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東京五輪裏金問題  日本ではもみ消される電通の深い闇、

JPRESSと東洋経済から・・・海外では電通の闇が詳しく報道されているとのこと。・

・「東京オリンピック招致」の名目で約2億2300万円の送金。
・送金先のブラック・タイディングス社の「口座」の名義人はイアン・タン・トン・ハン氏。同社の口座はロシア選手のドーピングの隠ぺいに絡む金銭のやりとりに使用されていた。この件で、ディアク氏は国際陸連会長を辞し、息子は永久追放になっている。
・ガーディアン紙 「億単位に上るTokyo2020からの支払いはまた、電通の役割に関する疑問をも浮かび上がらせる。電通は日本の巨大なマーケティング企業で、国際陸連との間に包括的スポンサーシップ契約を2029年まで取り結んでいるが、これはディアク会長在任期の最後の数か月に一方的に延長されたものであった」
・世界反ドーピング機関報告書「電通の関連会社である電通スポーツがスイスのルセーヌにアスレチック・マネジメント・アンド・サービス(以下AMS)というサービス会社を設立し、国際陸連による商業権利の売買や移管を目的としている。AMSはイアン・タン・トン・ハン氏を2015年の北京大会を含む国際陸連の世界選手権やその他の世界陸上でのコンサルタントとして雇っていた」 ~同氏をコンサルタントとしてJOCに紹介したのは電通
・電通は、1981年、スポーツマーケティング会社ISLを共同で立ち上げた。ディアク氏は、同社から10億円規模の現金授受があり、IOCから警告処分をうけている。~数十年続く巨額のスポーツ利権に関係する電通の闇。

・こうしたスポーツ利権を手を切る方向で世界は動いている。
その利権の闇のど真ん中に、JOCが『正規の手続き』で組織的に関与したのである。五輪返上ですめばよい。日本のスポーツ界全体が大きなダメージを受ける厳しい処分も覚悟しないといけない。
【性懲りもない不正で日本の五輪開催はこれが最後か
日本ではなぜかもみ消される電通の闇、海外では詳しく報道 2016.5.18伊東 乾】

【東京オリンピック「裏金疑惑」の深すぎる闇  腐敗根絶に日本は協力する気があるのか 東洋経済】

【性懲りもない不正で日本の五輪開催はこれが最後か 日本ではなぜかもみ消される電通の闇、海外では詳しく報道 2016.5.18伊東 乾】

5月11日、フランスの検察当局が、東京五輪招致委員会側から日本の銀行を通じて2013年7月と10月に「東京オリンピック招致」の名目で約2億2300万円の送金があったことを把握した、と英紙ガーディアンがスクープしたのは周知のことと思います。

 この送金は国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏の息子の関係するシンガポールの会社の口座に振り込まれ、同じ頃にディアク前会長側がパリで多額の金銭を支出していたことが確認されています。

 そこで、とりわけ海外のネットで確認できる範囲を中心に、少し洗って見ましょう。

 ラミン・ディアクことラミーヌ・ディアク(Lamine Diack、1933-)氏は1950年代に陸上選手として活躍したセネガルの人で1973年から2003年まで30年の長期にわたって地元ダカールに本部を置くアフリカ陸上競技連盟の会長を務めています。

 一方、ダカール市長(1978-81) セネガル下院議員(83-93 第1副議長)セネガル水道公社CEO(1995-2001)なども務めたようです。

 アスリート出身ではあるけれどバリバリの政治家・実業人であるということが、あまり日本語報道では目立たないように思います。

 ちなみに英語のウィキペディアを引くと冒頭に「夥しい汚職・腐敗の中心人物」として紹介されており、上記日本語と相当の落差が見て取れます。

 このディアク氏、スポーツマーケティング企業ISL(インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー)社からの収賄の容疑でIOC(国際オリンピック委員会)の倫理委員会から調査を受け、1993年から3回にわたって3万米ドル+3万スイスフランという、欧米双方の通貨建てで巨額の資金を受け取り、2011年に警告処分を受けながらも1999年から2015年まで国際陸連の会長を務めたという人物。

