国保都道府県化/地域医療構想 高知県議会で基本ただす
6月県議会では、今年度前半に策定予定の「地域医療構想」と来年度策定となる「都道府県国保運営方針」について、中根県議が質問にたった。この点では知事は「中山間地が高知県の強み」「中山間地は若者が住み続けられる地域づくり」「医療福祉は雇用分野として重要」など発言しており、以下のような今後のつながる答弁をひきだせた。また税務行政ついて、滞納をさまざまなリスクを抱えていることのサインととらえ、福祉の視点をもった対応が必要との質問でも、その基本を確認できた。
●国保の構造問題や策定にあたっての基本姿勢については、運営方針の「策定の目的」の項目でしっかりと記載することを考えています。
●運営方針の策定や改革後の国保運営にあたっては、このテーマ〔医療から排除される人をつきらない〕をしっかりと認識し・・・、誰もが安心して必要な医療が受けられるよう、取り組んでまいります。
●〔調査結果は〕長期療養の入院ニーズが高いという本県の特徴の一端を示している…、単に病床を減らすのではなく、「患者さんや利用者にふさわしいサービスが提供できる受け皿を確保する」「行き場のない入院患者を出さない」ことを前提として…、今後の地域医療構想の策定に反映していきたい.。
以下、議事録
【国民健康保険制度】
●中根県議
2018年度より、国保の「都道府県化」という国保制度の大きな転換を迎えます。国保の賦課、徴収、給付や健診などの実務は従来どおり市町村ですが、都道府県が財政を担うことになります。
4月28日には、「都道府県国民健康保険運営方針策定要領」、通称「ガイドライン」が公表されました。2017年度中に「国保運営方針」を、市町村と協議のうえで策定するなどのスケジュールや、保険料率決定のための考え、手順などが示されています。
ガイドラインは「技術的助言」であり、法的な強制力があるものではありません。運営方針の策定にあたっての基本姿勢についてお伺いいたします。
ガイドラインは、国保の加入者は無職、低所得者が多いことから、保険料負担が極めて重い、という「国保の構造的問題」について一切言及をしていません。この中心点を避けたガイドラインは、極めて不十分であり、県の運営方針にはしっかり書き込むべきと思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
国民健康保険制度改革による都道府県単位化に関するお尋ねがありました。
まず、運営方針の策定にあたっての基本姿勢と国保の構造的問題を運営方針に盛り込むことについてのお尋ねがありました。関連しますので、併せてお答えをします。
国保は国民皆保険制度の重要な基盤であるにも関わらず、被保険者には低所得者が多く、また病気になりがちな高齢者も多いことから、保険料負担が重いといった構造的な課題を抱えています。
今回の国保制度改革は、公費による財政支援の拡充等を行うことにより、国保財政の安定的な運営を確保し、国民だれもが安心して必要な医療を受けられるよう、持続可能な医療保険制度を構築することを目的に行われるものです。
平成30年度以降、県は、保険財政の責任主体となり市町村ともども国保を担っていきますが、国保を安定かつ円滑に運営していくためには、国保の置かれている現状や課題、また改革の目的を県と市町村がしっかり認識し、共有して取り組んでいくことが重要であると考えています。
このため、国保を運営するための統一的な方針を定める運営方針の策定にあたっては、ガイドラインを参考としながら、県と市町村が緊密な連携のもと十分協議を行い、被保険者の方々が安心して必要な医療を受けられる国保制度の構築を目指して取り組んでまいります。
また、議員ご指摘の国保の構造問題や策定にあたっての基本姿勢については、運営方針の「策定の目的」の項目でしっかりと記載することを考えています。
●中根県議
さらに危惧するのは、「ガイドライン」の「財政収支の改善に係る基本的な考え方」では、「決済補填等を目的とした」、法定外の一般会計繰入について、「解消又は削減すべき対象」と述べていいます。
しかし、政府の国保への財政措置は、今後の分を含めても3400億円で、全国の法定外繰入、2013年度の3900億円より少なく、法定外繰入を止めれば、保険料は低減どころか、いまより高騰します。
国が財政措置を強化したのに、従前の市町村一般会計からの法定外繰入を解消・削減し、国保加入者の負担が増加するような対応は、不適切と思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
