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中国、北朝鮮脅威論の欺瞞~日本海側の原発集中

 安保法制〔戦争法〕廃止、国防軍を創設する改憲阻止・・・日本の命運をめぐる重要な選挙戦が続いている。
 安倍首相は、戦争法で抑止力が高まり、日本の安全に寄与したといっている〔中国、北朝鮮の動き、テロの拡大をみても、なんら安全になっていない、という事実があるが〕、「中国、北朝鮮が攻撃してきたら・・・」という不安に一番の説明は、日本海側に集中する原発の存在であろう。
 以前にも書いた論点ですが、今回はプラスして、防衛費の実態にも触れてみました。

 福島原発事故は、電気を1日とめただけで、原発かメルトダウンすること、大量の使用済み核燃料がむき出しのプールに貯蔵してあること…で、その有事の際の脆弱性を示した。吉田所長は「イメージは東日本壊滅」と語っていた。そんなものが中国、北朝鮮にむかって林立しているのである。しかも、新規制基準は、航空機の墜落やミサイル攻撃への対策は無視。その基準でも、政府も再稼働を急がせている。

 これは日本が攻撃される事態など、政府も霞ヶ関もまったく考えてない、というなによりの証左であろう。

 なにより、日本と中国は互いに最大の貿易相手である。また中国はアメリカと違い、資源・エネルギー、食料など他国に頼っている。中国は、国際関係の調和の中でしか存続できない。
 偏狭なナショナリズムの声と権力維持の動機から、緊張を高める行動に出て、それが紛争を拡大させていく危険性は存在している。 武力衝突になれば、日本経済も深刻な打撃をうける。また、北朝鮮が崩壊し何十万人という難民が押し寄せてきたらどうなるか、
よって粘り強く外交的努力を続けていくことや民間レベルでの交流の拡大こそが求められる。

 では、安保法制の狙いは・・・・。米軍の手足となって、日本防衛と関係ない武力行使に出て行くこと。その最大の狙いは、軍備の拡大と実践による武器のブラッシュアップで輸出力を高め、軍需産業に奉仕することであろう。

 ちなみに、現在の自衛隊の装備は、日本防衛に不向きで完成もしていないF35の採用、ほとんど役にたたないミサイル防衛システム〔キャッシュ・ディスペンサーと揶揄される〕、使い道もきまってないオスプレイ〔米陸軍不採用〕、まともな運用もできないグローバルホークなどアメリカの高価な兵器を買う一方、時代遅れの戦車重視で10式戦車や機動戦闘車なる擬似戦車の開発やべらぼうに高くつく国産にこだわり、医療・衛星、整備・補修、輸送、情報ネットワークなど真に自衛隊員が専守防衛、災害復旧の活動をする上で不可欠なものを後回しに防衛費を浪費し、自衛隊を弱体化させている。

☆参考 【「お粗末な自衛隊の医療体制」  「WiLL」2015年11月号】
 この5月に高知の講演会で、陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さんは「自衛隊は戦傷者、戦死者を想定していない。一般隊員は救命措置のノウハウについての訓練は受けておらず、医療資格を有する隊員も少ない」と指摘している。

☆参考 【自衛隊の戦力は大きく弱体化する ~安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“~ 清谷信一 2014/12/29】


これも、日本が攻撃される事態など想定していない証拠である。真の狙いは、軍需産業の利益確保である。そのために日本の若者を犠牲にしようとしているのである。

 米国の軍事産業の株価は2013年以降、急上昇している。


米国の軍事費削減にかかわらず、中東でのIS台頭、アジア緊張などの影響もあり、軍事費が増大しているからである。
紛争がなければ、経済がまわらない。アイゼンハワー大統領の警告は今なお新しい課題である。

☆参考 5年前と比較しての株価の上昇率(2016年3月30日)
ロッキード・マーティン:233.46%
レイセオン:181.33%
ボーイング:95.74%

●アイゼンハワー大統領の離任演説
「我々は、政府の委員会等において、それが意図されたものであろうとなかろうと、軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません。誤って与えられた権力の出現がもたらすかも知れない悲劇の可能性は存在し、また存在し続けるでしょう。この軍産複合体の影響力が、我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません。
 何ごとも確かなものは一つもありません。警戒心を持ち見識ある市民のみが、巨大な軍産マシーンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができるのです。その結果として安全と自由とが共に維持され発展して行くでしょう。」

●ヘルマン・ゲーリング〔ナチス政権下の国家元帥〕 ~ ニュルンベルク裁判での発言
「……もちろん、国民は戦争を望みませんよ。……反対の声があろうがなかろうが、人々を政治指導者の望むようにするのは簡単です。
国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。そして国を更なる危険に曝す。このやり方はどんな国でも有効ですよ。」

