東京五輪 運営費6倍、仮設整備費4倍~悪徳商法のたぐい
決まってから、「実はこれだけかかります」と何倍もの価格の請求書を出してくるなど、悪徳商法、詐欺の類である。
「たった2500億円」という森・大会組織委会長、一流好きの都知事の金銭感覚で、まだまだ膨らみそうな気配である。
東日本大震災、熊本地震の復旧、復興にこそお金を使うべきであり、返上したらどうか。
【<東京五輪>仮設整備費、計画の4倍に 3000億円見通し 毎日4/30】
【五輪後「新国立」は廃墟に…建築家・伊東豊雄氏が懸念語る 日刊ゲンダイ 3/28】
【都が448億円負担へ 五輪 新国立と道路・公園 知事と国合意 赤旗12/2】
【東京オリンピックの運営費、当初見込みの6倍で財源1兆円不足 「民間なら"クビ"レベル」怒りの声続々
The Huffington Post 2015/12】
【トンデモ五輪施設 491億円ボート会場の「ありえない」立地 AERA2015/8】
【球界反発 唐突すぎる五輪組織委「神宮球場」使用中止要請 日刊ゲンダイ 4/7】
【東京五輪で会場使えず 展示会中止で売り上げ4兆円消滅危機 日刊ゲンダイ3/5】
【要望 日本展示会協会 2015年11月16日】
【<東京五輪>仮設整備費、計画の4倍に 3000億円見通し 毎日4/30】2020年東京五輪・パラリンピックの仮設施設の整備費が招致段階の計画の4倍相当の約3000億円に膨らむ見通しとなっていることが30日、大会関係者への取材でわかった。建設費の高騰などが理由で、大会組織委員会と東京都、政府で費用分担の見直し協議を進めている。
招致段階では、新国立競技場(新宿区)は国、大会後も使う恒久施設は東京都、仮設施設(恒久施設を五輪対応にする改修を含む)は、組織委が担うことになっており、組織委負担分は723億円と見積もられていた。
仮設は当初、ビーチバレー会場の「潮風公園」(品川区)など11施設の予定だったが、資材や人件費の高騰を受け、水球会場を既存の東京辰巳国際水泳場(江東区)に移すなど7施設に抑えた。それでも招致段階の試算の甘さも響き、費用は膨らむ見通しだ。
組織委は資金不足を避けるため費用分担の見直しを求め、東京都は仮設の有明体操競技場(同)は大会後に展示場として約10年使うことにして、費用負担を表明している。
会場整備の費用高騰を巡っては、新国立競技場の計画が見直され、東京都もバスケットボールとバドミントンを開催予定だった恒久施設の「夢の島ユースプラザ」(同)などの建設を取りやめ、既存施設に会場を移した。
【五輪後「新国立」は廃墟に…建築家・伊東豊雄氏が懸念語る 日刊ゲンダイ 3/28】まさに仏作って魂入れず。新国立競技場の建設計画は再び撤回し、「B案」を採用すべきだ。3年前に建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー賞」に輝いた日本を代表する名建築家・伊東豊雄氏が憂える現計画の重大欠陥とは――。
■新たな挑戦はすべて「心配のタネ」に
――オリンピックのメーン会場となる施設なのに、聖火台の置き場所を想定していなかったとは、あり得ませんよね。
昨年8月に事業主体のJSCが応募要項を発表した直後に質疑応答がありました。「聖火台は必要ですか」と。返事は「新しい聖火台工事は本事業の対象外」。開会式の演出に左右される面はあるでしょうが、オリンピックには不可欠なもの。スタジアムの中で聖火がともることは想定しておかなければいけません。
――設計を担当する建築家の隈研吾さんも、いくらでも、どうにでもなるという態度です。聖火を軽んじていませんか。
そう簡単に「どうにでも」はならないのではないですか。聖火を置くエリアの屋根を外すか、木材を使わず鉄骨のみにするか。当初の設計プランの変更が必要です。
――1964年の東京五輪の記憶をつなぐため、旧国立の聖火台を“レガシー”として再び使うことを考えていたとか。
コンペの提案書にも、聖火台のイメージ図を描きたかった。64年と同じく、スタンド全体の人々が聖火を見上げて盛り上がっている様子をね。素晴らしい提案だと思っていましたが、主催者が求めていない以上、イメージ図は出しませんでした。「余計なことをした」と言われかねない雰囲気でしたから。
