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「申請権を侵害しない」「急迫状況など適切な確認」を強調 生活保護全国係長会議

 現場で使える内容として「重要事項」の最初に掲げている申請・相談窓口に置ける対応。
「支援が必要な方には確実に保護を実施することが重要」「保護の申請権を侵害しないこと」など具体例も示して戒めている。
資料では、千葉県銚子市の県営住宅で貧困から家賃を滞納し強制退去を迫られたシングルマザーが中学生の娘さんを殺害した事例をとりあげ、生活保護の相談に福祉事務所を訪れたことがありながら、防止できなかったとして「急迫状況をはじめとする生活状況の適切な確認の徹底や、関係機関との連携体制を整備」を強調している。
【生活保護関係全国係長会議資料3/4】
 また、申請時だけだった資産申告が「今後は最低年1回資産申告を求めること」と変わったことについて、全国会議が、あくまで「受給者の主体的なとりくみ」であり、未提出であっても「保護停止」の理由とならないこを解説している。
【いったい、どうなってるの?資産申告書問題Q&A あきらめないで!闘うすべはある。生活保護対策全国会議】

【生活保護関係全国係長会議資料3/4】

Ⅰ 重点事項

【第1 生活保護の申請・相談窓口における対応について(留意事項)】

生活保護は最後のセーフティネットとしての役割を担っていることから、支援が必要な方には確実に保護を実施することが重要である。生活保護の相談に当たっては、保護の申請権を侵害しないことはもとより、急迫状況をはじめとする生活状況の適切な確認の徹底や、関係機関との連携体制を整備する等、以下の点に留意すること。

○局長通知「生活保護法施行事務監査の実施について」から抜粋

・保護の受給要件等制度の趣旨は、「保護のしおり」の活用等により、要保護者に正しく理解されるよう十分説明され、相談内容に応じた懇切丁寧な対応が行われているか。

・相談者に対し、「居住地がなければ保護申請できない」、「稼働年齢層は保護申請できない」、「自動車や不動産を処分しなければ申請できない」等の誤った説明を行ったり、「扶養が保護の要件であるかのように説明するなど」、保護の申請権を侵害するような行為及び申請権を侵害していると疑われるような行為は厳に慎んでいるか。

・相談者に対しては、保護申請の意思を確認しているか。申請の意思が表明された者に対しては、保護申請に当たって事前に関係書類の提出を求めることなく、申請書を交付し、申請手続についての助言は、適切にされているか。

・手持ち金及び預貯金の保有状況、家賃、水道・電気等のライフラインに係る滞納状況等、いわゆる急迫性の確認は的確に行われているか。

・申請書及び同意書を書面で提出することが困難な申請者に対しては、口頭申請など申請があったことを明らかにするための対応が執られているか。

・生活歴、職歴、病歴、家庭環境、地域との関係等は的確に把握されているか。

・生活困窮者に関する情報が福祉事務所の窓口につながるよう、生活保護制度の周知や民生委員及び各種相談員との連携、保健福祉関係部局、水道・電気等の事業者等との連絡・連携体制はとられているか。生活困窮者自立相談支援事業等との連携が図られているか。また、他法他施策活用についての助言は適切に行われているか。


【切迫した生活困窮者を相談につなぐ連携体制の構築―A市の事件から見える課題―】

○ 平成26年9月、家賃の滞納を理由に県営住宅から退去を迫られた母親が、強く追い詰められ娘を窒息死させてしまう事件が発生。
○事件の詳細は明らかではないが、制度の問題として受け止めた場合、庁内および庁外関係機関との密接な連携体制が構築されていれば、未然に防ぐことができた事案と考えられる。
○ 支援や体制整備の遅れは、ときに生命に大きな影響を及ぼす可能性があるため、留意が必要である。


【生活保護法施行事務監査で過去に指摘した事例(相談・申請窓口対応)】

○ 給与を生活費に充てるよう促し、実施機関が申請時期を判断していると疑われる事例
○ 手持金を消費してからの申請を促すなど、実施機関が申請の時期を判断していると疑われる事例
○ 扶養義務者からの援助が期待できず来所した相談者に対し、親族との話し合いを助言指導するなど、扶養を保
護の要件にしていると疑われる事例

