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「滞納はSOS」救済の手~自治体の姿勢が問われる

 機械的な滞納処分があとをたたない〔国保では、収納率をあげると都道府県経由の2号交付金が増額される仕組みとなっている〕。6月県議会で「滞納問題」について「SOSのサインとして受け止め、福祉的対応をすることが重要だ」と論戦した。
 滋賀県野洲市の報道〔朝日新聞2015/8/31〕がある。「市民生活相談課では、9人の職員がさまざまな境遇の市民に対応」。担当者は、「困窮者をどう助けるかという発想が必要だ。徴税部門と福祉部門が早くから連携できれば、一時的には滞納が増えても、生活保護費が抑えられるなど行政全体のコストが減らせるはずだ」とのこと。
 厚労省の資料をみると、「市民生活相談課」は、市職員と4名と生活困窮者支援事業と消費者行政促進事業での嘱託3名、家計相談事業〔社協委託〕、ハローワークと一体的実施を組み合わせた「市民生活相談課」で対応。
市全体には、各部署を網羅した市民相談総合推進委員会〔多重債務、自殺防止、人権の3つの対策連絡部会〕が設置されている。
 現在は、市に生活困窮者自立支援センターの設置が義務づけられ〔町村部は県が実施主体だが、1次窓口の機能が求められている〕、どこでもやる気があれば対応可能だ。
【(にっぽんの負担)税の現場から 突然の「差押」、預金がゼロ 朝日2015/8/31】
【生活困窮者自立促進支援モデル事業について 野洲市市民生活相談課 厚労省 26.4.24・25 会議資料】

 高知市の取り組みも教訓的
【お役所仕事を抜け出した高知市の生活困窮者自立支援 ダイヤモンド2015/1/15】

差し押さえには厳格なルールがある。
【国保で激増する差し押さえ・滞納処分 高知県2016/8】

【(にっぽんの負担)税の現場から 突然の「差押」、預金がゼロ 朝日2015/8/31】

■「滞納はSOS」救済の手
 「ようこそ滞納いただきました」。よくこう話す首長がいる。琵琶湖の南に位置する滋賀県野洲(やす)市(人口約5万人)の山仲善彰市長だ。
 「税金を払いたくても払えない人こそ、行政が手を差しのべるべき人。滞納は貴重なSOSだ」。市長は真意をこう説明する。
 滞納者は市税(個人住民税)や固定資産税だけでなく、国民健康保険税や介護保険料なども納めていないことが多い。野洲市では、滞納者とやり取りするそれぞれの課が、その市民の生活が行き詰まっていると感じたら、市民生活相談課に案内するようにしている。

 市役所の正面入り口近くにある市民生活相談課では、9人の職員がさまざまな境遇の市民に対応する。
 5年前、この課にやってきた元タクシー運転手の男性(72)は「もう死にたい」と何度も繰り返した。「死んでる場合じゃない。やれることはあります」と職員が個室に招き入れ、詳しく話を聞いた。
 公営住宅に一人暮らしだった男性は、知人の保証人となって200万円を超す借金を抱えた。自身の年金を担保に融資を受けて全額を返したものの、月額16万円近くあった年金の半額は、融資の返済が終わるまで天引きされた。約70万円の別の借金もあり、生活が行き詰まった。介護保険料や水道代、月約2万円の家賃も払えなくなり、公営住宅から退去を迫られていた。
 「どこから手を付けたらいいか、わからなかった」と男性は当時を振り返る。

 相談を受けた職員は、年金が全額もらえるまで、すべての滞納分を徴収しないことを市の各課に提案した。男性には生活費を管理するサービスを受けるよう社会福祉協議会の支援員から助言し、貸金業者と交渉する司法書士も紹介した。
 司法書士が調べると消費者金融に約400万円の過払い金があるとわかった。相談から約1年後、過払い金を滞納分の支払いにあて、男性は借金を完済できた。その後、納税も再開できた。
 野洲市の市税の徴収率は滋賀県内の自治体では高い方だが、納税推進課の長尾健治課長は「徴収率ありきで困っている人の生活を壊してまで取り立てたりはしない」と話す。
 市民生活相談課の生水(しょうず)裕美課長補佐も「困窮者をどう助けるかという発想が必要だ。徴税部門と福祉部門が早くから連携できれば、一時的には滞納が増えても、生活保護費が抑えられるなど行政全体のコストが減らせるはずだ」という。(佐藤秀男)