――JSCは「自分たちが求める以上のことは、やってくれるな」という印象でしたか。
新しい挑戦はことごとく審査会での減点の対象になりましたね。中間層で免震層を設ける提案もそうですし、屋根の施工にあたって、足場を組まずにスタンドの後ろから大型クレーンでつり上げる方式の提案に関してもそうです。経済性や安全性を高め、工期短縮につながる提案だと思うのですが、選考する側には「リスク」になる。従来試みられていないからだと。
――画期的なアイデアがマイナス評価になるのは、おかしいですね。
常に“心配のタネ”に置き換えられました。僕がザハ案の頃から最も危惧していた広大な人工地盤の問題もそう。緊急時に観客8万人の避難場所として、新たに明治公園に指定されるスペースでは面積が足りません。そこで都の審議会は上げ底式の人工地盤で立体公園を造り、不足分を補う都市計画を立てたのですが、外苑西通り沿いは600メートルにわたり、無数の柱が並ぶことになります(写真①)。――高速道路の高架下のようで、神宮の景観をブチ壊します。
通りを歩いても人工地盤に遮られてスタジアムの姿は見えなくなる。だから、我々は人工地盤の縮小(写真②)を提案したのですが、選考委員たちは都市計画はそう簡単に変えられないの一点張り。この先、近くの神宮球場と第2球場を取り壊します。再開発の際、行政機関と調整すれば避難スペースを確保できるはずなのに、そのリスクを誰も取りたがらない。
――誰もが明らかに「良い」というアイデアが生かされない。
人工地盤を縮小すれば約30億円もコストを削減できます。大きいですよね。主催者たちは、どういう神経なんでしょう。言いたくはないのですが、B案は意図的に否定されたとしか思えません。
――出来レースだと。
審査委員から「A案のここが素晴らしい」と、もっとハッキリとしたメッセージを聞くことができれば、我々も少しはあきらめもつくし、世間の人も納得されると思います。審査結果にモヤモヤしたままなので、新たなスタジアムに対する期待も盛り上がりませんよね。
――むしろザハ氏に「酷似している」と法的措置を検討されるなど、ケチがついてばかりです。
断面図を見ると、6本の柱でスタジアムを支える構造は同じ。平面図を比べても、108本の柱の位置や54本の通路、8カ所ある地下トイレの数や位置までほぼ重なります。似ているというより、(ザハの)プランニングを借用していると言っていい。彼女の案を下敷きにして外観だけ変えたと言われても仕方ない。ここまで偶然に一致することはあり得ません。
■空疎で表層的な「日本らしさ」
――隈さんと組んだ梓設計と大成建設はともにザハ案でも設計・施工業者として携わり、内部データを知り得る立場にありました。
ザハ案は実施設計が進行し、大成建設も恐らく鉄骨など建築資材を発注済みだったのではないでしょうか。工期とコストを優先するあまり、ザハ案の設計を踏襲したのでしょう。推測でしかありませんが。
――後世に継がれる国の重要建築物なのに、常にコストと工期だけを重んじてばかり。あの土地の持つ歴史性や地域性への配慮、将来の青写真や理念すら、ないがしろになっていませんか。
コンペの点数配分も、そうなっていましたから。明治神宮の造成から100年。これからも明治を生きた人々が内苑と外苑という2つの森に込めた思いをどう守っていくか。それが応募要項で再三求められた「日本らしさ」と我々は考え、「新しい伝統」という言葉で表現しました。しかし、昨年末の公式ヒアリングでは、歴史性や地域性の問題は全く議論にならず、その点の評価もありませんでした。
――「レガシー、レガシー」と言葉だけが躍っている印象です。
今のJSCの理事長にしろ、文部科学大臣にしろ、十分認識されておられないんじゃないですか。神宮の歴史性なんて考えたことは一度もないと思う。トップが「凄いものを造るぞ」と組織を引っ張っていかないと、いい建築はできませんよ。
――「日本らしさ」と「木材の活用」がどう結びつくのかも疑問です。