 その息子で今回名前が挙がっているパパマッサタ・ディアク氏も国際陸連の「コンサルタント」を務めており、ロシア陸上競技界に蔓延していたドーピング隠蔽問題に関連して責任を問われ、最も重い永久処分追放を受けた張本人であるのに加え、国際陸上腐敗疑惑でInterpol(国際刑事警察機構)から指名手配されている重大事件の被疑者にほかなりません。

 ロシア陸上薬物疑惑で2012年、ロンドン五輪の前念に6人のロシア選手のドーピングをもみ消す代わりに100万ユーロの賄賂を受け取った疑惑で、父親のディアク前会長はフランス司法当局の捜査を受け、「国際陸連会長ならびにIOC委員(Honorary member of the International Olympic Committee)」の職を辞しました。

 さて、この疑惑真っ黒ですでに職を辞しているディアク氏が10億円規模ではっきり現金受領を認められているスポーツマーケティング会社ISL、1981年にスイスで設立されFIFA(国際サッカー連盟)と深い関係をもって競技やゲームの放映権などを管理していましたが、経営多角化やIOCとの関係解消などが響いて2001年に経営破綻、倒産。

 アテネオリンピックより以前にすでにつぶれた会社ですが2008年には詐欺・横領・文書偽造などの容疑で元役員6人が告訴され、FIFA経営陣への贈収賄などが明らかになっています。

で、このISLがドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスと日本の広告代理店電通が共同出資して設立した会社で、1984年のロサンゼルス・オリンピックから本格的にスポーツビジネスに参入、80年代後半から90年代に盛んに活動し、この間、当時は政治家でもあったラミーヌ・ディアク氏への贈収賄などがありました。

 これについて日本国内でどれくらい報道されているのか、本稿も米国で書いているので、よく把握できていません。

 端的に言って昨日今日の話ではなく、30年、40年越しの国際スポーツ利権で裏金からドーピング隠蔽まで真っ黒けのど真ん中に「正規の監査なども通した」として招致委員会が支出していたこと、これは間違いないと言えそうです。

◆言い逃れできない「組織ぐるみ」状態

 このスクープの翌日、東京オリンピック組織委員会は、公式ホームページに短いメッセージを掲載しました。本当に短いので全文引用しておきましょう。

 「5月11日付(現地)英ガーディアン紙の報道について、下記のとおりコメントいたします」

 「招致プロセスは招致委員会が取り組んだものであり、東京2020組織委員会自体はこれに関与しておりません。今回の報道の内容について、組織委員会の理解とは全く異なるものであり、東京は、IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信しています」

 招致は招致委員会が取り組んだもので、組織委員会は関係ない・・・なんて、基本全部JOCなんだから。屁理屈にも何もなりません。こんな「コメント」そのものが、自ずから示してしまうものがあるでしょう。

 さらに翌日、この「招致委員会」委員長だった竹田恒和JOC会長と招致委員会の樋口修資元事務局長は連名で、

 「契約した会社は大変実績のある代理店」としたうえで「コンサルタント料であり、正式な業務契約に基づく対価としての支払いだ」。

 との声明を発表、しかしこれは、元検察官で私も非常にお世話になっている郷原信郎弁護士が的確に指摘しているとおり、会計監査を通過しているというのは経理処理に不備がないというだけのことで、その支払が賄賂であったかどうかとは全く無関係、むしろ正面切ってこんなことをしていたと公言することで、組織ぐるみの贈収賄であったと言っているようなものになっている。

 郷原さんの表現を引用すれば「JOC側にそのような意図があったのに、それが秘匿されていたのだとすれば、JOCが組織的に開催地決定をめぐる不正を行ったことになり、東京五輪招致をめぐって、極めて深刻かつ重大な事態」となってしまうわけですから。

◆「きれいごとだけでは済まない」のか?

 こうした動きに対して、国内では「オリンピックの招致なんて重大事には、多少の工作資金や袖の下は仕方ないのではないか?」という本音があるのではないでしょうか?

