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「交付税削減」狙う財務省 「国が不足分を負担してきた」と言いがかり

財務省の「財政制度等審議会」の分科会で「財政健全化」にむけた地方財政「改革」の「課題」が提示されたことを自治日報が報道している。
その内容は、地方財政に「余裕」が出てきたので「これまで国が地方の財源不足を負担してきた」と言いがかりをつけて、地方財源〔つまり「暮らし」〕を切り込もうというもの。
 

①2017年度以降、税収増等により、地方財源の財源不足のうち、国と地方で折半確保する財源不足が解消する見込み〔内閣府の試算〕であり、これに伴う財源余剰を、これまで国が地方の財源不足を負担してきた経過を踏まえ、国の債務削減に充てるべきというもの。

→ そもそもこの財源不足は、交付税法を無視して、財源不足分の税率を変えずに、交付税特会から借金〔将来の交付税収入の先食い〕をしてきた対応がゆきづまったにもかかわらず、その抜本改正〔国税収入から地方交付税の財源にあてる税率の引き上げ〕もせずに、不足分を国と地方で折半して対応してきたものであり、「国が地方の財源不足を負担してきた」なとど言うのは、無責任、恥知らずな主張でしかない。


②「課題」では、リーマンショック後、国と地方の財政不均衡が著しく拡大している、とし、国の長期債務残高が過去10年程度で300兆円増加する一方、地方はほぼ横ばい、地方の積立金残高が10年間で、1.6倍増加したことをあげ、「国が地方の財政悪化分」も肩代わりしてきた結果。09-16年度の交付税の加算措置が累計で30兆円規模となっており、折半対象財政不足の解消にともなう余剰分は、地方の歳出積み増しに使うのではなく、「国の債務縮減にもつなげでいくべき」としている。

→ 小泉政権下の「三位一体改革」〔交付税、国庫補助・負担金、税源委譲〕は、地方から6.8兆円の財源を削減した。それが「地方の乱」として自民党を敗北させた。その結果、手当てされたのが名目はいろいろあるが加算措置である。積立金も「三位一体」対応で切りくずしたものがある程度復活したり、合併算定替えの終了にそなえた備蓄などの側面がある。削りすぎておいて、その補填分〔それでも年3兆円分不足〕を「財政負担」してきたと「強弁」している。
 しかも、この間、地方は防災、地域包括ケア、少子化対策、いじめ・虐待対応、生活困窮者支援、消費者行政など行政需要は拡大しているのに、財政手当ては実質的にない〔前年度並みを「確保」したという名での抑制〕。

【 今後目指すべき地方財政の姿と平成28年度の地方財政への対応についての意見 12/18 地方財政審議会】

 昨年12月の地方財政審議会の意見は、地方財政計画における過去10年間の歳出の推移を見ると、子育てや高齢化、雇用や防災など行政需要や国の制度に基づく社会保障関係経費の増大にもかかわらず、歳出総額は抑制され、給与関係経費、単独事業の減少での対応を余儀なくされてきたと指摘し、“社会保障等の対人サービスの適切な提供には「マンパワーの確保が重要である。今後、少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められ」「地方公務員の数を減らすことは限界にきている。」”

・国の借金増には、大企業・富裕層優遇税制、格差拡大による消費不況などによる法人税収、所得税収の低迷、貧困の拡大による社会保障関係費の増という経済・財政政策の失敗がある、ことを財務省は総括してもらわないといけない。

③「課題」では、「トップランナー方式」導入など歳出改革を事後的に地方財政計画に反映し、交付税削減につなげるべき、としている。

→ が、地方団体から「交付税を変質させるもの」との批判をうけ、すでにほぼ導入が終わっているものだけを対象にし、小規模、過疎地の自治体など、民営化など「合理化」の効果が期待できない地域は、段階補正のかさ上げで対応する、といわざるを得なかったもの。

 トップランナー方式とは、標準的な行政コストでなく、より効率的な運営をしているところを対象に基準をつくろうというもので、しかもね地域の実情やサービスの質も含めたトータルコストではなく、とにかく安上がりならよい、というもの。
 わかりやすく例えれば、公立保育園をもたず、0-2歳児は、資格のない職員が半数いてもよく、園庭も必要とされていない小規模保育、3歳以降は認定こども園〔給食外部搬入〕ばかりで「保育行政」をすれば、きわめて安上がりになる。これがトップランナー?

④人口減で財政需要が減少するので、地方財政計画に反映させる

→ まっすぐにはつながらない。高齢化率が高まり財政需要は増大している。また人口減による少子化対策の需要、受益者負担を基本で運営している上下水道、生活交通などを、一般財源で支えないと維持できない、という事態を無視している。

 地方が限られた財源をいかに有効、効果的に使うかは、また別の問題。住民自治の力がためされている。


以下は、2月県議会で、共産党県議団が提案、文言を修正したうえで、全会一致で可決した意見書。
単に財源確保ではなく、自治体職員削減やアウトソーシングの押し付けに反対、教員の定数増を求めている。これに自公も含めて賛成した。

【 地方財政の拡充を求める意見書  】 

人口減少社会の中でも、地方自治体が住民福祉の増進という本来の使命を果たし、安定的に行政サービスを提供するためには、持続的な財政基盤の構築と、地方財政の健全化を図ることが重要であることは言うまでもない。
しかし、地方財政計画における過去10年間の歳出の推移を見ると、子育てや高齢化、雇用や防災などの行政需要や、国の制度に基づく社会保障関係経費の増大にもかかわらず、歳出総額の伸びは抑制されている。
地方財政審議会において、「社会保障等の対人サービスの適切な提供にはマンパワーの確保が重要である。今後、少子高齢化への対応や社会的に支援が必要な人々へのきめ細かな対応がますます求められる」、「地方公務員の数を減らすことは限界に来ている」との意見が出されているが、少子高齢化が全国の先を行く、小規模市町村の多い本県にとっては、とりわけ深刻となっている。

よって、地方財政については、「総額で前年度と同水準を確保する」にとどまらず、地方の歳出の拡大が可能となるような措置が必要である。
しかしながら、地方交付税を算定する単位費用を民間委託を進める低コスト団体に合わせる「トップランナー方式」の導入、「まち・ひと・しごと創生事業費」に「行革」努力を反映する地方交付税の算定が継続しようとしている。

地方交付税は地方共有の固有財産であり、算定は「標準的条件を備えた地方団体が、合理的かつ妥当な水準において地方行政を行う場合、または標準的な施設を維持する場合に要する経費を基準」として行うものである。コスト削減を進める一部の自治体の経費を基準にするのは、小規模市町村の実態を踏まえていないものである。

よって、国におかれては、住民と地域の安心・安全を支えている地方自治体がその使命を果たせるよう、次の事項の実現を強く求める。

1 地方交付税の法定率の引き上げなど地方財政の拡充を図ること。
2 地方交付税は地方共有の固有財産であり、「財源保障」・「財政調整」機能を堅持し、国の政策誘導の手段として用いることは厳に行わないこと。人口減少団体が、安定した財政運営ができなくなるような算定方法とはしないこと。
3 公共サービスの低下を招く自治体職員の削減や、地方の状況を考慮してアウトソーシングを押しつけないこと。
4 教育現場は課題が複雑かつ困難化しており、教職員等の定数改善、人材と財源の充実・確保を行うこと。


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