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辺野古新基地 係争委/国の強権にお墨付き与えず

 前知事の埋め立て承認を取り消した翁長知事の処分に対する国交相の是正指示について、国地方係争処理委員会は国と県に継続協議を求め、是正指示が違法か否かは判断しなかった。
 が、国の自治を踏みにじる強権的手法にさすがに「適法」と認めなかった。しかも決定文は「議論を深める共通の基盤づくりが不十分な状態のまま、一連の手続きが行われてきたことが、紛争の本質的な要因だ」「〔現状は〕国と地方のあるべき関係から乖離している」と国の態度を批判している。
これにより、知事の承認取り消しの効力は生きたままとなり、新基地建設は、ますます困難となった。琉球新報は「実質的な県の勝訴」と述べている。

【<社説>係争委適否判断せず 自治を拒む国への警告だ 琉球新報6/18】
【社説[是正適否判断せず]国に再協議促す内容だ 沖縄タイムス6/18】
【辺野古移設、一層不透明に=「反基地」高まり、政府に逆風-係争処理委 時事6/18】


【<社説>係争委適否判断せず 自治を拒む国への警告だ 琉球新報6/18】

 あまりに自治をないがしろにした国の手法に、やはりお墨付きを与えるわけにはいかない。国に対するそんな警告ではないか。
 辺野古新基地建設を巡り、前知事の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分に対する石井啓一国土交通相の是正指示について、国地方係争処理委員会は国と県に継続協議を求めた。是正指示が違法か否かは判断しなかった。

 県は是正指示取り消しの勧告を係争委に求めていた。新基地が辺野古でなければならない合理的理由はない。住民生活や環境には著しい悪影響がある。にもかかわらず前知事が埋め立てを承認したのは公有水面埋立法の要件を満たしていない。承認に瑕疵(かし)があった以上、これを取り消すのは適法であり、取り消しを覆そうとする是正指示は「違法な国の関与」だと主張していた。
 これに対し国は、承認を取り消せば日米の信頼関係が崩れるとし、国防上・外交上、埋め立ての必要性を判断する権限までは知事にはないと主張していた。
 そもそも埋め立てを承認するか否かは都道府県知事が権限を持つ法定受託事務だ。それなのに判断の権限がないというのなら、こと米軍に関する限り、地方自治体は国の言うことに、無限に、奴隷的に従え、と言うに等しい。
 これを許せばもはや民主国家ではない。自治の精神など皆無だ。

 係争処理委は、国と地方は対等との認識に基づき、国の関与の適法性を第三者的に判断するのが趣旨だ。それなら、地方は何が何でも従えと言わんばかりの国の姿勢にくぎを刺してほしかった。
 ただ、係争委の判断には明らかに国への批判的視点がある。小早川光郎委員長は会見で「是正指示にまで至った一連の過程は、国と地方のあるべき関係からは乖離(かいり)している」と述べている。「一連の過程は望ましくない」とも繰り返した。国の是正指示を好ましくないと見ているのは間違いない。
 県を全面的に支持して国と事を構えたくはない。かといって地方自治を完全否定するような国の姿勢には疑問が募る。そんな本音が垣間見える。

 結果的に知事の承認取り消しの効力は生きたままだ。司法手続きを早く終えて着工したい国のもくろみは崩れた。実質的な県の勝訴だ。係争委は真摯(しんし)な協議を求めた。少なくとも国は「辺野古が唯一」という頑迷な態度を改めるべきだ。

