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福祉用具の自己負担化~重症化、給付増の愚策

 福祉用具レンタルを原則自己負担化の検討が進んでいる。6月高知市議会での論戦を以前紹介したが、東京新聞が同紙の報道への反響を紹介している。
 その中で、紹介している日本福祉用具供給協会の今年3月の調査結果。「用具利用以前は半数以上が転倒を経験」し、用具が使えなくなると訪問介護を利用するなどで、「低くとも年間1370億円のコスト増になり、介護人材も新たに10万人以上必要」〔現在の給付額は95億円〕で、まとめでは「福祉用具貸与サービスは、軽度の要介護者にとってローコストながら居宅での生活や地域社会とのかかわりなど高いQOL も維持できる、効果の高いサービスであることが確認された。」としている。

【福祉用具レンタルの原則自己負担方針 本紙報道に反響続々 東京8/19】

【利用している福祉用具の代替手段に関する調査報告書 〜概要版〜 平成28年3月 日本福祉用具供給協会】

 【福祉用具レンタルの原則自己負担方針 本紙報道に反響続々 東京8/19】

福祉の充実に使うと言っていたお金はどこへ-。要介護度の軽い人たちについて、福祉用具レンタルを原則自己負担化するとの財務省案。利用者から悲鳴が上がっていると三日の本紙朝刊暮らし面が伝えたところ、読者らから反響が相次いだ。安倍政権が掲げる「一億総活躍」に反し弱者いじめそのものでは、というのだ。 (編集委員・白鳥龍也)
 記事では、車いすや段差解消用のリフトを月五千五百円(一割)の負担で利用する高齢男性の例を紹介した。東京都八王子市の七十代女性からは本紙読者部に「レンタル代が十倍になったら(年額)六十万円を超える。老後が心配」と、電話で意見が寄せられた。

 本紙編集局の各部が設けるツイッターなど交流サイトには記事の転載をした参加者が「自己負担できない人はどうする」といった書き込みをした。「高齢者の甘え」とする声もあったが「(政府は)弱い者いじめばかり」「(弱者切り捨ての)この状態なのに『一億総活躍社会』を推し進めるって」と批判が多かった。
 「通院や外出、日常生活に著しい支障が出る。状態が悪化し寝たきりとかになってしまいそう」など政策効果を疑問視する声も。「軽度者」への用具貸与のため政府が介護保険から給付しているのはことし二月分で九十五億円。介護保険全体の1・4%にすぎない。
 
事業者団体の日本福祉用具供給協会が、利用者約五百人に行った調査では、用具利用以前は半数以上が転倒を経験していたが、利用後は九割以上で転倒の不安が軽減したという。一方、用具が使えなくなったら、種類によっては25%の人が「訪問介護を依頼する」と回答。これを基に、国全体で訪問介護の費用がどのくらい増えるか試算したところ、低くとも年間千三百七十億円のコスト増になり、介護人材も新たに十万人以上必要になるとはじいた。
 脳出血で左半身まひとなったが、車いすと介護タクシーで片道一時間の通院や買い物もこなす盛岡市の内村タヱさん(68)=要介護2=は「車いすは体の一部。全額負担になったら家さこもって暗くなってなくちゃいけないんだべなと思ってる。現場をちゃんと見て決めて」と訴える。

◆介護軽度者を見直し
 政府が二〇一五年六月に閣議決定した「骨太の方針」は福祉用具のレンタルを含む軽度者向けサービスの見直しを明記。政府は訪問介護の生活援助やバリアフリー化の住宅改修費の見直しも検討している。財務省は介護保険の給付から外し、一部還付も念頭に置いた原則自己負担を主張。厚生労働省社会保障審議会介護保険部会は年内の結論を目指し議論を進めている。
 本紙は三日暮らし面で「対象の高齢者から悲鳴が上がっている」との記事を掲載。車いす生活の七十六歳の女性が「用具がなければ(家事や外出などが)全部できなくなり、認知症になりかねない」と不安がる様子などを紹介した。
(東京新聞)

【利用している福祉用具の代替手段に関する調査報告書 〜概要版〜 平成28年3月 日本福祉用具供給協会】

・調査のまとめ
● 福祉用具貸与が利用できなくなった場合には自立度が低下することの懸念があり、それを補う観点から、軽度要介護(要介護2まで)の福祉用具貸与サービス利用者は、利用している福祉用具種類により10 数%~ 25% が
代替としてヘルパーを依頼する意向を示している。

● また、利用する福祉用具と生活場面の組み合わせによって、トイレ・排泄、通院など必要な生活行動は家族等に介護を依頼する、あるいは散歩・趣味・娯楽などの生活行動はあきらめるとの回答も出ている。

● 福祉用具貸与から訪問介護(ヘルパー)に切り替えた場合は、低位試算でも、年間では5 種目の福祉用具合計で1,370 億円程度のコストアップが試算された。今回は主要5 種目のみを対象とした調査であり、福祉用具全
体としての影響はこれ以上になると考えられる。
〔5種目とは、車いす、歩行器、多点つえ、手すり、特殊寝台の5 種類の用具〕

● 福祉用具貸与から訪問介護(ヘルパー)に切り替えた場合は、介護人材に関しても、低位試算で10 万人以上の人材需要増となることが試算された。

● 訪問介護サービスの利用へ移行する分だけでなく、家族介護へ移行する部分、さらには外出行動など一部の生活行動をあきらめることによるQOL 低下分まで含めて金額換算すると、その社会的費用は上記よりもさらに拡大することが想定される。

● さらに、福祉用具貸与の利用者の中には、福祉用具貸与が利用できなくなると、ひきこもり、転倒、骨折による重度化を招くことになり「居宅での生活ができなくなり、施設入所になる」「医療機関の受診ができなくなる」「地域での活動などの社会的生活ができなくなる」など切実な危機感を訴える回答も少なからず得られた。

● 福祉用具を利用する前に転倒を経験したことがあるとの回答は、半数を超えており、福祉用具を利用することによってその不安や困難さが軽減したとの回答は、約9割に上る。福祉用具は転倒およびその不安軽減に効果をもたらしていると言える。

● 福祉機器心理評価スケールの評価結果からも、調査対象としたすべての福祉用具において、用具を利用することで前向きな生活意識が維持されていることが確認された。

● これらを踏まえると、福祉用具貸与サービスは、軽度の要介護者にとってローコストながら居宅での生活や地域社会とのかかわりなど高いQOL も維持できる、効果の高いサービスであることが確認された。

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