 招致委がまとめた活動報告書によれば、平成23年9月から25年9月にかけて、寄付金や協賛金などで集まった約65億円の中から計7億8600万円が「海外コンサルタント」に支払われているという。

 税金など官費ではないから、ある種の刑事訴追は免れるのかもしれません。いや、そこに落とし穴があるとも言えます。「政治資金」として集まったお金を選挙運動員に配るというような信じがたい事件もありましたが、ご浄財というのはおかしな使途に使ってよいお金というわけではない。

 オリンピックを呼べるなら、多少の賄賂くらい仕方ない、というような「草の根の腐敗意識」が、国際的に腐った構造を温存し続けている第一の元凶だと私は思います。

〔略〕

 私は広告代理業務というものが非常に重要であることを認識しています。メディアが作り出した虚妄の幻影ナチスドイツ・第三帝国の立役者ヨーゼフ・ゲッペルスという人物を見るだけでも、代理店業務の重要性は言うまでもないでしょう。

 何でもかんでも代理店が悪いと言うつもりはない。逆で、代理店業務というのはかくも責任重大なものであって、その責に耐えるだけのきちんとした仕事をしなければならない。

 愚にもつかない素人デザインまがいにおかしな権威を刷り込んで利権化するようなことがあってはならない。

 オリンピックのプランナーというのは本来、五輪が、あるいは東京がどのような歴史的、社会的使命を果たすべきかを熟慮し、時には果敢な判断も下して新しい道を切り開くべき大切な使命を帯びている。

 それは「きれいごと」というのではなく、フェアで目的にかなった価値判断をもって進められねばなりません。

◆何のためのオリンピックか?

 世の中の大半の人は、例えば日本人の99%以上がそうだと思いますが、オリンピックというのはスポーツ大会だと思っているでしょう。

 でも近代オリンピックが始められた当初も、またその原型となった古代オリンピック競技会も、運動だけではなく「スポーツと芸術の祭典」として、この大会は組織されました。

 ほかならぬ近代オリンピックの創設者。ピエール・ド・クーベルタン男爵自身が第5回ストックホルム大会(1912)「芸術競技文学部門」で金メダルを取った(らしい)という逸話なども伝えられます。

 また古代ギリシャのオリンピックでは詩の競演が盛んに行われました。詩と言っても定型詩で伴奏がついており、実質は音楽と詩の芸術競技と言っていいでしょう。

 さらに、ローマの暴君ネロは自分が優勝するためにオリンピックに「音楽競技」を追加したと伝えられますが、栄冠を手にしたはずの彼の「競技内容」はひどいものだったという話も知られています。

 こういう話は、現在のスポーツショービジネス・オンリーとなってしまった五輪像と、いろいろな意味でかけ離れたものになってしまいました。

 近代オリンピックはそもそも、営利と無関係なアマチュアリズムを基本とし、古代の平和祭典の復興を企図して1896年、アテネ大会を初回に打ち立てられたものです。

 19世紀末の国際社会は帝国主義列強間の緊張が増し、日本は日清戦争直後で賠償金を元に八幡製鉄所や京都大学が作られようとしていた時期、この後、韓国併合や辛亥革命、第1次世界大戦、そしてロシア革命と、世界史が大きく動き出すなか、戦争ではなくスポーツと芸術を通じて国際社会が平和に共存、繁栄するよう、強い理想像をもって打ち立てられたものにほかなりませんでした。

 一番典型的なのは「5つの輪」のシンボルでしょう。白地に青・黄・黒・緑・赤の5つの輪がつながった、誰もが知るこのマークは、アジア・アフリカ・ヨーロッパ、南北アメリカとオセアニアという世界の大陸を表し、それらが協調し合う「輪」としてデザインされたとされます。

 でも、どの色がどの大陸に対応する、なんてことは言わない。すべてがすべてに対して、お互いを思いやる輪を作るという意匠であるのは有名です。

 あの拙劣なエンブレム騒動のとき、いったいどういうデザインをめぐる言葉があったでしょう?

