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高知家の子どもの貧困対策推進計画(案) パブコメ中(3/24まで)

 先日、日本財団の調査で、高知県は貧困率で全国4位、同時に対策では全国3位と、全国最低レベルの財政力の中で努力していることを紹介したが。
 県議会でも繰り返しとりあげてきた「子どもの貧困」問題。今回、政府の大綱にもとづく、「対策推進計画(案)」が発表され、パブコメが実施中(3/24まで)である。
 この問題…少々こだわってきた私としても以下の意見を提出した。よりよい計画となるよう、みなさんもどんどん意見提出を。
【高知家の子どもの貧困対策推進計画(案)の意見公募について】
【高知家の子どもの貧困対策推進計画(案】

「高知家の子どもの貧困対策推進計画(案)についての意見」

1 計画の策定趣旨

生活の困窮という経済的な要因のみならず、家庭の教育力や地域社会の見守り機能の低下などを背景に
 → 家庭の教育力の低下は、親が生きることで精一杯という経済的状況に規定されている面が強く、「経済的要因」と、別に「家庭の教育力の低下」があるという認識は、具体的課題にある「家庭の教育力」のための研修に偏重されることに繋がっています。
「しっかり子供にかかわりたくても、かかわれない」という経済的要因を持つ家庭の状況をまず基本におくべきと考えます。

第二章. 厳しい環境にある子どもたちの現状と課題

・厳しい状況にある子どもの範囲が狭すぎる・・・実態にあっていません。
案は、生活保護世帯や児童養護施設、ひとり親世帯(児童扶養手当の受給世帯)をもとに、「環境にある子どもたちの18歳以下の子どもたちに対する割合は、全国の8.0%に対し、本県では12.4%と厳しい状況にある」
としています。
 マーケットバスケット方式を採用して最低生計費を算出した仏教大学の金澤誠一氏の研究では、標準3人世帯の保護基準を1.4 倍するとほぼ年収300 万円となる。この生活水準は、生活保護受給世帯とほぼ同一水準とみることができる。というのは、生活保護受給世帯の場合には、税金や社会保険料、NHK受信料、現物支給される医療扶助相当額が免除され、働いている場合には勤労控除があるから、実質的には保護基準以上の収入があるからである。
〔金澤誠一「『構造改革』の下での『生活崩壊』と最低生計費」「賃金と社会保障第1421号」2006年7月)と解明しています。
 実質的に、生活保護基準以下で生活している多数の子どもをきちんと視野にいれるべきでと考えます。

3 ひとり親世帯 

本文では「経済的な支援策はもちろんのこと、子育てや就労支援策などを含めて、多方面からの支援策が必要となります。」
と、経済的厳しさだけでなく、子育ての困難さも視野にいれているにもかかわらず・・
(導き出される課題)が 「保護者の自立に向けた就労支援策などの抜本強化 →課題7」だけなのは整合性がないのではないか、と思います。

6 厳しい環境にある子どもの進学状況

「子どもたちの学力については、収入が低い世帯の子どもたちが3時間以上学習した場合の正答率が、収入が高い世帯の子どもたちが全く学習しなかった場合の正答率と比較して、低かったという調査研究なども報告されています」と「このままでは、家庭の社会経済的背景(SES)*の状況が子どもたちの学力や進学率などに大きく影響し、貧困が世代間を超えて連鎖していくことが危惧されます。」
と、重要な指摘をしていると思います。

 そうであるならば、「導き出される課題」に、保護者の経済的、健康面での生活の安定、それにともなう子どもの「物理的剥奪」を解消を含めるべきでと考えます。

7 就学援助を受けた児童生徒の状況

 全国より利用率の高さがしめされていますが、
そもそも認定基準が、県内でも生活保護基準の1.0~1.3倍とばらついている。また生活保護法の最低生活費の認定基準は、児童養育加算、その地域の実際の家賃を反映した住宅扶助の特別基準をもとにしているが、文科省特別支援教育課発行の「特別支援教育就学奨励費負担金等に係る事務処理資料」には児童養育加算、住宅扶助の特別基準が入ってないので、高知市では、保護基準の1.3倍となっているが、実際は、保護基準とほぼ導水旬になっています。また、給付の内容もばらつきがあります。
 市町村事業ではあるが、「厳しい状況にある子どもの範囲」のところで指摘したように、実質的に生活保護基準以下で暮らしている子どもが多数おり、その手立てが不十分であることを「課題」として掲げるべきと考えます。

