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アベ流「同一労働同一賃金」の欺瞞~オール成果主義化

 大木一訓・日本福祉大名誉教授「貧困・格差への民衆の怒りと経済民主主義の課題」経済2016.10より

「非正規」という言葉をなくし、すべて企業業績への貢献度のみで賃金を決定――しかも、経営陣のさじ加減、という差別的かつ低賃金が蔓延する貧困社会。それがアベ流「同一労働同一賃金」の実現である。

■財界の「同一労働同一賃金」提言の欺瞞

・経団連提言「同一労働同一賃金の実現にむけて」(2016.7.19)
~安倍政権 6月閣議決定 「一億総活躍プラン」で「同一労働同一賃金の実現」を目標に決定 /人気取りの側面/また、非正規、女性差別など、国内外から是正をもとめられ、先延ばしできなくなった

★その「解決」方法 ~ 「成果主義賃金」を「同一労働同一賃金」と認めさせること
 非正規への差別の合法化、企業ごとの賃金決定への外部からの介入防止など、成果主義賃金を、法定期に認めさせ、その適用範囲を非正規を含めて、如何に拡大させるか、というもの

・「提言」~「わが国雇用慣行の良い面が損なわれないようにする必要」がある、として/「同一の付加価値を企業にもたらすと評価される労働に対して、同じ賃金を支払うことを許容すべき」というもの
→ 企業業績への貢献度を、経営側が一方的に評価し、成果主義賃金を「同一労働同一賃金」として認めよ、というもの

・「提言」の「日本型同一労働同一賃金」とは「自社にとって同一労働と評価される場合に、同じ賃金を支払うこと」/と法律上定義しようとしている /これは、非正規労働者にも適用される

・「提言」/「同一労働同一賃金」は「有利に取り扱うことも許されない両面的規制である」と指摘
→ 非正規労働者への成果主義導入によって、正規労働者の労働条件切り下げを意図したもの(メモ者 正規労働者の「優遇」も許さない)

★日本型同一労働同一賃金の矛盾
・「自社にとって」として「待遇差が合理的か不合理か」について、客観的な社会的基準を設けることは拒否
~「わが国では企業内の労使自治で賃金決定している」」というのが「言い訳」
/大企業の労使関係の実態… 要求交渉、団体交渉は過去の話。「労使懇談」であり、チェック機能なし

・経団連 「同一労働同一賃金」法の否定 ~ 労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の一括改定で、「同一労働同一賃金」の規定をもりこみたい、との意向
→「提言」/水町勇一・東大社会科学研究所教授の「非正規労働者の不利益取扱いを正当化する『合理的理由』に関する研究」(11年7月)を引用しているように、財界も何年も前から、欧米の実態調査をするなど「合理的理由」について研究してきた。

→「日本型同一労働同一賃金」に固執する限り、全企業に適用できる基準など策定しようがない/ことの自白
→財界/非正規に対する「待遇差」が合理的であることを立証する使用者責任を拒否 /政府に、関係のない学校教育対策などをあげるだけ

★財界の本音/政府公認の「同一労働同一賃金」の看板のもとに、格差・低賃金の拡大に導く成果主義賃金の拡大を、監督官庁に邪魔されずに自由に進めたい、ということ
/これがアベ流「同一労働同一賃金」の源泉

■労働と賃金のつながりを否定
・財界の攻撃の本質/ 今日の差別的低賃金の攻撃は、労働と賃金のつながりそのものを否定
/労働基準法11条「賃金とは…労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」の無視

・財界の主張/ 賃金は企業が設定した目標をどれだけ達成したかに応じて支払われるもの、企業が手に入れる「付加価値」または収益の分け前として支払われるものという、労働者の生存権を否定するもの

(メモ者 マルクスによって論破されつくした19世紀的「主張」/また、今日の少子化は「労働力の再生産」に支障をきたすほどに、賃金が低下していることを示すもの。)

~ 安倍政権の「高度プロフェッショナル制度」(残業タダ働き法案)は、その典型 
→ 賃労働否定論を正規、非正規すべでの労働者の賃金に適用したい、というのがアベ流「同一労働同一賃金」の実現

・労動基準法2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの」の否定
~ 賃金は、経営者のさじ加減1つとなってしまう。

【参照】
■労働者の生計費を保証する算定基準
・最賃について、企業の支払い能力、低賃金の広がりに配慮して、最賃を抑制するのではなく、単身の労働者が生活できるだけのものに保障すべき

・今日の労働運動の大きな成果の1つ 07年、最賃法9条改正
3項「労働者の生計費を考慮するにあたっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことがてきるよう、生活保護に係わる施策との整合性に配慮するものとする」を追加させる

→ 最賃決定にあたって考慮すべき3要素(生計費、賃金実態、支払い能力)のうち「生計費を考慮するにあたっては」という限定付ではあるが、憲法25条の生存権保障の観点から決定されることを明示
/現行法のもとでも、生計費の比重が断然大きくなっている。

・全労連の全国調査で、都市部でも地方でも生計費にほとんど差がないことが明らかになっている。(メモ者 都市部は家賃、地方では車所有などに差)

(メモ者 生活保護との整合性という場合/ 生活保護では税・保険料の免除、医療費無料化により、保護基準の生活に見合う賃金収入は、その1.4倍となる 金沢・研究
 例えば、高知市の公共調達条例は、賃金の下限を、生活保護基準〔住宅扶助ぬき〕を考慮して決定しているが、結果として最賃とほとんどかわらない水準となっている。)

■ 最賃を広範な連帯・共闘の柱に
1 最賃と生活保護など社会保障給付とのつながりが明らかにされる中「最賃と社会保障は車の両輪」というスローガンに新たな息吹が吹き込まれようとしていること
〔メモ者 社会保障は、労働者の貧困をなくすために、労働力の急迫販売をなくすために、失業保険、無拠出老齢年金など整備することからはじまった。まさに一体不可分の関係にある/ 学習運動の1つの肝〕

2 全国一律最賃の実現にむけて、抜本的な中小企業支援、零細業者の最低生活保障の要求のつながりについて、究明し、最賃制をナショナルミニマム確立の中心課題として発展させるべき
〔メモ者  これは、地方への富の再分配ともなり、全国レベルの持続可能な社会を実現する力ともなる〕

3 組織労働者の大半が最賃制の運動に統一して立ち上がっていない。労働組合の動向を変えていくことが、貧困・格差とのたたかいの重要な課題となっている。
〔メモ者 公務職場の非正規問題。保育・介護・看護分野の一手不足、少子化問題など、差別的低賃金構造が、社会の健全な運営を阻害していることが、誰の目にも明らかになってきている。
 また、大手の組合では、時短、ライフワークバランスなど、正規のイスを増やす運動が、実質的に最賃運動と連帯する運動として、重視すべきポイントではないか、と編もう〕

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