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子どもの貧困に抗する政策づくりのために―浅井 春夫

 浅井 春夫・立教大学教授〔住民と自治2016年8月号〕の論考。全文が、自治体問題研究所のHPにアップ〔2016年8月15日〕されている。
低所得者対策で通常ふる劣等処遇ではなく、えぐられた発達機会を回復する積極的な政策が必要…「子どもの貧困」対策として、同氏が提起してきた内容が、国、自治体の計画づくりに、いよいよ重要となっている。

【子どもの貧困に抗する政策づくりのために―子ども・若者たちを見捨てない社会への転換を―】

【子どもの貧困に抗する政策づくりのために―子ども・若者たちを見捨てない社会への転換を―】

2016年8月15日  浅井 春夫・立教大学教授〔住民と自治2016年8月号〕

「なくそう!子どもの貧困」がスローガンとなりつつあり、子どもの貧困解決のための政策形成が課題として提起されており、そのための本気度が国・自治体、関係団体、国民に問われています。

◆「子どもの貧困」問題への社会的注目と第2次ブーム

2008年は「子どもの貧困元年」といわれました。それはわが国における子どもの貧困の実態がはじまったということではなく、①子どもたちの暮らしに現れた貧困問題が、社会問題として正面から取り上げられ、②研究書の出版やマスコミにおいても多くの特集が組まれることによって、③緊急に解決すべき政策問題として研究面からも位置づける必要性について、あらためて社会的に認識されるようになった年といえます。

書籍や雑誌の特集などによって子どもの貧困率に関する国際的な比較が紹介されるなかで、わが国の子どもの貧困率とりわけ母子世帯における貧困率の高さに注目が集まりました。そして子どもの貧困率が所得の再分配政策(税の控除と社会保障)によって改善されないばかりか、深刻化している実態は世界で唯一の国となっていました。この時期を子どもの貧困の第1次ブームといってもいいでしょう。あえてブームというのは、「一時的にもてはやされ、世間に広まること」「ある物が一時的に盛んになること」という意味で、本格的にこの社会が解決すべき課題としての位置づけがされてこなかったということです。

それでも子どもの貧困の深刻化と広がりはさまざまな現実を通して、“見える問題”となってきました。そうした動きのなかで、2013年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(以下、子どもの貧困対策推進法)が成立し、翌14年8月には「子供の貧困対策に関する大綱」(以下、大綱)が制定されました。しかし大綱には子どもの貧困をめぐる現状が数値で示されていますが、改善のための数値目標がいっさい明示されていません。その点でも政府の子どもの貧困に向かう姿勢は本気とは言えないのが現実です。

現在、子どもの貧困への社会的注目が高まり第2次ブームを迎えている感があります。いま問われているのは、ブームに終わらせないためには何が必要で、政府および地方行政と各団体さらに社会・コミュニティが何をすることが求められているのかを明らかにすることです。

第1次ブームの問題を踏まえて考えると、①量的質的の両面からの社会調査などを通して子どもの貧困についてリアリティをもって把握することが求められ、②子どもの現実にアプローチするための具体的な実践と地域での取り組みを組織することであり、③子どもの貧困の改善・解決のための政策形成が行政サイドに求められています。
改善課題と目標数値を明示したうえで、政策的にいかに改善・解決していくのかを社会の共有課題としていくかが問われているのです。そのうえでそれぞれのコミュニティの場で、職場で、所属先で、経験と得意なことを活かしてどう関わっていくのかを考えていきたいものです。

1 子どもの貧困を生み出す社会構造

図1にみるように、土台の部分である①生活の不安定化と生活不安の増加、②所得格差・貧困のすそ野は確実に悪化・拡大していることは明らかです。そのうえに③ひとり親世帯、子育て中の母子世帯の増加が加わります。ひとり親世帯(母子世帯123・8万世帯で母子のみで構成される世帯は約76万世帯、父子世帯22・3万世帯で父子のみで構成される世帯は約9万世帯)の貧困率が54・6%となっています。

これらの下層の広がりのもとで、子どもの虐待に象徴的に具体化される④家族の養育機能障害が侵食している現実があります。その結果、⑤児童相談所への相談とりわけ養護相談が増えている現状があります。これらの上に図1の⑥、⑦の現実があるのです。

