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「一億層活躍プラン」と同一労働同一賃金 ~ 日本の賃金実態から考える〔メモ〕

 藤田宏・労働総研事務局次長 経済2016.11の論考。
 
 EUのような産業別の協定賃金がない日本では、男女間格差、雇用形態別格差に加え、規模別格差、地域間格差が、重層的にくみあわされ、日本型の低賃金構造がなしている。
 そのもとで、同一労働同一賃金にどう接近していくか。その課題と運動論についての展開している。

 末尾に、二宮厚美氏の「ジェンダー平等と経済学」から、男女間賃金格差と「同一労働同一賃金」にかかわって言及した部分のメモを追加る

「一億層活躍プラン」と同一労働同一賃金 ~ 日本の賃金実態から考える

 藤田宏・労働総研事務局次長 経済2016.11

■はじめに

・参院選後、安倍政権は「一億総活躍社会」を切り開く鍵は「働き方改革」にあるとし、「同一労働同一賃金」などの実現により、「非正規雇用の待遇改善」をはかると強調
・安倍政権の「同一労働同一賃金」…正規労働者の賃金を大幅に引き下げ、非正規雇用の賃金水準を「正規」の8割に押さえ込む総人件費抑制をねらったもの
・労働組合の要求である「同一労働同一賃金」の文言を掲げざるを得ないのは、深刻化した貧困と格差の拡大/その打開をうちださないと政権維持すら困難になるという危機感

・新たな状況で、「貧困と格差」を打開する攻勢的な運動のために ①労働運動の要求である「同一労働同一賃金」の原則とは何か、を改めて確認すること ②アベ流「同一労働同一賃金」の内向の把握 が重要

・論考では、同一労働同一賃金を実現する上での課題を、労働者の賃金実態から検討


Ⅰ.EU諸国と異なる日本の賃金構造と同一労働同一賃金

・日本では、「原則」は、男女賃金差別、雇用形態別賃金差別の解消の角度から議論されてきた/EUの経験、ILO条約も同様の見地
→ EUでは、男女賃金差別、雇用形態別賃金差別は、「本格的な最低賃金制度を基盤として、社会的に確立された職種別・熟練度別賃金の慣行を前提として問題を解決する道が開かれている」(経済学辞典・大月)
/が、日本ではそうなっていない

●イギリスの看護師の場合
・職務のグレードはABCDEの5段階、段階毎に10の昇給区分/経験の積み重ねにより、区分が上昇し、賃金が上昇する
・全国共通の賃金表であり、規模間格差、地域間格差はない
・フランス、ドイツなどEU諸国/職種別・産業別労働組合と経営者団体が職種・熟年度別の労働協約を締結。社会的な横断賃金を形成し、規模や地域による格差がない
→ よって、男女間賃金差別、雇用形態別賃金差別が禁止されれば、正社員と同じ均等待遇・同一労働同一賃金の保障が可能となる

●日本の賃金構造――規模別、地域別核と男女間、雇用形態別差別の存在
・日本では、イギリスの看護師のような全国一律の賃金表、EUの産業別・全国的な労働協約がない
→ 男女間、雇用形態別の差別を是正する「土台」、賃金構造が異なる

・日本の賃金/個別企業ごとに分断/さらに規模別格差、地域格差があり/そのもとで、男女間差別、雇用形態別差別が持ち込まれ/ 日本的な低賃金構造を形成

・厚労省「賃金構造基本調査」(2015)にもとづく賃金格差の状況
(同調査では常用雇用者 大企業1000人以上、中企業100-999人、小企業10-99人/論考では零細企業「5-9人」)

①規模別賃金格差
大企業100、中企業77.8、小企業65.9
~雇用者数(労働組合基礎調査) 大企業1192万人(23.1%)、中企業1447万人(28.1%)、小企業2438万人(47.3%)
→労働者の3/4以上が、大企業の2/3~3/4程度で賃金

②男女間賃金差別 平均66.9
大企業66.1、中企業72.7、小企業75.8

③雇用形態別賃金格差 正規と非正規で55.1
大企業47.0、中企業56.3、小企業65.8、零細企業72.1

・規模別格差の中に雇用形態別差別があり、雇用形態別に男女差別が絡み合う重層的な格差構造があり、そのうえに地域別格差が入り込んでいる
→ この状況を踏まえて、同一労働同一賃金を、どう実現するか考えることが必要