 それは五輪が世界を結ぶ歴史的、社会的な使命を帯びていることと、どのような関わりがあっただろうか?

 そんなもの、何もありませんでした。非常に空疎に形骸化した商業主義、営利だけが拡大した「しのぎのためのオリンピック」、こういう肥大化したオリンピックを作った元凶として、しばしばファン・アントニオ・サマランチ元IOC会長(1920-2010)の名が挙げられます。

 事実、上に記した様々の腐敗はサマランチIOC会長体制(1980-2001)時代に端を発しています。

 またサマランチ氏自身、IOCでの役職と並行して在ソ連、在モンゴルのスペイン大使を歴任、IOC会長と並行して銀行の頭取も務める実業家、外交人材でもあった・・・。

 先ほどの「ディアク氏」のキャリアとぴったりと重なり合ってしまうのは偶然で済む話ではないでしょう。

 招致委員会で理事を務めていた元水泳選手でスポーツ庁官の鈴木大地氏は、「コンサルティング料金として関係先に2億円を振り込んでいたとJOCから説明を受けた」と語るにとどまっています。

 今回の最後に元来のスクープであるガーディアンの記事をリンクしておきましょう。

◆記事の後半に記されている、

The seven-figure payment from Tokyo 2020 also raises questions about the role of Dentsu,the Japanese marketing giant that has an all-encompassing sponsorship contract with the IAAF that runs until 2029, having been unilaterally extended by Diack in the final months of his presidency.

(億単位に上るTokyo2020からの支払いはまた、電通の役割に関する疑問をも浮かび上がらせる。電通は日本の巨大なマーケティング企業で、国際陸連との間に包括的スポンサーシップ契約を2029年まで取り結んでいるが、これはディアク会長在任期の最後の数か月に一方的に延長されたものであった・・・)

 このような 公開情報、あるいはこれに続く部分に記された電通の関係会社とされるスイス・ルツェルンのAMS(Athlete Management and Services)社とコンサルタント「イアン・タン・トン・ハン」なる人物の果たした役割などは日本国内の放送メディアではごっそり落ちているらしい。

 私自身は在米のため国内メディアの詳細が分かりませんが相当の「温度差」があるように聞き及びます。

 実のところディアクと電通の関係についてガーディアンが報じるのは初めてのことではなく、2014年にも世界陸上を巡る醜聞などが報じられているとおりです。

 米国でこの話題になると、基本的に前提とする情報がここからスタートするわけですが、どうやら国内では「知らない話なのでコメントしようがない」(電通)といった話でうやむやになっているように見えます。

 これほど分かりやすい内外言語による情報格差も珍しい気がするので、リマークしておきましょう。言うまでもなく五輪というのは国際的な行事です。日本国内で通用するかしないか分からない議論で、ことを危ぶませるべきではないでしょう。

 はっきりしているのは、IOCの現在の主流派はサマランチ時代からのこうした腐敗を一掃する基本方針だということです。

 しかるべきところで日本の不正が明らかになった場合、すでに開催に近づきすぎた東京五輪の返上などは考えにくいでしょうが、向こう何年間にわたって日本が国際大会を主催することを禁じる制裁措置などが講じられる危険性があります。

 「五輪開催のためなら若干の袖の下はやむを得ないのでは」と思うような人たちは、これからの国際スポーツ界で一掃される対象になっている。そういう国際的な趨勢に正しく理解しないなら日本全体が国際社会でしばらくの間、葬り去られてしまう危険性すらないわけではない。

 それも「組織ぐるみの汚職国家」という、最低のレッテルをべったり貼りつけられた形で・・・。

 「そういう悪質なものは、もういらない!」とIOCは言っている。そうではなく、 時代と世界が要請する本当に求められる「新しい五輪プラン」を提示して、コンテンツそのものの力で開催を国際的に承認される本物の候補地が求められている。

 別の表現をするならば、「汚職やドーピング隠蔽などずぶずぶの偽者はいらない」と言われている。

 国内だけ「この金額は妥当」などと政治家なんぞを含め強弁して国内世論を収めたつもりになったとしても、こんな狂言は国際社会で全く通用しません。

 少なくともエンブレムやスタジアムなど、芸術文化表現面から考える限り、東京2020は何一つ真剣なコンテンツを準備していないまま候補地指名だけをもぎ取り、その後の内容空疎と悪質な利権構造をすでに国際社会に露呈しています。

 日本人として欧米でこの話題に触れるたび、恥ずかしく情けない限りです。

 五輪が本来持つべき新しい価値とは何なのか?