子どもの貧困が構造的、政策的に生成されていることをここでは確認をしておくことにします。

図1 公立学校の年度別廃校発生数
Figure01

(資料)浅井春夫作成
(参考資料)
・厚生労働省編『平成27年度版厚生労働白書』日経印刷、2015年
・厚生労働省 国民生活基礎調査、労働力調査 ほか
・内閣府編『少子化社会対策白書〈平成27年版〉』日経印刷、2015年
・浅井春夫『戦争をする国・しない国』 新日本出版社、158頁

2 子どもの貧困対策を考える5つの視点

子どもの貧困を考える視点として、5つの視点をあげておきます。子どもの貧困の全体像は実に多様な顔をしており、貧困を捉(とら)える角度はさまざまです。したがってどのような問題状況を解決・改善・緩和していくのかという観点から、対策を考える視点が問われることになります。

第1の視点は、総合的に捉えることと優先順位を明確にして取り組むことがあげられます。貧困と学力の関係にみられるように、貧困はそれぞれの要素が影響しあい連結し、相互に規定しあっている現実があります。その点では子どもの貧困の全体像を把握することを通して、優先して解決すべき課題を設定する必要があります。
子どもの貧困問題は、子育て世帯の貧困のもとで暮らす子どもの問題です。そうであれば、世帯の生活の安定を図ることは不可欠であり、保護者の就労状況と家計収入の改善が基本的課題となることは当然です。アベノミクスで明らかになっていることは、「トリクルダウン」理論、つまり富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)とする経済理論は完全に破たんしているということです。そうであれば所得の再分配政策を機能させることを重点政策として位置づける必要があります。

第2の視点として、発達段階やジェンダーの視点に立ってライフサイクルのどの時期に何をすべきかを問う視点が求められます。子どもの貧困の解決のための施策を、個人史のどの段階で子どものどのような課題に重点的な支援をするのかを検討する視点が問われます。とりわけ母子世帯の貧困の深刻さに対する視点は、子どもの貧困を考えるうえで不可欠の視点となっています。

第3として、家族史の視点に立って貧困を捉える視点をあげておきます。実態調査に基づいても「15歳時の暮らし向きが悪い場合に、学歴達成が低い傾向にあることは、貧困の世代間連鎖という点で注目される。また、15歳時の家族構造によっても、貧困リスクや学歴達成に差がみられるということは、家族が生活保障や教育において重要な役割を果たしていることを示唆している」(大石亜希子「子どもの貧困の動向とその帰結」『季刊・社会保障研究』第43巻第1号、2007年6月、63頁)という指摘は共有されているといえます。その視点からいえば、早い段階での家族支援と子どもの貧困対策が求められているのです。

第4に、緊急対応が求められる課題と継続的対応が求められる課題とを踏まえた視点を意識することが必要です。子どもの貧困においても医療保障、進学保障などは緊急即応の対応が求められます。基礎的な生活保障の経済的支援や学習権の保障、保育の保障などは継続的な貧困対策として位置づけられることが必要です。

第1から第4までの視点は、第5の貧困の世代間連鎖・再生産を断ち切ることに集約され焦点があてられる必要があります。これらの5つの視点を踏まえて、子どもの貧困に対する戦略を検討していくことが大切です。

3 積極的財政投入こそ課題

OECD諸国の貧困状況をみても所得の再分配前(税の控除と社会保障の対応前)の貧困率より、再分配後は2分の1から3分の1まで低下しています。所得の再分配政策は貧困・格差を緩和・修正することによって所得の平等政策を具体化するものですが、日本はその点で所得の再分配政策がほとんど機能していない国となっています。
別の角度からの資料を紹介しますと、公益財団法人日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが共同で、「子どもの貧困の放置による経済的影響」を推計しています(『子どもの貧困に関する社会的損失推計レポート』2015年12月、http://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2015/71.html)。

そこで示された内容の第1が子どもの貧困対策の金額としての大きさについてです。本推計から、子どもの貧困を放置することによって所得総額が2・9兆円減少し、税・社会保障の純負担額でも1・1兆円の社会的損失につながることが示されています。子どもの貧困対策は、経済的・投資的な観点から捉えて十分に大きな効果が期待される施策であると考えられることをシンクタンクが企業サイドから報告しています。

第2が子どもの貧困対策の就業形態への影響の大きさです。本推計結果からは、現状シナリオに対して改善シナリオでは正社員数が1割程度増加し、無業者数は1割程度減少することが見込まれており、子どもの貧困対策は労働力の確保の点からも大きな効果をもたらすと指摘されています。

