ノーベル賞・大隅氏 「次世代を育てる環境にない」と警鐘
「若手研究者が日本で次々とノーベル賞をもらうような仕事をできる環境にあるかというと、私はとても疑わしい」として「長期スタンスで考える研究が非常にやりにくくなっている」「新たにチャレンジすることがなかなか難しい」と、環境改善を求めている。IPS細胞の山中教授も、研究員のほとんどが非正規と、環境改善を訴えていた。
大学の運営費を削り続ける一方、外部評価など短期的な「成果」を求め、その「成果」「内容」によって研究費を配分したり、企業からの資金を取ってこい、というのが今の政府のやり方。人文系不要論も同じ視点。未来のない視点である。
【ノーベル賞・大隅氏を直撃!「次世代を育てる環境が必要」ダイヤモンド10/4】
【引用】
――基礎研究を軽視する風潮について、どう考えていますか。
次世代の科学者が育ってくれる社会かどうかということを、とても心配しています。日本人のノーベル賞受賞が3年続きましたが、受賞者は研究の第一線から次第に消えていく人たちですからね。私もあと何十年も研究を続けるわけにはいきません。だから、「過去の遺産を食いつぶしているんじゃないか」と私は主張しています。
今後、若手研究者が日本で次々とノーベル賞をもらうような仕事をできる環境にあるかというと、私はとても疑わしいと考えています。なぜなら、5年、10年の長期スタンスで考える研究が非常にやりにくくなっているからです。
常に外部の評価に晒され、評価に追いまくられていると、「やっぱり答えが出る仕事以外はやりようがない」とか「結果が出る研究じゃないと、研究費が取れないかもしれない」となってしまう。
自由な発想で自由に研究して、面白い発見があったらその研究者を一段階引き上げるような研究システムづくりを、私たちの責任で考えないといけないんじゃないかなと痛感しています。
――文部科学省の科学研究費の配分が大型プロジェクト中心になっているという指摘もあります。
研究者のために文科省も一生懸命頑張って科研費を出しているのでしょうが、なにせ、全体のお金が足りません。あと5倍くらいあれば、余裕が出てくるのではないでしょうか。せめて2~3倍でもあれば状況は変わってきますよ。
今は研究費の絶対額が少なすぎるなかで、競争は激しい。となると、結局、誰が見ても相応しいというか、ある意味で評価が確立した研究者に研究費をあげましょうとなってしまいます。それでは、新たにチャレンジすることがなかなか難しい。そうした環境は改めるべきだと考えています。
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