■<解説>自治体の姿勢に差
 地方税をどう徴収し、滞納をどう扱うか。自治体の「徴税姿勢」はずいぶんと違う。政令指定市の人口あたりの差し押さえ件数を比べてみても、最多の岡山市と最少の相模原市では7倍以上の開きがある=表。
 では取り立てを厳しくすれば全てうまく運ぶのか。14年度の徴収率が99・1%、政令指定市で3年連続トップになった名古屋市は、人口あたり差し押さえ件数が横浜市の3分の2にとどまる。大企業の本社が多い名古屋市は企業から効率的に徴税できる利点があるとはいえ、横浜市も含めて多くの自治体が年1回まとめて送る税の納付書を、年4回の期限ごとに送っているという。
 野洲市の13年度の徴収率は96・9%で、全市町村平均の94・9%を上回っている。
 12年度末の地方税の滞納残高は約1・7兆円。リーマン・ショック後、徴収率は全国的に改善しており、そのペースは横浜市と他の大都市、全市町村とであまり変わらない=グラフ。
 短期的な徴収実績を重視するか、長い目でみた住民や企業の「税を担う力」を重視するかでも徴収の姿勢は変わってくる。首都大学東京の岡部卓教授は「過酷な税の徴収は滞納者の事業や生活、健康に大きなダメージを与え、逆に、より多くの税を使う結果になるだろう。トータルコストは大きくなる」と指摘する。(高谷秀男、佐藤秀男)

【お役所仕事を抜け出した高知市の生活困窮者自立支援 ダイヤモンド2015/1/15】 池上正樹 [ジャーナリスト]

 最近、生活困窮が原因で、引きこもる人たちが急増している。

 その背景にあるのが、高齢化の進む中、年金生活を維持できなくなったり、仕事に就きたくても働くことができなかったりする社会環境の悪化や、一度、社会から離脱すると個人に問題があるかのように見下されたまま、敗者復活戦のできない仕組みだ。 

 OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本人の6人に1人が「貧困層」といわれ、経済格差も広がっている。 
 こうして生きる意義や意味を失い、自殺や餓死にもつながりかねない命を救うための法的根拠となる制度が、今年4月1日から施行される「生活困窮者自立支援法」だ。 

 この制度によって、全国の福祉事務所のある自治体には、生活困窮者自立支援法に基づく窓口の設置が義務付けられる。 

 厚労省の社会援護局によると、対象者は、経済的に困窮しているという理由だけでなく、「引きこもり」状態の人の含む社会的孤立者など、様々な困難を抱える人たちもカバーするという。 

 そんな「引きこもり」の人たちへの対応も含め、ネットワークをつくってワンストップ窓口による取り組みで、全国から注目されているのが、高知市の「生活困窮者自立支援法」に基づくモデル事業だ。 

◆開設後から1年、新規相談者は444人 60代が最多、女性が過半数以上に

 他に先駆けて開設されてから1年余りの間に、新規相談者は444人。収入や生活費が3割、病気や健康に関する内容が1割を占めた。 

 同市は、人口33万7500人余り。高齢化率は、昨年10月現在、26%を超え、4人に1人以上を占める。 
同市でモデル事業が始まったのは、2013年11月のこと。 

 市の健康福祉部長を代表に、社会福祉協議会(以下社協)の事務局長を副代表に置いて、ハローワークや若者サポートステーションで構成する「運営協議会」をつくった。 

 実際に担当するのは、高知市生活支援相談センターだ。 

 市と社協が連携して、社協と同一フロアに「総合相談窓口」を開設。社会福祉士や精神保健福祉士ら5人の相談員が対応している。

 そして、「離職や解雇」「借金」「多重債務」「引きこもり」「家庭内暴力」「単身高齢」などの様々な背景によって「生活が立ち行かなくて困っている」「今後、生活が困窮する可能性がある」といった事態が生じている対象者に、相談者が一緒になって、生活や就労の解決に向けた個別支援活動を行っているという。 