旧国立の敷地に1800本近くあった樹木のうち、大きな木は現在18本しか残っていません。約200本は移植してありますが、残りは全部、伐採された。樹齢ある巨木を尊ぶ精神こそ「日本らしさ」。単純に木を使えばいいという発想は、まったくもって表層的で空疎です。
――浅はかですよね。
ザハ案の表面だけを取り換えれば「和」になるという考えなら、情けない。僕はザハ案からの「借用」だけを問題視しているわけではないんです。内部構造は似ていても、あんなに見た目が違う建築が建ってしまう。東京の高層ビルだって骨組みだけ見れば、どれも同じ。表面だけで、わずかな違いを表現する。世界のいかなる場所にも同じ建築が立ち、その結果、地域性や歴史性が排除されて均質化していく。この建築のグローバル化というべき状況を非常に懸念しています。
■五輪が終わった途端、廃墟に
――建築のグローバル化を加速させているのが、官僚機構の右へならえと前例踏襲主義ですね。
震災復興も同じ構図です。釜石市の復興計画をお手伝いしましたが、ちょっとでもヨソと違う提案をすると、国は全部否定して予算をつけてもらえない。その土地の特性を生かした復興の姿があるべきなのに、均質化の壁に阻まれる。どの地域の復興も巨大防潮堤の建設、かさ上げ、高台移転しか認めない。
――1000年に1度の備えのため、その土地の歴史や文化、生活の継続性が否定される、と。
ショッピングモールがあって、均質な集合住宅や建売住宅が並ぶ。あと5年も経つと、三陸の地はどの町も同じ風景になってしまうのでしょうね。こうしたグローバリズムの波が神宮の森にまで入り込んでいいのでしょうか。表層的なデザインをはがした時に現れる「素の形」を尊ぶ精神にこそ、本来の「日本らしさ」は宿っている。例えば伊勢神宮とか、海外の建物にはないピュアで力強くてエレガントな建築を表現できれば、と我々も死力を尽くして提案したつもりです。
――今は「日本らしさ」とは真逆の方向に進んでいるかのようです。
むしろスタジアムの「風化」を恐れています。A案の鳥瞰図は2020年から30年後の姿を描いています。オリンピックの頃は樹木はあんなにうっそうとしていません。あれだけ育つ頃には屋根の木材はかなり見苦しくなる。必ずグレーに変色し、カビも生える。20年以内には奇麗にしなければいけませんが、あの構造だと、屋根の総取り換えを迫られます。莫大な予算が生じ、捻出できなければ放ったらかしです。
――何層にも重なる樹木のプラントボックスも、管理維持費がかさみそうです。
枯れても育ち過ぎても害鳥が集まっても困る。だからプラントは公共建築では嫌われる。他の公共建築でテラスに緑を提案すると、必ず「管理はどうする?」と突っ込まれます。なぜ、あれだけのボリュームのプラントが問題視されないのか不思議です。
――木材の変色は早い。アッという間に新国立は廃虚化しませんか。
極端に言えばオリンピックが終わった途端、神宮一帯が輝きを失うような気がしてなりません。
▽いとう・とよお 1941年、日本統治下の京城(現ソウル)生まれ。65年に東大工学部建築学科を卒業後、建築家の菊竹清訓氏に師事し、71年に独立。プリツカー賞のほか、現代美術のオリンピック「ベネチア・ビエンナーレ」の金獅子賞を2度獲得など、国内外の受賞歴多数。東日本大震災の被災者の集会場となる「みんなの家」建設など、多くの復興プロジェクトに携わる。
【都が448億円負担へ 五輪 新国立と道路・公園 知事と国合意 赤旗12/2】2020年東京五輪の主会場となる新国立競技場の整備費問題で、舛添要一東京都知事は1日、都内で遠藤利明五輪担当相と会談し、都として競技場建設費や道路、公園整備費の合計448億円程度を負担することで合意しました。会談には、馳浩文部科学相も同席しました。
席上、遠藤五輪相は、新国立競技場の建設費用の1581億円を分担の対象にすると説明。その半分の791億円を国、4分の1の395億円ずつを都とサッカーくじの財源で負担するよう提案しました。また物価変動や消費税10%引き上げの際、不足が生じた経費も都が同じ割合で負担するとしており、都負担はさらに増加することになります。
あわせて遠藤五輪相は、道路上空連結デッキの37億円、東京体育館デッキ接続と現都営住宅地公園整備費用の16億円も都が負担するよう求めました。
