熊本地震 オスプレイ運用~政治ショーにしか見えない
今回、オスプレイの行動は、熊本空港近くの駐屯地から、白水運動公園まで、ヤフー地図で調べたら、車なら28キロ、45分で行ける場所(実際、道路は通行可)に、物資の積み下ろしの手間をかけ、運動公園から被災場所まで、自衛隊のトラックに積み替えて届けた、という、まったく意味不明な「政治ショー」と言わざるを得ない。
最初からトラックで運べば、自衛隊員に余計な負担をかけることもなかった。
しかも、今回の行動を米海兵隊は、日本政府の要請でおこなった、と説明している。
国民の命より、政局・権力維持・・・理解しがたい。
災害があった場合に、ある能力はすべて活用しなければならない。ただし合理的に、と思っている。
オスプレイは、確かに飛行場のないポイントでも、いち早く到達できる能力はある。しかし、強烈な下降流と高温の排気熱のため、がれきが散乱していたり、倒壊が懸念される家屋があるような地域では運用は厳しい。きちんと整理した広い場所に、早く到達することはできる。ただし、その積載量はそんなに多くない。
速度、積載能力、航続距離のマックスは同時には達成できない。ヘリモードで積める量は4.5トン。離陸は、滑走路を使い、着陸はヘリモードで対応しても、9トンが限界。その時のスピードは? ヘリモードの最高速度が180キロと、ヘリとしては極めて遅い。エンジンを斜めにする飛行モードとヘリモードの中間で対応するのだろうが、大型ヘリの速度と、どれだけ有意の差があるのか、と思う。
時がたてば、大型ヘリ、海からの輸送もある。しかも、今回は、熊本空港は、空港ビルの被災によって、航空会社の運航が中止になっただけで、使えなかったわけではない。
自衛隊の誇る輸送機で、物資を届け、そこから機動性の高い自衛隊保有の大中のヘリを運用すれば、もっとスムーズに対応できた、と思う。
オスプレイは、そもそも米陸軍の要請で開発された機体。それが性能不足で、米陸軍は採用しなかった。生産中止も議論されたが、雇用確保をもとめる声に応えて造ってしまった。その配属先として、いち早く敵地に上陸する、という第二次大戦の役割を創出し、組織廃止の危機にたつ、「海兵隊」が、「即応」という名目で引き受けたか、押しつけられたか、という代物。
それでも米軍が現にもっているので使えるものなら使う、という選択はあるが、これから、日本が、この失敗作の極めて高価な機体を買うのは属米体質からしか説明がつかない(しかも、買うのは決めているのに、運用計画がない、というひどさ)
本当に必要なところに、使うべきである。それば「大砲かバターか」という話は置いといて、時代遅れの応急手当キット、通話が支障をきたす不揃いな情報通信など、本当に専守防衛や災害復旧活動の奮闘している自衛隊員の命と意欲を大切にする対応がなされているのか。
軍需産業を通じて、とにかく大企業の利益を確保させることが第一で、「火の出るオモチャ」に執着し、真の安全保障とは無関係、多くの自衛隊員の意思をも踏みにじっている。
参考まで。軍事ジャーナリストの清谷氏のブログ。
【震災オスプレイの記事 プロとアマとの違い 清谷信一】
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