国保運営における法定外の一般会計繰入の取り扱いについてお尋ねがありました。
一般会計からの法定外の繰入は、政策的経費を除き、市町村が国保財政の赤字を回避するため、やむを得ず行なってきたものであり、今回の制度改革の協議において、この繰入を解消し財政基盤を強化するための公費の拡充が大きな課題となったところです。
その結果、一般会計からの法定外繰入、総額3900億円のうち、政策的経費である保健事業分を除く約3400億円の公費の拡充を行い、国保財政の安定化を図ることとされました。
今般示されました国のガイドラインでは、国保財政を安定的に運営していくために必要な支出は、保険料や国庫負担金等により賄うことが重要であり、これ以外の決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰入金については、解消又は削減すべきであるとの考え方が示されていますが、解消、削減すべき繰入金の範囲は、現在、国と地方とで協議中であり明確にはなっていません。
したがって、国における検討状況も見ながら、被保険者への影響なども考慮し、国保財政の安定した運営に向け市町村と十分検討を行っていきたいと考えています。
なお、平成26年度に行なわれた、国の「国保基盤強化協議会」では、改革後の運営の状況を検証し、その結果に基づき所要の措置を講ずることとされていますので、県としても、財政運営の状況などを踏まえながら、必要があれば、全国知事会を通じて、国に対し財政措置の更なる強化について要請していくことにしています。
●中根県議
また、「ガイドライン」では「統一保険料率」にも踏み込んでいます。2月2日に開催された厚労省の「市町村職員を対象とするセミナー」で、報告にたった国保課課長補佐は「医療費格差が大きい場合は、原則として医療費水準に応じた保険料率とならざるを得ないと思っている。ただし将来的には地域の実情を踏まえつつ、都道府県で一本化した保険料率をめざすこととなる」と述べています。高知県では、中央圏に医療機関が集中しており、一人当たりの医療給付の実績では、市町村間で大きな乖離があります。
一本化した保険料率は、県内の実態にあっておらず、国に対しては強制することはあってはならないことを、強く求めるべきと思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
保険料率の一本化についてお尋ねがありました。
今回、国において定められた、「国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定方法」では、保険料率については、各市町村の医療費水準の違いを反映させ、市町村ごとに設定することを原則としています。
保険料水準の統一については、医療サービス水準の均質化などとともに今後の課題とはされていますが、統一する場合でも、市町村の意見を十分踏まえることとされており、決して強制するものとはなっていません。
市町村との協議において、保険料水準の統一についても十分ご意見をお伺いしていきたいと考えています。
●中根県議
国保の広域化の真の目的は、医療介護総合確保法により、都道府県に、医療供給体制の「適正化」をもとめた「地域医療構想」と一体で、医療費抑制を進めることにあります。国保財政に2017年度から措置させる1700億円のうちの700から800億円は、医療費削減に「努力」した自治体に優先配分される内容となっていることからも明らかです。
これまでも、私たちは、国保の重い負担や無料低額診療の取り組みを例に、医療から排除された県民の実態を取り上げてきました。県はそのたびに、医療が必要な人が必要な医療サービスを受けられない事態はあってはならない、との決意をかたってきました。
国保の運営方針の策定にあたっても、医療から排除される人をつくらない、このことを大きなテーマの1つとすべきと思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
医療から排除される人をつくらないことを大きなテーマとするべきではないかとのお尋ねがありました。
今回の国保制度改革の大きなテーマは、将来にわたって、国民だれもが必要な医療を受けられる持続可能な医療保険制度を構築するために、国民皆保険制度の重要な基盤である国保財政の基盤強化を図ることだと考えています。
