検証 高知市の行財政 メモ
先日の学習会のレジュメに手をいれたもの。
地方財政の仕組みは複雑だが、だまされないためには市民の学習運動、研究が大事になっている。
【検証 高知市の行財政 2016.7.17】
「財政再建は完了した」〔昨年11月市長選〕が・・・ 競輪場、かるぽーとなど・・・前市政のつくった財政危機(市は「09-13年度で300億円の赤字」と説明)に、岡崎市政はどう対応してきたか、を検証
■「財政再建」に典型的にあらわれた岡崎市政の特徴
①市民負担増 一例ですが・・・
・下水道値上げ(09年度) 年11億円
・国保値上げ 07年度、13年度 年 4億円
・国保料の独自減免制度廃止 年 4億円
・他にも手数料値上げなど100項目以上の「見直し」 年 数億円
②職員削減
春野、鏡、土佐山と合併前の職員数より200名も少ない
〔合併前より、職員給与年 27億円減〕
★私たちの主張
「もともと高知市は効率的な運営。大型事業の借金返済のピークをすぎれば、財政は急速に改善。市民負担は必要なし」
・人的経費 中核市平均より住民一人当たり1万円少ない /市全体では33億円
・公務の質と真の効率性
・ゴミ処理費の低さ 市全体で中核市平均より11.5億円低い
・故障続きの灰溶融炉撤去の判断
7千万円のコスト減。売電益の大幅増(1.5億円が7億円近い額)
・医療センターのPFI解除 県市で20年間で44億円のコスト減
★ 専門家の指摘とも一致 (08年設置 市財政懇話会座長)
「高知市の経常収支比率で、人的経費(人件費、物件費)は低い。「行革」の範は示さないといけないが、ここで削れるところは極めて少ない」
「人件費の低下は市民サービスの低下に結びつくもの。ここだけ削れというのは懇話会としても無責任」
「大きく改善するには投資的経費」「財政力を超える規模の都市整備を進めてきた結果が今の姿」
■「財政再建」(09-13年)の取り組の結果、どうなったか
①異常な改善 計画以上に166億円も改善 年33億円
借金返済を前倒し。基金(貯金)を積み増し
( 計画分も含めると・・・5年で663億円の改善 )
★ なぜ「異常」というか 自治体の財政運営の基本
A、家計とは、根本が違う
・自治体には、退職、死亡がない。
・「世代間負担の公平」 30年使うハードなら30年間使う人が年々負担する /借金して事業するのが正常な姿
少なすぎる 必要な事業をしていない
急速な改善 一時期の住民ののみ過度の負担
B、収支不足について
その年の歳出計画に対して、歳入不足分 ・・・・ 借金の返済、基金の積み上げを増やせば、いくらでも演出できる/ 異常な改善の途上も、市は、毎年 何十億円の収支不足と主張してきた。
②行過ぎた職員削減で、行政サービスの後退
・13年度 避難タワー3基、避難路整備101件 事業実施できず
・鏡村での土砂災害 現場をよく知る職員がいない
・昨年、女児虐待死事件 ケースワーカー不足
・保育など専門性の継続の危機
・メンタルでの長期病休 3倍化
~目的を果たせない「職員削減」は、「非効率」の典型
面積が広く人口密度が低い、低所得者が多い・・実態を無視
他都市比較、多いのは民生部門、清掃含む衛生部門
→民生部門は人不足、清掃は直営で効率的・・・実態を無視
■問われているのは 「異常に改善した財政」をどう使うか
(1)反省していない岡崎市政
①財政危機の原因を反省していない岡崎市長
・「大規模事業が一時期に集中したため」「国の地方財政削減の影響」と強弁
新庁舎 90億円の計画が一気に180億円に
突然の桂浜「道の駅」構想、新図書館西敷地の高度利用 など
【参考】 高知市 一般会計 当初予算
2016年 1,553億円 2011年 1,360億円
2015年 1,509億円 2010年 1,290億円
②暮らしへの冷めたさも変わらず
・「国保、上下水道は独立採算、赤字になれば料金見直し」〔市長 15/12〕
○国保会計に、一般会計から投入すべきお金を入れず。反省もない
高い国保料を押しつけ /この額、12年間で計58億円
保険料の独自減免分による減少 年4億円
地方単独事業波及分〔いわゆるペナルティ分〕 年1.5億円
財政安定化支援事業 自治体負担分 年1.2億円
→ 市は「国保基金40億円あったから」というが、その基金も高すぎた保険料が生み出したもの。
○水道関係 一般会計から繰り入れるべき耐震事業の18億円をサボる
→ 一般会計からの繰り入れの半分は交付税措置・・・・つまり、国の財政支援9億円を失う
③特定勢力に弱い市政、市民の声を聞かない市政
・「特定市民・業者・OBの問題などマスコミをにぎわしてきた。
原因はトップが毅然としないから。が、そのツケは現場職員へ〔賠償や処分〕
・ 長期計画にない建設事業の浮上などもその現れ