 一昨年11月の開設以来、昨年12月までの集計によると、相談の延べ件数は1355件に上る。 

 意外なことに、性別は女性のほうが54%と男性を上回った。 

 年齢構成は、60代が18%。40代と50代がそれぞれ14%と続き、やはり高齢化が浮き彫りになる。 

 寄せられてくる相談内容(複数回答)は、1355件のうち「収入・生活費のこと」が410件で3割余り。「病気や健康、障害のこと」が151件で1割。他に「家族関係・人間関係」が131件、「住まいについて」が130件、「仕事探し、就職について」が104件と続く。 

 中には、「DV・虐待」「子育て・介護のこと」「地域との関係性・社会参加」といった内容もあり、当事者が抱える状況に応じて、相談内容も多岐にわたっていることがわかる。 

 「ひきこもり・不登校」に関しては、一見、18件と少ない。しかし、他のテーマで相談に訪れた当事者の中に、「実は引きこもっている子ども(家族)がいる」と隠してくるケースが非常に多く、水面下にはかなりの数が埋もれていると、同相談センターの山本結実センター長は指摘する。

◆生活困窮者をワンストップで救うべく 相談窓口と社協が同一フロアで対応

 この窓口は、社協と同一のフロアにすることによって、「日常生活自立支援事業」や「生活福祉資金貸付事業」、障害者相談事業などの相談機能と権利擁護機能につなぐことができるようにしているところが特徴だ。 

 また、「助けて」の声が上げられずに人脈や情報が途絶え、地域に埋もれていきがちな生活困窮者の求めるニーズの早期発見や、見守りなどのアウトリーチ機能、地域との連携機能なども期待できるという。 

 運営協議会では、「支援計画(案)」を作成。支援調整会議を開いて、「支援計画」に基づく困窮者へのサポートを行う。 

 困難な事例に対しては、必要に応じて、司法、医療、学識関係者、NPO団体などでつくる「支援検討部会」に、円滑な支援構築のためのケースの検討、意見やアドバイスの提供も求める。 

 さらに、生活困窮に付随する複合的な課題を抱える相談者に、ワンストップで迅速に対応するため、現在、無料低額診療制度の医療機関、法テラス(無料法律相談)、生活困窮者の賃貸契約の保証団体、緊急一時シェルターなどの公私13団体に、行政と社協を加えた「こうちセーフティネット連絡会」を構築。事前の連携協議や情報共有を行うため、偶数月の第3木曜日に定期開催している。 

 生活支援相談センターによると、今後は、当事者団体であるNPO法人「全国引きこもりKHJ親の会」の県支部「やいろ鳥の会」(坂本勲会長)なども、同連絡会に入ってもらいたい方針だという。 

 同制度では、相談事業や職業訓練などが行われ、社協や福祉事務所、民間法人などに委託される。 

◆ワンストップを途切れさせない 高知市が掲げる「3原則」とは

 こうしたワンストップ窓口のためのネットワークづくりや情報共有していくうえで、弊害になるのが、よく言われる庁内の部署の縦割りだ。 

 今回、生活困窮者自立支援法に基づく窓口設置についても、別の部署に情報を隠していたり、「よけいな仕事を増やしたくない」からと引きこもりなどの困難な問題を対象から外そうとしたりしている自治体の話も聞く。 

 しかし、高知市の場合、生活困窮者支援に関わる関係各課が横のつながりを持って、背景にある課題に対して包括的な対応を行っていくため、「庁内連絡会」も何度か開催された。 

 相談実績の中には、生活保護制度に関する事例が、682件中245件と、全体の約36%を占める。 

 うち、情報提供が最も多く152件。生活保護受給中は51件。生活保護を申請するため、福祉事務所に職員が同行した事例も42件に上った。 

 これからは、生活保護以外にも、当事者たちの思いや構想を受け止めて、どのように具現化していけばいいのか、生きていくために提供できる情報やノウハウの選択肢を準備していくことが必要だろう。 

 高知市では、「総合相談窓口として全ての相談をことわらない」「困難な状況でも当事者への支援をあきらめない」「課題の解決につながるまで投げ出さない」の3原則を目標として掲げる。 

 まもなく厚労省から、実施要綱が示される見込みだが、それぞれの自治体の中で、ひきこもり施策との関係性をどのように再構築できるのか、これからの取り組みを注目していきたい。 

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