大綱では、「施策の推進体制等」として「民間資金を活用した支援など、官公民の連携・協働プロジェクトを推進すること」が謳(うた)われ、「国民の幅広い理解と協力のもとに子供の貧困対策を国民運動として展開する」としています。その方針を受けて2015年4月には政府、自治体、経済界、労働界、民間支援団体などからなる「子供の未来応援国民運動」(以下、国民運動)が結成され、2015年10月から本格始動しました。

国民運動は、①子供の未来応援国民運動ホームページの開設、②子供の未来応援基金の創設の二つの事業を柱に展開されています。②の「基金は、政府の責任を民間による支援に委ねようとするものではなく、政府の施策(公助)の充実に加え」「民間同士の応援ネットワーク(共助)の構築・充実をめざすものである」と述べられています。「行政による支援だけでは一人ひとりに寄り添うきめ細かな支援が難しかったり、必要な支援が届かなかったりすることもあるため、行政だけではなく、官公民による応援ネットワークを築き、さまざまな主体が子供たちを支える環境を整えることが重要である」(内閣府子供の貧困対策室「子供の貧困対策 夢を、貧困につぶさせない」『月刊福祉』2016年6月号、44~45頁)としています。

しかし、こうした「公助・共助・自助」システムが結局のところ、公助は最小限の財政支出に抑え、公の役割は共助のコーディネーター機能に収斂(しゅう れん)されているのが日本政府のこれまでの施策の基本的内容でした。

問題は、国民とりわけ貧困層が自助機能を果たすこともできない状況に陥っているのは新自由主義を集約化した“アベノミクス”の結果でもあるのです。その点の総括も反省もないなかで、子どもの貧困問題への弥縫策(び ほう さく)を謳って、民間の資金による施策を展開しても解決への道を歩むことはできません。積極的財政投入への姿勢が欠如していては、日本の子どもたちの夢はつぶされ続けていくことは明白です。

4 子どもの貧困解決への政策の検討

1)子どもの貧困戦略へのアプローチ

対貧困戦略のためのいくつかのアプローチ(ポール・スピッカー著、圷洋一監訳『貧困の概念─理解と応答のために』生活書院、2008年、276~279頁)を参考に、子どもの貧困対策に落とし込んで検討してみましょう。

第1に、経済発展(経済開発)をあげることができます。それはけっして「トリクルダウン」理論による貧困へのアプローチではなく、完全失業率や非正規雇用者率の改善、家計消費財源の拡大などによって経済的生活基盤を安定させることで子どもの貧困対策の基礎となります。大企業を中心にした内部留保額(2015年9月現在)は356・4兆円(従業員1人当たりに割り振れば887万円)となっており、暮らしの観点からいえば、アベノミクスは明らかに経済的な発展を阻害しています。家計収入を豊かにする経済の発展こそが重要な観点であり、アベノミクスの転換こそが求められています。

第2に、税の控除と社会保障からのアプローチをあげることができます。後者は現金給付と現物・サービス給付の組み合わせによって、所得の再分配を推進することで所得の底上げと平等化を具体化することができるのです。いまの政策には現金給付と税の控除が決定的に欠如しているのです。

第3に、政治的なアプローチがあります。個人の人権保障や社会権などの保障を政治の責任ですすめることが求められます。民主的な政治は人間・子どもを大切にする社会づくりという点に収斂されることになるのです。その点でも安倍政治は失格です。

第4に、自治体レベルでの政策づくりと条例化による法的規準化は重要なアプローチとなります。政府の子どもの貧困対策推進法および同大綱では、数値目標も義務規定も不充分なままですので、この点を明記した条例を制定することは大きな意義があります。

第5として、子どもの貧困解決への推進体制を構築していくことも着手すべき課題です。自治体において「子どもの貧困対策部局」の開設、首長を責任者とする同本部の設置などが検討されるべきです。そうした部局の役割のひとつとして、子どもの貧困の「早期発見」を位置づけることがあります。縦割り行政の弊害を改善し、総合的に貧困対策を具体化するための機構改革が国・自治体に求められています。