 かつての五輪が果たしてきた歴史的に価値ある役割、また今後の五輪が本来果たすべき責務などについて、引き続き考えてみたいと思います。


【東京オリンピック「裏金疑惑」の深すぎる闇  腐敗根絶に日本は協力する気があるのか 東洋経済】

安積 明子 :ジャーナリスト

英国のガーディアン紙が5月11日に報じた東京オリンピック裏金疑惑。この闇は、とてつもなく深い。

報じられたのは、130万ユーロ(約1億6000万円)がシンガポールにあるBlack Tidings(ブラック・タイディングス)社の「秘密口座」に振り込まれたという件である。

口座の所有者は「イアン・タン・トン・ハン」といい、この口座を経由して1999年から2015年まで国際陸上競技連盟会長を務めたラミーヌ・ディアック氏へと渡った。もっと詳しく言うと、自身も国際陸連のコンサルタントを務めるパパ・マッサタ・ディアック氏を経由してラミーヌ・ディアック氏へと渡っている。ラミーヌ・ディアック氏の息子がパパ・マッサタ・ディアック氏という関係である。

ラミーヌ・ディアック氏はIOCのメンバーのひとりで、オリンピックの開催地を決定する投票権を持つ重要人物だった。

◆フランス捜査当局が活躍

最初にこの疑惑の取引を発見したのはフランス国家財政金融検察局だった。同局はロシア選手によるドーピング事件をきっかけに、国際陸連の汚職や資金洗浄を捜査していたが、2013年7月と10月の2度にわたって「東京2020オリンピック誘致」という名目で日本の銀行にある口座からシンガポール所在のブラック・タイディングス社に280万シンガポールドル振り込まれた事実を確認している。

同局はまた、ブラック・タイディングス社がパリで大規模な購買活動を行っていたことも把握し、オリンピック招致に絡んだ金銭要求の情報もキャッチ。2015年12月には予審開始請求を行っている。

いったいブラック・タイディングス社とは何者なのだろうか。
今年1月14日に世界反ドーピング機関(WADA)が発表した国際陸連のドーピング問題に絡んだ大規模汚職疑惑に関する第2回調査報告書にはこう書かれている。
「ヒンディー語でブラック・タイディングスとは、『闇マーケティング』や『黒いカネの洗浄』という意味がある」――。

同社の口座はロシア選手のドーピングの隠ぺいに絡む金銭のやりとりに使用されていたのだ。

なぜそのような、いかにも危ない社名の会社が、東京オリンピックの誘致に関わったのだろうか。

◆ブラック・タイディングス社を紹介したのは電通

5月16日に行われた衆院予算委員会で、民進党の玉木雄一郎衆院議員の質問に対し、馳浩文部科学相は次のように答弁している。

「オリンピック招致は2013年8月が山場だった。日本は(福島原発の)汚染水問題で厳しい状況にあった。招致委員会は最終的にコンサル会社に頼らざるを得なくなると判断し、電通に確認した。電通からブラック・タイディングス社が実績があるとして勧められ、招致員会が契約を判断した。しかしブラック・タイディングス社から請求された金額を一度に全額払うことはできず、2度に分けたと聞いている」

ブエノスアイレスで2020年夏季五輪開催地が東京と決まったのは、2013年9月7日(現地時間)だ。支払いを行ったのは2013年7月と10月。決定をまたいでいることから、2度に分かれている理由は「手付金と成果報酬」に見えなくもない。後述するが招致予算は豊富であり、「一度に全額払うことができず、2度に分けた」という弁明はいかにも苦しい。