→保護の申請権を侵害するような行為及び申請権を侵害していると疑われるような行為は厳に慎しむこと 

○手持金がわずかであると述べている相談者に対して、ライフラインの状況などを聴取しておらず、急迫状況の確認を行っていないと疑われる事例

→相談者の状況について、収入・手持金・預貯金がない、食事を摂取していない、水道・電気などのライフラインが止められているなど、急迫状況にないか詳細に聴取すること

○ 申請意思を示している者に、本来申請に必要のない書類がなければ申請が出来ないと誤信させると疑われる事例
○ 通帳の写しなど、本来申請に必要のない書類等の持参を指示していると疑われる事例

→申請前又は申請時において必要のない挙証資料の提出を求め、挙証資料がないことをもって保護申請を受け付けない等の相談者が誤信するような行為は厳に慎むこと / 申請意思が確認された者に対しては、速やかに申請書を交付するとともに、申請手続について助言を行うこと

○面接記録票の記載内容が乏しいため、申請に至らなかった経緯が不明である事例

→相談者からの相談内容、助言した内容、生活困窮の状況及び申請意思の有無など、面接相談において聴取した
内容を漏れなく面接記録票に記録し、速やかに所内で回付することを徹底すること

【いったい、どうなってるの?資産申告書問題Q&A あきらめないで!闘うすべはある。生活保護対策全国会議】

【「資産申告書問題」とは?】
Q1 ケースワーカーから「これからは年1回、資産申告書を提出してもらうよう取扱いが変わった」と聞きましたが、本当ですか。

A 本当です。
厚生労働省が平成27年3月31日に新たな通知を出しました。

厚生労働省社会・援護局保護課長は,平成27年3月31日,実施要領の取扱いを変更する通知(社援保発0331第1号。以下,「本件通知」といいます。)を出しました。そこでは,「被保護者の現金,預金,動産,不動産等の資産に関する申告の時期及び回数については,少なくとも12箇月ごとに行わせること」とされ,これまでは保護申請時のみに要求していた資産申告について,今後は最低年1回資産申告を求めることとされています。

これを踏まえ,各地で,生活保護利用中の者に対し,資産申告書の提出や通帳の提示等を求める運用が始まっていますが,単に任意の協力を求めるにとどまらず,事実上これを強制する扱いが横行しているため,生活保護利用者の中に不安と動揺が広まっています。

【年1回の資産申告書提出は法的な義務?】
Q2 年1回資産申告書を提出することは法律上の義務で必ず従わなければならないのでしょうか?

A 具体的必要性がないのに,年1回資産申告書の提出をしなければならない法律上の義務はありません。あくまで任意の協力を求めるものであり,提出を強制することは許されません。

生活保護法61条は,生活保護利用者の生計の状況に変動があった場合に届け出義務を課していますが,こうした変動がないにもかかわらず機械的定期的に届け出義務を課してはいません。
また,同法28条1項は,保護の決定若しくは実施のために具体的な必要性がある場合に福祉事務所の調査権限を認めていますが,一般的抽象的な調査権限を認めてはいません。
 したがって,本件通知が生活保護利用者の任意の協力を求めるものではなく義務を課すものであるとすれば,生活保護法61条と同法28条1項の趣旨に反し違法であると解されます。

 厚生労働省は,本件通知について,「平成26年7月に施行された改正法の第60条において,生活保護受給者の適切な家計管理を促す観点から,生活保護受給者が主体的に生計の状況を適切に把握する責務を法律上に具体的に規定し,福祉事務所が必要に応じて円滑に支援することを可能としたことを踏まえ,生活保護受給者から少なくとも年に1回の資産申告を求め,福祉事務所が預貯金等の資産の状況を適切に把握することについて,実施要領等の改正を行う」ものと説明しています(平成27年3月全国生活保護主管課長会議資料3(2)イ(イ)43頁)。
しかし,同条の改正案の審議にあたり,桝屋厚生労働副大臣(当時)は,