このため、運営方針の策定や改革後の国保運営にあたっては、このテーマをしっかりと認識し、また市町村ともこの考えを共有しながら、誰もが安心して必要な医療が受けられるよう、取り組んでまいります。
●中根県議
あと、運営方針にかかわって、地方単独事業波及分、いわゆる窓口負担分の軽減に対するペナルティ分の扱いについてお聞きいたします。
これまでは、県制度分もふくめて国保の国庫負担金等の減額分はすべて市町村が負担してきました。現在、子どもの医療費のペナルティについては政府でも議論をしていますが、県全体のペナルティ分は約4億円で、内訳はおよそ重度障害者分が4分の3、子どもの医療費と1人親の医療費軽減分が8分の1ずつであり、子どもの医療費助成分のペナルティがなくなっても、依然大きな国庫負担金等の減額が存在をいたします。
この減額分は、どう対応するつもりか、県も応分の負担をすべきと思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
地方単独の医療費助成事業による波及増分に対する国庫負担金等の減額分への対応についてお尋ねがありました。
国においては、子どもの医療費助成などの地方単独事業により医療費の窓口負担を軽減した場合、軽減しない場合と比べ医療費が増加し、医療費に対する国の負担も増加するとの考えから、限られた財源の中で公平に国費を配分するという理由により、国庫負担金の減額を行ってきています。
一方、全国知事会では、こうした地方単独事業は、本来であれば、国が全国統一的に行うべき子育て・少子化対策や重度心身障害児者への支援策を肩代わりするものであり、この減額措置は、地方の独自施策の実施を制限するとともに、地方の努力に反し、地方にのみ責任を負わせるものであることから、廃止するよう国に求めてきたところです。
このことについては、今回の国保制度改革の国保基盤強化協議会における国と地方との協議においても、議論が重ねられ、今後も引き続き議論していくことが確認されています。
本県としても、この減額調整は地方の取組を阻害する不合理なものであり、早急に廃止されることが重要ではないかと考えており、引き続き全国知事会を通じ、国に対して強く廃止を求めてまいります。
【地域医療構想】
●中根県議
2016年度前半に「地域医療構想」策定するために行った療養病床実態調査結果がこの3月に公表されました。調査は、昨年12月に県内89の病院・診療所(計6773床)の入院患者5374人について、「望ましい療養環境」を医療機関と患者・家族の双方に質問をしたものです。
医療機関側が「望ましい」とする形態は、療養病床63.4%、特養ホーム10%、自宅5.6%、老健施設3.3%となっており、圧倒的に入院・入所が望ましいとの回答となっています。
患者側が「希望する療養環境」は、療養病床が75.9%、特養ホーム5.4%、自宅5.3%、老健施設1.8%と、ここでも圧倒
的に入院・入所であり、両回答とも自宅は、わずか5%にすぎません。
患者の家庭環境、所得状況の分析では、約半数が1人暮らしか高齢夫婦のみの世帯であり、8割近くは日中・夜間とも介護してくれる人が不在、低所得層も6割前後となっています。
低所得者や1人暮らしの高齢者の多さ、また中山間地が多く訪問サービスに限界があるなど、高知県の実態が現在の病床数となっていることを示したものと言えます。一方、政府は2025年時点で必要とされるとした「必要病床数」は、現状より4割近く少ない4260床以下と報道がされましたが、昨年6月18日の通知では「機械的な試算」による「参考値」であり、「あくまで自主的な取り組みが基本」であり、「需要に応じた適切な医療供給体制」となることを求めています。
まず、療養病床実態調査結果についての県の受け止めをお聞きいたします。
■健康政策部長
地域医療構想についての一連の質問にお答えします。
まず、昨年度に実施しました療養病床実態調査の調査結果に対する県の受け止めについて、お尋ねがありました。
今回の調査結果において特徴的であった点としては、介護療養病床において、全国の値に比べ、医療の必要度が低い患者の割合が22.3ポイント高く、介護の必要度が高い患者の割合が5ポイント高いこと、低所得に該当する患者が全体の約63%を占めていること、療養病床への入院が望ましいと考える割合が、患者・家族側に約76%、ある一方で、厚療機関側は約63%と、認識にずれが生じていることといったことが挙げられます。