馳文科相は、国立施設の整備費について地方自治体の負担を可能にする「法改正」の準備を進めると話しました。
舛添知事は、国の提案に「合意したい。都議会で十分財源案を議論し、都民の理解を得たい」と回答しました。
その後開かれた都議会開会日の所信表明で、舛添知事は、新国立競技場の整備費負担を了承したことを説明しました。
新国立競技場をめぐっては、国民の批判の高まりのもとで8月に新計画を策定しましたが、従来と変わらない巨大施設となっており政府と都の作業チームが費用の負担割合の検討を進めていました。■都民の理解得られない 大山党都議団幹事長が談話
日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は1日、舛添要一都知事が新国立競技場整備費と関連経費を都が負担することで国と合意したことを批判する談話を発表しました。要旨を紹介します。
◇
都が負担する新国立競技場整備費は、4分の1の395億円であり、連結デッキ・公園整備費などの周辺整備費を加えると約450億円と巨額になる。そのうえ、物価や賃金上昇などによる整備費の増大が予想され、消費税増税も加われば、都の負担はさらに増えることになる。
国立施設の整備は国の責任であり、都が2020年五輪のために整備する競技場などの負担に加え、新国立競技場整備費まで負担することは許されない。
舛添知事は、新国立競技場は国の責任で整備することが原則であり、都の負担については都民の納得が必要との見解を都民と都議会に示してきた。今回の表明は、政府、自民党の圧力の下でこうした見解を覆したものだ。
計画されている新国立競技場は1550億円以上をかけ、高さ70メートル、8万席もの観客席を収容できる巨大施設であり、都民の理解が得られているとはいえない。
都は五輪競技場施設整備に現時点で約2450億円もの税金投入を計画している。そのうえ国立競技場の整備にまで都民の血税を投入することは、都民施策を圧迫するものであり、格差と貧困、都民生活の困難が広がるもとで、都民の批判は避けられない。
オリンピック憲章は、人間の尊厳の保持を重視し、アジェンダ2020では開催都市に競技場整備費の抑制を求めている。日本共産党都議団は、この理念に立って都民のみなさんと力を合わせ、新国立競技場への都負担の中止、都民のくらしと調和したオリンピック・パラリンピックを求めていく。
【東京オリンピックの運営費、当初見込みの6倍で財源1兆円不足 「民間なら"クビ"レベル」怒りの声続々
The Huffington Post 2015/12】2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの大会運営に必要な費用が、当初見込みの3013億円から約6倍となる1兆8000億円に増大することがわかった。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が試算した。組織委の財源だけでは1兆円以上不足することになるが、不足分は東京都や国が補填することになっており、負担がどこまで膨らむのかが焦点となる。12月18日、共同通信などが報じた。
産経ニュースによると、競技会場の整備費やテロ対策の強化といった警備費などが、当初の見込みを大幅に上回ることが判明した。経費増大の原因は、人件費や資材の高騰のほか、選手らを輸送する首都高速道路に専用レーンを設置するための補償費、会場周辺の土地賃貸料など、当初は見込んでいなかった費用が追加されたことにもよる。
さらに、東京都は大会後も施設を残す競技会場の整備などで2241億円を負担する予定のため、この費用を合わせると2兆1000億円以上に上ることになる。東京都が負担する額は、招致段階では1538億円とされていたが、開催決定後に3倍近い4584億円に増大。その後、関連設備の配置見直しなどを行い、2241億円となっていた。
一方で、FNNニュースによると、組織委がスポンサー料や大会のチケット収入などで得られる額は約4500億円。残りは、国や東京都が分担して負担することになる。