Ⅱ.日本における同一労働同一賃金実現の基本方向

・安倍内閣が「同一労働同一賃金」に触れざるを得なかった背景~ 深刻な「貧困と格差」、財界に賃上げを姉外しなければならないのと同じ事情=家計消費の停滞によるアベノミクス破綻、たたかう労働運動の存在
~その条件のもと/国際的に見ても得意な日本の低賃金構造にくみこまれた5152万以上の労働者を対象に、圧倒的多数の未組織労働者の組織化と結んだ壮大な運動として発展させる必要性と可能性がある

●男女賃金差別と同一労働同一賃金、同一価値労働同一賃金について

①ILO100号条約 同一価値労働同一賃金をどう考えるか
・同一価値労働同一賃金/ 資本の側が、女性を低賃金の特定の職種に集める職域分離やコース別に女性を配置することにより、職種の違いを「理由」にして低賃金を押し付けることに対抗して打ち出された原則
~異なる職務であっても、その価値が同一もしくは同等の価値とみなされる仕事でありは同じ賃金というもの
・日本でも、100号条約批准で、パートタイム労働法、雇用機会均等法の改正/ 正社員との均等待遇、コース別雇用管理の制限など、一定の「成果」/裁判闘争でも、その主張の1部が認められ改善に貢献

②その「成果」を生かすことは必要だが、/日本の複雑な差別的賃金構造のもとでは限界がある
・同一価値労働同一賃金の具体化には、職務評価の問題が出てくる
~ILOも職務評価どうするかについては難しい問題であると認めている/ILOのガイドでは、職務評価は基本的に個別企業毎であり、多様な団体(使用者、組合従業員、非組合従業員)が参加できる「大型の構造的な委員会」で2年程の時間をかけ評価することを提起

・この方法で、日本で公正な職務評価が可能か /労働組合組織率 大企業45.7%、中企業12.2%、小企業0.9、しかも大企業労組は、労使一体路線
→ 同一価値労働同一賃金に基づく職務評価によって、非正規労働者の処遇改善、男女差別の是正を図る、という客観的な条件は整っていないのが現実

・今重要なこと/日本の低賃金構造に組み込まれた全労働者を視野に入れ「同じ仕事なら同じ賃金を」という労働者の切実な要求に基づき、賃金の全体的底上げと格差縮小・是正をはかること/ その中で、労働組合の前進、未組織労働者の組織化すすめること
~ 同一労働同一賃金要求は、分断された賃金構造を是正し、労働者の統一と団結を回復させる運動上の原則

Ⅲ.「一億総活躍プラン」の「同一労働同一賃金」論とは何か

・残業代ロゼ法案など「世界で一番企業が活躍しやすい国」と、整合性のとれた政策

●「総活躍プラン」の「同一労働同一賃金」論

☆詳しくは以下の「備忘録」より
【アベ流「同一労働同一賃金」の欺瞞~オール成果主義化 2016/9】

【「雇用流動化」が日本の未来を閉ざす~「貧困クライシス」2016/5】


☆そのポイントは…

・アベ流「同一労働同一賃金」の基本…第5回「総活躍国民会議」で、水野勇一・東大社研教授が提出した「同一労働同一賃金の推進について」〔水野報告〕
~「欧米でも、労働の質、勤続年数、キャリアコースなどの違いは同原則の例外として考慮にいれられているから、日本でも導入は可能

・「総活躍プラン」は「多様な働き方の選択肢を広げる」ことを随所で強調/「多様な正社員制度の導入」「限定正社員制度の推進」
→「水野報告」の論理では、「多様な働き方」をする労働者は「労働の質、勤続年数、キャリアコースなど」が異なるので、それぞれに「同一労働同一賃金」の原則を適用できる。

・「総活躍プラン」の狙い/「限定正社員」〔正社員の賃金の6-8割水準〕を拡大/全体として賃金水準の低下
/しかも、何が合理的で何が不合理な賃金格差かの基準は、ガイドラインで「説明責任」を求めるだけ
→「多様な働き方」ごとに「同一労働同一賃金」として、全体の賃金低下をもたらすもの

●賃金体系の改悪に直結する「同一労働同一賃金」論

・榊原経団連会長「同一労働同一賃金については、日本の雇用慣行にあった制度とすることが肝要」、日本企業では仕事の内容、責任の程度だけでく「期待、役割、転勤を含む将来的な人材活用など様々な要素を勘案して賃金を決めている」/経団連の基本的な考え方は、首相の「理解を得られており、同じ方向を見ている」16.2.24

・「総活躍プラン」も「我が国の雇用慣行に十分留意しつつ」同一労働同一賃金を目指すと明記
→ 企業の期待にど恣意的評価がまかりとおり、いっそうの改悪の足場となる

●非正規労働者の賃金は、欧米諸国と遜色のない水準になるか?