2)子どもの貧困への処方箋

①健康と食生活の貧困対策

貧困世帯の子どもで、西日本の小中学生6024人を対象にした調査(阿部彩ほか「大阪子ども調査」結果の概要、2014年2月)で、受診をするに際して、医療機関に連れて行ったほうがいいと思いながら子どもを受診させなかったと答えた保護者は20%となっており、受診しなかった子どもは1213人(小5で643人、中2では570人)を数えています。そのうち医療費の自己負担分を払えないケースは128人を数えています。公的医療保険に加入していないので医療費が払えなかったケースも11人となっています。

ヨーロッパにおいては、相対的貧困率に加えて、物質的剥奪指標を公式な貧困指標として設定しています。子どもの剥奪指標(18項目からなる)のうち、「食」に関する項目は2項目で「新鮮なフルーツか野菜を毎日食べること」「肉、鶏肉、魚を毎日食べること」があげられています。健康と食生活の貧困は、経済的な貧困指標だけでは説明できず、独自の観点で捉えることが必要になっています。

具体的な政策として、①無償化を基本にした18歳未満の子ども医療保険制度の確立、②こども食堂の制度的支援による拡充、③登録制による学校での朝食サービスの提供、④食料に限定したクーポン券の給付、⑤フードバンクによる食料などの提供、などは即効性が期待できる制度です。

②経済的な貧困対策

現金給付は子どもの貧困の改善のために不可欠の対策となっています。「各種の家計所得指標の実質年間成長率」(年率換算の成長率の調査年:1995年~2009年)に関する国際比較をみると、OECD32カ国のうち、日本(調査年:1996年~2008年)は、最下位となっており、なおかつ家計の総所得はマイナスとなっている唯一の国です。大半の国々では家計調整純可処分所得が所得の再分配政策によって稼働所得を上回っている状況があり、所得の再分配政策が機能しているといえます。日本においてはほとんど機能していないのが実際です。

「家計調整純可処分所得のGDPに占める割合」(33カ国)については、下位から9番目となっています。1995年時点では75%を占めていましたが、2010年では65%と10%低下しています。ちなみにアメリカは80%ラインから60%へと約20%も落としています。フランスは90%、ロシアは88%、イギリスも80%を超えています。この結果が意味することは、国の経済実績(GDP)と世帯の家計所得は必ずしも連動していないということです。

こうした世帯の状況を「平成26年国民生活基礎調査」で確認しますと、児童のいる世帯の平均所得は696・3万円となっていますが、そのうちの「稼働所得」の割合は91・0%となっています。「年金以外の社会保障給付金」の割合は2・5%となっており、児童手当などの経済的支援のレベルはこの程度の内容にすぎません。

母子世帯においては、年間総所得は250・1万円(平成24年国民生活基礎調査)で、「年金以外の社会保障給付金」の割合は19・7%というレベルです。児童のいる世帯の平均所得の36%と、約3分の1という状況のもとでの社会保障による子育て応援率20%にすぎないのです。

こうした状況を踏まえて、経済的な子どもの貧困対策を検討していくことが必要です。

具体的には、①児童扶養手当の増額(貧困脱出に必要な金額の算出)、②児童手当の拡充、③条例に基づいた就学援助制度の拡充(生活保護水準の1・5倍を対象に)、④医療費の窓口支払いゼロ、⑤給食費の無償化、⑥修学旅行・研修旅行などの無償化、⑦教材・教具などの貸与制度(学校管理)の拡充などが積極的に検討されるべきではないでしょうか。

こうした施策を具体化することで、学校教育=教育権保障には基本的にお金がかからないことを実現することが重要です。


③学習権・進学保障対策

貧困対策のもっとも重要なポイントは「貧困の世代間連鎖・継承」にストップをかけることができるかどうかです。その点で学習権・進学保障はもっとも重要な課題となっており、現在、優先されて取り組まれている施策であるといえます。

NPO法人さいたまユースサポートネットによる「生活困窮者自立支援法に基づく学習支援事業」に関するアンケート調査(2015年9月~10月実施、福祉事務所を設置する自治体479団体と学習支援事業受託団体98団体の合計577団体を対象)によれば、「すでに実施している」32・2%、「実施予定」20・3%、「実施予定なし」45・3%という現状です。実施していない自治体の実施しない理由では、「実施するための人員や団体が確保できないから」64・5%、続いて「実施するための財源が確保できないから」(同支援法での費用負担は、国・自治体で2分の1ずつ)が45・5%となっています。この2つが基本的な条件整備として必要であることはいうまでもありません。

