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社会保障改悪の2つのごまかし 「人口減」と「財源論」を斬る  保団連

全国保険医団体連合会のレポート。「人口減だから」「「財政再建のために」「社会保障改革は避けられない」という「情報」があふれる中、そのごまかしを明らかにしたもの。
 そこには「富の再分配」のゆがみがもたらしている先進国最低レベルの社会保障予算と高い貧困率、税収の空洞化、社会保障財源の構成のごまかし〔国の負担は3割〕など指摘している。
  さらに再分配のゆがみは、経済の最大のエンジンである家計の消費〔GDPの約6割〕を冷え込ませ経済を停滞させ税収低迷、非正規雇用の拡大は社会保険料収入の低下となっている。


「人口減」と「財源論」を斬る・上 1/25

「人口減」と「財源論」を斬る・下 2/5

【社会保障改悪の2つのごまかし  「人口減」と「財源論」を斬る・上 1/25、2/5】

保団連政策部小委員 角屋洋光

 安倍内閣が進める来年度予算編成や税制改革作業について、大手マスコミは「財政再建のため社会保障改革は避けられない」、「法人税は減税する」が「消費税増税は必要だ」、「診療報酬はマイナス改定を」など、政府の主張を「報道」している。「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太2015)」、「社会保障・税一体改革」路線に隠されているごまかしを明らかにしたい。

◆「人口減社会だから」に隠されたごまかし

 「骨太2015」は、「人口減社会に合った公平で効率的な医療等の提供」を基本理念にかかげるなど、人口減社会を社会保障改革の動機として位置づけている。
 国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の人口は2010年の1億2800万人から、35年には1億1200万人へと、約1600万人の人口減少が見込まれるという。しかも、「65歳以上」の高齢者人口は、10年の23%から、35年33.6%へと増え続ける。
 現役人口が減る一方、医療や年金、介護を必要とする高齢者人口が増えるので、このままでは社会保障制度を維持できない、というわけだ。
 一見、合理的な話のように見えるが、ここに隠されたごまかしがある。

◆財源を決めるのはGDP

 第1に、社会保障の財源は、人口で決まるわけではない。社会保障の財源は、国全体の富、国内総生産(GDP)の中にあり、応能負担を原則に所得を再配分することで得られる。中国に抜かれたとはいえ、日本のGDPは5万9359億ドルで世界第3位(12年)だ。4位のドイツ3万4260億ドルの1.7倍、5位フランス2万6112億ドルの2.3倍だ。ドイツとフランスを足してようやく匹敵するぐらいに、日本のGDPは巨大であるにもかかわらず、なぜ日本の社会保障水準は、フランス・ドイツよりも低いのか。患者負担を無料にし、定年後は年金で安心して暮らし、残業はないのがあたりまえで夏にはバカンスを楽しむ。そんな社会保障が日本の半分のGDPで実現するのはなぜなのか。それは所得の再配分でGDPを有効活用しているからである。日本はGDPの再配分がきわめて不効率なのではないだろうか。

◆長期にわたり先進国最低レベル

 第2に、「人口論」は社会保障費の増加になるというわけだが、そもそも日本の社会保障支出は先進国の中でも最低で、ヨーロッパなどの先進国と比べれば、まだまだ低すぎるのが実態だ。
 日本の「社会支出費(対国民所得比)」(図1)は、1980年でわずか13%で、ドイツ28%、フランス27%の半分以下でしかなかった。その後、ドイツは91年以降、一貫して30%を超える社会支出を継続し、フランスは83年から08年まで30%台で、09年以降は40%を超えている。

160125_sisk5_gmks1_1

 日本は97年にようやく20%台になり、30%台に乗ったのは、09年である。ドイツから遅れること19年、フランスから遅れること26年後のことだ。日本の社会支出水準は、アメリカを除いて、先進国の中でも低い水準で、しかも長期にわたっているのである。

◆ 貧困からの脱出こそ課題

 政府の社会保障制度改革は、患者負担増や介護保険負担増に見られるように、国民負担増メニューのオンパレードである。だが、この負担増路線は、日本社会の現実に適合していない。少子高齢社会は、単なる少子化社会でも高齢社会でもなく、そこには貧困の母子、貧困の高齢者、貧困の非正規労働者がうずまいている。