10 子どもたちの心と体を育む保健分野の現状

 定期接種、う歯治療には、貧困層でそれ以外では有意な差があると指摘されていますが、課題とないのでしょぅか? 

第3章 指標の改善に向けた具体的な取組

(1)就学前教育の充実
(保育者の親育ち支援力の強化)
 子どもの発達や変化への気づき、また保護者に適切な支援をするうえで保育士の役割はきわめて重要です。「適切な支援が十分には行われていない現状があります。」が、低い処遇による保育士不足、公立では非常勤が多数を占めて支援する側が不安定な状況にいる現実を無視して「支援力の向上」を掲げても限界があります。
OECDの「スターティング・ ストロング」の観点に立ち、保育者の処遇改善、体制充実を課題として掲げるべきと考えます。

他の分野でもそうですが、子どもの貧困に立ち向かう担い手、特に専門職の育成について、1項おこして課題とすべきと考えます。

(2)学校をプラットホームとした支援策の充実・強化

イ(徳)見守り体制の充実

 不登校などのこどもたちの「安心できる居場所づくり」(例えば、那覇市のKukulu)を課題とするべき、と考えます。

ウ(体)健康的な体づくり

(運動・スポーツの機会の提供)

 家庭の経済的状況から、クラブ活動に参加できない子どものへの支援を課題とするべき。

(欠食がみられる子どもたちへの支援)

 学校給食が唯一のまともな食事という例も少なくない。県下的に中学校給食の実施にめどがたった意義は大きいのですが、長期休暇中の給食提供を課題とすべき、と考えます。

(4)進学・就労等に向けた支援
(生活困窮家庭の子どもたちへの支援)

 上記で説明したように、実質的に生活保護基準以下の収入でくらす子どものいる世帯も対象とする。

3 保護者等への支援策の抜本強化

(1)保護者の子育て力の向上

最初の項目に「保護者の子育て力の向上」「自覚や意欲を高めます」とありますが、「子どもの貧困」とは「親の貧困」であり、まず第一は、親が安定した環境で安心して子育てできる環境になることが土台です。優先順位は、第一に「住まい・生活・就労への支援」とすべき、と考えます。

(2)妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援

 貧困の影響が強い—親が病気や仕事がやすめない、有給がとれないなど--「う歯」の治療、定期接種の実施を課題とすべき(例えば学校訪問歯科治療など)と考えます。
 また、ここに乳幼児医療費無料化の助成の記述を入れます。

(3)住まい・就労・生活への支援 

 生活支援として、義務教育の教材費などの負担軽減、就学援助制度の充実を、市町村とも協議しながら充実させていく、ことを課題に入れるべき、と考えます。
 ひとり親の就労支援として、ファミリー・サポート・センター事業があげられていますが、利用料が1時間約600円~700円で、パート労働の多いひとり親家庭では、理由できにくいものとなっています。低所得者の利用料低減のための助成が必要と考えます。また、未婚の母親は、寡婦控除がうけられず、特に厳しい状況となっています。課題としてとりあげるべきと考えます。

○その他

 全体の計画案は、健常者の子どもを主体にしたものとなっています。障害児を抱える家庭の苦労、経済的負担は極めて深刻です。支援の枠組みとして政策群が別建てになることは理解しますが、計画の「視野」に入っていること、また今後、障害児分野でも「貧困対策」をすすめることが、明確になるような記述、構成が必要ではないかと、考えます。

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