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県の説明責任~伊方3号機の「弾性設計用地震動Sd」公表を

 震度7が2度襲った熊本地震を教訓に、基準地震動の揺れが繰り返し襲った場合について、6月県議会の質問でとりあげた。
  知事は「万万が一、仮にも、基準地震動に相当する揺れが繰り返し起こった場合でも、伊方発電所の安全上重要な施設や設備のほとんどは、揺れによる力を受けて変形しても元の形状に戻り、ダメージを受けない弾性の範囲内に留まることから、機能を喪失することがないことを確認をいたしております。」と答弁した。
 これは5月12日の勉強会で四電が語った説明とほぼ同じであるが、そもそも「弾性設計用地震動Sd」は「基準地震動Ss」の「0.5を下回らない」しか求められていない。
  09年の四電の資料で「弾性設計用地震動(Sd)は基準地震動Ss-1(最大加速度:570ガル)に0.6を乗じた地震動(最大加速度:342ガル)で代表している」と記述がある。
 関電の09年の資料でも「Sd/Ss〔水平〕」は、美浜 390/750ガル 大飯360/700ガル 高浜320/500ガルとなっているグラフが掲載されている。
 これはSクラスの機器は、Ssの揺れのあと、たとえS1クラスの揺れが来ても弾性範囲は収まることで「安全機能保持をより確実なもの」にしているのである。

 県は、確認したというなら、伊方3号機の重要機器の「弾性設計用地震動Sd」がいくらになっているか、公表するとともに、そのデータを第三者の検証さへるべきである。


 四電は、基準地震動は650ガルだが、愛媛県の要請に応え、ボルトの増設など耐震性を強化し「概ね1000ガルの揺れに対する耐震性が確保されることを確認した」と報告しているが、その中には「弾性範囲」についての説明はない。
 勉強会の後、確認作業をしたというが、肝心なデータは、公開の勉強会後の話しであり、公表されていない。
これは、安全性確保のために、県民目線で、公開の場で疑問を徹底してぶつけてきた。というスタンスにも反する。

 【関電、四電の資料より】
◆ 「伊方発電所1,2,3号機原子炉建屋の弾性設計用地震動Sdによる確認結果の概要」(平成21年3月四国電力株式会社)

“弾性設計用地震動Sdは、基準地震動Ssによる安全機能保持をより確実なものとする観点から、弾性設計用地震動Sdと基準地震動Ssの比率(Sd/Ss)を0.5とするが、旧耐震指針における設置変更許可(3号機増設)時の基準地震動S1(最大加速度:221ガル)を下回らないよう配慮することとし、Sdは応答スペクトルに基づく手法による基準地震動Ss-1(最大加速度:570ガル)に0.6を乗じた地震動(最大加速度:342ガル)で代表。”
となっている。


◆「当社原子力発電所 耐震安全性評価の中間報告書(追補版)の提出について」(2009年3月31日 関西電力株式会社)より
“当社は、平成21年2月25日に原子力安全・保安院より示された「活断層等に係る中間的整理(案)」(以下、「中間的整理(案)」という)および新潟県中越沖地震の知見ならびに福井県原子力安全専門委員会でのご意見等を踏まえ、3月3日の原子力安全・保安院の審議会において基準地震動Ssを再計算(美浜発電所:750ガル、大飯発電所:700ガル[中間報告時は、美浜、大飯発電所ともに600ガル]、高浜発電所:550ガル[中間報告時から変更なし])してお示しし、直ちに設備の耐震安全性評価を進めていくこととしていました。

 本日提出した中間報告書(追補版)では、今回、改めて基準地震動を上記数値に見直し、当社原子力発電所の全号機について、上記基準地震動Ssをもとに原子炉建屋や安全上重要な主要施設耐震解析を実施し、その全てにおいて耐震安全性が確保されていることを確認しました。
 また併せて、原子力発電所の安全機能が確実に保持される目安となる弾性設計用地震動Sdについても、それぞれ発電所の原子炉建屋に対する評価を行い、評価基準を満足していることを確認しました。”
とし、以下の別表を示している。

Data530


下の3つのグラフ…Sd/Ss〔水平〕  美浜 390/750ガル 大飯360/700ガル 高浜320/500ガル

【以下、弾性設計用地震動Sd と 基準地震動Ss の関係の私なりの整理】

◆原子力規制委員会の資料「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド〔2013年4月5日)」~
・ 基準地震動Ssとは、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」についての解放基盤表面における水平方向及び鉛直方向の地震動。
・ Sクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)は、基準地震動Ssによる地震力に対してその安全機能が保持できること。また、弾性設計用地震力又は静的地震力のいずれか大きい方の地震力に対しては、概ね弾性状態に留まる範囲で耐えること。

・ 弾性設計用地震動Sdは、基準地震動Ssとの応答スペクトルの比率が目安として0.5 を下回らないような値で工学的判断に基づいて設定すること
(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 平成18 年9月19日 原子力安全委員会決定」における弾性設計用地震動Sd の規定と同様)
~ 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針・・・2006年9月19日)」
 弾性設計用地震動Sdは、旧指針における基準地震動S1が耐震設計上果たしてきた役割の一部。

◎弾性設計用地震動Sd と 基準地震動Ss の関係
・新指針 基準地震動     Ss > 弾性設計用地震動 Sd  
・旧指針 設計用限界地震動  S2 > 設計用最強地震動 S1
⇒ Sd/Ss≧0.5。 Sd≒S1

◆旧指針の基準地震動/ (「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」06年9月19日)
・基本方針は「発電用原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない」。
 ~「いかなる地震力」とは、耐震設計のための基準地震動は想定しうる最大限の地震動。
・基準地震動…施設の建物・構築物及び機器・配管系の重要度に相応し、地震動S1 及びS2 の2種類に区分
S1…設計用最強地震として、発電所周辺で過去に発生した地震と周辺の活断層から想定される地震
S2…設計用最強地震よりも大きな設計用限界地震として、周辺の活断層や地震地体構造から想定される地震、及び、マグニチュード6.5の直下地震を考慮

・原子力安全・保安院は「原子力発電所に係る耐震設計の概要」
Data533

☆つまり、Asクラスの各施設(原子炉、炉心冷却装置、放射性物質を内蔵している施設等)の機器は「設計用限界地震:S2」に襲われて、弾性限界(S1と同程度)を超えることがあっても、つまり機器が変形してしまっても、安全機能を保持することを求めている。

…As 旧耐震指針の耐震重要度Aの中で特に重視するもの。新指針では、As含むAランクをSランクと規定

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