【トンデモ五輪施設 491億円ボート会場の「ありえない」立地 AERA2015/8】巨額の建設費が大問題になった新国立競技場だが、きな臭い五輪施設計画は他にもある。ボートの「海の森水上競技場」だ。
「ボート会場予定地がゴミの埋め立て地との認識は持っていました。ただそこまで(建造物が)腐食に弱いとは……」
そう話すのは、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の花井徹夫施設輸送担当部長。言っているのは、都が東京湾岸に計画する2020年東京五輪のボート・カヌー競技会場「海の森水上競技場」のことだ。当初、施設整備費を「69億円」と発表。ところが、諸経費を含めると「1千億円超」というとんでもない金額が出てきたのだ。花井部長は主な高騰要因を「観客席下などの地盤が弱く、腐食も引き起こすため」と説明する。ただ、そんなことは百も承知で選んだ場所なのではないのか。
結局、膨れ上がった整備費を問題視した舛添要一知事が昨年11月に見直しを表明。主要施設を「ゴミ地盤」ではない反対側に移すことなどで、491億円に圧縮した。それでも当初公表した整備費の約7倍だ。ある建設業関係者はあきれる。
「69億円が1千億円超となり、今度は491億円。民間企業ならこんなことをしていては全員クビ。開催決定前に詳しい調査が難しいのは分かるが、いくらなんでも10倍超はないでしょう。見直し後も本来の69億円がベースになっているのか」実は建設工事では、設計会社の取り分はプロジェクト請負金額の3~5パーセントが目安。総額が減れば設計会社の実入りも減るため、減額とはなりにくいのだ。
「設計会社は造り方は知らないから金額もいい加減。新国立で分かるでしょ」(業界関係者)
海の森には、ボート関係者からも疑問の声が上がっている。バルセロナとアトランタの五輪ボート競技日本代表で、現在は社会人チーム監督の岩畔道徳(いわぐろ みちのり)さんは言う。
「コースサイドに風力発電の風車がある。あり得ない。風が強い場所だと証明しているようなもの。ボートなどの水上競技には静かな水面が絶対条件です」
構造にも大きな問題があるという。岸辺はコンクリート堤防で切り立った構造。水面付近の風を防ぐ効果はあるが、これでは動力船やボートが起こす波が反射しあう。しっかりした消波と強風対策が必要だが、それだけコストがかさむことになる
【球界反発 唐突すぎる五輪組織委「神宮球場」使用中止要請 日刊ゲンダイ 4/7】2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、五輪開催期間を含む20年5月から約半年間、ヤクルトが本拠地とする神宮球場側に対し、使用中止を要請していることが、関係者を通じてわかった。
「神宮球場はメーンスタジアムの新国立競技場に隣接しているため、通行止めなどのセキュリティー対策が求められるのは分かるが、中止理由をはじめ、代替案、中止にともなう補償費負担など、具体的な話は一切ありません。あまりにも唐突な打診に戸惑っています」(球場関係者)
同球場はプロ野球だけでなく、東京六大学、東都大学野球、夏は高校野球の東・西東京都大会が行われるとあって、年間470試合が開催される。5月から半年間中止となれば、プロアマ合わせて257試合(2015年実績)を他の会場で実施しなければならなくなる。
ヤクルトの衣笠剛球団社長は「正式な申し出はありません」としたうえで「あれだけの広告を出してもらっているし、年間シートを購入していただいているお客さんも何千人もいる。そう簡単によその球場でというわけにはいかない」と不快感を示した。またアマ関係者も「一方的に中止要請では納得できるわけがない」と反発を強めている。
とはいえ、五輪は国を挙げての一大イベント。莫大なカネも動く。一企業の利益やアマチュアの立場までいちいち考えてはいられないと五輪開催を錦の御旗にして、強引に“立ち退かせる”ことも十分考えらる。昨年4月の段階では神宮球場は五輪期間中、現状のまま使用。五輪後は秩父宮ラグビー場の跡地に新神宮球場を建設し、神宮球場の跡地に新秩父宮ラグビー場を造る計画だった。それも補償費用などの問題で交渉が進んでいない。今回の試合中止要請で、白紙撤回に追い込まれる恐れも出てきた。いずれにしても、それぞれ私利私欲が絡むだけに大モメは必至だ。
