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犠牲強いる復興「失敗」~5年間の総括を

  多くの人の懸命の努力や切実な願いにもかわらず 「東日本大震災から5年 復興の遅れ課題に」とNHKも報道せざるを得ない事態。 単に遅れているだけなのだろうか。
 生活・生業の復興を軽視した「創造的復興」、被災者支援策、復興策の縮小・打ち切り、原発推進と一体となった福島県民の切捨て・・・ 政策に欠陥があったのではないか。
 毎日特集ワイドで、首都大学東京准教授・山下祐介さんは「犠牲強いる復興『失敗』」と評価するために、そして「全部を救うことはできない」「全体のためには一部が犠牲になってもしかたがない」という空気が広がっていることに、敬称をならしている。5年たち、憲法の「人格権」にもとづき、復興事業、原発事故原因と対策の徹底した検証こそが必要である、と思う。
【この国はどこへ行こうとしているのか 東日本大震災5年 首都大学東京准教授・山下祐介さん 犠牲強いる復興「失敗」毎日3/9】
~大震災と原発事故から5年目にあたって、課題などを示した声明
【被災者の生活再建に、最後まで国が責任を果たせ 日本共産党 志位和夫】
【日本弁護士連合会 会長声明】
~なぜ、復興が遅れているか、その一端がわかる
【「3.11」から5年-復興を問う 「霞が関」の都合1~12回 福島民報】

【犠牲強いる復興「失敗」首都大学東京准教授・山下祐介】

 今回の復興政策は失敗です−−。首都大学東京准教授の山下祐介さんに取材を依頼すると、返事のメールにその言葉があった。
 確かに、被災地の今を伝えるニュースに触れると「東日本大震災は終わっていない」と痛感させられる。それにしても「失敗」とは……。「限界集落の真実」(ちくま新書)などの著書で注目される気鋭の社会学者の目に、何が映ったのか。

 「今、進められている復興政策は、被災者の思いからどんどんずれてきている。取り返しのつかないことになります」。口調には焦りさえうかがえる。

 例えば津波被災地の巨大防潮堤。東北3県で建設が進むコンクリート壁の高さは最大約15メートル、総延長は約400キロに迫る。砂浜の景観の破壊、生態系の変化による漁業への悪影響が懸念され、反対の声は根強い。集落ごと高台に移転するにもかかわらず造られる地域もある。そもそも「絶対安全」の保証はない。 「暮らしを守るための防潮堤が、漁業や観光で生計を立ててきた地域では復興の妨げになっている。本末転倒です」

 もう一つ問題視しているのが、東京電力福島第1原発事故の避難者に対する帰還政策だ。避難指示が出ている地域は、放射線量の高い順に、帰還困難区域▽居住制限区域▽避難指示解除準備区域−に3区分される。政府は昨年、このうち居住制限区域と避難指示解除準備区域について、来年3月を目標に避難指示を解除する方針を閣議決定した。

 「復興の加速化のため」としているが、解除によって両区域からの避難者は「自主避難者」となる。自主避難者への住宅の無償提供は来年3月で打ち切られることが決まっており、避難を続けたい世帯の負担は増える。さらに、両区域から避難している住民への精神的損害賠償も2018年3月に一律終了となる。

 「これでは避難者に『早く帰れ』と強制しているのと同じです」。そう憤るのは、11年夏から2年間、福島県富岡町から県外に避難した被災者に、生活実態の聞き取り調査をした経験があるからだ。

 「廃炉まで30年以上かかるのです。それまでに新たな危険が持ち上がるかもしれないし、健康への長期的な影響も分からない。公の場では互いに遠慮して口にしませんが、避難者は『本当に帰れるのか』と不安と疑念を抱いているのです」。それに、避難生活が長引くほど、避難先で新たに始めた仕事や子供の学校の都合で、帰るかどうかの判断は難しくなる。

 県内には、避難指示の解除を遅らせてほしいと、住民が要望している自治体もある。「それなのに早期解除にこだわるのは、東京五輪を前に『原発事故は終わった』と国内外にアピールしたい思惑もあるのでしょう」

 被災者のためにならない「復興」が、なぜ止まらないのか。「当初から『ボタンの掛け違いが起きている』という声は政府側にもありました。現場の声と政策のズレを認識しながら、修正しないままここまで来てしまった。それどころか、世間には『復興の早期完了という国家目標のためなら、一部の地域や国民が犠牲になるのは仕方がない』との考え方さえ広がっている」。山下さんは懸念する。

