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アベノミクス 休廃業 2万6千強の高止まり

 安倍首相は、アベノミクスの「成果」として、倒産件数の減少をあげているが、東京商工リサーチによれば、リーマンショック以降、倒産は一貫して減少している。
が、休廃業・解散件数は、アベノミクスが本格化した13年が、2万8943件と過去10年で最高を記録(消費税増税が廃業を促した?)し、14.15も2万6千以上の高止まり。
15年の休廃業、分野別では建設業の6,856件(前年比6.0%減)、飲食業や宿泊業などを含むサービス業他6,726件(前年比1.4%増)、小売業3,918件(同1.9%減)、製造業2,777件(同0.6%減)。
帝国データバンクでは、「資本金5000万円未満」が全体の97.4%。企業数は12-14年で、全体で4.3万減だが、うち小規模事業者が9.1万減。大企業は4.9%増加。
これで消費税10%にすれば、価格転嫁できない。またインボイスを発行できない免税業者(513万)が取引から排除されるなどし、いっそう休廃業は深刻になるだろう。
【2015年「休廃業・解散企業」動向調査 東京商工リサーチ2016/1】
【第8回 全国「休廃業・解散」動向調査(2015年)帝国データバンク2016/1】
【中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果を公表 (28年1月29日)】
【複数税率・インボイス導入免税業者は取引排除に 全商連】

【2015年「休廃業・解散企業」動向調査 東京商工リサーチ2016/1】

 2015年の休廃業・解散件数は2万6,699件(前年比2.4%減)で、2年連続で前年を下回った。だが、リーマン・ショック後の2009年以降、2万5,000件以上の高水準で推移している。2015年の企業倒産は25年ぶりに9,000件を下回った。この流れと対照的に、後継者難や業績ジリ貧などビジネスモデルの不透明感を払拭できず、事業継続を断念する中小企業が依然として多いことがわかった。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから休廃業、解散が判明した企業を抽出した。「休廃業」は、資産が負債を上回る「資産超過」状態での事業停止で、倒産には集計されない。また、「解散」は事業継続を断念する点では倒産と同じだが、資産に余力を残す状態で清算手続きをとるケースもあり、「解散」を決議した段階では倒産に集計されない。

■2015年の休廃業・解散件数、年間倒産の3倍に

 2015年の休廃業・解散は、2万6,699件(前年比2.4%減)だった。輸出企業を中心にした大手企業の業績拡大や景気の下支え効果から、2年連続で前年を下回った。ただ、企業倒産の減少ぶりが際立つなか、休廃業・解散は高水準を持続し、2015年の年間の倒産件数8,812件の3倍にのぼった。また、「倒産」と「休廃業・解散」の合計は、リーマン・ショック直後の2009年(4万877件)には及ばないものの、依然として3万5,000件以上で推移している。

■サービス業他、情報通信業、金融・保険業で前年を上回る

 2015年の休廃業・解散の産業別では、最多が建設業の6,856件(前年比6.0%減、構成比25.7%)だった。公共事業の下支えや建築・住宅需要の高まりで業績は回復しているが、受注の先行懸念や人手不足、労務費などの高騰もあり、余裕のあるうちに事業継続を断念したケースが多いとみられる。
 次いで、飲食業や宿泊業などを含むサービス業他が6,726件(前年比1.4%増)、小売業3,918件(同1.9%減)、製造業2,777件(同0.6%減)と続く。前年比では、10産業のうち、零細規模の多い飲食業を含むサービス業他と情報通信業、金融・保険業の3産業が前年を上回った。

■地区別、中国は過去10年間で最多

 地区別では、9地区のうち6地区で前年を下回った。中国は小売業やサービス業他の増加が目立ち、2,750件(前年比24.3%増)と過去10年間で最多件数を記録した。
 2015年の企業倒産は25年ぶりの低水準だったが、「休廃業・解散」は後継者難や業績ジリ貧などから高水準で推移した。こうしたことから中小・零細企業の経営環境の把握は、企業倒産に加えて「休廃業・解散」の動向も必要だろう。中小企業の後継者難という事業承継問題も絡み、今後の景気動向によっては再び「休廃業・解散」企業が増勢に転じる可能性がある。