・総活躍プラン/パートの賃金、欧州は正規より2割低い、日本は4割低く、「欧州と遜色ない水準をめざす」
→ その意味は/「総活躍社会の実現に向けた成長と分配の好循環モデル 試算」

・「試算」では、①子育て支援の充実、②介護支援の充実、③高齢者雇用の推進により、2020年度に、新しい雇用117万人が生まれ、それによる賃金総額の上昇3.3兆円
→ 3.3兆円/117万人 = 一人当たりの年間賃金282.0万円
→5-9人の零細企業の年間賃金363.7万円の77.5%/正社員の8割とは、零細企業の正規労働者が基準

・これが「非正規労働者の処遇改善」を「看板」にしながら、多様な正社員の導入により、大量の低賃金労働者を作り出そうとする「総活躍プラン」の真の狙い、本質/ 財界の要望、「世界で一番企業が活動しやすい国」にするというアベノミクスの新バージョン

*「総活躍プラン」の狙いを明確にし、低賃構造をうちやぶる積極的な法改正の提起、運動など攻勢的な取組を


Ⅳ 日本における同一労働同一賃金実現のための政策課題

・全労働者を視野にいれた、「原則」にもとづき、賃金の底上げ、差別解消を図ることが重要
→ そのためには ①男女差別、雇用形態別差別の是正という見地とともに、②規模別格差、地域別格差というEUとは異なる日本固有の問題を是正する二重の見地にたって同一労働同一賃金の実現に接近することが必要

●すべての労働者を視野に入れた同一労働同一賃金実現の課題

・厚労省「賃金構造基本統計調査」…看護師、自動車組立工など職者別賃金データを「一般労働者」「短時間労働者」の就業形態別、男女別、規模別に集計したもの
→ 職種別賃金は、同一労働同一賃金を考える上で、参考となるデータ/ それを元に課題を整理/「総活躍プラン」との関わりで、①医療・福祉 ②小売業、サービス業 ③製造業 に絞り、検討

●医療・福祉の職種別賃金から見えるてくる課題――職種別最低賃金規制

・「総活躍プラン」 保育士4万円の差〔全女性?労働者〕の解消、介護・月1万円の改善を明記

・特徴 ①他産業と比べ「一般労働者」での男女格差は少ない/9割。②規模別格差 小企業は大企業の85-93 ③短時間労働者 男女格差、規模別格差は、保育士以外は比較的少ない
・大企業の男性一般労働者に比して、小企業の女性の短時間労働者の賃金/保育60.0、介護70.5、看護74.2
~これに地域格差が加わる/地域別最低賃金と医療福祉業の所定内賃金水準は、密接に連動

・課題/ 小企業の「短時間労働者」の時間給を、全職種の平均賃金まで引き上げることが必要/この分野の労働者は国の資格を持っており、同一労働同一賃金の保障は必要
~小規模・短時間・看護師 時給1796円、一般労働者・看護師の時給2296円。500円アップ必要/ 同様に、保育士484円、介護職員413円/月7-9万円増が必要〔1日8時間、月22日〕
→ 職種別最低賃金の確立が必要

●小売業、サービス業の職種別賃金から見えてくる課題――全国一律最低賃金制

・最大の特徴。賃金水準が極めて低い/ 大企業の「一般」販売定員でも時給1582円、全産業の正社員の平均時給2471円の64.0%。小企業「段時間」889円、/スーパー店チェッカー 大企業「一般」1262円、小企業「短時間」829円、/ビル清掃員 大企業「一般」1284円、小企業「短時間」956円
~これに地域間格差/小売業全国平均100として、沖縄68.5、宮崎70.1、秋田70.2。東京130.9、大阪114.9、神奈川100.4。東京・沖縄差62.4./最賃は、東京 全国平均の113.7、沖縄86.8./地域間格差は最賃の格差以上

