地方議員年金 創設議論・考
以前の3期勤めれば受給できる議員年金〔併給可能〕が、特権的であるとり批判や平成の大合併など議員数の減少から制度破綻をおこし、2011年に廃止された。廃止にあたり「新たな年金制度について検討を行う」との付帯決議を根拠に、自民党の「地方議員年金PT」が設置され、それをうけ全国都道府県議会議長会が、今年7月「地方議員のなり手不足」を理由に、共済制度の適用をうけている首長と同様の対応…年金、健康保険とし、退職等年金給付は行わない、というものである。
9月県議会でも、自民党から、同様の制度をもとめる意見書決議案が提出されている。わが党は、反対をするつもりである。国民的、県民的な議論や要望もない。また、まず求められるのは低すぎる国民年金の底上げだからである。
議員年金について、自治日報に、三重県議会議員が、「せっかくの問題的なので、この際しっかり議論していたたきたい課題」をあげたコメントがのっている。表題は「復活」となっているが、別物なのでブログでは「創設」とした。
それを整理さしてもらうと・・・
①地方議員の地位について
首長と同様に「適用事務所〔地方公共団体〕に使用されている者」とみなしていいのか。もし、そうなら自治体の統括代表権を持つ首長との関係はどうなるのか。という法的問題。
首長と同様に「常勤」とるなら、「公選職」など新しい概念の導入が必要となるが、「常勤」となれば、首長に支払われている「退職金」に、支払いないのは、整合性がなくなる。という法的問題
・・・なお、都知事の給与半減で、議員報酬との比較をワイドショーなどが行っているが、退職金の有無、共済と国保での負担の違いを無視した比較は、誤解を広げるだけである。
②なり手不足の原因は、「年金制度の不備」なのか
同議員は、むしろ議会の存在感のなさや、さまざまな不祥事に起因する地方議会、議員への不信感によるものではないか、と指摘している。
③国民、県民の理解は?
共済対応となると、事業主である地方公共団体の事業者負担が発生する。
高知県議会でも年数千万円となる、と議論になっている。
〔また、地方議員が、国保、国民年金の対象であることで、もっとも低水準の制度の問題点を実感できる面がある。なお、保守の議員は、会社の役員を兼務し、協会けんぽに加入している人もすくなくない。〕
同氏は、若い人々が人生設計できる制度保証が必要だが、「安易に新年金制度に飛びつくのは、かえって国民の批判と反発をくうことになる」と危惧を表明している。同感である。政務活動費の不正、白紙領収書問題に、国民の怒りが沸騰している。まず、正すべきはそこだろう。
一方、指摘のあるように郡部の地方議員の報酬で、月10数万から20数万円であり、若者が結婚・子育てしながら議員に専念できる条件にはない、という現実がある〔落ちれば無給にもなるし・・〕。
議会の力量低下は、行政のチェック機能の低下、税金の無駄使いに結びつく。どう住民自治を充実、発展させるのか、しっかりとした議論が必要である。
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