【東京五輪で会場使えず 展示会中止で売り上げ4兆円消滅危機 日刊ゲンダイ3/5】東京五輪は、やはり返上した方がいいのではないか。ようやく建設計画が決まった新国立競技場で、今度は上部に聖火台が設置できない恐れがある問題が浮上。大騒ぎとなっているが、問題は大会運営だけではない。五輪期間中にプレスセンターとなる「東京ビッグサイト」を利用できない展示会の主催業者や出展企業が「死活問題」と戦々恐々になっているのだ。
「出展企業の売り上げ消滅 約4兆円」「中小9万社が倒産の危機に」「直接経済効果の消失 約4000億円」「支援企業1000社が危機に」――。約300社・団体でつくる「日本展示会協会」(東京)が開設した「東京オリンピックで展示会中止の恐れ」と題したサイトには、こんな驚愕の数字がずらりと並ぶ。日展協の桜井悌司・事務局長がこう危機感を募らせる。
「展示会は各イベントごとに毎年1~2回継続的に開催され、数百から千を超える出展社のほか、数万~数十万の来場者があります。(五輪で会場が使えず)開催できなければ経済的損失は甚大になるでしょう」
「五輪倒産」との声も漏れ始めた業界の強い危機感を受け、先月29日、東京ビッグサイトは業者ら向けの説明会を開催。打開策として東京テレポート駅東側に仮設展示場(約2・4万平方メートル)を設置する計画を説明したのだが、これで一件落着とはいかなかった。
■幕張メッセも利用不可濃厚
「仮設展示場が使えるのは2019年度のみで、翌年の五輪時は撤去するというのです。結局、2020年4~10月までの7カ月間はビッグサイトが使えないことがハッキリした。しかも、代替会場になるはずだった千葉・幕張メッセはフェンシングやテコンドーなど3競技が開催されるため、こちらも使えないでしょう。要するに五輪期間中は東京や近郊で展示会は一切開けないのです」(イベント業界関係者)
これじゃあ業界が震え上がるのもムリはない。日展協は今後、国会議員ら関係先への陳情を計画しているというが、不思議なのはこれほど深刻な問題なのになぜか、大新聞が報じないことだ。
「そりゃあ自分たちが“当事者”だからでしょう。ヘタに大騒ぎすれば『プレスセンターを移転させろ』なんて事態になりかねない。日展協が掲げている打開案も『メディア施設を別の場所に建設』ですからね」(前出の関係者)
一体何のため、誰のための東京五輪なのか。あらためてよ~く考えるべきだ。
【日展協は東京オリンピックの成功を願い、あらゆる協力を惜しみません。一方、ビッグサイトの全展示会を例年通り開催できるよう、「メディア施設を 東京臨海広域防災公園、または他の適切な場所に新設すること」 を要望します】1. 東京都が初めて計画案を発表
2015 年10 月22 日、東京都は主催者などに対し、東京オリンピック時のビッグサイトの利用制約に関して、「現時点での計画案」を初めて公式に発表した。
それによれば、2019 年4 月~2020 年11 月までの20 ヵ月間、ビッグサイトの大部分がオリンピックのメディア施設として使用され、その結果、東1~6 館および東新展示棟の全てが展示会場として使用不可になり、2020 年の4 月~10 月は西館も全て使用不可になるということである(※3 頁の注1 参照)。もしこれが現実になれば、ほとんどの展示会が中止に追い込まれる恐れがある(※注2)。
それゆえ今回の発表を受け、出展企業など多数の展示会関係者から「展示会が中止になれば、出展企業の倒産などが続出し、大きな社会問題になりかねない。国立競技場の問題よりはるかに深刻だ」と危惧する声が上がった。
2. 本計画案は、重大な社会問題になる恐れ① 概算で 4兆円の売上げが消滅する恐れ
ビッグサイトでは、毎年、約9 万社の企業が約300 本の展示会に出展し、約3 兆円の売上げをあげている(平成19 年のビッグサイト公式記録による)。これを20 ヵ月間に直せば、約500 本の展示会で概算5 兆円になる。もしこれらの展示会が中止、あるいは大幅に縮小すれば、最小限に見積もっても、約4 兆円の売上げが消滅し、日本経済に壊滅的な打撃を与える。