 震災から3年後の14年、ある報告に衝撃を受けた。

 増田寛也元総務相ら有識者でつくる日本創成会議が「2040年に896の市区町村で消滅の可能性が強まる」と自治体名を挙げて指摘した、いわゆる「増田リポート」だ。地方分権と少子化対策の必要性を政府に提言する内容だが、頻繁に登場するのが「選択と集中」という言葉だ。

 「『すべての町は救えない』という切り捨ての論理に結びつけ、地方を都合よく利用しようとしているのではないか。政府や東京の事業者が、地方でやりたいことをやる口実になりはしないか」と危機感を覚えた。
 増田リポートの公表後、政府は地方で雇用を確保し、人口増を目指す「地方創生」を打ち出す。安倍晋三首相は「故郷を消滅させてはならない」と語っているが、一方で政府は、雇用創出策などで地方同士を競わせ、補助金で差をつける仕組みも設けた。既に体力のない自治体はジリ貧になりかねない。

 不気味なのは、そんな手法を許容する空気が、社会にも広がっているように思われることだ。実際、若い学生や研究者が「どうして地方を残さないといけないのか」「頑張っていない地域を残すのはおかしい」と口にすることが増えていると感じる。「お国のために誰かが我慢したり、犠牲になったりするのは仕方がないというのは、戦時中と同じです。経済成長のために地元の反対を押し切って原発を再稼働させたり、米軍基地を沖縄に押しつけたりするのも同じ考え方によるものでしょう」
 そして、こう続ける。「福島への帰還政策を巡り、与党関係者の中には『住宅提供があるから帰還しない住民もいる。ならば、支援をやめなければならない』という意見すらあるそうです。それなのに、世論の大きな反発も起きていません」

 なぜなのか。「私たち国民も、経済や効率ばかり重視しているからではないでしょうか」

 経済が上向かないことには何も始まらない−−。そんな発想に支配され、いつの間にか「小さな犠牲」に鈍感になっている、ということか。「でも、経済とは本来、人々の暮らしを良くするための手段に過ぎない。経済成長のために国民生活を犠牲にするのは間違っています」

 国は15年度までの5年間を「集中復興期間」とし、さまざまな復興事業に計26兆円もの予算をつぎ込んだ。福島県では「イノベーション・コースト構想」と呼ばれる事業が進められている。「ロボットや新エネルギー産業の集積地として、原発事故被害の大きかった浜通り地域を再生させる」との青写真が描かれる。

 「国や福島県は『新たな産業や公共事業を投下すれば、雇用が増えて人口も回復し、すべて解決する』と考えているのでしょう。『地方創生』もこれと同じ発想です。でも、それは住民が望む復興なのか。東北地方には『高収入は得られないけれど、地元の農産物を食べ、家族そろって暮らす』という都会にはない豊かさがありました。経済しか見ない政策では、そんな社会は取り戻せないのではないか」

 戦後の日本は奇跡的な経済成長を遂げたが、地方は過疎や不況に苦しみ、原発のリスクも押しつけられた。「今また、復興という国家事業のために地方は忍従を強いられるのか。それでいいはずはありません。勇気を持って『これまでの復興は失敗だった』と認め、もう一度、住民にどんな地域にしたいのかを聞きながら政策を作り直す。そして、原発事故への対応は30年続くのだと覚悟を決める。そこから再出発すべきです」

 「失敗」という言葉が、今度は力強く響いた。【小林祥晃】

■人物略歴
やました・ゆうすけ
 1969年、富山県生まれ。九州大大学院社会学専攻博士課程中退。弘前大准教授を経て2011年から現職。過疎地の実態調査や地方の活性化の支援もした。著書に「東北発の震災論」「地方消滅の罠(わな)」など

【被災者の生活再建に、最後まで国が責任を果たせ 東日本大震災と福島原発事故から5年目の節目の年にあたって】

2016年3月11日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫

 東日本大震災と福島原発事故から5年という節目の年を迎えました。あらためて犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災者のみなさんにお見舞いを申し上げます。復興に向けてねばり強い努力を続けている被災者のみなさん、自治体のみなさん、そして被災地への支援を続けておられる全国のみなさんに心からの敬意を表します。
 東日本大震災と福島原発事故からの復興を成し遂げるために、国民とともに最後まで力をつくす決意を表明します。