「あくまでも受給者が主体的に取り組んでいくことが重要であって,この責務を果たさないことをもって保護の停廃止を行うというようなことは考えておりませんし,あってはならないと思っております。議員御懸念のようなことがないよう,こうした法改正の趣旨について,周知徹底を図ってまいりたいと思います。」

と明確に答弁しています(平成25年5月31日衆議院厚生労働委員会における中根康浩議員に対する答弁)。これを踏まえ,厚生労働省も,
「健康管理や金銭管理は,あくまで受給者が主体的に取り組んでいくことが重要であるため,本規定に定める生活上の義務を果たさないことだけをもって,保護の停廃止を行うことは想定していないことに十分ご留意いただくようお願いする。」

 と実施機関に対し特段の留意を求めていたのです(平成26年3月3日全国生活保護主管課長会議資料33ページ,3(4))。
したがって,改正法60条も,本件課長通知が求める資産申告を生活保護利用者に義務付ける根拠にはなり得ません。

●生活保護法61条「被保護者は,収入,支出その他生計の状況について変動があったとき(略)は,すみやかに,保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない」

●生活保護法28条1項「保護の実施機関は,保護の決定若しくは実施(略)のため必要があると認めるときは,要保護者の資産および収入の状況(略),当該要保護者に対して,報告を求め(略)ることができる」


【協力しないと保護打ち切りに?】
Q3 
ケースワーカーから資産申告書と通帳の写しの提出を求められ、「提出しなければ指導指示違反で保護を打ち切ることもありえる」と言われました。従わないと保護が打ち切られるのでしょうか?

A 指導指示違反による保護の停廃止(打ち切り)は許されません。

 生活保護法62条3項による保護の停廃止の前提となる同法27条に基づく指導指示は,「被保護者の自由を尊重し,必要の最少限度に止めなければならない」とされています(同条2項)。Q2で述べたとおり,具体的必要性が認められないのに機械的に年1回の資産申告を求める本件通知に基づく指導指示は,生活保護法61条や28条1項の趣旨に反し「必要の最少限度」のものとは言えません。生活保護利用者の自発的努力を求めるに過ぎない改正法60条も指導指示の根拠とはなりません。
 協力を得られない生活保護利用者について,どうしても調査が必要と考えるのであれば,生活保護法29条に基づいて金融機関等に対する調査ができますから,利用者からの資産申告書等の提出に固執する必要もありません。

また,「指示違反の程度」と「課される制裁の重さ」はつり合っている必要があり,軽微な指示違反に対して保護の停廃止という重大な制裁を課すことは許されないとされています(比例原則)。仮に,指導指示が有効だとしても,具体的必要性が認められないのに単に資産申告書等を提出しないという軽微な指示違反を理由に保護の停廃止という重大な不利益処分を課すことは比例原則に反し許されません。
生活保護法29条に基づく金融機関等に対する調査の結果,未申告の収入(不正受給)が発覚したとすれば,当該不正受給に対して適切に対応すればよいことです。


【保護費が貯まると打ち切られる?~累積金問題】
Q4 ケースワーカーから通帳の写しを見せるように言われましたが,私の通帳には,保護費を節約して貯めた約150万円の預金が入っています。これが福祉事務所にわかると生活保護は打ち切られてしまうのでしょうか?

A 保護の目的趣旨に反しない預貯金は保有できます。150万円程度であれば、違法不当な目的で貯金していた場合以外は保有が認められるべきです。

1 保護の目的・趣旨に反しない預貯金は保有できる
 現行生活保護制度上,資産の保有は認めるが購入費用までは支給されない耐久消費財などについては,保護費のやり繰りをした累積預貯金で購入することが当然の前提とされています。したがって,累積金があることがわかっても,このような経費のための費用として保有を容認することが基本的な姿勢とされなければならなりません。
このような観点から,最高裁判決を含めた裁判例(※1,※2)や厚生労働省通達(※3)も,保護費を原資とした預貯金は,預貯金の目的が生活保護費支給の目的や趣旨に反するものでない限り,収入認定せず保有を認めるべきとしています。
 したがって,預貯金の使用目的として,①耐久消費財(テレビ,冷蔵庫,洗濯機等の家電製品,布団,食卓,タンス等の家財道具)などの買い換え費用,②子どもの教育費(進学,就学費用で高校等就学費等の保護費で賄えない費用や大学入学にかかる費用),③家族の葬式代(葬儀費用で葬祭扶助では不足する額や墓石等),④その他当該世帯に必要な費用(不意の入院に必要な雑費等)など,それぞれだいたい幾らくらいかの金額も含めて説明できれば,何ら問題なく,そのまま保有し続けることができます。

