの
②電気事業法改悪/原発以外の電力が安くなって原発の電力が売れなくなるのを恐れ、電力の市場価格が原発のコストを含む電力価格を下回った場合に、この差を補填する仕組みの導入
~「原発は安い」の宣伝が、完全に破綻

・「もんじゅ」廃炉の検討も、見通しのなくも巨額の費用も「核燃サイクル維持」「新施設」

☆原発再稼働、核燃サイクル推進の暴走政治をやめさせ、原発世論、持続可能なエネルギーへの転換が必要
(メモ者 世界銀行も、原発への投資はしないと決定)

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