申請の11原発 事故対策拠点の免震機能省き、規模縮小~伊方も
原発事故の対策拠点について「規制委員会に新基準による審査を申請した全国十六原発のうち十一原発で、地震の揺れを緩和する免震機能をなくし、当初方針より規模も小さくするなどしている」。
伊方原発も、免震機能省き、拠点の面的は6770㎡から225㎡、指揮所の面積は600㎡から225㎡に削減。
故・吉田所長は、集中立地を問題にし、1つの拠点で複数の原発事故に対応する困難さから原発の数だけ拠点が必要と訴えていた。新基準は、その指摘を無視したものだが、それさえも値切る。恐ろしい人命軽視の思想。
こうした追及こそ、メディアの役割。
【申請の11原発、免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小 東京2/7】
伊方原発を止める会が、2/23に規制委に申し入れをしている〔下記に「申し入れ文」〕
【申請の11原発、免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小 東京2/7】原発事故が起きた際の対策拠点をめぐり、電力各社が原子力規制委員会に新基準による審査を申請した全国十六原発のうち十一原発で、地震の揺れを緩和する免震機能をなくし、当初方針より規模も小さくするなどしていることが本紙の取材で分かった。必要最低限の施設を整え、低コストで早く審査を通したい各社の姿勢がうかがえ、東京電力福島第一原発事故の教訓はないがしろにされている。 (小倉貞俊)
対策拠点は、事故収束作業に携わる要員を放射能や地震から守り、関係機関と連絡を取り、食料や資材を備蓄しておく必要不可欠の施設だ。福島の事故で大きな役割を果たし、新基準の大きな柱の一つとされてきた。ところが昨年十二月、九州電力が再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、免震棟の新設計画を撤回。同社は玄海原発(佐賀県)でも計画を白紙にした。
本紙は他にも同様の動きがないか、電力各社に調査。その結果、審査申請した十六原発(川内、玄海両原発を含む)のうち、十一で免震機能のない耐震構造に変更し、規模も大幅に縮小するなどの計画に変えていたことが分かった。
当初計画通りに整備が終わったのは、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や中国電力島根原発(島根県)だけ。北陸電力志賀(しか)原発(石川県)では、免震棟は造ったが、指揮所の放射線防護性能が足りないため、耐震構造の指揮所を免震棟に新たに併設するという。免震棟は、余震が続いても、揺れを数分の一に緩和できるかわりに、設計が複雑でコストがかかり、工期も長くなる。
川内原発の審査で、規制委は免震棟完成までの代替施設として、免震機能のない小規模な施設でも新基準に適合するとの判断をした。これを受け、電力各社はコストを抑え、早く審査をパスする状況をつくりたいと、計画変更に動いた。本紙の取材に、複数の電力会社が川内事例を参考にしたと認めている。
川内原発の免震棟撤回問題をめぐっては、規制委が今月三日、九電の瓜生道明社長に「納得できない」と再検討を求めている。
◆必要最小限のルール
<新基準と免震棟> 原発の新しい規制基準は、防潮堤を設け、防水性能の高い扉を多用することで津波から原発を守るほか、「免震など」で通信、指揮、収束要員を守る施設を整備すること、さらには放射性物質の放出を抑制するフィルター付きのベント(排気)設備の導入などを求めている。新基準を満たせば、現場は1週間持ちこたえ、事故の拡大を防げる-とされるが、規制委が認める通り「再稼働できる必要最小限のルール」にすぎない。
申し入れ書伊方原発を止める会 2/23
―「免震重要棟」不備の伊方原発再稼働はあり得ない―東京電力福島第一原発事故では、事故の8カ月前に完成した「免震重要棟」なしに事故処理は考えられなかったとされています。吉田所長ほか「最大で500~600人が昼夜をたがわず」そこに詰めたとされています。ところが伊方原発では、免震重要棟の耐震性が不足したまま放置され、新たな緊急時対策所は、建屋内面積わずか160平方メートル(約50坪)ほどの手狭なものです。到底500~600人が寝泊まりして作業できるようなものではありません。
四国電力は伊方原発について、耐震性の足りない免震重要棟に「頬かむり」のまま、極めて狭い緊急時対策所だけで済ませようとしており(2016年2月12日の四国電力あて当会申入れへの回答から)、福島原発事故の教訓を踏まえない傲慢な態度と言わねばなりません。このことは、再稼働せず廃炉に向かわせる上でも、断じて許されません。ついては、下記の点を申し入れます。
記
(1) 福島の教訓である「十分な広さと機能を備えた免震重要棟」が不備のままの伊方原発は、きわめて危険な状態であり、ただちに是正させること。
(2) 伊方原発を再稼働させず廃炉に向ける上でも、「十分な広さと機能を備えた免震重要棟」は必要であり、ましてや、これなしの再稼働など断じてあり得ない。
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