そして,下記裁判例(※1)は,保有目的が抽象的であっても保護の趣旨目的に反しなければ保有が容認されると述べており,最近,「なんとなく貯めてきた」との回答を踏まえて預貯金を収入認定した事案(※4)や,累積金の使途が不明であることのみをもって収入認定を行った事案(※5)について処分の取り消しを命じる裁決も出ています。つまり,保有目的はある程度抽象的なものでもよく,保有目的が保護の趣旨目的に反することの立証責任は福祉事務所の側にあるということです。
したがって,累積預貯金が判明した段階で保有目的が不明確であったとしても,違法不当な目的(例えば覚せい剤購入等)であることが明らかでない限り,保有が認められるべきです。

※1 秋田地裁平成5年4月23日判決
 生活保護費で蓄えた約81万円の預貯金のうち約27万円を収入認定して保護費を減額する処分と,残額についてはその使途を弔慰の用途に限定する指導指示をしたケースについて,「収入認定を受けた収入と支給された保護費は,国が憲法,生活保護法に基づき,健康で文化的な最低限度の生活を維持するために被保護者に保有を許したものであって,こうしたものを源資とする預貯金は,被保護者が最低限度の生活を下回る生活をすることにより蓄えたものということになるから,本来,被保護者の現在の生活を,生活保護法により保障される最低限度の生活水準にまで回復させるためにこそ使用されるべきものである。したがって,このような預貯金は,収入認定してその分保護費を減額することに本来的になじまない性質のものといえる。更に,現実の生活の需要は時により差があり,ある時期において普段よりも多くの出費が予想されることは十分あり得ることであり,そのことは被保護世帯も同様であるから,保護費や収入認定を受けた収入のうち一部を預貯金の形で保有し将来の出費に備えるということもある程度是認せざるを得ないことである。」とし,「生活保護費のみ,あるいは,収入認定された収入と生活保護費のみが源資となった預貯金については,預貯金の目的が,健康で文化的な最低限度の生活の保障,自立更生という生活保護費の支給の目的ないし趣旨に反するようなものでないと認められ,かつ,国民一般の感情からして保有させることに違和感を覚える程度の高額な預貯金でない限りは,これを,収入認定せず,被保護者に保有させることが相当で,このような預貯金は法4条,8条でいう活用すべき資産,金銭等には該当しないというべきである。なお,被告は,具体的な耐久消費財の購入等預貯金の目的が相当具体的で,かつ,それが生活保護法の趣旨に反しない預貯金である場合以外は保有は許されず,将来の不時の出費に備えるという程度では足りないと主張するが,生活保護費と収入認定を受けた収入で形成された預貯金については,前記のような源資の性格からして目的がそこまで具体的でなくとも,生活保護法の目的ないし趣旨に反しないものであれば,これを保有させるべきである。」と判示している。

※2 最高裁平成16年3月16日判決(いわゆる中嶋学資保険訴訟)
「生活保護法による保護を受けている者が同法の趣旨目的にかなった目的と態様で保護金品又はその者の金銭若しくは物品を原資としてした貯蓄等は,同法4条1項にいう「資産」又は同法(略)8条1項にいう「金銭又は物品」に当たらない。」として,上記秋田地裁の判断を追認した。