■被災者支援の打ち切り・縮小をやめ、最後まで国の責任を果たせ

“被災者の生活と生業(なりわい)の再建に、最後まで国が責任を果たすことを強く求めます。国の被災者支援策の打ち切り・縮小は絶対に許されません。”

 大震災から5年が経過しましたが、今でも、17万4000人もの被災者が、プレハブの仮設住宅などで不自由な避難生活を強いられ、震災関連死が3400人にものぼっています。
 被災地では、住宅再建や災害公営住宅への入居は、まだ途上であり、地盤のかさ上げによる中心街、商店街の再建は緒に就いたばかりという段階です。とりわけ住宅の再建は、建築資材と建設費の高騰も加わり、さらに大きな困難がのしかかっています。現行300万円の被災者生活再建支援金を500万円に引き上げるなど、国が住宅再建支援策を緊急に拡充することが必要です。商店・商店街の再開・再建への抜本的支援策もいよいよ重要になっています。
 厳しい避難生活が続く中で、被災者の命と健康の問題は、心のケアも含めてますます重要になっています。医療や介護の負担軽減は、被災者にとって「命綱」というべきものであり、国が無慈悲に支援を打ち切った後も、岩手県や石巻市、気仙沼市などで継続されています。国の制度として復活することを強く求めます。
 また、被災者や地域のコミュニティー、自治体の自主的な知恵と努力が発揮できるようにしてこそ復興の足取りも強くなることは、この間の被災地の取り組みで明らかになっています。上からの画一的な押しつけでなく、それぞれの地域の自主性を発揮した復興策が求められています。
 住宅の再建も、被災地の復興も、これからが正念場という段階を迎えています。それにもかかわらず政府が「5年間の集中復興期間終了」をひとつの口実としながら、国の被災者支援策、復興策の縮小・打ち切りをすすめていることは重大です。5年という月日の間に、復興への新たな困難や障害が生まれ、被災者の高齢化もすすんでいます。打ち切りや縮小どころか、被災者によりそい、被災地の困難を解決するための支援の抜本的な拡充こそが求められています。
 被災者の生活と生業の再建、被災地の復興に、最後まで国が責任を果たすことを強く求めます。

■原発推進と一体の「福島県民切り捨て」を許さない

“原発再稼働・推進のために、除染と賠償の打ち切りなど福島原発事故を「終わったもの」とする政府の姿勢は許せません。国と東京電力の責任で、戻りたい人も、戻れない人も、すべての被害者の生活と生業の再建を支援することを強く求めます。”

 福島では、原発事故から5年が経過しても、いまだに約10万人もの人びとが県内外での避難生活を余儀なくされています。福島第1原発の放射能汚染水は増加に転じ、1日550トンにも及び、5年を経過しても、溶け落ちた核燃料の状態さえわからず、「収束」とは程遠い状況です。
 ところが安倍政権は、原発再稼働を強引におし進める一方で、「原発事故はもう終わった」といわんばかりの「福島県民切り捨て」を露骨にすすめようとしています。
 「オール福島」の声である「県内原発全基廃炉」の要求に、安倍政権は「事業者が判断」として背を向けています。
 「帰りたくても帰れない」という実態があるにもかかわらず、避難指示を解除し、それと一体で、賠償も打ち切ろうとしています。
 安倍政権が、昨年6月の復興指針改定で、期限を切った賠償打ち切り方針を打ち出したもとで、賠償の打ち切り、値切りなどがいっそう露骨になっています。東電が、「中立・公正な国の機関」として設置されたADR(原子力損害賠償紛争解決センター)の仲介案も拒み続ける例が多発しています。加害者であることを忘れたかのような国と東電の姿勢を許すことはできません。
 被災者を分断する「線引き」や排除、「期限切れ」を口実にした切り捨てを行わず、原発事故前にどこに住んでいたかにかかわらず、避難している人もしていない人も、故郷に戻りたい人も戻れない人も、すべての原発事故の被災者が生活と生業を再建できるまで、国と東電が責任をもって支援することを、強く求めます。
 安倍政権の「福島県民切り捨て」の政治は、「原発固執政治」と表裏一体のものです。しかし、「原発固執政治」は二つの深刻な矛盾に突き当たっています。
 第1は、原発に対する国民の認識の発展です。再稼働反対は、どんな世論調査でも半数を超えています。一昨日、大津地裁が高浜原発の運転差し止めの仮処分決定を下し、再稼働した原発が停止させられるという事態になりました。安倍政権の「新しい安全神話」は通用せず、原発には他の技術にない「異質の危険」があることも国民的な認識になっています。そして、原発が稼働しなくても電力不足も電気料金の高騰も起きておらず、「原発ゼロ」でもやっていけることが国民的体験となりました。
 第2は、「原発固執政治」と、原発という技術システムの矛盾が、あらゆる面で限界に達していることです。政府の原発依存の発電計画を続けると、危険きわまりない老朽原発の稼働が常態化します。
 さらに本質的な矛盾は「核のゴミ」問題です。使用済み核燃料が各原発の核燃料プールからあふれ出そうとしていますが、再処理工場の稼働のめどはたちません。たとえ再処理しても、高速増殖炉もんじゅが動かないので、使い道のないプルトニウムが蓄積されますが、核拡散防止の観点から利用目的のないプルトニウムの保有はできません。
 安倍政権の「原発固執政治」は、国民との矛盾を深め、技術システムという面でも行き詰まっています。日本共産党は、安倍政権の原発再稼働・原発輸出の暴走をストップし、「原発ゼロの日本」を実現するために、国民のみなさんと力を合わせて奮闘する決意を新たにするものです。

