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憲法をとりまく情勢、対決点とたたかいの展望

 先日、青年組織で、約1時間話した憲法問題学習会のメモ。
 この4年間の大きな流れ、自民改憲案の肝、改憲の背景、たたかいの展望、改憲「口実」の俗論批判など・・

 憲法をとりまく情勢、対決点とたたかいの展望     2013.9 

はじめに  国民だましの政治の暴走

7月の参院選―― 安倍政権は「選挙の最大の争点は経済だ」と訴えながら

・憲法改定~ 安倍首相は遊説で一切口にせず、選挙直後の7月11日の会見では、憲法審査会で自民党改憲案を「ベースにしながら」と述べ、8月3日の会見では、「任期中に果たしたい」
・国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」など戦争法にもとづく新任務の訓練開始を決定
・開票日翌日の11日早朝、東村高江で米軍ヘリパッド=オスプレイパッド(着陸帯)の建設工事に着手
・憲法25条の空洞化~ 75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げ、介護保険の「要介護1・2」の保険外しといった社会保障大改悪
・国家主権の放棄~ TPPについて「秋の臨時国会でTPP批准を目指して全力を尽くす」

★「だまし討ち」の政治が、国民との矛盾を広げることは必至~ 暴走を許さない運動と力の構築を

【憲法めぐる政治の動き】 ~この4年間、国民のたたかいの前進

・2012年4月 自民党「日本国憲法改正草案」発表
みんなの党、たちあがれ日本、大阪維新の会も改憲案
・2012年5月 憲法審査会で「現行憲法を各章ごとに検証し、明文改憲が必要か、立法措置か、いずれも必要 
ないかを出し合う」ことを民主、自民、公明が合意
・2012年7月 野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会「憲法解釈変更で集団的自衛権行使」を提言
        野田首相、2009年の著書で「集団的自衛権は認めるべきだ」
・2012年10月 集団的自衛権行使で前のめり発言  民主外務大臣、自民幹事長 日米共同シンポ

○2012年12月 政権交代。安倍内閣発足
・2013年1月 安倍首相 31日の参院本会議で、「まずは憲法第96条の改正に取り組んでいく」
・2013年2月 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」再開
 ★4~6月  96条先行改定案への国民的な反撃

○2013年7月 参院選 共産党躍進
・2013年8月 内閣法制局長官を、集団的自衛権容認派にすげ替え、
・2013年9月 枝野9条改定私案―歯止めどころか集団的自衛権の行使に道を開くもの 市田氏が批判
・2013年10月 秘密保護法強行採決、国家安全保障会議(日本版NSC)を発足
・2013年12月 NHKに籾井会長就任
・2014年2月  集団的自衛権 首相、行使容認前のめり 参院予算委 「解釈の変更で可能」
        憲主義否定「最高責任者は私だ」
・2014年4月 「武器輸出三原則」を廃止し、武器輸出を原則解禁する「防衛装備移転三原則」を閣議決定 
・2014年5月 安保法制懇  解釈変更で、集団的自衛権行使を容認する報告書を提出
・2014年7月 集団的自衛権容認の閣議決定 
 ★戦争法反対、立憲主義守れの運動が全国的に拡大

○2014年12月 総選挙 安倍首相「アベノミクス解散」と主張。共産党21議席獲得
・2015年5月 安保法制案を国会提出
・2015年9月 安保法強行成立/ 日本共産党が、戦争法廃止の「国民連合政権」、野党共闘の提案
 ★ 野党は共闘の声、全国的に拡大
・2016年2月 4野党合意 「安保法制廃止」「安部政権下での憲法改定反対」など

○2016年7月 参院選挙 1人区32全てで共闘成立、11で勝利
       衆議院選挙も野党共同で・・・公党間で合意
2016年8月  安全保障関連法に基づく自衛隊活動の訓練を順次実施すると発表

★共産党、社民党のぞく他党がすべて改憲に組していた状況から、安倍政権の暴走に対する市民革命的な運動の広がりの中で、「安保法制廃止」「安部政権下での憲法改定反対」などで戦後初めて野党共闘が実現に、最初の一歩として大きな成果を実現 ~ 共闘の流れは、紆余曲折はあっても

★共産党の役割~議席2.5倍加と国民連合政府の提案
国会議員 2012年の14名(衆院8 参院6)から、35名(衆院21 参院14)への前進


【自民党の新憲法草案  憲法が憲法でなくなる 】

★“教材”
・自由民主党「日本国憲法改正草案」(現行憲法対照) 平成24年4月27日(決定)
・自由民主党「日本国憲法改正草案Q&A 増補版」
・『全批判 自民党改憲案』パンフレット 日本共産党 205円 
・新しい憲法草案の話 800円
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・伊藤真・弁護士 2013年4月に語りおろし 「憲法ってなあに?(55分)YouTubeアップ