同時に、地域における学習支援事業をどのような課題を持った子どもと保護者に向けて行うのかの基本的な合意と目標ができていないことも明らかになっています。この点についてはそれぞれの地域の現実と特徴を踏まえて検討し対応すべきです。

ただ、今後の基本的対応として、学校教育の補助的機能をNPO法人や社会福祉協議会などに委託することには限界があります。学校教育のなかで、どこまで低学力、学習意欲の低い児童・生徒への支援体制を組めるかという観点から、学校改革を検討することが子どもの貧困問題から照射されています。教育・学習支援の本丸の改革論議を連結して検討することが必要なのではないでしょうか。

具体的な政策として、①学習支援のためのメンター(指導・助言)制度の充実、②学校教育の実質的無償化、③学習塾の費用援助、希望者の入塾の保障、④不登校の子どもたちへの教育保障も含めた多様な教育権保障、⑤大学・専門学校などへの進学を保障するために給付型奨学金制度、既卒者の奨学金返済の減免制度などの確立─貸与型は基本的に廃止の方向へ、⑥国家予算での対応による大学などの入学金・授業料の低額化の具体化などをあげておきます。

④労働生活への接続対策

政府が音頭をとり、民間企業などが協力して、寄付(5月末現在、応援基金の寄付額は2億250万円)を運営資金とした「子供の未来応援国民運動」では、「貧困家庭を救う4つの支援」(http://www.kodomohinkon.go.jp/policy/)として、①教育支援、②経済支援、③生活支援、④就労支援をあげています。

子どもの貧困対策の柱は、親の就労支援が必要なことはいうまでもありませんが、ひとり親世帯では54・3%の貧困率ですが、ふたり親世帯でも7・3%を超える貧困率となっています(労働政策研究・研修機構調査。調査時期は2014年11月~12月)。この調査でもいえることは、ふたり親世帯でも貧困家庭に組み込まれる状況があるということであり、問題は低賃金構造と就労形態が問われているのです。就労支援であっても非正規雇用では貧困層からは脱出できないのが実際です。その点では新自由主義的労働政策の弊害が顕著になっているのが現状です。

さまざまな就労支援がありますが、働くことが子育ての困難や生活困難を増幅する現実も見なければなりません。労働政策自体が貧困化を進行させていることを直視することが必要です。

貧困の世代間連鎖の観点からみれば、青年期における労働生活への連結と社会生活への軟着陸が問われています。高校卒業、大学入学までではなく、大学の卒業と労働生活への軟着陸への支援までを視野に対策が立てられる必要があります。

具体的には、①子ども・若者の貧困対策枠を設けた就労支援センター(コーナー)の開設─就労支援専門員(正規雇用)の配置─、②生活保護家庭・ひとり親世帯への就労支援(正規就労の保障を前提に)、③失業・不適応退職者のための就労のための再訓練センターの開設、④児童養護施設の卒園者を対象とした就学型自立援助ホームの新設などをあげておきます。

◆まとめにかえて─政府・自治体の本気度を問う4つの課題─

貧困な政策では子どもの貧困は改善をしないことは、これまでの施策で子どもの貧困率が悪化していることをみても明らかです。この問題への本気度を問う4つの課題をあげておきますと、

① 乳幼児期の人生はじめの貧困対策を具体化するかどうか
② 貧困改善のための期限を区切った数値目標の設定をするかどうか
③ 本格的に政策形成をすすめるための財政投入をするかどうか
④ ①~③を本気ですすめる担当部局の設置
などがあります。

①は子どもの貧困対策のエアポケットになっているのが乳幼児期の貧困対策です。それがもっとも効果的な施策になることは諸外国の政策と研究でも明らかにされているのですが、具体化には保育所の拡充が必然的に求められることになります。公的責任で子どもの貧困対策を本気で考えていないことは、こうしたスタンスからもいわざるをえません。

②子どもの貧困対策では、とくに目標値を定めない取り組みなどありえないことなのです。

③既存の政策だけではなく、必要な新規政策を具体化するうえで重点的な思いきった予算化が必要です。

子どもを見捨てない国への脱皮をし、第2次子どもの貧困ブームをブームのままで終わらせないためには、これらの課題へ真摯に向かうかどうかが国・自治体、諸団体、企業、市民に問われているのです。

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