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同じけがなのに、なぜこんなに対応が違うのか? 学校でのスポーツ事故

 部活動中の死亡事故の防止に取り組んでいる「全国柔道事故被害者の会」。
ガンバ大阪のMF岡崎建哉選手が、11月6日の試合で相手選手と激突し、「脳しんとう」「鼻骨骨折」「左頬骨骨折」で救急搬送された事例と、同会が相談をうけている事例との対応の差を告発したもの。
高校ハンドボール部の2年生が、練習試合で相手選手と激突し、しばらく立ち上がれないほどの脳しんとうを起こした〔2014年10月28日〕。救急車を呼ぶほどの事故なのに、監督はなんと倒れた生徒を試合に出し続け、後遺症が残った。毎日が10/26でとりあげている。
 今年の3月には文科省が「学校事故対応に関する指針」を通知。いったん対策で改善したものの、今年すでに5件の重大事故が発生したことから10月12日に全柔連が「重大事故発生と事故防止の啓発活動に関するお願い(再)」を出している。そこは「元気に家を出た子どもたちの安全を守り、無事に家に帰すのは柔道指導者の義務です」とある。
 指導できる者を、スポーツ医学の基礎知識や安全対策・対応の知見を身につけたものに限るライセンス制度が必要である。
【同じけがなのに、なぜこんなに対応が違うのか? 全国柔道事故被害者の会11/18】
【ハンドボール部の元生徒、安全面の知識浸透訴え 毎日2016年10月26日】
【2016年3月31日、文科省から「学校事故対応に関する指針」が通知】
【全柔連 重大事故発生と事故防止の啓発活動に関するお願い 再度通達】

高知県の状況はどうか、と検索をいれると、「スポーツ健康教育課」ででてきたのは、以下の項目。
平成24年7月 体育活動中の事故防止に関する調査研究協力者会議
平成26年3月 「運動部活動全体計画ハンドブック 18ページ中の16ページ目に安全・事故対策

今年3月の「学校事故対応に関する指針」ではヒットしなかった。
近く教組との懇談があるので、実態をきいてみたい。

【同じけがなのに、なぜこんなに対応が違うのか? 全国柔道事故被害者の会11/18】

ガンバ大阪のMF岡崎建哉選手が、11月6日の試合で相手選手と激突し、「脳しんとう」「鼻骨骨折」「左頬骨骨折」で救急搬送された。
http://news.livedoor.com/article/detail/12249980/
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/11/07/kiji/K20161107013679210.html

当会が現在相談を受けているハンドボール部事故被害者の事例は、岡崎選手の事故とそっくりである。

【ハンドボール部の元生徒、安全面の知識浸透訴え 毎日2016年10月26日】
http://mainichi.jp/articles/20161026/k00/00e/040/206000c
http://mainichi.jp/articles/20161027/ddl/k20/040/039000c
http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=408623&comment_sub_id=0&category_id=133&from=local&category_list=133

 長野県立坂城高校ハンドボール部の2年生が、練習試合で相手選手と激突し、しばらく立ち上がれないほどの脳しんとうを起こした〔2014年10月28日〕。
 救急車を呼ぶほどの事故なのに、監督はなんと倒れた生徒を試合に出し続けた。
 夜になっても症状が改善しない生徒を、家族が病院に連れて行った。
 生徒は「鼻骨骨折」「左眼窩骨折」「頸髄損傷」と診断されて緊急入院したが、翌日には歩行も困難となり、首を動かすこともできずに絶対安静となった。
 更に「高次脳機能障害注」を発症していることも判明した。

 当該生徒は他生徒との激突で「鼻骨骨折」「左眼窩骨折」「頸髄損傷」の重いけがを負ったと思われる。

この生徒に、試合の続行を中止させ即救急措置がとられていれば、彼が「高次脳機能障害注」を発症することはなかったかもしれない。

 監督にとっては、生徒の体より試合の結果が大事なのか。

 この高校生は、ガンバ大阪の岡崎選手より重篤なけがを負っていたかもしれないのに、監督はなぜ救急車を呼ばなかったのか。

 なぜ病院に連れて行くことすらしなかったのか。

 生徒たちの身体を預かる立場にいる監督の、この危機感のない無責任な対応に、監督としての資格があるのかと問いたい。
 
 声を大にして言いたい。生徒は、使い捨ての駒ではないし、競技に命を懸けているわけではないのだ。

注:高次脳機能障害とは
https://allabout.co.jp/gm/gc/376197/
2016年11月18日



【2016年3月31日、文科省から「学校事故対応に関する指針」が通知】
 〔1の未然防止の部分のみ掲載。〕

1事故発生の未然防止のための取組

(1)学校は、教職員が事故等の発生を未然に防ぎ、万一事故が発生しても児童生徒等の安全を確保できるよう、教職員の研修の充実を図ること。併せて児童生徒等の安全教育の充実を図ること。さらに、学校保健安全法第27条及び学校保健安全法施行規則第28条に基づき、安全点検を計画的に実施し、必要なマニュアルの見直し及び整備を図ること。マニュアルの見直しの際には、文部科学省ポータルサイト「文部科学省×安全教育」を活用し、情報収集に努めること。また、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の「学校事故事例検索データベース」等を活用し、事故事例の収集を行うとともに、ヒヤリハット事例についても教職員間で共有し、事故の未然防止に努めること。学校の設置者、都道府県私立学校主管課及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社担当課(以下「都道府県等担当課」という。)においても、学校事故の事例や傾向を提供し、事故の未然防止のための取組に係る支援・助言を行うこと。