●立憲主義の否定 ~ 権力を縛るものから、国民を縛るものに

①立憲主義とは・・・立憲主義とは、人権を守るために、憲法で権力を制限する仕組み

 その中核は「個人の尊厳」。個人には侵すことが出来ない、その人らしさを選び取る権利がある、という思想。
~それを支える仕組みとして「最高法規」規定、安易な「改憲」を許さない手続き規定等がある


②永久の権利  第十章 最高法規

・97条で、基本的人権の永久不可侵性を宣言 
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

・98条で「最高法規」としての性格を定める。
「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」
→これは「人権を守る法だからこそ憲法は最高法規だ」という思想を表すもの。

・99条 公人の憲法尊重義務  ~ 国民は対象外

③自民案  97条の削減、99条に「国民」を追加、96条改憲手続きの緩和、13条の変質

*国民の義務化~あの独裁国家と同じ
 (1)「公民は国家の法および社会主義的生活規範を守り(中略)尊厳を守らなければならない」
 (2)「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」
 (3)「国民は憲法および法律を順守し(中略)社会の公徳を尊重しなければならない」
… (1)北朝鮮憲法82条、(2)自民党憲法改正草案(2012年)102条、(3)は中国憲法53条

・草案13条 「個人」が消え、国家(公益、公共の秩序)が前面に
 「草案13条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。」
→ 人権の主体が、一人一人のかけがえなのない「個人」にあることを否定/立憲主義の否定

●基本的人権の制限

①「公益・公共の秩序に反しない限り」の制限を加える /明治憲法の「法律の範囲内」と同根
→ 「公共の福祉」とは、基本的人権と基本的人権が対立したときに、調整する考え方

 「草案12 条 この憲法が国民の保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」

② 国民の義務の多さ  納税、労働、教育の3つ(労働、教育は権利でもある)から10へ

 国防義務(草案前文3 段)、日の丸・君が代尊重義務(草案3 条)、領土・資源確保義務(草案9 条の3)、公益及び公の秩序服従義務(草案12 条)、個人情報不当取得等禁止義務(草案19 条の2)、家族助け合い義務(草案24 条)、環境保全義務(草案25 条の2)、地方自治負担分担義務(草案92 条2 項)、緊急事態指示服従義務(草案99 条3 項)、そして憲法尊重擁護義務(草案102 条1項)

●戦争国家  

①国防軍創設、交戦権否定の削除、無制限な「自衛権」の容認/軍事法廷、国防の義務

 →「戦力の放棄」のもとでの自衛隊 / 自然権として自己防衛のための最小限度の実力装置と規定
 ゆえに、海外の武力行使はできない。/ 憲法に自衛隊を明記すれば、海外での武力行使が可能に

②緊急事態条項
 大規模災害、有事を「口実」に首相が立法措置/ 戦前日本、ナチスの反省からあえて憲法策定時に採用しなかった。

*現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相 46年7月、帝国議会衆院憲法改正案委員会での発言
「緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」

 →災害対策基本法、国民保護法など法は整備されている。
   実際の災害現場では、国の硬直的な規定、指示が、復旧、救済の障害になっている。

③侵略戦争「反省」の前文の削除

*自民案の前文 あの独裁国家と同じ
・自民案「日本国は長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって…良き伝統と…」
・中国 「中国は世界で最も古い歴史を有する国の一つである。中国の諸民族人民は、ともに輝かしい文化を築き上げ、栄光ある革命の伝統をもっている」
・北朝鮮 「偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志の思想と指導を具現した主体の社会主義祖国である」

④報道・政治活動の制限
 表現・結社の自由について、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」(草案21条2項)

●新自由主義 

・前文 「活力ある経済活動を通じて国を成長させる。」
・22条経済活動の自由、29条財産権にあった「公共の福祉」の制限を削除
・24条「家族の助け合い」→ 市場原理でこぼれ落ちる部分は助け合い、ボランティアで

●福祉国家の解体

①財政健全主義
 赤字財政の禁止措置を主張することで、福祉国家型財政の膨張に歯止めをかける役割が期待される条文
「草案86条2項  「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない」

②地方自治体に福祉国家の機能をゆだねようとしている/ 国と地方の役割分担

③地方自治の行政において、住民に責任と負担義務を課し、自治体財政を地域的受益者負担主義の徹底

 「草案92 条1 項 地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自律的かつ総合的に実施することを旨として行う。
 同2 項 住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。」

