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「障害者総合支援法」の見直し~基本合意、骨格提言の実現を

 障害者総合支援法の3 年を目途とした見直しが進められ、通常国会に見直し案が提出される。
「見直し」というなら、その内容は、障害者権利条約の批准国にふさわしい政策の推進と法治国家として障害者自立支援法違憲訴訟団と政府との和解文書である「基本合意」を実現させなければならないのは、当然の責務である。
しかし、総合支援法においても、「基本合意」も内閣府に設置した部会がまとめた「骨格提言」の内容はまったく無視されていた。今回の「見直し」は、この基本合意そのものを葬り去り、介護保険との統合に巧妙に進んでいく仕組みがなされている。
 それにしても自民党は「基本的人権」「権利」が嫌いだ。何でも「自立支援」と、自己責任を前提とし、「がんばるなら支援する」となっている。
【障害者権利条約、基本合意、骨格提言の実現めざす4.21全国大集会 学習資料】

【公的責任議論されず 節目迎える障害者福祉】

日本障害者協議会(JD)代表の藤井克徳さんは、この総合支援法3年見直しの報告に対してつぎのように語っている(神奈川新聞2016 年1 月9日より)

―障害者部会の報告書

「『障害福祉制度と介護保険制度との関係や長期的な財源確保の方策を含めた今後の在り方を見据えた議論を行うべきである』とし、障害者総合支援法の相談支援専門員と介護支援専門員(ケアマネジャー)の両方の資格の有する者の拡大など、両制度の連携の推進をうたっている。障害者福祉と介護保険制度の統合に門戸を開いた、足場を作った中身になっている。障害者福祉が後退しかねないと強い危機感を持っている」
「両者の統合は、障害者自立支援法違憲訴訟に係る基本合意(10 年)、『障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言』(骨格提言、11 年)という二つの公的文書で否定されたはずだが、新たに真逆の公的文書が生まれてしまった」

―障害者の生存権を保障するため、生活保護などと同様に国の義務として税金で対応する障害者福祉と、保険料を払ってサービスを受ける介護保険では本質的に異なる制度のはず

「部会の議論では、福祉とは何か、公的責任は何かという本質的な問題が抜け落ち薄っぺらな財源問題だけの話になってしまった。財政制度等審議会の注文を受け、給付の抑制で一貫した。財政問題は重要だが、人権の原理原則を議論した上で検討しなければならない。それがなされなかった」「重大な人権問題が残されたままになった。本質的な議論をせず、報告書は支援法の微修正、形を取り繕った内容だ」

―社会保障費の削減が叫ばれる中、障害者福祉、障害者運動の役割は

「日本の障害者福祉は異常に低い地点からスタートした。OECD(経済協力開発機構)諸国との比較でも圧倒的に遅れている。予算が増えてきたと言っても実感はない。障害年金では暮らしを維持できず、家族依存を前提とした名ばかりの地域生活が圧倒的に多い」
「最も厳しい状況にある障害者にはセーフティーネット、人権の基準値を維持する責任がある。障害者が切り捨てられたら、弱者切り捨ての連鎖が始まる。日本が薄っぺらい国家になってしまう。財政問題も人権をベースに総合的な議論をし、福祉について国民的合意を作っていきたい」



【基本合意及び骨格提言に基づいた「障害者総合支援法」の抜本見直しを求める意見書〔素案〕】

 障害者総合支援法の3 年を目途とした見直しが進められているが、その内容は、障害者権利条約の批准国にふさわしい政策の推進と法治国家として障害者自立支援法違憲訴訟団と政府との和解文書である「基本合意」を実現させなければならないのは、当然の責務である。
 基本合意において、国(厚生労働省)は、「速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25 年 8 月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」と約束している。た。

 しかし、現在の制度は、違憲訴訟団が強く求めた「障害者福祉制度を利用することは障害者の基本的人権の行使に他らないことを法律に明記すべき」との主張は排除され、サービス利用に対する応益負担の仕組みは残っている。65歳以上の障害者は、障害者総合支援法の「介護保険優先」原則により、負担が発生する仕組みも「基本合意」に反する内容である。

 今回の見直しにあたっては、抜本的な改善がもとめられているにもかかわらず、社会保障審議会障害者部会が昨年12 月にまとめた報告書は、障害福祉制度と介護保険制度の関係について「今後の在り方を見据えた議論を行うべき」とし、障害者総合支援法の相談支援専門員と介護支援専門員(ケアマネジャー)の両方の資格の有する者の拡大など、「現行の介護保険制度との統合を前提とはせず」とした「基本合意」を無視するとともに、65 歳 以上の介護保険優先原則も「維持することは一定の合理性がある」などとし、応益負担の存続させ、介護保険統合に門戸をひらいた内容となっている。

 違憲訴訟団からは「基本合意と政府によってとりまとめられた骨格提言の内容は未だその大部分が実現しておらず」「2016年の障害者総合支援法の見直し法案においては、その実現の見通しがない」との厳しい意見があがっている。

よって、今回の見直しにあたっては、介護保険との統合の方向性をきっぱり否定するとともに、
① 障害者福祉制度を利用することは障害者の基本的人権の行使に他らないことを法律に明記すること
② 自立支援法医療、児童福祉法を含む障害福祉制度全般における応益負担の撤廃すること、
③ 配偶者や親の収入を利用者負担の収入認定から除外すること
④ 障害者基本法の採用する社会モデルに即した難病者概念を障害者福祉法制度に取り入れるべきこと
⑤ 支給決定のありたかについて、支援区分を廃止し、「支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい必要十分な支援が保障される旨の規定」を設けること
⑥ 介護保険優先原則を廃止して個々の障害特性に応じた選択制の実現
⑦ 報酬支払方式(在宅を除く施策)について現在の全面日払い方式から、骨格提言の内容(事業運営費を月払い&利用者の個別支援費用を日払い)に改めること
など基本合意及び骨格提言に基づき、障害者団体の切実な声に応えた内容とすること。

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