・その根幹に同和行政の存続 〔市民会館の縮小など、予算的には大きく改善させてきたが・・・〕
市営住宅の募集で「差別」 同和向きは、市民会館だよりだけで広報。市民全体に知らせない
募集の倍率 同和向け 2倍程度、 一般向け10倍以上
→ 「声の大きな」ものに弱い → 道理がとおらない→ 公務の劣化を招いている、
★外部監査も指摘 「安易な外部委託、随意契約」~ 無駄と非効率が蔓延
・“アウトソーシングが目的化している”。「サービスの向上」について評価も評価基準もなく、再委託が横行しているとし、“まず「何をしようとしているのか」そのために「直営か委託かも含めてどのような手段によるのか」もう一度覚醒した意識下で再検討する必要がある”
・委託契約の7割、62億円が随意契約について“他業者、他都市との比較もしてない”“費用等の具体的数字をもってない”“意味なく随意契約をつづけている。”“初めから「この業者」での契約”
などなど
・市民の声を聞くことを徹底して軽視 ・・・・ここが最大の問題
庁舎建設 住民説明会、ワークショップなし
旭再開発 住民の自主的組織とは「会わない」
児童クラブ値上げ 保護者会に説明なし
浦戸「道の駅」構想 地元要望の「やらせ」
新図書館西敷地 住民説明会開かない
(2) 市民運動、議会内外の運動でつくった変化
①施策の遅れを指摘・
・子どもの医療費の無料化が県下最低で、就学前
・第三子保育料無料化を県下で唯一実施してない
・中学校給食は16㌫の実施率で、四国の他の県都100%
・国保への法定外繰り入れを実施してない数少ない中核市
・避難タワーの計画が1つも進展していない。
~ 大型事業・同和偏重から財政危機を生み出した失政を繰り返さず、暮らし第一に、市政の流れを変えることを訴えた。
②この間の変化~財政の「異常な改善」を明らかにする中で前進築く
・保育料では、第三子無料化の実現を求める中で、市は同時入所の第二子の無料化に踏み切りました。
・中学校給食も、署名など市民の運動と力をあわせ実施が確定
・国保の繰り入れが復活し、財政安定化支援事業では、市財政の留保分で対応する2割分の繰り入れも実現
・津波避難タワーの建設、ブロック塀対策の県事業導入など、一定の変化も生まれている。
・ブラック企業、貧困が問題になる中、同僚議員と、公共調達条例を改定
・経済対策として、住宅リフォーム助成制度が実現
■ 市民が主人公、命と暮らしに向き合う市政を
① 大型事業、同和偏重 財政危機招いた失政と手を切る
~ 市民参加、職員の知恵と力を生かすボトムアップ型の公正な市政へ
★ 社会資本の老朽化、公共施設の更新、維持・補修が重要課題に
~ 市民参加で、まちづくりの姿を議論することがますます重要に
◎市の公共施設マネジメント計画のスケッチ
・施設面積の3割削減が目標
・高知市と人口規模が同等(30~40 万人)の自治体25 市との比較で「公共施設の整備量が,他都市と比べて多い」「今後,公共施設の管理・運営・老朽化への対応等が,重い負担となる」
・延床面積…学校教育系施設や公営住宅がその大部分を占める。
・施設分類別…学校,その他学校教育系施設,幼保・こども園,幼児・児童施設,図書館,高齢者福祉施設,障害者福祉施設,その他保健・福祉施設,医療施設の老朽化率が高く,特に幼児・児童施設,図書館,その他保健・福祉施設,医療施設は老朽化率が90%を超えている。
・施設分類別の支出…子育て支援施設が全体の約24.0%で一番多い。
→ 学校の統廃合、保育所、福祉施設の民営化のテコに使われる懸念
◎一方、職員の知恵と力の例・・・清掃工場の長寿命化計画
今年で稼動15年。普通20~30年といわれる耐用年数を、今後、2度の長寿寿命化整備を実施し、45年間使おうという構想。
② 反貧困、福祉と防災のまちづくり
《 求められる課題 特徴的なものとして 》
・低所得、子どもの貧困対策・・・
生活保護率、全国平均の倍
就学援助率 全国平均16%、小学生3割、中学生4割
→ 中学までの医療費無料化 6.4憶円
国保料 1万円引き下げ4億円
一方、岡崎市政は、ゴミ有料化(6.5億円の負担)をあきらめていない
・高齢者9万人、うち3万人が単身。一方、南海トラフ地震(長期浸水)
など、福祉と防災のまちづくりが重要
→ アテラーノ旭のような地域の拠点づくり (市は補助金廃止した)
もっとも、ンパワーがもとめられる分野・・・公務の出番
・福祉と防災のまちづくりと一体で雇用確保
身近な防災、バリアフリー事業で仕事づくり
高知市の最大の雇用の場である医療介護福祉分野の充実
〔介護事業所の支援も検討課題/ 県は、中山間地の事業所の維持のために独自の補助金〕
~ マンパワーがもとめられる・・・公務の出番
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