【改憲の底流】

①安倍首相の個性 ~戦前の日本を最も勢いがあった国・「美しい国」、日米同盟を「血の同盟」に改革~
戦争指導者の一人、祖父・岸信介への尊敬

★押し付け憲法論は破綻している
・3-6 ラウエル「私的グループによる憲法改正草案(憲法研究会案)に対する所見」 1946年1月11日

 GHQは、民政局のラウエルを中心として、日本国内で発表される憲法改正諸案に強い関心を寄せていた。なかでもとりわけ注目したのは憲法研究会案であり、ラウエルがこれに綿密な検討を加え、その所見をまとめたものがこの文書である。彼は、憲法研究会案の諸条項は「民主主義的で、賛成できる」とし、かつ国民主権主義や国民投票制度などの規定については「いちじるしく自由主義的」と評価している。憲法研究会案とGHQ草案との近似性は早くから指摘されていたが、1959(昭和34)年にこの文書の存在が明らかになったことで、憲法研究会案がGHQ草案作成に大きな影響を与えていたことが確認された。
~ 国会図書館 日本国憲法の誕生 資料と解説より 

・憲法調査会の案は、植木枝盛の憲法草案が原型

 鈴木安蔵は、自由民権運動に光を当てた憲法学者で、昭和11年、高知を訪れ植木枝盛の憲法草案を再発見する。そして敗戦後、鈴木は憲法研究会のメンバーとして昭和20年(1945年)「憲法草案」を作成。その際、植木枝盛を始めとする自由民権運動の思想(「統治権は日本国民より発す」)を取り入れた。要綱発表の記者会見で、鈴木は枝盛らの憲法草案を参考にしたと説明している。
~  最近の記事でも…「憲法の源流に高知県の植木枝盛の草案、思想が息づく」 2016/5/3 高知新聞

・マッカーサーが憲法調査会の高柳会長におくった書簡の発見 2016//8

 書簡には「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです」「提案に驚きましたが、わたくしも心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示され、わたくしを感動させました」とある。
~ 「9条提案は幣原首相」  史料発見の東大名誉教授・堀尾輝久さんに聞く 東京新聞8月12日

②経済のグローバル化に対応した国家形成

 1990年代以降に生じた動きで、地球規模での市場化、主体が多国籍企業であること、IT革命の進行~ 市場が世界的に膨張する一方で、その市場の主体である企業は母国を持ち、その母国は領土が限定されている。その矛盾を解決するため、市場原理にそって、母国国家の影響力を拡大する道 ~新自由主義、軍事力強化
 
・日本の大企業も多国籍化枷~ 企業の負担を軽くするために福祉国家の解体が目指され、他方で、海外での経済活動を守るために、軍事国家化〔軍事メーカーの利益確保〕
→ に対応するのが、自民党の改憲草案。

③ 歴史修正主義とグローバリズムの補完性と矛盾
・グローバリズムによる格差と貧困の拡大、売国政策を、偏狭なナショナリズムによって覆い隠す/経済的に深く結びついたグローバル経済のもとで、偏狭なナショナリズムによる緊張・対立が経済活動の障壁になる矛盾

【たたかいの展望】

○国会議員2/3とどうみるか 

・改憲発議は、条項毎/ 条項で一致しないと発議できない / 国防軍」に公明党が難色など
 改憲勢力も一致していない 自民 9条、維新 地方自治(道州制)、公明 環境権
・今後、憲法審査会での議論が開始され、18年12月までに衆議院選挙
 ~自民総裁延長論(2期6年) 「3期9年」「無制限」/安倍「任期中の改憲」のため、土俵の拡大

*「日本国憲法今も最先端  朝日新聞 2012/5/3」
 ワシントン大学のデービツド・ロー教授とバージニア大学のミラ・バースティーグ准教授ら米国の法学者たちが、成文化された世界のすべての憲法188カ国分を分析した結果、日本の憲法は「65歳」になるが、「世界の最新版と比べても遜色がない」

*世論調査
・憲法 「変える必要はない」昨年の48%から55%、「必要がある」43%から37% 朝日2016/5/3
・安倍政権のもとで憲法改正  賛成は31%で、反対の48%  朝日2016/6/24

○私たちにできること・・・
① 憲法や情勢について学習を怠らないようにしましょう。
とりわけ、自民党「日本国憲法改正草案」については、その危険性の理解を深めましょう。
②学びを力に行動にとりくみましょう。
方法は、1人1人が最も得意とするところで力を発揮する工夫をしましょう。
③次期衆議院選挙が極めて重要です。学び、行動する仲間の数をふやしましょう。

~ 必勝法は、勝つまであきらないこと。たたかいをやめないことです。

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