この調査結果は、高齢化が進んだ中山間地域を抱え、独居高齢者が多く家庭の介護力が脆弱であるといった背景から長期療養の入院ニーズが高いという本県の特徴の一端を示しているものと考えます。
したがって、単に病床を減らすのではなく、「患者さんや利用者にふさわしいサービスが提供できる受け皿を確保する」「行き場のない入院患者を出さない」ことを前提として、住み慣れた地域で療養が可能な体制を構築するよう、今後の地域医療構想の策定に反映していきたいと考えています。
●中根県議
医療の供給体制を考えるうえで、2018年3月末で廃止が予定されている療養病床削減の影響はきわめて深刻です。
政府の「療養病床の在り方等に関する検討会」は1月28日に「新たな選択肢の整理案」で、療養病床13万7000床廃止の受け皿として新たな2類型を提示しました。新類型は、は長期療養に対応したプライバシーの尊重など「住まい」の機能を強化しつつ、 「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」が柱となっています。前者は施設内に医師や看護職員が常駐する特養ホームのイメージで、後者は住宅と病院等が同じ敷地にあるイメージと説明されています。これで本当に、行き場のない人がうまれないのでしょうか。
まず利用者負担ですが、整理案は、「利用者にとって負担可能なもの」と記述されていますが、制度の詳細は決まっていません。現行の制度は、補足給付といって低所得者への食費・居住費に補助がなされていますが、厚労省は「経過措置や可能性を考える必要がある」として、存続は明言していません。低所得者が利用できる施設は極めて限定されており、負担増になれば、「介護難民」が大量に生まれることが危惧されます。
検討会で、医師会の委員は「今後、高所得者用の施設はいくらでもできるが、低所得者の受け皿の整備が必要」と繰り返し求めています。
低所得者が利用できる制度を整備することが重要だと思いますがお聞きをいたします。
■健康政策部長
低所得者が利用できるように制度を整備することが重要ではないかとのお尋ねがありました。
現行の公的医療保険、介護保険制度では、低所得者に対して所得に応じた保険料や自己負担額の減免の制度が設けられており、この考え方は制度の見直しにおいても維持されるべきものと考えています。
国の「療養病床の在り方等に関する検討会」で提案された「内包型」「併設型」といった2つの類型の「新たな選択肢」では、それに求められる条件の一つとして、「費用面からみて、利用者にとって負担可能なものであること」が挙げられています。
これに対して検討会の構成員からは、新たな類型については、低所得者の受け皿となることが考えられるため、補足給付のような低所得者対策を認めることが必要、低所得者への住宅手当等の議論も含めて社会保障の中でどのように対応していくのか検討していくことが必要といった、低所得者対策の必要性に関する意見も出されているところです。
新たな選択肢」については、本年6月に設置された社会保障審議会「療養病床の在り方等に関する特別部会」において、年内の取りまとめを目指して具体的な制度設計が議論されることになっています。現行制度に準じた低所得者対策を講じていただくことが重要であり、注視していきたいと考えています。
●中根県議
次に、重症・重度者の居場所の問題です。
新類型は、医療区分1を中心とした利用者像を想定していますが、現在の利用実態は、医療区分2・3の患者が医療療養(25対1)で56.4%、介護療養で20%前後います(1月28日厚労省資料)。これらの患者の大半を20対1の医療療養で対応するとなると、大量の看護職員の確保が必要となりますが、一方、国は「地域医療構想との整合性」を確保するとして、医療供給を抑制する方向で検討しており、施設の整備が抑制され、行き場が無くなることが懸念されるのです。
検討会では、日本医師会と四病協の連名で、「移行先となり得る選択肢の拡大は必要とする一方、あくまで、現行制度の存続を『第一選択肢』として検討すべき」と強調しています。
現行制度の存続も視野に入れないと、「医療・介護難民」が出る危険性があると思いますが、対応についてお聞きします。
■健康政策部長
医療・介護難民がでる危険性への対応についてお尋ねがありました。
平成29年度未に廃止となる療養病床に入院している患者のうち、在宅への移行が難しい医療区分2・3の方々については、引き続き残ることとなる現行の医療療養病床で療養を継続していただくことになります。
