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「傘がない」…核戦略の真実

 政府は、米国の「核の傘」で日本が守られている、ということで、日米安保を肯定、核兵器の廃絶に抵抗しているが、軍事戦略上「核の傘など存在しない」は常識である〔下段に、孫崎享氏の解説〕。
 核兵器の抑止力とは、攻撃してきたら、それ以上の壊滅的な打撃を核兵器で与える、という論理でなりたっている。
では、どうか。

・核保有国A国の同盟国N国が、C国の軍事的危機に直面した。 ・A国が、手を引かなければ核攻撃も辞さないと、C国に迫る。

・・・ここで「抑止される」という誤解がある

・C国が、これはA国とは関係ない二国間の話。核攻撃を撤回しないならA国に報復する、と宣言

・では、A国は、自国民を犠牲にしても、N国をたすけるだろうか。助けないのは明らか。

・よって「核の傘」など、存在しない、ということ。

→ 他国からN国への攻撃にたいし、安保条約の第5条は、それぞれの国の手続きをとって・・・となっている。

A国の交戦権は議会がもっている。議会を招集して、戦争に参加するかどうか諮る、ということしか規定していない。これは直ちに行動すること決めているNATOとは決定的な違い。
 この間のガイドラインにも、島しょの防衛はN国が主体的に責任をもつ。A国はそれを支援する(情報提供とか)しか規定していない。

◆核兵器の打撃力に差がある場合
・圧倒的な核兵器をもつA国、仮にC国に攻撃されても、C国を壊滅する力を持っている。
・C国には、戦争にならざるを得ないのなら、先制攻撃以外にチャンスはないと認識
・核戦争の危機は高まる
→ C国に十分な打撃力を与え、先制攻撃でなくても壊滅的な反撃ができるとなれば、先制攻撃の意図は抑制される。/これが「相互確証破壊」の仕組み/ あえて他国の核能力向上を認める

◆が、小規模であっても核兵器保有国が増大… 制御の効かない環境に
・A国は、圧力、経済協力を通じ、核放棄につとめる。
・では非核のN国は… かつては、核保有国は非保有国に核兵器の使用を禁ずる国際協定の締結を提案した。一部の国のみ核兵器所有が認められているという、おかしなルールを是正する以外に解決の道はない(イスラエル、インドの核保有はなぜ許容されるのか、という問題も)。

→ 大義に立つ努力をした独自外交は、もはやN国では消滅した(イスラエル政策でも同じ)。

ちなみに、北朝鮮はこう思っているだろう。朝鮮戦争以来、60年間以上、アメリカの核の恐怖にさらされてきた。今も、先制使用を公言している。我が国への攻撃を回避するには核兵器をもつしかない。
 イスラエルやインドが持つことを許されて、北朝鮮はダメだというのは、不公平だ。国際ルールはご都合主義だ。
 中国だって、南京大虐殺をはじめ侵略戦争を認めない国が軍事増強していることをどうとらえているか。
 立場をかえたら、どうなるか。
 
→ ここが極めて重要なポイント。複眼的思考が大事になっている。いまもとめられるのは9条をもつ国としての、大義にたった戦略的な平和外交と思う。

 国連憲章と、経済的なグローバル化のもとで、国と国との戦争は圧倒的に減少してきた。各種の紛争を、収めていく知恵と行動がためされている(だから軍産複合体は、利益確保のために紛争をけしかける。ここをきちんと見なくてはならない。)

平和に暮らしたいと思っている、それぞれの国民に届く言葉が大事になってくる、と思う。

【 孫崎享氏の視点 <2013/08/11>】 ●キッシンジャーは、代表的著書『核兵器と外交政策』の中で、核の傘はないと主張した。 「全面戦争という破局に直面したとき、ヨーロッパといえども、全面戦争に値すると(米国の中で)誰が確信しうるか、米国大統領は西ヨーロッパと米国の都市五〇と引き替えにするだろうか」「 西半球以外の地域は争う価値がないように見えてくる危険がある」 ~ 核戦略の分野で『核兵器と外交政策』は最も権威のある本である。米国の安全保障関係者で、この本を読んでいない人はまずいない。

●モーゲンソー著『国際政治』は米国の古典的リアリズムのバイブル的存在。国際政治を研究する者でこの本を手にしない人間は存在しない。
・「核の傘」について
「核保有国Aは非核保有国Bとの同盟を尊重すると言うことで、Cによる核破壊という危険性に自らさらすだろうか。極端に危険が伴う時にはこのような同盟の有効性に疑問を投げかけることになる。」

●元CIA長官ターナー アマースト大学、海軍士官学校卒、ロードス・スカラー(歴代、米国の蒼々たる人物がこの栄誉をうけている)としてオックスフォード大学に留学、ミサイル巡洋艦艦長、NATO南部軍司令官、海軍大学校校長、大西洋を所管する第二艦隊司令官を経てCIA長官となった。同盟国との核問題を実戦部隊司令官としてもっとも熟知した人物

・1986年6月25日付読売新聞一面トップは「日欧の核の傘は幻想」「ターナー元CIA長官と会談」「対ソ核報復を否定。米本土攻撃時に限る」の標題の下、次の報道を行った。
「軍事戦略に精通しているターナー前CIA長官はインタビューで核の傘問題について、アメリカが日本や欧州のためにソ連に向けて核を発射すると思うのは幻想であると言明した。
我々は米本土の核を使って欧州を防衛する考えはない。アメリカの大統領が誰であれ、ワルシャワ機構軍が侵攻してきたからといって、モスクワに核で攻撃することはありえない。そうすればワシントンやニューヨークが廃墟になる。同様に日本の防衛のために核ミサイルで米国本土から発射することはありえない。我々はワシントンを破壊してまで同盟国を守る考えはない。
アメリカが結んできた如何なる防衛条約も核使用に言及したものはない。日本に対しても有事の時には助けるだろうが、核兵器は使用しない。」

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