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子どもの貧困・都道府県推計 高知県 率4位、課題対策度3位

 日本財団・三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「子どもの貧困の社会的損失推計」レポートの第二弾。
各都道府県における課題の深刻度と、対策がどれだけ行われているかの指標化を試みましたもの。
 まとめ部分で、「課題対策度と課題深刻度の関係」を「子どもの貧困が深刻である地域ほど、児童福祉費の支出が高い」という関係が読み取れない、とし、その背景に「行政が子どもの貧困の実態を十分に把握していないために、実態と乖離した状態で対策を行なっていることが考えられる。」「その証左に、我が国の子どもの貧困率は右肩上がりの傾向にある。」と指摘。各県の計画づくりに、まずきちんとした調査が必要である。
 また、顕在化した問題に対応する「点」型のアプローチから、子どもと保護者のライフステージ毎のニーズに対応した「面」型のアプローチに切り替える必要がある、とし、予算増を求めている。
なお、貧困状態にある子どもの割合、高知県は、24.2%で4位。課題対策度〔予算支出が高い〕では、東京、島根についで3位。全国最低レベルの財政力ながら、奮闘している、ということだろう、

【子どもの貧困の社会的損失推計 ー都道府県別推計ー レポート 2016】

Data489

レポートより・・・

■貧困状態にある子ども数を都道府県別に示したものが図表18である。最も多いのが大阪の17,015人であり、次いで東京の16,927人、神奈川の12,016人、北海道の11,452人となっている。なかでも大阪と北海道は、生活保護世帯の割合が高くなっている。
貧困状態にある子どもの割合を示したものが図表19である。割合が最も高いのは北海道の31.1%であり、次いで沖縄の26.8%、大阪の25.6%、高知の24.2%、鹿児島の24.0%と続いている。一方、貧困状態にある子どもの割合が最も低いのは福井の9.4%であり、次いで山形の9.7%、富山の10.5%、岐阜の11.0%、新潟の11.5%、石川の12.0%と続いている。北陸や信越地方の貧困率が低くなっている。これらの地域は、新潟を除くと生活保護の割合が低くなっている。」

■学歴別割合
現状シナリオおよび改善シナリオについて、最終学歴別割合を示したものが図表20である。現状シナリオにおいて中卒割合の高い地域は、沖縄の24.9%、大阪の24.0%、高知の22.5%、佐賀の20.3%などとなっている。一方大卒割合の高い地域は、東京の27.1%、京都の25.6%、愛知の23.7%、神奈川の23.6%、兵庫の23.4%などとなっている。
現状シナリオから改善シナリオへの改善幅でみると、中卒割合が低下するという意味で改善幅が大きな地域は、大阪の17.5%pt、高知および沖縄の16.4%pt、神奈川の15.2%ptなどとなっている。一方、大卒割合が上昇するという意味で改善幅が大きな地域は、東京の20.0%pt、京都の18.8%pt、神奈川と広島の18.6%ptなどとなっている。

■4. 都道府県別課題対策度及び課題深刻度の状況
(2) 試算の結果
都道府県別の課題対策度、課題深刻度の試算結果を整理したものが図表23、図表24である。図表24のマトリクスは平均値である偏差値50を境界線として、4象限に区分している。
左上の象限Dに位置している都道府県は、「全国平均より課題が深刻であるにも関わらず、全国平均より予算支出が低い」ということを表している。象限Dに位置している都道府県は、北から北海道、宮城県、埼玉県、神奈川県、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、愛媛県、沖縄県となっている。なお、東京都は課題対策度が突出して高いため、図表24には記載していない。

特筆すべきは、課題対策度と課題深刻度の関係である。「子どもの貧困が深刻である地域ほど、児童福祉費の支出が高い」という仮説が成り立つ場合には象限Aから象限Cにかけて帯状に各都道府県が位置するはずであるが、図表24からはそれが読み取れない。

このような結果の背景として、行政が子どもの貧困の実態を十分に把握していないために、実態と乖離した状態で対策を行なっていることが考えられる。実際に、我々は様々な自治体でヒアリングを行ってきたが、行政が把握している子どもの貧困の実態と支援現場が把握している子どもの貧困の実態に乖離がある場合が散見された。

これは、行政が把握する子どもの貧困の実態は、生活保護や就学援助等のように、行政に対して市民が申請を行なった際のみに取得できる情報に基づくものが大半であることに起因すると考えられる。教育や福祉現場との情報連携を密にし、実態把握を丁寧に行なうことが、有効施策を展開する第一歩となるであろう。

III 子どもの貧困問題の解決に向けて

本レポートは、「見えにくい」とされる我が国の子どもの貧困問題について、子どもの貧困を放置した場合の経済的な影響を推計・数値化することで、子どもの貧困問題を「見える化」し、一人でも多くの皆様に本問題への関心を高めてもらうことを目的に作成されたものである。その点では、昨年12月の全国推計レポート発表以来、多くのメディアに取上げて頂いたことにより、多くの方に関心を持って頂く機会となったと自負している。

しかし、子どもの貧困問題を知って頂くだけでは解決につながらず、具体的な施策につなげることが極めて重要である。前述したように、行政において子どもの貧困問題の実態は十分に把握されておらず、有効な施策が講じられているとは言いがたい状態にある。その証左に、我が国の子どもの貧困率は右肩上がりの傾向にある。

一方で、このような状況に鑑み、政府主導で行政の取組みも進展しつつある。「子どもの貧困対策の推進に関する法律」第9条では、都道府県は子どもの貧困対策大綱を踏まえて、子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努めなければならないとあり、各都道府県では計画の策定が進められている。各都道府県の計画策定状況にはあすのば(2015)4に詳しい記載があるが、子どもの貧困対策単独計画として策定済み・策定予定の都道府県は28道府県であるという。実態を十分に反映した計画策定を期待したい。

(メモ者 貧困問題の専門家からは、政府の定めた指標に対し、改善をもとめる意見がだされている。
 『子どもの貧困指標ー研究者からの提案ー』 )


そして、我々が最も重要な点として考えるのは、子どもの貧困問題に対するアプローチのあり方である。既存の施策は、顕在化した問題に対応する「点」型のアプローチが主体であり、各施策が独立的に運用されていることが多い。しかし、貧困の連鎖の解消を目指すためには、子どもと保護者のライフステージ毎のニーズに対応した「面」型のアプローチに切り替える必要がある。特に子どもは、発達段階の各ステージにおいて将来の自立を妨げるリスク要因が複数あり、きめ細かい支援が必要となる。

このような支援アプローチには十分な予算確保が不可欠であり、逼迫した財政下にある我が国では困難との指摘もあるだろう。しかし、本レポートで示してきたように、子どもの貧困対策は大きな経済効果を生みうる施策である。投資対効果の視点から、子どもの貧困問題に投じている既存予算をもう一度検証すれば、大幅な予算増の余地は十分にあると考えている。OECDのデータによれば、我が国における予算配分比率をみると、高齢者を100とした場合、子どもは26.2となっている。ドイツの予算配分比率が40.5であることを踏まえると、配分増の余地はまだ十分にあるといえそうだ。
本レポートによって、子どもの貧困対策が経済対策として有効であるという理解が広まり、予算増につながることで、少しでも問題の解決につながることを期待したい。

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