原発事故負担に上限を 電事連が要望~高コストを事実上「自白」
「再び事故が起きれば各社が原発事業を続けるのは難しい」と電力会社の連合会が「負担額の上限を」と安倍政権に要望、との時事通信の記事。
福島原発事故で、合意した賠償額だけで5兆5千憶円。大島教授の試算では事故対策費の総額13兆円。
賠償を値切り、除染費用の支払いも渋るという社会的責任を自覚していない延長線上の発想。が、電力自由化のもと、原発をかかえていては「選択してもらえない」という高コストを自白したに等しい内容。
イギリスでは、風力発電の3倍の価格で原発の電力を政府が買い支えしないと維持できなくない事態になっている。欧米の大手の電力メーカーは、原発部門からの撤退(分社化して販売、それを日本のメーカーがせっせと買っている)している。ビジネスモデルとして破たんしている。
【原発事故で負担軽減論=電事連、上限設定求める-「虫が良すぎ」批判強く 3/11】東京電力福島第1原発事故では、巨額の賠償費用が発生した。電力会社でつくる電気事業連合会は、再び事故が起きれば各社が原発事業を続けるのは難しいと主張し、負担額に上限を設けるよう求めている。国の原子力委員会が専門部会で議論しているが、事業者負担の軽減には「虫が良すぎる」との批判が強い。
東電によると、福島第1原発事故では、除染や汚染廃棄物の処理などを除き、被害者への賠償支払いで合意した額が1月末で約5兆5000億円に上る。政府が国債を発行して費用を立て替え、原発を保有する電力9社と日本原子力発電、日本原燃が毎年度、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて少しずつ返済する仕組みだ。
電力9社のうち、中国電力と北陸電力を除く7社は事故後の値上げで、返済の原資になる一般負担金を料金に上乗せした。電気料金に転嫁される額は2015年度末までに少なくとも計3270億円。今後も毎年、電気料金に上乗せされ、値上げなどで国民負担がさらに増える可能性もある。
東電が支払う特別負担金は電気料金に上乗せできないが、14年度分までの支払いは1100億円にとどまる。
一方で、電力小売りの全面自由化を控えた電力各社は賠償費用がどこまで膨らむか分からず、電気料金の価格競争力を確保できるか不安を抱く。
今月2日に開かれた原子力委の専門部会で、電事連の専務理事は「損害賠償という話であれば、国もお付き合いいただきたい」と発言。事業者の賠償負担に上限を設け、超えれば国費を投入するよう求めた。
原発運転差し止め訴訟に取り組む只野靖弁護士は「どうしても原子力を継続したいなら、福島第1原発事故並みの被害が発生することを想定して取り組むべきだ」と指摘。「平時は原発で大きなもうけを出しながら、事故時は賠償義務を限定してもらう。虫が良すぎる話ではないか」と批判している。(2016/03/11-07:51)
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