【社説[是正適否判断せず]国に再協議促す内容だ 沖縄タイムス6/18】

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しに対する石井啓一国土交通相の是正指示の適法性を審査する総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)は17日、最終となる第9回会合を開いた。
 会合後、記者会見した小早川光郎委員長は国の是正指示について「違法か違法でないかの判断はしなかった」との結論を明らかにした。
 5委員の全員一致の結論で、審査期限の21日までに国と県に通知する。
 小早川委員長は、辺野古新基地建設について「国と沖縄県は普天間飛行場の返還という共通の目的の実現に向けて真(しん)摯(し)に協議することが問題解決の最善の道だ」と指摘。双方に再協議を促した形だ。
 辺野古新基地建設を巡り、訴訟合戦となった国と県が今年3月に合意した和解条項でも、福岡高裁那覇支部は訴訟を一本化して司法の場で争う道筋を示す一方で「国と県は円満解決に向けた協議」を求めている。安倍晋三首相は和解を受け入れながらも「辺野古が唯一」とのかたくなな姿勢を変えていない。
 福岡高裁那覇支部が示した和解勧告文にあるように、本来であれば、国は「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」。そうすれば「米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力しようという契機となりうる」。
 辺野古新基地建設を強権的に進めようとする安倍政権は、裁判所と第三者機関がともに再協議を求めたことを重く受け止めるべきだ。

■    ■
 翁長知事が昨年11月、埋め立て承認を取り消したのに対し、国交相が「効力停止」としたことを不服として係争委に審査を申し出。係争委は「審査対象に当たらない」として県の申し出を門前払いにする結論を出している。
 今回も国交相の是正指示の適法性の判断をしなかったのは係争委が果たすべき役割を自ら狭めたのではないかとの疑問も残る。是正指示は違法な「国の関与」に当たるなどとの県の指摘に対し、地方自治の本旨に沿った判断を示してほしかった。
 国と地方の関係は1999年の地方自治法改正に伴い、「上下・主従」から「対等・協力」に転換した。
 これに伴い、係争委は国の不当な是正要求から地方自治が侵害されるのを防ぐために2000年に設置された。
 だが、沖縄が選挙という民主的な手法で何度も辺野古新基地建設反対の民意を示しても「辺野古が唯一」との姿勢を変えない国の姿勢からは県と「対等・協力」の関係にあることがうかがえない。

■    ■
 係争委は国交相の是正指示が適法か違法かの判断をしていないため、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分と国交相の是正指示の効力がいずれも維持されたままになっている。和解条項が想定していない事態だ。
 県は結論を精査し裁判を見据えた対応を急ぐ必要がある。国は「辺野古が唯一」との考えを捨て、県と「対話による解決」を目指すべきだ。



【辺野古移設、一層不透明に=「反基地」高まり、政府に逆風-係争処理委 時事6/18】

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、国地方係争処理委員会が17日、事実上判断を棚上げしたことで、移設の実現性は不透明さを増した。先に高等裁判所が示した和解プロセスや、国と県の直接協議は停滞しそうだ。沖縄では米軍属による女性殺害事件を受けて反基地感情が高まりを見せており、移設を推進する政府にとっては逆風が続く。
 国の是正指示の違法性を判断しないとする係争処理委の結論を受け、中谷元防衛相は記者団に「国による是正指示が違法であると認めなかった。是正指示は有効だ」と主張。これに対し、県側も「悪くない判断だ。あとは国がどう考えるかだ」(幹部)と、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消し処分の有効性が続いているとの認識を示した。国、県ともに自分に都合の良い解釈を行っており、今後も平行線が続くのは確実だ。
 国と県は3月、辺野古埋め立て承認の「代執行」をめぐる訴訟で和解。これに伴い、政府は埋め立て工事を中断した。和解条項に基づき、国と県は直接協議を行うとともに、係争処理委などによる審査も並行して進めることになった。
 係争処理委が県の主張を明確に退ける結論を出せば、県は直ちに高等裁判所に訴えを起こすことを想定していた。しかし、違法性判断を回避した「肩透かし」の結論が出たため、県は司法判断を仰ぐかどうか慎重に検討する。翁長知事は17日夜、東京都内で記者団に「内容を精査し、対応を検討する」と述べるにとどめた。18日に記者会見して見解を示す。
 係争処理委が曖昧な判断をした背景には、米軍属事件で高まった県民の反基地感情をこれ以上刺激したくないとの思惑が働いた可能性もある。19日には事件を抗議する県民大会が開催される予定。反基地の県民世論を踏まえ、翁長知事は移設問題で政府に対しより強い態度で臨みそうだ。
 仮に司法判断で県が敗訴した場合でも、翁長知事は工事の設計・工法変更に当たり、必要となる承認を行わない姿勢も示している。政権内には「移設はますます厳しくなっている」(閣僚経験者)との見方が出ている。


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