南スーダン首都で戦闘150人死亡 陸自PKOが駐屯
独立5年の記念を前に、治安がよい、とされてきた首都シュバで、大統領派と元反政府派の間で戦闘が発生、少なくともが150名が死亡。
この6月に、国連が「民間人保護」で“武力行使ためらうな”と交戦規定徹底することを語っている。すでにPKO5原則は破綻している。
現在、首都ジュバにおいて、約350名の隊員が施設活動等を実施している。元自衛官の泥さんによれば、施設部隊は、その道のプロであり、武器使用、治安活動の訓練はほとんど受けていないとのこと。そうしたもとで「交戦規定徹底」を求められたらどうなるか。きわめて憂慮すべき事態である。
【衝突で兵士150人死亡=独立5周年、内戦再燃の恐れ―南スーダン 時事 7/10】
【南スーダン首都で戦闘115人死亡 独立5年、陸自PKO支援 東京7/10】
【南スーダンPKOで調査報告 「民間人保護」で“武力行使ためらうな” 国連が交戦規定徹底へ 赤旗 7/5】
【衝突で兵士150人死亡=独立5周年、内戦再燃の恐れ―南スーダン 時事 7/10】ジュバAFP=時事/
南スーダンは9日、独立から5年を迎えた。
前日には首都ジュバでキール大統領派とマシャール副大統領派の兵士が衝突し、副大統領報道官によると少なくとも150人が死亡。ジュバの緊張は高まっており、内戦再燃の恐れも出ている。同報道官は、キール大統領とかつて反政府勢力指導者だった副大統領の「双方の警護部隊全てが交戦した。死者は増える見通しだ」と語った。戦闘は大統領と副大統領が大統領府で会談している際に発生。小火器から重火器にエスカレートし、複数の場所で迫撃砲の音が響いた。
両派による戦闘は4月の暫定政府発足後初めて。大統領と副大統領は「不運な出来事」と述べた。ジュバは9日は厳戒態勢が敷かれ、外出する市民はまばら。各国政府は南スーダンからの退避勧告を出した。
【南スーダン首都で戦闘115人死亡 独立5年、陸自PKO支援 東京7/10】【ヨハネスブルク=共同】日本の陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)で支援する世界で最も新しい国、南スーダンが九日、独立して五年を迎えた。内戦終結の兆しが見えていたが、八日には首都ジュバで戦闘が発生、ロイター通信によると、少なくとも百十五人が死亡した。今年四月の移行政権発足以来、最悪の被害となった。対立が再燃したことで戦闘拡大への懸念が高まっている。
キール大統領が八日、独立記念日を前に声明を発表する直前、大統領府近くで大統領派と元反政府勢力の間で戦闘が始まった。ロイターによると、元反政府勢力側は九日、大統領派八十人と同勢力側三十五人が死亡したと明らかにした。
現地の日本大使館関係者によると、紀谷昌彦(きやまさひこ)・駐南スーダン日本大使は当時、ジュバ市内の欧州連合(EU)の施設にいた。安全のために施設内で一夜を過ごし、九日になって大使公邸に退避した。邦人の被害は確認されていない。
ジュバでは七日にも銃撃戦があり、五人が死亡。PKOでジュバの道路舗装や避難民キャンプの整備に従事する陸自第七師団(北海道千歳市)中心の十次隊はこれを受けて八日は活動を休止。九日は宿営地の国連施設内での作業を再開した。
南スーダンは二〇一三年、キール氏と元反政府勢力トップのマシャール氏の権力争いをきっかけに内戦状態に陥った。移行政権発足でマシャール氏は第一副大統領に就いた。
キール氏は八日、相次ぐ銃撃戦に「何の意味があるんだ」と怒りをあらわにし、マシャール氏も「和平協定を順守すべきだ」と訴えたが、両氏が末端の兵士らを統率できていないのは明らかだ。
内戦で経済も大きな打撃を受けた。国際通貨基金の調査チームは、原油生産量の大幅な減少と油価低迷で政府の収入が減り、今年の財政赤字が国内総生産の25%に当たる十一億ドル(約千百億円)を超える可能性があると指摘。政府は財政危機を理由に毎年恒例だった独立記念日の祝典を中止した。
【南スーダンPKOで調査報告 「民間人保護」で“武力行使ためらうな” 国連が交戦規定徹底へ 赤旗 7/5】今年2月、国連の平和維持活動(PKO)の国連南スーダン派遣団(UNMISS)が設置した民間人保護施設が襲撃され、多数の死者が出た事件について、国連本部による調査結果がこのほど安保理に報告されました。UNMISSの平和維持部隊の対応が「不十分」で、武力行使の基準を定めた「交戦規定」(ROE)の「理解の欠如」があったと指摘しました。今後、各部隊にROEの徹底を図るとしており、現地に展開する自衛隊も含め、「民間人保護」のための武力行使にためらわずに踏み切るよう強い圧力がかかっています。
同国北部マラカルでは、平和維持部隊の駐屯地内に民間人保護施設があり、武力紛争を逃れた国内避難民4万人を収容していました。2月17~18日、同施設で発生した暴力衝突に南スーダン政府軍兵士が介入して襲撃し、少なくとも30人が死亡し、123人が負傷しました。
報道によると事件当時、平和維持部隊にはエチオピア、ルワンダ、インドなどの兵士がいました。一部の兵士は施設のフェンスの警護を放棄し、別の国の部隊は武力行使を承認する文書が届くのを待ち、即座に反撃しなかったと調査報告書で言及されているといいます。国連安保理は6月22日、同事件の調査報告を受け非公開の討議を行いました。討議後に記者会見したエルベ・ラズース国連事務次長(平和維持活動担当)は「現地要員の一部に不十分な対応があり、ROEへの無理解があった」と指摘。「国連基地への致死的な攻撃に対し反撃しなかった一部の平和維持部隊と将校は、本国に送り返される」とまで述べました。
同氏はまた、「トップから現場の2等兵まで、全員がROEを徹底的に理解するようにしなければならない」と指摘。部隊の交代の際には、「直ちに新たな人々が(ROEなどについて)訓練を受けるようにしなければならない」と述べました。PKOのROEは原則非公表ですが、現在UNMISSの平和維持部隊は、国連決議によって民間人保護のために「必要なあらゆる手段」の行使を認められています。
現地の匿名の国連当局者や援助関係者の声として、国連部隊が断固たる武力行使で民間人を保護していないことへの批判が報じられています。一方で、国連部隊が政府軍兵士への本格的な武力行使に出た場合、事態が「急速にエスカレートしかねない」との懸念も出ています。
UNMISSの6カ所の民間人保護施設では6月現在16万人近い避難民を収容。自衛隊が任務にあたる首都ジュバには約2万8千人の避難民がいます。
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