・課題 全国一律最低賃金制が必要/当面、販売定員の平均時給なみに最賃にするのは、1481円となる
/「全国一律1500円」の実現が急務である

●製造業の職種別賃金から見えてくる課題――産業別最低賃金制度

・自動車組立工の「短時間」の男女の格差 53.2もある/規模別格差、「一般」でも大企業と小企業は59.3/小企業「短時間」女性の賃金は、大企業男性の47.3
~ 通信組立工、機会組立工の規模別、男女間格差は、自動車ほどではないが、他産業より大きい
・製造業分野 中小下請け、関連企業がピラミッド型を形成。下請け犠牲を浮き彫りにするもの
・これに地域格差が加わる/全国平均100、東京140.9、神奈川118.6、愛知117.7、沖縄62.6.。青森62.6、岩手70.8.。東京・沖縄差78.3.。/小売・サービス以上の地域間格差

・課題 産業別最低賃金を確立し、最低工賃を保障させること /「産業別最賃制度」は、財界が敵視し、形骸化を図り、廃止をもくろんできたもの。/この攻撃を跳ね除け、産別最賃の要件を緩和し制度確立に取組むこと


Ⅴ.全労働者を視野にロマンに満ちた新しい挑戦

・同一労働同一賃金の実現には/全国一律最低賃金制/さらに産業別最低賃金、職種別最低賃金などの制度的課題が、同時に必要となる
→ 同一労働同一賃金を孤立した要求ではなく、これら制度的要求と結びつけてたたかうことによって、同原則からは直接に出てこない賃金水準=生計費原則との結びつきが可能となる、/社会的横断的賃金確立のたたかいは、個別企業内での職務評価をめぐる経営側との複雑なたたかいのした支えとなる。/新しい挑戦

〔メモ者 公務員賃金にも、地域別格差が導入されつつある。現級保障など経過措置中。また、地域格差ととっても、その差は他分野よりも少ない。自治体内での、非常勤職員の処遇改善は、そうした運動の重要な一翼を占める/社会保障=「間接賃金」の充実を、ライフサイクルにあわせた収入保障策であり、地域、規模別格差を解消する重要な内容となる〕

●労働者の統一と団結を回復する新しい挑戦

・保育、介護で働く労働者の処遇改善を求める国民の声/「総活躍プラン」にも一定の反映。4野党による共同提案
→ 限られた分野であるが〔地方では、もっとも大きな雇用分野〕、日本の政治全体が社会的に横断した賃金を形成する方向へ一歩踏み出し始めている/ ほとんどの労働者が公的資格を持つ、医療・福祉の分野で、職種別最低賃金を確立していくとは重要であり、全体の低賃金構造を突破口を切りひらくことになる。
〔メモ者 責任と労働の過酷さに対して低処遇が人手不足の要因/この分野の前進は、労働力の移動を引き起こし、他分野の賃上げの足場となる/ただし、そのためには医療介護のベッド数、施設数の削減など、社会保障切捨てにより、現状の「人手不足」を「解消」する政策も同時に進められてあり、間接賃金問題とふくめ、社会保障問題は、労働運動の重要な分野である。〕

●千里の道も一歩から—何から着手するか

①同一労働同一賃金の原則を労働基準法に明記させること

②同一労働同一賃金を、具体的に職場で実現する取り組みを進める
 厚労省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」〔2014〕/非正規労働者の制度適用 「賞与支給」31.0、「福利厚生施設等の利用」23.8、「自己啓発援助」10.1、「退職金制度」9.6%
~イギリス 2010年EU労働者指令にもとづき派遣労働者規則制定/賃金労働条件の同等待遇、社員食堂・託児施設、交通機関の提供など「共同施設や設備を平等に利用できる」権利が保障

→ その際、重要なのは「同一(価値)労働同一賃金」の“厳密な測定・定義”ではなく、同じ職場で働く労働者という“素朴なシンパシー・連帯”にもとづくたたかいではないだろうか

(メモ者 同一価値とは「成果主義」賃金とシンクロしやすい。厳密な測定・定義は、「成果主義」の土俵に巻き込まれる恐れがある。あくまで生計費保障=労働力の価値を基本としたたたかいとする。ということと思う *参考 二宮厚美「ジェンダー平等と経済学」 後述)