前述の世界反ドーピング機関の報告書には、さらに詳しいことが記されている。

「トルコ(イスタンブール)はダイヤモンドリーグや国際陸連に400万ドルから500万ドルを支払わなかったため、ラミーヌ・ディアック氏の支持を得られず落選した。日本は支払ったので、東京開催を獲得した」

この報告書は、ブラック・タイディングス社のイアン・タン・トン・ハン氏についても触れている。「電通の関連会社である電通スポーツがスイスのルセーヌにアスレチック・マネジメント・アンド・サービス(以下AMS)というサービス会社を設立し、国際陸連による商業権利の売買や移管を目的としている。AMSはイアン・タン・トン・ハン氏を2015年の北京大会を含む国際陸連の世界選手権やその他の世界陸上でのコンサルタントとして雇っていた」。
5月17日に開かれた民進党の「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」に提出された資料には、ブラック・タイディングス社の主たる業績として「2015年世界陸上北京大会の招致コンサルタント、マーケティング」「2008年北京オリンピックのホスピタリティサポート」「ボアオ・アジア・フォーラム」「2012年イスタンブール世界室内陸上競技大会」などが記されている。

つまり、ブラック・タイディングス社は、実に華々しい実績をあげていることになっているのだ。

しかし、ブラック・タイディングス社は、本当にそれだけ華々しい実績を持っているのだろうか。シンガポールでの同社の所在地は簡素なアパートで看板もない。欧米のメディアは同社を「ペーパーカンパニー」と報じている。
果たしてペーパーカンパニーなのか。それとも実態を伴ったコンサルティング会社なのか。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の竹田恒和元理事長と樋口修資元事務局長は5月13日に声明を出し、「支払いはMR. TANの会社から受けたサービスに対するコンサルタント料で、新日本有限責任監査法人等により正式に監査を受けた」とし、「正式な業務契約に基づく対価として支払いを行った」「彼らは、アジア中東の情報分析のエキスパートであり、その分野におけるサービスを受け取っている。契約に基づく業務に対する対価の支払いであり、なんら疑惑をもたれる支払いではない」と断言した。

だが民進党の「調査チーム」に出席したJOCの関係者は、玉木座長や山井和則座長代理などからの質問に対しては「守秘義務があり、弁護士から言うなと言われている」と説明を拒否。肝心のイアン・タン・トン・ハン氏に対する調査についても、「我々が接触すれば、隠ぺい工作をしていると批判される」と何もしていない状態だ。

◆サミットでは「腐敗対策」も大きなテーマだが…

振り返ると東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の予算は、実に豊富だった。2012年度には2億2770万円もの補助金等が入っており、寄付金は23億6653万円にも上る。2013年度には補助金等収入は6億8226万円で、寄付金は25億2445万円。合計58億円以上の補助金や寄付金があった。2016年大会の時のような招致失敗をどうしても避けたかったに違いない。その結果として、闇の部分にまで手を染めてしまったのだろうか。

今月26日と27日に伊勢志摩で開かれるG7サミットでは、主題議題とされる優先アジェンダの中に「腐敗対策」が含まれている。17日の「調査チーム」の会合では、外務省から担当者が出席して、「スポーツの腐敗について共同声明に附則として盛り込む予定だ」と説明した。

「日本で開かれるサミットでスポーツの腐敗について議論すれば、世界の笑われ者になる。我々はあなたがたを責めているわけではない。サミットの前にこれを解決すべく、協力してもらいたい」

山井氏がJOCの関係者にこう語りかけると、関係者は「お願いがある」と言い、涙声で「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」の名称を変更してくれるように求めた。だがここまでくれば、裏金ではないという証明責任は招致委員会を引き継いだJOC自身にあるといえる。

オリンピックの開催という栄光を得ようとして、とんでもない深い闇に足を突っ込むはめになったJOC。果たして無事にオリンピックは開催されるのだろうか。

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