【「お粗末な自衛隊の医療体制」  「WiLL」2015年11月号】

 自衛隊の衛生体制の不備については、以前から専門家らに指摘されていたが、「WiLL」11月号に都立広尾病院院長の佐々木勝氏が、「あまりにお粗末な自衛隊の医療体制」と題した記事を寄稿している。佐々木氏は、「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」の座長でもある。記事の要旨は以下の通り。

○自衛隊には中央病院や地区病院があるが、そこで勤務する医官たちは普段、救急対応をほとんどやっていない。中央病院の救急車搬入数は、広尾病院の僅か0.03%(平成26年)に過ぎない。生死を分ける急患の対応は、ひとえに経験がものを言うが、医官はその経験を積むことができていない。
 しかも、戦場での負傷は、通常の事故や事件によるものとは全く異なっており、有事の際、ぶっつけ本番状態で治療に当たることになる。果たして爆薬で顔を負傷したり、四肢が吹き飛ばされた隊員に適切な処置ができるだろうか、甚だ疑問。

○戦傷医療は第二次世界大戦以降、この70年間で大きく変わった。いまはできるだけ四肢の機能を残すことを考え、再接着できるものはして、なるべく四肢の欠損や障碍が残らないような処置を行うためのバックアップシステムが構築されている。

 米軍では、部隊の救護所、前線の外科チームに運び込むまで1時間、戦闘支援病院へ24時間以内に搬送、72時間以内に戦闘地域以外の病院へ搬送が可能。米軍はこのシステムを実践したことにより、戦闘死亡者数は減少し、死亡率をベトナム戦の15.8%からアフガン・イラク戦では9.4%まで減らした。この治療システムは、世界の戦場に広がっている。

○一方、自衛隊は、上記検討会を立ち上げ、戦場で負傷した場合、隊員同士でどうやって応急処置を行うか、どこまでの処置を可能とするか話し合っている段階。しかも、検討会では医官はオブザーバーとして座っているだけで積極的に発言しない。

○救急救命士以上の医療行為を衛生隊員等に認めないと、防ぎ得た戦傷死を減らすことはできない。

○9月には入ってから、第一線救命のための教育制度と法改正の検討開始を決めたようだが、救命隊員の育成に着手するのは平成29年度から。しかもその間、医官や中央病院、防衛医大などには改革の手が及ばないので、いくら前線の隊員が応急処置をしたところで、救える命も救えない。自衛隊や政府の動きは緩慢に過ぎる。

 佐々木氏は、以上の問題点を指摘した上で、自衛隊の戦傷医療システムを向上させ、防ぎ得た死を防ぐために以下の取り組みを提案している。

①使用させる兵器も含めた戦闘やテロに関わる情報を、医学的な側面からアドバイスできるシンクタンクを創設。
②戦闘やテロに特化した医療の体系を作り、安全・安心を提供。
③日本版NSCに医療担当部署を設置。
④救命だけでなく、可能な限り身体機能を温存するためのシステムを構築。
⑤医師個人の力量ではなく、組織を整え、情報も国家安全保障にかかわるものとして管理。
⑥米国や英国、イスラエルなど実戦経験のある軍と交流し、有事の際は医学的観点を政府要人にアドバイスできる組織を構築。
⑦本来、自衛隊の役割が大であるが、臨床経験が乏しいため、民間の経験者も活用。

 佐々木氏は、「このままでは結局、『誰かが命を落すまでは戦傷医療の対策は行われない』という事態になりかねません」と危惧しているが、恐らくその通りになるだろう。

 法律の不備もさることながら、従来、予算不足から正面装備が重視され、後方が疎かにされるという極めてバランスの悪い防衛力整備が行われてきた。従って、継戦能力を欠き、いざとなっても戦えないのではないかと、陸上幕僚長経験者も懸念している。

 医療(衛生)体制も疎かにされてきたもののひとつだ。個人携行救急品ひとつとっても、自衛隊のそれは米軍等と比べて貧弱であると、清谷信一氏が「軍事研究」10月号の記事「安保法制が成立すれば命懸けの戦場が待っている 陸上自衛隊の『個人携行救急品』 兵隊を殺すな!片端にするな!」で指摘している。また、自衛隊の衛生部隊には、装甲救急車も搬送用ヘリコプターも無いと、同氏は常々指摘している。

 ただ、政治家や防衛省・自衛隊が殊更隊員の命を軽視しているとは思われない。「いざとなったらアメリカ様が守ってくれる」という属国人根性にどっぷり染まり、真剣に有事を想定してこなかっただけだろう。