-万、医療の必要度が低い医療区分1の方々は状態像に応じて、介護保険施設や居住系サービス、あるいは介護療養病床等からの転換が見込まれる新たな類型での療養を選択していくことになりますが、現に入院しておられる医療区分1の方々が行き場をなくしてしまわないようにしていく必要があります。
療養病床からの移行を円滑に進めていくためには、施設基準のあり方や経過措置等が、本県のように高齢化と人口減少が進行し、家庭での介護力が脆弱で、地域で療養を続けることが困難な中山間地域を多く抱えているなどといった地方の実情を踏まえたものとなるよう、引き続き国に対して提言を行っていきたいと考えています。
【税務行政】
●中根県議
「下流老人」「老後破産」「子どもの貧困」「ワーキングプア」など、様々な角度から「貧困」問題が大きな社会問題となっているもとで、税金や保険料を、払いたくても払えないという状況も広がっています。
これまでの質問でも地方税滞納などを理由とした、児童手当や年金の一方的な差し押さえの問題点を取り上げ、税務行政は「親切な態度で接し、納税者の主張に十分に耳を傾け、一方的であるという批判を受けることがないよう細心の注意を払わなければならない」(国税庁の税務運営方針)との立場を確認し、知事からも「「生活が困窮しておられる滞納者の方については生活の再建をしながら納税をしていただくという配慮が必要だと思います。生存権まで脅かすような税の徴収というのはあってはならない」「そのような点をしっかりと徹底していくようにしたい」〔2010年6月議会〕と明確な答弁をしていただいています。
税や公共料金の滞納している世帯をどうとらえるか、ここが重要だと思います。今、行政としても、子どもや高齢者への虐待や自殺の防止、多重債務など消費者行政、生活困窮者の自立支援など、様々なリスクに対して積極的に介入して課題を解決していこうとしています。
そうした視点に立てば、滞納がある世帯というのは、経済的困窮を背景に、様々なリスクが表れているととらえて、積極的に介入していく、そして、就学援助制度などが活用されているのか、介護認定を受けている方があれば、税の障害者控除を受けられる可能性があるとか、利用できる様々な制度などにつなげていく必要があると思います。
また、今年4月から、地方税においても、納税者の申請に基づく換価の猶予制度を創設されました。納税したくても事業の継続が困難になったり、生活の維持が困難になったりした場合に、毎月の分割納付を条件に、1年以内の期間、財産の換価を猶予するものとなっています。
貧困が広がるもとで、滞納に対して、福祉の視点にたって対応をすることが、ますます重要になっていると思いますがお聞きをいたします。
■総務部長
税務行政について、滞納者に対して、福祉の視点に立った対応をすることが重要になるのではないかとのお尋ねがございました。
県税事務所では、自主財源である税収の確保に向けて、公正で公平な賦課徴収に取り組んでおり、担税力がありながら納税に応じていただけない滞納者に対しては、財産の差し押さえなどの厳正な滞納処分を行っております。
一方で、生活が困窮している納税者のみなさまについては、生活の再建をしながら納税していただくという配慮が必要でございますので、生活実態に即した分割納付等のご相談もお受けしているところでございます。
そのようなご相談の過程で、多重債務を抱えていることが判明した場合には、消費生活センターや法テラス等の窓口を紹介するなど、関係機関と連携した取組も行っております。
また、議員ご指摘のとおり、納税について誠実な意思を有する納税者の方が、県税を一時に納付することにより事業継続又は生活維持を困難にするおそれがあるときは、納税者の申請に基づき、既に差し押さえた財産の換価や新たな差押えを猶予する制度も、本年4月から新たに創設されております。
現在のところ、この制度の申請はありませんが、ホームページにその内容を掲載するほか、今後、県税事務所への配置を予定しているパンフレット「くらしと県税」において、制度の詳細を記載するなど、制度の周知に努めているところでございます。
もとより、生存権まで脅かすような税の徴収というのはあってはならないことでございますので、こうした制度も適切に運用しながら、税収の確保に取り組んでいく必要があると考えております。
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