■復興とこれからの災害対策に生かす“5年間の総括”を

“災害列島日本で国民の命と財産を守るためにも、5年間の真摯(しんし)な総括で、国の責任を明らかにし、今後の教訓とすることが必要です。”

 5年という節目の年を迎え、東日本大震災と福島原発事故の被害が、どうしてこのように甚大になってしまったのか、5年間の関係者の懸命の努力にもかかわらず、被災者の生活と生業の再建と被災地の復興がなぜ大きく遅れているのか、どんな困難に直面しているのか、などの視点から“5年間の真摯な総括”を行うことが、被災地の復興とともに、今後の災害対策をすすめるうえでも、きわめて重要です。
 東日本大震災は、未曽有の大災害となりました。ところが、国の被災者支援策や復興策は、旧来の災害関連法律に基づいたままであり、未曽有の大災害にふさわしく被災者と被災地を支援する抜本改正は行われていません。
 とくに、国が被災者の住宅再建への支援を300万円に据え置いたままにしていることが住宅の自力再建への大きな困難をもたらしています。岩手県では、県・市町村が独自に加算支援を行い500万円から1000万円超の補助を行っていることが、住宅再建にむけた被災者の決断をうながし、はげましていますが、自治体の独自施策まかせにすることはできません。住宅が再建され、人々が暮らし始めてこそ、被災地の産業も、商店街も復興のめどがたちます。住宅の再建は、復興の大前提であるにもかかわらず、政府が住宅再建支援策の拡充を拒み続けていることが、復興の遅れの重大な要因になっています。
 学校、病院、公共施設、道路などの再建には「元の場所に元の規模で」という「復旧原則」が国から押しつけられ、「津波に流された場所にまた同じものをつくれというのか」という自治体や被災者からの怒りの声が突きつけられました。この5年間、被災地は、大災害の実態、被災者の実情とかみ合わない、国の災害復旧関連法の「しばり」とのたたかいを強いられ続けてきました。
 さらに、「アベノミクス」による消費税増税、資材高騰と建築費の上昇などが、住宅再建、公共施設・道路・港湾の再建、地域産業の復興、商店街の再開などに大きな障害を持ちこみ、被災地の基幹産業である農林水産業に大打撃となるTPP(環太平洋連携協定)推進が事業再開への意欲と展望を失わせ、原発再稼働・推進策のために「福島県民切り捨て」をおし進めたことなど、政府が被災者から希望を奪ってきたことにも政治的な総括が必要です。
 「自分たちの困っていることは、いまの制度のままでは繰り返されてしまう」――こうした被災者の声に応えることは政治の責任です。災害列島の日本で、防災と減災、被災者支援の体制とあり方を、東日本大震災と福島原発事故という未曽有の大災害の真摯な総括とその教訓を踏まえて、抜本的に見直すことを強く求めます。

■大震災を憲法改定に利用するな

“大災害と被災者を憲法改定という政治的野心に利用することは断じて許されません。”