(2)学校は、緊急対応のための役割分担表の作成等、組織的な危機対応が行えるよう体制整備を図ること。その際、事故発生時に管理職が不在の場合でも組織的な対応が行えるように留意すること。また、学校外での活動の際の対応や休日における連絡体制等についても整備すること。

(3)学校は、地域学校安全委員会等の機会を通じて日頃より、家庭、地域、関係機関等との連携を図るようにすること。


また、スポーツドクターを目指している若手整形外科医のブログ「目指せスポーツドクター/ サッカー日本代表チームドクター目指して」を紹介している。

脳しんとうの危険性がよく理解できるサイトを発見! 被害者の会】

その中で・・

「脳震盪の症状と持続時間 注意すべき脳震盪とは?」
http://sports-doctor93.com/sports-head-injury-concussion/

頭痛、めまい、記憶障害など、脳しんとうの多様な症状は、様々な文献に記載されている。当サイトでは、症状の発現頻度を「The American Journal of Sports Medicine 2015」をもとにしたパーセンテージで表しているため、その実態がつかみやすい。

頭痛・・・・・92.2%
めまい・・・・68.9%

集中力低下・・58.3%
頭痛、めまい、集中力の低下などの発現頻度が高いことが上記の数字からよくわかる。
一方、興奮、意識障害、耳鳴り、逆行性健忘などの発生率は非常に低い。

興奮・・・・・4.1%
意識障害・・・5.6%
耳鳴り・・・・8.8%
逆行性健忘・・9.8%

しかし、発現頻度が少ない症状を、決して軽く見てはならない。
意識を失ったり記憶が飛んだりした時は、危険である」と認識していただきたい。
もちろん「意識を失ったら、即救急車!」である。

さらにこのサイトでは、「British Journal of Sports Medicine2005」をもとに、脳しんとうの諸症状の持続時間にも言及している。
多くの場合は7〜10日で軽快するが、20%程度は3週間を超えても症状が消えないという。(「The American Journal of Sports Medicine」では6.2%が4週間以上遷延すると報告されている。)
特に子どもや青少年では持続期間が長引くので注意が必要であるということが、しっかり書かれている。

また、発現する症状は1つだけでなく、複数の症状(平均5.29種)があること、初回受傷者より再受傷者の方が多くの症状を訴えていたり重症化したりするということも述べられている。

記憶が飛ぶ、1分間以上の意識消失、訴える症状が多い、症状の消失までに時間がかかる、こういう時は要注意だということが、このブログからよく理解できる。

このサイトでは下記の記事もある。

「脳震盪完全マニュアル/症状〜スポーツ復帰まで全て解説!」
http://sports-doctor93.com/concussion-perfect-manual/

 スポーツにおける重篤な頭部外傷を防ぐために、脳しんとうを軽視してはならないということや、競技に復帰するときの注意点などが、わかりやすく書かれている。
 これらの記事を、スポーツ指導者はもとより、教育関係者・競技者本人とその家族にも、目を通して頂けるよう切に願う。
 特に、重篤事故の発生が続いている柔道については、指導者必読のブログである。
2016年11月6日

【全柔連 重大事故発生と事故防止の啓発活動に関するお願い 再度通達10/12】

 10月12日、全柔連が、「重大事故発生と事故防止の啓発活動に関するお願い(再)」を、全国の各都道府県柔道連盟(協会)に向けて再度発信した。全柔連の事故に対する警告通達は、今年度に入ってからすでに4回目である

■重大事故発生と事故防止の啓発活動に関するお願い〔再〕  抜粋

昨年は中学生、高校生による頭部外傷、熱中症による死亡事故が2件、後遺障害が残る頭部外傷、頸髄損傷が2件、計4件の重大事故が発生いたしました。本年は高校生の頸髄損傷による死亡事故、中学3年生の頭部外傷による事故、45歳男性の頭部外傷による死亡事故に8月の事故を加えると5件の事故が発生しました。
武道必修化を受けて「柔道の重大事故対策」による成果で、平成24年から平成26年の3年間は死亡事故ゼロ、その他の重大事故も激減いたしました。しかし、昨年から続く重大事故の多発で、「柔道の安全は必修化以前に戻ってしまった」との声も聴かれます。
 どうか皆様には、各所属での柔道の安全指導を隅々までご周知いただくようお願いいたします。また、事故防止の重要性をご理解いただき開催される全ての大会、行事において安全指導講習等を行い、事故防止の徹底に努めていただくよう重ねてお願い申し上げます。
なお、安全指導講習の際は、全柔連発行「柔道の安全指導第四版」及び別紙「柔道事故の特徴と対策」をご活用ください。
「元気に家を出た子どもたちの安全を守り、無事に家に帰すのは柔道指導者の義務です」


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