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療養病床13万床の行方 負担増、重度者排除の懸念

介護療養と医療療養(25対1)病床の約13万3000床が2018年3月末で設置期限を迎える。厚労省の「在り方検討会」が発表した整理案が示された。
「これまでの類型にない、日常的な医学的管理、一定程度の介護に加え『住まい』の機能を同時に満たす新たな類型が必要」として、「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」の2類型を示した。新施設は医療区分1(軽度)を想定したものだか、介護型6.3万床の2割、医療型(25対1)8万床の56%が中・重度であり、5.7万人。全体の病床削減の中、行き場がなくなるのではないか。
【療養病床廃止13万7000床 受け皿 検討会で方針 施設系サービス、居住スペース新2類型  保団連2/5】
【医療療養病床(20対1・25対1)と介護療養病床との比較  第2回在り方検討会・資料2015/9/9】
【医療・介護資源等に関する地域差のデータ 〃 】

 高知県には対象となる病床が4200床以上存在する。急峻な地形、中山間地域が広く存在し、高齢単身世帯の多い高知県にとって「居宅・訪問型」のサービスは極めて効率が悪く、また実態にあっていない。

【療養病床廃止13万7000床 受け皿 検討会で方針 施設系サービス、居住スペース新2類型  保団連2/5】

 介護療養と医療療養(25対1)病床の約13万7000床は2018年3月末に廃止が予定されている。また、地域医療構想の策定に際して国のガイドラインでは、都道府県に療養病床の患者数の削減を求めている。病床廃止等に伴う「受け皿」を検討してきた「療養病床の在り方等に関する検討会」は1月28日、受け皿とされる「新たな選択肢の整理案」について取りまとめた。

■医療機関が移行先判断

 新たな類型は長期療養にふさわしいプライバシーの尊重など「住まい」の機能を強化しつつ、医療提供形態に応じて、「医療機能を内包した施設系サービス」と「医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設」の2類型が柱となる。

Data493
〔高知県保険医協会ニュースより〕

 前者は施設内に医師や看護職員が常駐する特養ホームのイメージ、後者は住宅と病院等が同じ敷地にあるイメージだ。
 移行先については、医療機関が、患者像や経営状況等を勘案して、老健等の既存類型や新たな類型の中から選ぶ形とする。今後、個別の制度設計等について社保審の医療部会・介護保険部会等で議論を進める。

■低所得者の配慮に懸念

 整理案では、「利用者にとって負担可能なもの」である点が記されたが、制度の詳細は社保審の議論に委ねられている。現行の低所得者への食費・居住費補助(補足給付)の取り扱いについて、厚労省は「経過措置や可能性を考える必要がある」として、存続は明言していない。「住まい」の費用は原則自己負担、「補足給付は正論ではない」などの意見も出ており、現状よりも高めの利用者負担が設定される事態も懸念される。日医委員は、「今後、高所得者用の施設はいくらでもできるが、低所得者の受け皿の整備が必要」と繰り返し求めている。

■重症・重度者の行き場は

 新類型は、医療区分1を中心とした利用者像を想定している。しかし、現在でも、医療区分2・3の患者が医療療養(25対1)で56.4%、介護療養で20%前後いることが推測される(1月28日資料より)。仮に、これらの患者の大半を医療療養(20対1)で対応する場合、看護職員の確保が必要となるが、国は「地域医療構想との整合性」を確保するなどとして、医療従事者の供給を抑制する方向で検討している。重症・重度者の行き場も懸念される。

 検討会で、日医と四病協は連名で、移行先となり得る選択肢の拡大は必要とする一方、あくまで、現行制度の存続を「第一選択肢」として検討すべきと強調している。行き場を失う療養患者が出ないよう、現行制度の存続も視野に入れた慎重な議論が求められる。


【療養病床の今後の在り方について 日本医師会・四病院団体協議会 2015/11/27】

1 基本的考え方
○ 現在、「療養病床の在り方等に関する検討会」において、慢性期の医療ニーズに対応する今後の医療・介護提供体制の選択肢の検討が進められている。

以下、検討の基本的方向性について提言する。

○ そもそもこのような医療現場に直接影響を及ぼす改革は、医療・介護現場に混乱を生じさせないことを最優先に、関係者間の合意を得ながら丁寧かつ円滑に進めるべきであり、移行が進まない現状に鑑みれば、現行制度の再延長を第一選択肢として検討すべきである。

○ 一方、既存の主たる移行先とされている介護療養型老人保健施設は、今までの移行状況から、実態としては移行先として十分なものとは評価されていない。したがって、再延長の可否に関わらず、今後適切な移行先となり得る選択肢の拡大は必要であり、その観点からは、新類型の検討には一定の合理性が認められる。そのうえで、現在入院・入所している患者・利用者の負担も含め、その対応に支障があってはならない。

○ ただし、その際には、現患者/利用者像に即した移行先の選択が可能となるよう、提供される機能の組み合わせが異なる複数の類型を提示すべきである。また、費用面も含めた円滑な移行の観点から、施設設備の基準・人員配置について十分な配慮が必要である。

2 具体的な方向性

○ 新類型には、現行の療養病床の患者/利用者像を踏まえれば、概ね次の2種類が用意されるべきである。また、個々の医療療養/介護療養病床が現在提供している機能に即し、どちらの類型への移行も可能とする。

① 特例部分と医療機関の併設型(医療外付型)
・医療機関部分は適切な規模に集約して存続し、その他の部分に新たに特例的な機能を持たせる。
・特例部分に必要な医療は、併存する医療機関から外付けで提供する(出来高又は適切な包括点数を設定)。
・医療機関部分は病院(20 対1療養病床)/有床診/無床診とする。
・施設設備・人員配置は特例部分と医療機関部分との一部共用を認める。
※ 既存制度でも2施設併設型での設置は可能だが、医療法人が特養を設置できない、施設/人員の共用が認められない等の制約があることから、新類型(又は新特例)として新たに整理することが必要と考える。

② 特例部分と医療機関の複合型(医療内包型)
・現行の老健施設・特養より手厚い医療提供が可能な入所施設とする(近隣医療機関との連携も含め、当直/24 時間の医療対応や看取りが可能な体制とする)

3 選択肢の制度化に向けて

○ 今後、制度面の検討の際には、以下について十分配慮すべきである。
・費用負担の在り方(介護保険適用/医療保険適用の混在等)
・利用者負担の在り方(一部(利用者)負担、居住費、補足給付等低所得者対策)
・施設整備費用負担(現行施設基準との整合性、既存施設の活用、基金等の活用)
・十分な合意形成(再延長の可否等) 等


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