※3 実施要領問答第3の18
「(預貯金の)使用目的が生活保護の趣旨目的に反しないと認められる場合については,活用すべき資産にはあたらない」。

※4 平成27年2月10日石川県知事裁決
 保護費の累積金による預貯金約150万円について「なんとなく貯めてきた」との回答を踏まえて収入認定し保護廃止した事案について,事後的に「生涯独り身であることから,将来の入院費用や介護施設入所のための保証金,階段の上り下りが困難になった時の転居費用等のためのものである」との説明がなされていることから,「累積預貯金の使途目的について新たに説明を行っていることについては(略),前審査請求に係る裁決後に判明した事実により,処分内容を検討することは可能であると認められ」,処分庁は,「新たな証言である前記の事実を踏まえ,あらためて累積預貯金の使用目的を聴取した上で処分を決定すべきであった」として保護廃止処分を取り消した。この裁決を受け,処分庁は改めて調査した結果「将来への積み立てという目的があり,生活保護費を充てることが制度に反しているとはいえない」として廃止決定を取り消した。この裁決を受け,処分庁は累積金認定による保護廃止期間の保護費130万6,989円を支給した。

※5 平成27年12月7日高知県知事裁決
 転入移管前に消費した保護費の累積金の使途を確認し,使途不明金約6万円について使用目的が生活保護の趣旨目的に反するものとして収入認定した事案について,「使途不明であることのみを以て,生活保護の趣旨目的に反するとして(略)収入認定を行っている」のは,「生活保護の趣旨目的に反するとする合理的な根拠が示されていないことから,原処分には法第56条に規定する正当な理由があるとは認められない。」として,原処分を取り消した。

2 福祉事務所に求められるケースワーク
東京都運用事例集問8-34(※6)は,一定額を超える預貯金等の保有が判明した場合には,まずは預貯金の目的等を確認し,「保有を容認できない資産性のあるものの購入(略)や一般低所得者との均衡を失するような消費(略)に充てる目的であれば,法の趣旨を説明し目的を変更するよう指導助言すること」とし,「特に目的等がなく単に累積したものである場合」でも,「直ちにこれを収入認定することは適当でなく,まず,最低限度の生活に欠ける部分を補い,生活基盤を回復させるために使うよう指導助言する。必要に応じては,自立更生計画書等の作成を通じて累積金の費消目的を定めながら,より安定した自立の助長を促すことが望ましい」として,事案に応じた適切なケースワークを求めています。
 したがって,ケースワーカーとしては,資産申告書等の提出を求めるに先立ち,①保護費の累積金は預貯金の目的が生活保護の趣旨目的に反しない限り収入認定されないこと,②当該目的はある程度抽象的なものでも良いことを説明し,③累積金が発見され使用目的がない場合でも直ちに収入認定するのではなく,生活基盤の回復に向けて家電製品の買い換えや生活必需品の購入などを助言指導することが求められます。

※6 東京都運用事例集問8-34
 生活基盤の回復に向けた指導助言が必要な理由として,「保護費を繰越しして一定額を超える預貯金を保有するに至った経緯には,単に節約を図っただけでなく,食事や衣料品等の生活必需品を極度に切りつめた生活をしてきた結果当該被保護世帯はどこかに最低限度の生活に欠けるところが生じている可能性が推測される。」と説明している。

3 最大幾らまで保有が許されるか
 金額が幾らまで保有が許されるかについては,世帯の状況によって異なるので一律に基準を示すことは困難ですが,秋田地裁平成5年4月23日判決(※1)では約81万円、平成27年2月10日石川県知事裁決(※4)では約150万円の累積預貯金が認められています。
東京都運用事例集問8-34は,「目安としては,累積金のすべてが目的のない状態であった場合,保護の停廃止の期間の考え方を用いれば,当該世帯の基準生活費の概ね6月分相当の額に達した場合と考えられる」としています。
つまり,家電製品,家財道具等の買い換え費用や教育費,葬式代などその世帯の状況に応じた使途と金額を積み上げた上で,さらに当該世帯の基準生活費の概ね6か月分相当の額(例えば大阪市の単身世帯であれば70万円程度)を加えた額に達して初めて収入認定し保護を打ち切ることが許されるということになります。したがって,単身世帯であっても200万円程度であればそのまま保有を認められるべきことが多いと思われます。

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