③職場を基礎に、地域でも取り組みを強める

・同一労働同一賃金は、全労働者に働きかけることによってはじめて可能
 (メモ者 圧倒的多数の未組織労働者は地域にいる)
~アメリカの時給15汁を求める運動/マグドナルドの従業員が大幅賃上げを求めて立ち上がり、世界的な共同運動として前進した経験に学ぶ必要

・「□□地域から職種別平均賃金以下で働く労働者をなくす」「ファスト業界から○○円以下で働く労働者をなくそう」など、地域の特性にあわせた運動をすすめること

④学習と実態調査

 壮大な運動を、全組合員ぐるみの運動として進めるには
・「同一労働同一賃金」の学習をつよめること

(メモ者 こうした取り組みは、日本の低賃金構造を、全体として打破していく運動の中に位置づけられてこそ、意義をもつ。

 賃金差別はについて
【ILO 日本のジェンダー平等とディーセントワーク研究 2016/6】

「日本の雇用制度は、専業で家事や育児を担っている妻がいるという前提で、男性(夫)が会社の命令にしたがって長時間働く男性稼ぎ主世帯が前提とされている。会社からの転勤などの命令にしたがう「無限定正社員」としての働き方を選択しない限り、企業の中核的業務や管理的業務に従事するために求められる教育・訓練や業務経験を積みがたい。このような、拘束性を前提とした職業キャリアの設計・運用のあり方が女性の活躍を阻んでいる。」

 と指摘されているように、残業時間の法的制限など「無限低正社員」を解消する運動と一体の課題でもある。)

・それぞれの産業・地域の賃金実態をつかみ、男女間、雇用形態別、職種別、地域間の賃金格差がどのくらいあるか把握する必要がある/同一労働同一賃金の実現をめざす運動の出発点


*二宮厚美「ジェンダー平等と経済学」から、第6章 男女平等の経済学と史的唯物論/3 ジェンダー・エクィティ視点にたつ新福祉国家/5「男女平等の賃金と賃金のあり方」で、以下のように展開。メモでの記述は、これを意識してのもの。
【ジェンダー平等と経済学 備忘録2010/4】


◆男女平等の賃金と賃金のあり方

☆家族賃金の評価にかかわる問題 /絶対的水準と相対的水準の両面から検討

・絶対的水準/ 家族全員の生活費という意味では、「家族賃金」は破壊の対象とならない。
→ 家族的消費の自由を確保する前提。「絶対的水準としての家族賃金」は直接・間接の賃金で構成

・賃金の絶対的水準は、労資間の力関係で決まる/女性の低賃金は男性の相対的に高い賃金のためではない

・男女間の賃金差別解消の課題は、労働者相互の賃金の相対的水準にかかわる問題
→それは、性別、年齢別、雇用形態別、職域別、民族別などあらゆる属人的差異にかかわる。
→属人的・属性的差別を一気に解消する方法は、賃金を非属人給=職務給への転換 「同一労働同一賃金」

・「同一労働同一賃金」についての2つの留意点

①これは賃金の絶対的水準には何も語っていない 
②平等論…1つの基準は、別の不平等を放置/異質な労働(職務)では異なる賃金が適用/非常にやっかいな問題… 「異質」とは? 職務間の差異(大工と教師とか)〔職務館の客観的差異〕、新米と熟練の差異〔同一職務内の主体的差異〕

・ここから「同一労働同一賃金原則」は「同一価値労働同一賃金原則」へ前進する
 … 異質な労働の賃金を平等化する1つの試み/基本的に支持するが3つの留意点

①職務間の客観的差異の比較は、同一職務内の主体的差異を考慮に入れざるを得ない。
→「同一価値労働同一賃金原則」上で、再び属人的要素が賃金のベースとなる/専門性、熟練、技能など

②「異質な労働」を量的世界に置き換えることは、理論的に不可能/ 市場が異質な労働を交換価値で評価
→ 市場評価とは別の社会的評価の対置していることは重要な意義 /環境の社会的評価と似ている

③賃金の絶対的水準を決める指針とはならない
・現代では、賃金の絶対的水準と相対的水準は、直接・間接両面にわたる賃金を視野におさめて、根拠付けられなければならない。つまり福祉国家次元の課題として検討されなければならない。

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