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「身を切る」なら定数減でなく政党交付金削減が筋 読売社説

 読売社説。タイトルと違って、最後の部分では、調査会が「10減」を提案したのは、主要政党が公約にかかげていたことを配慮しただけで、定数削減に「積極的な理由や理論的根拠は見いだし難い」と指摘していることを、きちんと説明した上で、定数削減は「多様な民意の反映しにくくなる」「行政監視機能も低下しかねない」として「議員が『身を切る』姿勢を示す必要があるなら、定数を減らすのでなく、政党交付金の削減などで対応するのが筋である。」と結論づけている。
 東京新聞は以前から同様の主張をしてきたが、他の主要メディアは「定数削減」を無批判に迫っている中、まっとうな主張。
【衆院選制度改革 アダムズ方式を先送りするな 読売2/23】
【定数減は身を切る改革か  東京新聞コラム2/22】

【衆院選制度改革 アダムズ方式を先送りするな 読売2/23】

 衆院の選挙制度改革では、小選挙区の「1票の格差」の是正を優先すべきだ。各党の意見集約を急ぎ、今国会で立法措置を講じねばならない。
 与野党が、選挙制度改革に関する見解を大島衆院議長にそれぞれ表明した。
 民主、公明、維新の各党などは有識者調査会の答申を基本的に受け入れた。自民党は、定数削減には応じるが、都道府県定数の再配分は先送りする考えを示した。
 自民党案は、1票の格差を2倍未満に抑えるため、2015年の簡易国勢調査に基づき、小選挙区定数を6減らし、区割りを見直す。比例選は4削減する。安倍首相の指示で、原案を修正し、定数削減を前倒ししたものだ。
 鹿児島、岩手など6県で各1減らす「0増6減」を検討している。都道府県ごとの定数再配分は20年の国勢調査後に行うとしており弥縫策との印象は否めない。
 調査会は、「アダムズ方式」による「7増13減」の再配分を求めていた。都道府県間格差は最大1・621倍となる。選挙区間格差も2倍未満に収まる見通しだ。
 自民党が再配分を先送りしたのは、「13減」の対象県の現職議員を中心に反対・慎重論が根強いという党内事情によるものだ。

 だが、与野党が改革案で合意できず、有識者に検討を委ね、答申を尊重すると約束した経緯を軽視すべきではあるまい。他の主要政党がアダムズ方式への賛成で足並みをそろえる中、自民党は再考せざるを得ないのではないか。

 民主主義の基盤である選挙制度は、より多くの党の賛同で見直すことが望ましい。安倍首相は今国会で関連法案を成立させる考えを示した。「1強」の自民党には合意形成を主導する責任がある。

 残念なのは、主要政党が定数削減になお固執していることだ。
 調査会が「10減」を提案したのは、各党の「国民との約束」に配慮しただけで、定数削減に「積極的な理由や理論的根拠は見いだし難い」と指摘している。

 定数を減らせば、選挙で多様な民意を反映しにくくなる。法案審議などを通じた立法府の行政監視機能も低下しかねない。日本の国会議員は人口比でみれば、欧州諸国などより多くない。
 定数が少ないほど、格差是正が難しくなり、その手間が増えることも考慮すべきだろう。
 議員が「身を切る」姿勢を示す必要があるなら、定数を減らすのでなく、政党交付金の削減などで対応するのが筋である。


【定数減は身を切る改革か  東京新聞コラム2/22】

 衆院「一票の不平等」是正に合わせて、衆院議員の定数が十削減されることになりそうだ。消費税率引き上げで国民に負担増を強いる以上、国会議員が率先して身を切る必要がある、のだという。
 しかし、国会議員の数を減らすことが、本当に身を切る改革になるのだろうか。そもそも誰が身を切ることになるのだろう。
 国会議員は「全国民を代表する」存在だ。その代表者を減らすことは、国民自身が身を切ることになる。本末転倒ではないか。
 国会議員自身が身を切る必要があるというのなら、議員の「実入り」を減らせばよい。
 国会議員は歳費や期末手当、文書通信交通滞在費など、年間四千万円程度を受け取る。三人の公設秘書の給与を含めれば、議員一人あたりの経費は七千万円程度とされる。
 議員を十人減らしても、削減効果は七億円だ。国会議員は衆参合わせて七百十七人。一人当たり年間千二百万円の文書通信交通滞在費を半額にすれば、四十三億円節約できる。この方がよほど身を切ることにならないか。
 さらに、共産党を除く各党は年間三百二十億円の政党交付金を議席数などに応じて受け取っている。一割減らせば三十二億円、いっそやめてしまえば三百二十億円の節約だ。
 国会議員はなぜこんな単純なことに気付かないのだろう。それとももっと深いわけが? あるのなら聞かせてほしい。 (豊田洋一)


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