さらに、上記の売上げの中には、約2 万社の海外出展企業の売上げが含まれている。したがって、海外企業の間から、「日本市場に参入できなくなる」という批判が高まり、国際問題に発展する恐れがある。② 多数の中小企業が、倒産などの経営難に陥る恐れ
出展企業のほとんどを占める全国の中小企業は、優れた製品を持っていても、十分な販売網を持たないため、「何万人ものバイヤーが買付けのために来場する展示会」を年間最大の営業の場にしている。従って展示会が中止、または大幅に縮小すれば、中小企業は売り上げを激減させ、倒産など経営難に陥る。③ 出展企業との間で、補償などの問題に発展する恐れ
日本でも、世界中でも、展示会は毎年1回、長年にわたり開催され、企業の恒例スケジュールに入っている。従って、代替地を用意せずに展示会を中止または大幅に縮小すれば、出展企業の営業権を奪うことであるとも解釈され、補償などの問題が起きかねない。④ 直接経済効果、概算で4,000 億円が消滅する恐れ
年間300 本の展示会は、装飾、電気、マンパワー、ホテル…など約1,000 社の関連企業に年間3,000 億円(東京ビッグサイト公式発表)、20 ヵ月間で概算5,000 億円の経済効果をもたらしている。もしこれらの展示会が中止、あるいは大幅に縮小すれば、最小限に見積もっても、約4,000 億円の経済効果を消失させると同時に、中小の展示会支援企業を倒産させる恐れがある。3. メディア施設に関する、2つの選択肢
コストの面、および五輪後の問題点から比較してみる。■ A案 サイトをメディア施設に改造し、20ヵ月間、展示会を中止
出展企業の売上げ消滅 約4兆円
中小9万社が倒産の危機に
営業権を奪い、大問題になる恐れ
直接経済効果の消失 約4000億円。
支援企業1,000 社が危機に
改造と回復工事費用予測 推定 数百億円
中国など海外に出展社が流出し、五輪後、日本の展示会に帰る保証はない
●経済の沈滞と衰退を招く■B案 ディア施設を防災公園あるいは他の適切な場所に建設する
出展企業売上げ確保 約4兆円
中小9万社の倒産を回避
直接経済効果の維持 約4000億円
建設費予測(最大10万㎡) 推定200億から500億円
五輪後 展示会場に転用でき、長年のビッグサイトの面積不足を解消できる
●経済の活性化と発展を促進4.日展協は、 の メディア施設の新設を強く要望します
B案ならば、新しいメディア施設によりオリンピックを成功させられると同時に、例年通り500 本の展示会を開催でき、出展企業の5 兆円の売上を確保し、1,000 社の展示会関連企業の倒産を防げる。また五輪後には展示会場に転用し、ビッグサイトの面積不足を補うこともできる。
メディア施設の建設に推定200~500 億円をかけても、その100 倍近くの約4 兆4,000 億円の収入が確保できるため、これ以上の得策はないと確信する。
なお、防災公園への建設は法律があるので不可という意見がある一方、法律を見直し柔軟に運用すれば可能であり、同時に、屋根つきの防災拠点にすることもできるという意見もある。
ただし、防災公園の他に、より適切な建設場所があれば、それでもかまわない。
A案ならば、メディア施設の新設に要する推定200~500 億円の節約をしても、その100 倍近くの約4 兆4,000 億円のビジネスが消滅する上、ビッグサイトの手直しに数百億円がかかると推定されるので、とても得策と言えない。
さらに、約2 年の中止によって出展社や来場者が日本の展示会に戻らず、その結果、日本のほとんどの展示会が消滅し、それが日本経済衰退のきっかけになる恐れがある。
過去3 回のオリンピック(北京、ロンドン、リオ・デ・ジャネイロ)では、各国とも「全ての展示会を例年通り開催する」という方針から、メディア施設を別途新設した。これが世界の通念と言っても過言ではない。以上の理由から日本も現状のA案を変更し、すみやかにB案を決断すべきである。
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