【第8回 全国「休廃業・解散」動向調査(2015年)帝国データバンク2016/1】

木造建築工事業1500社が消滅  ~ 高齢化など職人不足に拍車 ~

■はじめに
2015年の企業倒産件数(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は8517件と6年連続で前年を下回り、2005年(8225件)以来、10年ぶりに9000件を下回った。背景には、建設投資拡大の恩恵を受けて「建設業」の倒産が大幅に減少したほか、中小企業金融円滑化法の終了後も引き続き返済猶予を受けている企業が多いことが挙げられる。
その一方で、中小・零細企業を中心に、後継者難や代表の高齢化が深刻化しており、倒産に至らないまでも事業継続を断念し、「休廃業・解散」を選択する件数が倒産件数の約3倍の2万3914件にのぼっている。
帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS2」(146万社収録)から削除されたデータを収録したファイル(削除ファイル)を用いて、2005~2015年の間に休廃業、解散に至った事業者(法人、個人含む)を集計。倒産件数との比較や、代表者年齢別、業種別、資本金規模別、都道府県別にその傾向を分析した。なお、本調査は2015年4月30日に続き8回目。
「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む)。調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できているが、将来的な企業活動再開を否定するものではない

「解散」とは、企業が解散した場合を指す。主に、商業登記等で解散を確認
「休廃業・解散」は、企業活動停止が確認できた企業のなかで、倒産(任意整理、法的整理)に分類されないケース

■調査結果
・2015年(1~12月)の「休廃業・解散」は、2万3914件判明。前年(2万4106件)を192件(0.8%減)下回り、3年連続で前年比減少となった
・代表者の年齢別では、「60代」が最多。「70代」以上が全体の40.0%を占めており、高齢代表者の休廃業・解散が増加
・業種別では、「建設業」が7640件(構成比31.9%)で全体の3割を占めた
・業種細分類別では「木造建築工事業」(1490件、前年比8.8%増)がトップ。上位20業種中13業種を建設関連業種が占めた
・資本金規模別では、「資本金5000万円未満」が全体の97.4%となった
・ 都道府県別では、「東京都」(2611件)が最多。「休廃業・解散」率は「愛媛県」がトップ


【中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果を公表 (28年1月29日)】

 中小企業・小規模事業者の数については、2012年から2014年までの2年間で約4万者減少しておりますが、2009年から2012年までの3年間で35万者の減少と比較すると、減少のペースは緩やかとなりました。

2012年   2014年   増減数(率)
中小企業・小規模事業者 385.3万者 380.9万者  ▲4.4万者(▲1.1%)
うち小規模事業者     334.3万者 325.2万者  ▲9.1万者(▲ 2.7%)
大企業         1万600者 1万1110者 +514者(+4.9%)
全規模 386.4万者  382.0万者 ▲4.3万者(▲1.1%)


Q6:インボイス方式って?
A:取引ごとに消費税率や税額を記入した請求書などの書類
 インボイスとは適格請求書発行事業者の氏名や名称、登録番号、取引の内容、適用税率、消費税額などが記載された請求書や納品書、領収書などの書類のことです。商品ごとに税率と税額のほか、事業者ごとに割り振る登録番号を明記する必要があり、中小業者にとって煩雑な作業となります。いつわりの交付に対しては罰則が設けられます。
 インボイスが発行できるのは、税務署からの登録を受けた事業者で、免税業者は登録することができません。
 インボイスの保存が仕入税額控除の要件となっており、免税業者からの仕入れは仕入税額控除ができなくなりますので、約800万事業者のうち約500万事業者とされる免税業者が取引から排除される可能性があります。
 経過措置が設けられているものの、免税業者から仕入れた場合、インボイス方式の導入後、3年間は仕入税額相当額の80%、その後の3年間は50%の控除しかできません。
 政府は消費者が支払った消費税の一部が税務署に納められず事業者の「益税」になっていると盛んに宣伝し、消費者と事業者を分断させ、「益税」をなくすことを口実にインボイスを導入しようとしています。併せて簡易課税制度の廃止や免税点引き下げ廃止も狙っています。
 しかし、消費税は消費者からの預かり金ではなく、価格の一部としての性格を持つものでしかありません(東京地裁平成2年3月26日判決)。実際には赤字でも納めなければならず、中小業者の6割が消費税を価格に転嫁できず身銭を切って納めているのが現状で、「益税」どころか「損税」です。

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