◆子どもの貧困率ワースト4位

 こどもの貧困率は、14.9%で先進20カ国中、ワースト4位。母子家庭の貧困率はとりわけ高く、57.3%で先進24カ国中ワースト2位だ。
 生活保護受給世帯数は、約127万世帯だが、唐鎌直義立命館大学教授は、公租公課などが除外される保護基準で貧困を測定するのは間違いだとして、保護基準の140%を基準に「実質的生活保護基準」で測定すべきだと主張している。唐鎌教授によれば、日本の総世帯数4900万世帯のうち、1204万世帯、約25%が「実質的生活保護基準」以下の収入で生活している。また唐鎌氏は、この1204万世帯のうち、仕事に就いている人がいる稼働貧困世帯は612万世帯であるとし、貧困世帯の半分以上が、働いても「実質的生活保護基準」以下で暮らしているとし、労働環境の劣悪さもあわせて指摘している(『日本の社会保障、やはりこの道でしょ!』日本機関紙出版センター、2015)。

◆対貧困支出は独仏の半分以下

 これほどの貧困の広がりに対して、社会保障がほとんど役に立っていない。図2は社会支出の内訳から失業や生活保護など貧困関連の7分野を合計したものだが、日本はアメリカを含めても先進6カ国中最低で、11年データでは、日本がわずか3.5%にすぎないのに対し、スウェーデン11%をトップに、イギリス9%、ドイツ・フランスが8%台となっている。
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つまりドイツ・フランスは日本の2倍以上、スウェーデンは3倍以上を貧困対策のために支出している。日本の対貧困支出は先進国最低と言わざるを得ない。今まさに政府がすべきことは、貧困から脱出するための社会保障改革を行うことである。

◆財源論に隠されたごまかし

 政府は「財政赤字でお金がない」「財政再建はまったなし」「社会保障のために消費税率を引き上げる」という脅しを、毎日のように大手新聞などを使って大宣伝している。
 しかし、この政府の財政論にも大きなごまかしが隠されている。

◆財政赤字の責任を社会保障に
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 第1は、財政赤字の責任を社会保障に押し付けていることだ。
 財政赤字は単に歳出の増加で発生するわけではない。それは歳入が減少することでも発生する。実際、1990年の政府の主要3税(法人税・所得税・消費税)の税収は49兆円だったが、2009年には29兆円まで減少した(図)。その間、国内総生産は452兆円から479兆円へと増えているにもかかわらず、である。これでは財政赤字になるのは当然の帰結である。仮に90年並の税収が続いたと仮定した場合、失われた税収は280兆円にも及ぶ。財政赤字は「小さな政府」を目指して税収を引き下げたためで、社会保障の責任ではない。

◆国債発行の責任を社会保障に

 第2は、国債発行の責任を社会保障に押し付けていることだ。
 政府は社会保障支出の「かなりの部分が国債などによって賄われる」としているが、事実ではない。 2013年度の社会保障財源のうち、国が国庫負担として支出しているのは30.5兆円で、3割にすぎない。7割は、国庫負担以外であり、「保険料」が最大で5割を占めている。つまり、「かなりの部分」は、国民の直接負担(事業主負担を含む)なのである。
 しかも、「国債によって賄われている」とは、あたかも赤字国債と社会保障関係費がつながっていような表現だが、社会保障関係費は、他の歳出項目と同様に歳出の一部にすぎない。
 百歩ゆずって、関連付けるのであれば、少なくとも歳出全体に占める社会保障関係費の割合に応じて、国債費も按分すべきであろう。その場合、社会保障に使われた国債分は、約7兆円という計算になる。社会保障費127兆円のわずか5.5%にすぎず、「かなりの部分が国債」などとは到底言えるものではない。

◆「将来世代の負担」という脅し

 第3は、国債は「将来世代の負担になっている」というものだ。
 赤字国債は、歳出入全体における問題であり、小泉構造改革のもとで「小さな政府」を目指すとして、法人税を引き下げた一方で、むだな公共事業を湯水のように支出してきた結果である。税金の集め方、使い方の問題は棚上げして、「将来世代の負担」というのは、国民に責任を転嫁するための脅しである。
 消費税10%増税にあたっても、この脅し文句は引き継がれている。財務省は18年度の消費税増収分14兆円の半分7.3兆円は「後代への負担のつけ回しの軽減」にあてると説明している。つまり、国債費の償還に充てるという意味である。
 社会保障費の削減と、消費税増税を一体に進める政府の狙いを見破り、診療報酬引き上げを堂々と要求し、医療・介護を拡充するために奮闘することが求められている。(了)

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