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エネルギー部門のCO2排出量、3%の経済成長でも横ばい~再生エネの力

 世界経済が3%成長しながら、CO2排出量は、2年連続で横ばい。発電量増加分の9割は再生可能エネルギー。風力発電だけで増加分の半分以上を占めた。
 2大排出国の中国とアメリカだが、中国で1.5%減、アメリカで2%減。どちらも再生可能エネルギーへの投資が極めて大きい。新興国でも大規模な送電網を必要としてい再生エネの普及が、実情にマッチしている。
 原発依存など時代遅れも甚だしい。

【IEA:「エネルギー部門のCO2排出量、経済成長と関係なく2年連続横ばい」3/17】

【IEA:「エネルギー部門のCO2排出量、経済成長と関係なく2年連続横ばい」3/17】

 国際エネルギー機関(IEA)は3月16日、昨年1年間に世界で排出された温室効果ガスに関する報告書を公表し、人為的なCO2排出源としては最大のエネルギー部門において、2年連続で排出量が横ばいであったことを明らかにした。同機関のF.ビロル事務局長は、「経済成長していても、それとは無関係に排出量の増加が止まったという前回調査時の歓迎すべき結果が裏付けられた」と評価。排出量に関する新たな枠組を採択した歴史的なパリCOP21から数か月しか経過していないことから、この事実は地球温暖化に対する取り組みの中で一層の推進力になるとの見通しを表明した。

 報告書によると、2014年のCO2排出量が321.3億トンと2013年実績から足踏み状態となったのに続き、2015年の排出量も暫定数値で321.4億トンと、ほぼ横ばいの結果になった。発電量の増加分の9割を占めた再生可能エネルギーが重要な役割を果たしており、風力による発電量だけで増加分の半分以上を占めたと説明。同時に、世界経済が3%以上成長し続けていたことから、「経済成長と排出量増加の関係性が弱くなっていることが改めて証明された」としている。

 報告書はまた、IEAが過去40年以上にわたって世界のCO2情報を収集してきたなかで、排出量が現状レベルに留まった、あるいは前年実績から低下したのは、今回を除けば1980年代初頭と1992年、および2009年の3回のみだと指摘。これらの時期はいずれも、世界的な経済不況が影響していたが、近年の場合は経済が拡大する最中での結果であり、このことは国際通貨基金が示した世界のGDP成長率(2014年に3.4%増、2015年に3.1%増)からも確実だとした。

 2015年の排出量が頭打ちとなった理由について報告書は、中国と米国という2大排出国の両方でエネルギー関連の排出量が低下したことを挙げた。中国ではエネルギー多消費産業からの脱却を図る経済構造改革と、政府による低炭素電源への移行努力が功を奏し、石炭の利用が2年連続で減少。これにともないCO2排出量も1.5%低下した。米国でも発電用燃料が石炭から天然ガスに大きくシフトしたため、排出量は2%減となっている。
ただし、これら2国による排出量の低下は、その他の多くのアジア諸国や中東諸国における排出量増と、欧州の排出量が穏やかな上昇を見せたことで相殺されたとの見方を示している。

 今回のデータと分析に関する詳細は、エネルギーと大気環境に関する「世界エネルギー見通し(WEO)」特別号に盛り込むとしており、6月末に公表予定。CO2排出量の情報提供にとどまらず、大気汚染でエネルギー部門が果たしている役割や、大気汚染が年間700万人の早世につながっているという重要な政策課題について初めて、突っ込んだ分析結果を示すとした。また、CO2排出量とその健康影響に関する予測も提示し、エネルギー関連の大気汚染を短・長期的に緩和する戦略を政策立案者にもたらしたいとしている。


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