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自治体のSPEEDI使用可能に…「避難計画」の検証を

 新しい避難計画は、5キロ以内はただちに避難。5-25キロ内は屋内待機し、モニタリングポストで、直接に放射性物質の量を測定してから、基準を超えれば、あらかじめ決められた避難先に避難する。
避難先が風下にあっても、被曝されながら、線量が高くなる地域に避難する、という「計画」。
 「原子力防災」の著者・松野元氏〔四国電力の元技術者、伊方原発にも勤務。その後、原子力発電技術機構・緊急時対策技術開発室長として、ERSS/SPEEDIやPBSを設計・運用してきた〕は、避難方向は、風向きも考慮し、東西南北の4方向が必要としている。そんな避難計画は無理なので、政府はSPEEDIを葬った。
が、実際に避難誘導する自治体は、具体的なデータが必要であり、知事会の強い要望をうけて使用可能となった。
ぜひ、原発毎に何種類もの過酷事故を想定し、シミュレーションしたデータ「PBS」(プラント事故挙動データシステム)を活用し、避難計画を検証してほしい。計画の非現実性がいっそう明らかになる、と思う。
【原発事故時のSPEEDI使用認める=自治体に裁量-政府方針 時事3/11】

【再稼動のための「避難計画」。SPEEDI排除の意味 2014/09】

【原発事故時のSPEEDI使用認める=自治体に裁量-政府方針 時事3/11】

 政府は11日、原子力関係閣僚会議を開き、全国知事会が要請していた原子力災害対策の拡充に向けた対応方針を決めた。原発事故時の避難経路の選択のため、大気中の放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を自治体が裁量で使用することを認めた。
 SPEEDIをめぐっては、東京電力福島第1原発事故の際に活用されず、情報不足から放射線量の高い地域に避難してしまった住民から批判を受けた経緯がある。
 原子力規制委員会は、原子力災害対策指針(防災指針)で、実際の放射性物質の放出量などが分からないと拡散予測は難しいとし、避難の判断には使用しない方針を示している。ただ今回の対応方針では、自治体からの強い要望を踏まえ、事故時に自治体が参考情報として使用することを認めた。
 原発事故の際に甲状腺被ばくを低減させる安定ヨウ素剤の事前配布についても、従来認めていた原発から半径5キロ圏内だけでなく、圏外の住民に対し、自治体の判断で平時に事前配布できることとした。(2016/03/11-13:14)

【「格納容器は壊れないことにする」~推進のロジックが葬った「原子力防災」の知見(メモ) より】

 ~ 松野氏のインタビューから、SPEEDIに関する部分

◆SPEEDIが作動しなくても避難誘導はできた

 「SPEEDIに代入すべきERSSのデータが計測器の故障や停電で不正確だったので、使えなかった」「住民の避難誘導ができなかった」という論は誤り。
~「率直に言って、たとえSPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、避難の警告を出せる」(松野氏)

・ERSSが作動しなくても、SPEEDIに仮のデータを代入すれば、避難の方向だけでも分かる。

・放出された放射性物質の総量が分からない時は、仮に「1ベクレル」を代入することになっている。

・原子力の「専門家」なら「チェルノブイリ事故」と「スリーマイル島事故」の中間の10の17乗を代入して、避難すべき範囲もおおよそ分かったはず。

・避難範囲 スリーマイル10キロ、チェルノブイリ30キロ。福島はその中間=20~25キロ前後。チェルノブイリは原子炉1機の重大事故、福島第一は少なくとも原子炉3機の事故。避難範囲は大事を取って「とりあえず30キロ」が即断できる。飯館村も避難範囲に入っている。

・避難のタイムリミットも即断可能。「原子力災害対策特別措置法」15条通報(全部電源喪失・冷却機能喪失=3月11日午後4時45分)から25時間以内 ~ メルトダウンに数時間+格納容器破損に約20時間弱+放射性物質が住民に到達までに1~2時間程度。
 
*ERSS(緊急時対策支援システム) 原発で甚大事故異常が起きたときに、リアルタイムで原子炉の水位、温度、圧力などをモニターし事故進展を予測する。
*予測から得られた放射性物質の放出量をSPEEDIに代入するとSPEEDIは地形や風向風速雨量等の気象条件を考慮して放射性雲(プルーム)の流れを予測し、避難方向と範囲を決める。

◆予備システム「PBS」

・99年 東海村臨界事故以前には、住民避難のための「法律」も「システム」もなかった。その反省から「原子力災害対策特別措置法」とシステム「ERSS/SPEEDI」が生まれた。

・松野氏は、ERSS/SPEEDIを設計・運用した当事者であり、予備システムPBSの産みの親。

・「PBS」(Plant Behavior Data System) 「プラント事故挙動データシステム」
→ 全国の原発毎に、何種類もの過酷事故を想定し、「燃料が溶けて格納容器が壊れる時間」「その結果、放出される放射性物質量」を「あらかじめシミュレーションして蓄積している」データベース。

・PBSに蓄積してあるデータベースの放出量情報をSPEEDIに代入して避難方向や範囲を示すことができた。

・PBSのDVD-ROMは、各原発のオフサイトセンターに常備。典型的な過酷事故の様子はオフサイトセンターで必要に応じて、いつでも見たり研究することができる。

◆初動の遅れ~  原子炉を助けようとして住民のことを忘れていた?

・『全交流電源喪失』という情報しかなくても指示はできる。
専門家なら「全交流電源喪失」の意味するところを説明し、専門家なら、分からないなりに25時間を割り振って、SPEEDIの予測、避難や、安定ヨウ素剤の配布服用などの指示を出すべきだった

・どうして初動が遅れたのか
 松野「何とか廃炉を避けたいと思ったのでしょう。原子炉を助けようとして、住民のことを忘れていた。太平洋戦争末期に軍部が『戦果を挙げてから降伏しよう』とずるずる戦争を長引かせて国民を犠牲にしたのと似ています」
 「広島に原爆が落とされたとき、日本政府は空襲警報を出さなかった。『一矢報いてから』と講和の条件ばかり考えていたからです。長崎の2発目は避けることができたはずなのに、しなかった。国民が犠牲にされたんです」
 「負けるかもしれない、と誰も言わないのなら(電力会社も)戦争中(の軍部)と同じです。負けたとき(=最悪の原発事故が起きたとき)の選択肢を用意しておくのが、私たち学者や技術者の仕事ではないですか」
(メモ者 「格納容器はこわれない」「過酷事故はおこらない」という「神話」抜きには、原発立地もままならなかったし、そのことが安全対策もおざなりにした。
「神国・日本が負けるはずかない」と無謀な侵略戦争という「政策」に走った点でも同じ。)

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