消費税増税と法人税減税否定、平等性を高める政策を 米ノーベル賞経済学者
政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合でーベル経済学賞受賞のスティグリッツ・米コロンビア大教授は、成長の果実が一部のトップ層に偏り、格差が一段と拡大したことを指摘し、「消費税を増税するタイミングではない」「景気低迷の原因は需要不足にあり、平等性を高める政策は需要を増やして効果的だ」「賃金上昇と労働者保護を強める政策、財政出動なら教育や若者の健康への政府支出を」とし、「法人税減税は投資に寄与しないから反対し、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税については増税すべき」とした。また、過度に金融緩和に依存する政策に警鐘もならした、とのこと。アベノミクスに対する痛烈な批判である。
なお、格差拡大が経済成長に寄与しないことはOECDですら主張していることてある。
【経済分析会合 いいとこ取りはやめよ 東京・社説 3/17】
【職の質向上、男女格差縮小、再配分が重要 OECD 2015/5】
【 格差と成長 OECD 2014/12】
【経済分析会合 いいとこ取りはやめよ 東京・社説 3/17】政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期や補正予算編成のお墨付きを得るためではないか。そんな臆測が強い。都合のいい部分だけを取り出してもらっては困る。
「消費税を増税するタイミングではない」「緊縮財政をやめ、政府支出の増加こそ望まれている」-。第一回の分析会合に招かれたノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ・米コロンビア大教授は、確かに消費税の延期や財政出動の重要性に言及した。しかし、格差是正や幸福度の研究に目を向けてきた教授は、世界経済が抱える問題に幅広く提言したはずだ。最も重要な点は、景気は後退または停滞する可能性が高い中で、緩慢な成長の果実が一部のトップ層に偏り、格差が一段と拡大していると指摘したことだ。
景気低迷の原因は需要不足にあり、平等性を高める政策は需要を増やして効果的だと強調。具体的には賃金上昇と労働者保護を強める政策、財政出動なら教育や若者の健康への政府支出を求めた。
政権は、参院選を意識して補正予算編成のお墨付きとしたいのかもしれないが、教授はやみくもに財政出動を促したわけではない。むしろ法人税減税は投資に寄与しないから反対し、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税については増税すべきだと主張した。日銀のいわゆる異次元緩和政策についても「限界が近い」と指摘し、過度に金融緩和に依存する政策に警鐘を鳴らした。こうした「耳の痛い」提言こそ傾聴すべきで、消費税増税延期や補正予算編成の方便だけに利用することは許されない。
安倍晋三首相は一昨年、10%への消費税引き上げ延期を決めた際に「再延期はない。アベノミクスで増税できる経済環境にする」と明言した。増税を見送るなら、アベノミクスの失敗を認め、速やかに軌道修正すべきだ。有識者の提言を免罪符に増税延期だけ決めるのは筋が通らない。
だからといって、再び増税延期について国民に信を問うとして衆院を解散し、衆参ダブル選に打って出るのなら、ご都合主義も甚だしいと言わざるを得ない。
そもそも分析会合は、五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、世界経済や金融情勢について有識者の意見を聴くというのが政府の説明だ。仮にも消費税増税や補正予算の判断に利用しようというのなら、納税者への裏切り行為ではないか。
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