 安倍政権は、災害関連の法整備や制度の拡充には背を向けながら、災害を口実に「緊急事態条項」を設けるなど、憲法改定への動きを強めています。被災地からは、東北6県の弁護士会をはじめ、「東日本大震災を改憲に利用するな」という怒りの声があがっています。
 災害を憲法改定という自らの政治的野心に利用する安倍政権の姿勢は断じて許されません。東日本大震災の被災者の生活と生業の再建のために、法改正、制度改革を含めて、国の責任を果たすことこそ求められています。

【東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故から5年を迎えての会長声明 日弁連3/11】 本日、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故発生から5年を迎えた。

しかし、5年を迎えてもなお、全国で避難生活を送り続ける人々の数は、17万人を超えている。未曾有の大災害及びこれまで経験したことのない事故とはいえ、極めて深刻な事態といわざるを得ない。

 当連合会は、これまでも、避難所相談に始まり、被災者・被害者の声を集約し、「人間の復興」の視点から、数々の立法提言活動を行ってきた。新たな法制度として実を結んだものも少なくないが、時間の経過とともに、一人ひとりの被災者及び被害者の抱える問題がより複雑かつ深刻になっていること、これまでの支援策ではこぼれ落ちてしまう人々が存在することもまた、明らかになってきている。

当連合会は、震災発生から5年を迎え、人々の生活再建及び被災地の復興が道半ばであること、一人ひとりの被害に対応したよりきめ細やかな支援が必要とされていることを改めて認識し、引き続き、被災者・被害者に対する支援活動を行う所存である。ここに、特に取り組むべき課題について示す。

第一に、被災者の生活再建の支援の在り方の問題である。現在のところ、被災者生活再建支援法に基づき、住宅被害を基礎に世帯ごとに金銭給付を行う制度となっているが、生業やコミュニティを含む生活環境のダメージや心身の状態の悪化などは考慮されず、一人ひとりの置かれた過酷な状況に対応できていない。そこで、現行の支援制度の拡充に加え、被災者生活再建支援員などを配置する人的支援も行い、個別の支援策を計画して実行する仕組みに改正すべきである。当連合会は、被災者に対する長期にわたる支援を継続し、法改正に向けた活動に取り組む所存である。

第二に、原発事故被害者の賠償の問題である。東京電力株式会社による強制避難区域の被害者を中心とした画一的・形式的な金銭賠償は一定程度実施されてきたが、十分な賠償がなされたとはいえないばかりか、住民間の分断や軋轢という二次被害が生じている。避難指示の有無に関わらず、被害者一人ひとりの被害状況に対応した個別具体的な賠償が必要とされている。また、将来にわたる被害は未知数であり、長期の避難生活や滞在地での不自由な生活が被害者に与える影響は計り知れない。原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東京電力株式会社が拒否する例があるという問題も解決されていない。当連合会は、引き続き、東京電力株式会社に対し必要かつ十分な賠償を求め、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を尊重するよう求めるとともに、原発事故による影響がこれ以上被害者の健康をむしばまないように、政府に対し、住宅支援策を含めた良好な生活環境の確保や健康維持のための支援策の実施を求めていくものである。

第三に、震災関連死の問題である。震災関連死は、いわば「救えることができた死」であり、被災者・被害者に対する支援策が十分ではなかったことの現れである。福島県では震災関連死者が2000人を超え、直接死者数を上回る事態となっているが、一方、甚大な被害状況に照らすと震災関連死者数が少なすぎるとの意見もある。各地で提起された訴訟の判決も示されつつあり、各自治体が実施している震災関連死の審査が法制度の趣旨に則って行われているかどうかも含め、徹底した実態調査が必要である。当連合会は、引き続き、震災関連死に関して事態を注視し、必要に応じて意見を述べてゆく所存である。

第四に、原発再稼働の問題である。原発事故の発生により広範な地域で深刻な被害が生じることが明らかになったにも関わらず、2015年8月11日に川内原子力発電所が再稼働し、他の原子力発電所も再稼働に向け準備段階に入るという憂慮すべき事態が生じている。当連合会は、これまでにも、政府に対し、従来のエネルギー政策を改めるよう求めてきたが、改めて、できる限り速やかに原子力発電所を廃止するともに、原発立地地域の自立のために必要な支援を行うことを求めていくものである。

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