 しかし、GHQ体制から脱却するには、そんな甘えは許されない。医療体制に限らず、後方体制全般の充実整備が焦眉の急だ。

【自衛隊の戦力は大きく弱体化する ~安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“~ 清谷信一 2014/12/29】

今年は自衛隊の大幅な弱体化が進むだろう。その原因は安倍政権の無邪気なアメリカ製の高価な兵器の「大人買い」である。来年度予算以降、中期防衛力整備計画では滞空型大型無人機グローバルホーク3機、水陸両用装甲車、AAV752輛、ティルトローター輸送機、V-22オスプレイ17機が4年で調達される。

いずれも調達に毎年1000億円以上の巨額の費用がかかる。

防衛費は有り余っているわけではない。これら新型装備は物件費に含まれるが、「後年度負担」と呼ばれるツケ払いが可能である。防衛装備などは最大5年間の繰り延べ払いが可能となっている。
それは兵器などの装備の製造に年月がかかる場合が多いためではあるが、予算が少なくて単年度では支払えないという側面も大きい。このため大きな案件では本年度の予算はゼロ円で、次年度以降の4年間で支払うケースが少なくない。

つまりこの制度はクレジットカードのリボ払いのようなシステムだといえる。その「リボ払い」の比率は年々増えている。

来年度の防衛予算の概算要求では物件費(契約ベース)が3兆6,107億円で、その中で27年度予算での支払いは1兆342億円に過ぎず、後年度負担2兆5,766億円にも上る。防衛省はこれまでの、毎年少数ずつ装備を調達する方法ではコストが高いとしてまとめ買いを推進している。その一環として海上自衛隊のP-1哨戒機を来年度予算で20機を一括調達することによって403億円を削減することにしている。

だが、「リボ払い」が増えれば、そのような「まとめ買い」が出来る余地が無くなってくる。例えば月給30万円のサラリーマンが毎月5万円のリボ払いを使用しているのと、毎月20万円をリボ払い当てるであれば、後者の場合には使える小遣いの自由度が減るのと同じだ。リボ払い以外の10万の内、家賃などの支払いなどの固定費を除けば、つかえる小遣いは数万円程度だ。対してリボ払いが5万円程度ならば使える小遣いの自由度は大きい。この後、年度負担が増えれば増えるほど、予算の機動的運用や、効率的な一括調達ができづらくなる。

筆者の過去の記事で述べているが、上記の米国製新型装備は、初めに調達ありきという結論があり、導入にあたってまともな調査や評価すらされていない。
グローバルホークは1週間に数回程度しか使用できず、AAV7は島嶼防衛に使用するといって尖閣諸島などでは運用に適しておらず、宮古島や沖縄本島などの大きな島での上陸作戦に使用できず、焦眉の急となっている事態には役に立たない。何しろ既に旧式で、時代遅れとなっている装備だ。
オスプレイにしても降下に時間がかかり、機動力が低いので被撃墜率が極めて高い。長駆して輸送が必要ならば既存のUH-60やCH-47といったヘリに空中給油機能を付加するほうが余程コストが安く付く。

新装備に必要なのは調達費用だけではなく、新たな部隊の編成が必要である。少なく見ても五百~千名程度の人員が必要となる。つまり毎年の固定費用が増大する。

ところが、予算の約43パーセントを占める人件糧食費などは削れない。となれば、訓練費や装備の修理費、演習費、兵站などを削るしかない。

これまでも自衛隊は他国の数倍もすることが多い新装備の調達ばかりに熱心で、それ以外の予算を極端にケチってきた。
例えば80年代や90年代に採用された装甲車は近代化は勿論、オーバーホールすらされずに稼働率が大きく下がっている。また兵站を担うトラックの類も定数を大きく割り込んでいる。実際問題として戦闘組織として戦争ができるレベルにはないと筆者は考えている。

当然ならが国の借金が1000兆円を超え、毎年一兆円ずつ社会保障関連予算が増加している状態で、防衛予算を大きく増やすことはできない。安倍政権の無邪気なアメリカ製「玩具」の「大人買い」は、この戦力の低下を助長するだけであり、自衛隊の一層の弱体化を進めるだけだ。

現状を見る限り、兵器調達を通じて華やかな新兵器を調達しアメリカに貢げば我が国の安全保障、と信じ込んでいるとしか思えない。それは程度の悪い兵器フェチと同じであり、我が国はそれと同じ程度の人物が今後4年間も自衛隊の最高司令官として君臨することになる。これこそがまさに“国難”である。


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