高齢者25%が生活保護基準以下。5年で160万人増
唐鎌直義・立命大教授の調査。生活保護費の受給水準以下(保護基準を参考に住居費などを計算、年収を一人当たり百六十万円、月約十三万三千円。に設定)で暮らす高齢者が最近5年間で約160万人増え、894万人と高齢者の25%にあたる。世帯では27.4%。単身世帯が高く男性37.7%、女性は56.0%。現役時代の賃金格差が、高齢後の生活を直撃している。
唐鎌教授は「年金支給額の引き下げや消費税増税も影響し、生活はさらに厳しくなっている」。消費税10%、マクロ経済スライドの強化・キャリーオーバー制など、いっそう深刻になる。。
【高齢者の25%が貧困状態 年収160万円以下、5年で160万人増 東京3/4】
阿部彩さんも、確か「子どもの貧困」のあとがきで指摘していたと思うが、高齢者、特に女性の貧困が深刻であること。しかし、自己責任論が渦巻く中、一番国民的合意がえられるのが「子どもの貧困」問題。が、それは親の貧困問題であり(そして働く世代の貧困は高齢者の貧困に連続する)、貧困問題全体の突破口となる。
大企業優遇税制を是正し、たまり続けている内部留保を、税として回収し、それを間接賃金(社会保障)として再分配することが、経済の好循環を生み出すためにも鍵となる。
大企業に賃上げをお願いするより、確かな「賃上げ」となる。
【高齢者の25%が貧困状態 年収160万円以下、5年で160万人増 東京3/4】生活保護費の受給水準以下で暮らす高齢者が最近5年間で約160万人増えたとみられることが、立命館大産業社会学部の唐鎌(からかま)直義教授(社会福祉学)の調査で分かった。公的年金の支給額引き下げなどが負担となり、生活に困窮する高齢者が増加した実態を示している。
唐鎌教授は、厚生労働省が子どもの貧困率などの算出に使う「国民生活基礎調査」の最新データ(二〇一四年調査分)を分析。国の生活保護基準を参考に住居費などを計算し、最低限の生活に必要な年収を一人当たり百六十万円(月約十三万三千円)に設定した上で、この額に満たない高齢者世帯を貧困状態とみなして人口を試算した。
その結果、高齢者全体の四分の一を占める八百九十三万五千人が該当し、〇九年の調査データで試算した七百三十五万四千人を百五十八万一千人上回った。
独り暮らし世帯に限ると男性が二十九万一千人、女性は三十九万一千人増加。単身の高齢者と結婚していない子どもが同居している世帯では、十三万五千人増えていた。家族のうち高齢者が一人でもいる世帯で年収が設定額を下回ったのは、全体の27・4%に当たる六百四十四万七千世帯。独り暮らしの世帯で下回ったのは、男性が七十二万世帯(37・7%)、女性は二百二十六万七千世帯(56・0%)に上った。
厚労省は国全体の相対的貧困率や子どもの貧困率を三年ごとに公表しているが、高齢者については「収入が少なくても貯金などがあるケースがあり、実態と合わない可能性がある」(統計情報部世帯統計室)として算定していない。
相対的貧困率は手取り収入を高い人から順に並べ、真ん中の人の所得額の半額(貧困線)未満で暮らす人の割合を示す。厚労省が一二年調査で設定した貧困線は百二十二万円で、国全体の貧困率は16・1%だった。
唐鎌教授は試算結果について「高齢者人口が増えた分、貧困に陥る人数も猛烈に増えている。(一三年からの)年金支給額の引き下げや消費税増税も影響し、生活はさらに厳しくなっている」と指摘した。詳しい結果は十二日発売の専門誌「地域ケアリング」(北隆館刊)に掲載される。
◆生活保護受給も増加 年金減が直撃
生活に困窮した人を最後に支える生活保護を受ける高齢者も増えている。
厚生労働省によると、生活保護を受けている家庭は二〇一五年十二月時点で、百六十三万四千百八十五世帯となり二カ月ぶりに過去最多を更新した。約半数を占める高齢者世帯が増えているからだ。五年前の一〇年十二月時点より約二十万世帯増えた。特に高齢のため働けず収入のない独り暮らしのお年寄りが増えている。
日本弁護士連合会は、生活に困窮しているのに、制度が利用しづらいため、生活保護を受けていない人が多いとして、安心して利用できる制度への改善を求めている。
そもそも高齢者の生活を支える公的年金の支給額が引き下げられている。保険料を四十年間払って受け取れる国民年金は一五年度、満額で月六万五千八円。四十年に満たない人は少なくなく、実際の平均受給額は一四年度で月五万四千四百九十七円と約一万円低い。
さらに給付額を物価・賃金より低く抑える仕組み「マクロ経済スライド」が初めて一五年度に実施された。政府は年金支給の抑制を強めている。
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