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税・保険料の滞納への行政のアプローチ・考~「福祉の増進」の観点から 

 貧困の拡大とともに、税や保険料など各種の滞納が増加。それに対し、国保の都道府県調整交付金が徴収率の改善が反映するとか、今年度から、基準財政収入額に、徴収率の平均でなく、上位自治体を基準とするように改変されるなど、財政的締め付けを背景に、機械的な徴収、差し押さえが問題となっている。
 一方、鳥取県の差し押さえの違法判決など、たたかいによって前進している部分もある。
 そうした中で、税や公共料金の滞納問題を、どう地方議会でとりあげるか・・
 

今、少なくない自治体が、債権回収機構を共同でたちあげて、滞納者に「相談は自治体にしてください。私たちは債権回収だけを委託されている」と、機械的に対応している。
悪質な滞納者もいるのは事実。
が、問題は、自治体が、債権回収機構に、委託する案件を判断する基準、それまでの取り組みである。

私は、税務行政の問題であるが、その問題点としての指摘と同時に、別の角度の論戦が必要ではないか、と地方議員の勉強会で話をしている。

今、行税課題は大きく広がっており、個別法では、子ども、高齢者の虐待、自殺防止、多重債務など消費者行政、また生活困窮者の自立支援がとりあげられている。

問題が顕在化(とりかえしのならない結果)する前に、どう予防するか、と言えば、啓発も大事だが、税や公共料金の滞納に、そのリスクが現われているととらえて、積極的に介入することが必要ではないか、という視点である。
そのことを、議会で、福祉、教育の担当部局に、明言させることだと思う。「虐待や自殺の危険を放置するのか」「きちんと状況をつかむことなく、債権機構に回すのか」と問えば、税務行政とは、ちがった答弁にならざるを得ないと思う。それに、リスクを抱えた人ほど、行政に相談しない、という傾向がある(過去に、いやな目、痛い目にあってきた)、ということも踏まえて、ただす必要がある。

福祉の増進という自治体の役割を果たすための「リスク管理」の仕組みづくり求めていくことが大事だと、いうことをどう全体に認識にしていくか、その論戦が必要に思う。

何年か前にブログに書いた話だが・・・
 いつものように厚労省のHPをチェックしていたら「乳幼児健診の実施率」の全国調査のデータが公表されていた。高知県が最低、特に高知市の低さがその原因という数字だった。
この数字をどうとらえるか。経済的な困窮などリスクが高い世帯ほど行っていない、ということではないか。
県は、児童虐待死の問題を真剣にとらえ、体制も専門性も充実させる取り組みをしていたので、その観点から、県議会の常任委員会で指摘をおこなった。翌年には、健診に来ていない家庭を訪問するために、市町村が保健師を配置するための県の補助制度が導入された。
これは、そのリスクに対応する姿勢を示した県内の大事な事例である。

潜在的なリスクに積極介入して、「福祉の増進」につとめることが行政の役割・・・「滞納」は、その大事なシグナルである—ここが論戦の勘所のように思う。


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