南スーダンの反政府トップ 「和平合意は崩壊」と断言
当事者が「和平合意は崩壊」と言っているのに、「PKO5原則は守られている」といつまで強弁するのか。国連関係機関も「終わりなき戦争。和平プロセスは失敗」と報じている。
政府が言う7月の「衝突」「散発的な発砲事案」で、数百名が死亡し、国連関係者を襲撃した政府軍は、戦車や数百名の兵士がいたため、他国のPKO部隊も出動をためらったほどの事態。紛争がつづくなか、大量の住民が国外に逃れている。
新任務で自衛隊が相手にするのはこうした勢力。改憲を推し進めるために、「9条の制約で犠牲者が出た」という実績を狙っているとしたら、悪魔の所業である。
紛争の原因となっている構造的な汚職とそのおこぼれにあずかっている軍需産業、金融機関などの国際的ネットワークを遮断すること—積極的平和の外交こそが求められている。
【南スーダンの反政府トップ「首都攻撃も」 和平合意は崩壊 共同10/27】
【南スーダンで政府軍が宿泊施設襲撃 PKO部隊は救助出動せず 東京10/26】
以下は、先日アップしたブログ記事
【紛争は新しい、一層危険な局面に入った~南スーダンの戦争 IRIN2016/10】
【南スーダンの暴力増加懸念 国連派遣団声明 2016/10】
【南スーダンの反政府トップ「首都攻撃も」 和平合意は崩壊 共同10/27】【ヨハネスブルク=共同】南スーダンの反政府勢力トップ、マシャール前第一副大統領は二十六日、共同通信の単独インタビューに対し、南スーダンの内戦について「政治的解決策が見いだせなければ(首都)ジュバが標的になる」と述べ、首都攻撃も辞さない姿勢を示した。その上で政府軍と戦えば「勝てる」と強調した。滞在先の南アフリカ・ヨハネスブルク近郊で取材に応じた。
日本は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣、「駆け付け警護」などの新任務付与に向けて最終調整に入っている。ジュバの情勢について、日本政府は比較的安定していると判断しているが、マシャール氏は「ジュバとその周辺では散発的な戦闘が起きている」と否定的見解を示した。
内戦の現状を巡っては「和平合意は崩壊した」と断言。当面は「(政府側との)対話の機会を求めていく」として、周辺国とも連携しながら和平の枠組みへの復帰を目指す方針を示す一方、協議が不調に終われば内戦を継続する意思を示した。
反政府側の実力について「(国民の)われわれへの支持は広がっている」「政府軍より訓練された良い部隊だ」と述べ、政府軍打倒に自信をのぞかせた。
南スーダンでは七月にジュバで、政府軍と反政府勢力の間で大規模な戦闘が発生。マシャール氏は戦闘後ジュバを脱出して国外に逃れ、キール大統領から第一副大統領を解任された。
マシャール氏は、南スーダンにとどまる指揮下の兵士らには「自己防衛」をするよう国外から指示を与えていると説明。「戦争行為の一環」としてジュバへの必需品の供給を遮断しているとも述べた。
【南スーダンで政府軍が宿泊施設襲撃 PKO部隊は救助出動せず 東京10/26】【ヨハネスブルク=共同】南スーダンの首都ジュバの民間宿泊施設が七月に襲撃された際、出動命令が下されたにもかかわらず、国連平和維持活動(PKO)の南スーダン派遣団(UNMISS)が出動しなかったことが分かった。部隊の一部が危険な現場の状況を懸念したとみられる。国際社会で非難の声が上がり、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は経緯を調査する考えを表明した。
市民保護を最重要任務とするUNMISSには陸上自衛隊も参加しており、新任務「駆け付け警護」が付与された場合、対象となり得る案件。新任務に高い危険が伴う可能性を物語るとともに、出動の判断も国際社会の厳しい目にさらされることになりそうだ。
襲撃されたのはUNMISS司令部から約一キロの宿泊施設。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、国際機関の職員ら約五十人が滞在していた。
政府軍兵士らが地元記者を殺害し、外国人の女性らを暴行。数時間にわたり略奪を続けた。現場から電話で国連に救助要請があったが、UNMISSは部隊を派遣しなかった。
米国の非政府組織(NGO)「紛争市民センター」は報告書で「UNMISS内部で出動命令が下されたが、中国とエチオピアの部隊が出動を拒んだ」と指摘。中国部隊は準備が整っていないことを理由に挙げたが、施設に向かう途中にも戦車や数百人の政府軍兵士がいたため、出動は危険と判断したもようだ。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは二十五日「市民が殺されるのを傍観した」とUNMISSの失態を非難した。
南スーダン政府はUNMISSが反政府側を支援しているとの疑念を持っている。このため、UNMISSは政府から活動を妨害されており、これが失態の遠因になったとの見方もある。
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