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内部留保のこれ以上のため込み止めれば、月5.9万円の賃上げ可能  労働総研

  労働総研の提言~この1年で増加した内部留保は34.8兆円〔資本金1千万円以上〕。過去分をとりくずさなくても、これ以上のため込みをやめれば、97年ピーク時給与〔約5.5万円差〕を上回る約6万円の賃上げ〔内部留保の配分は、実績に基づき、従業員給与77.76%、株主配当13.38%、役員賞与・給与8.86%〕が可能であり、好循環に転換できる。

現状分析では、日本経済・社会の異常さが歪さを浮き彫りになっている・・・高い生産性の上昇にかかわらず、先進国で唯一賃金低下。 
【2016春闘提言 「アベノミクス」を止め、政治・経済の転換を ――内部留保のこれ以上のため込みを止めれば、月5.9万円の賃上げが可能 労働総研1/20】


○「不況は日本だけではなく、世界同時不況である」と言われるが、いま、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアおよび韓国の8カ国について、過去10年間の名目GDP成長率を比較すると、日本だけがマイナス。

《米国41.3 日本-1.2 ドイツ37.2 イギリス28.4 フランス33.2 イタリア19.2 カナダ75.3 韓国84.4 》

○それは、経済成長の源である生産性上昇の成果が内部留保に積み上げられ賃金に配分されなかったから。

2005年から2013年まで、8年間の生産性と賃金を比較してみると、日本は、韓国、アメリカに次いで高い生産性の上昇にもかかわらず、8カ国の中で唯一賃金が低下。他国の賃金は12.8~40.7%の増加


【概要】
◆ 安倍政権は、発足以来大胆な金融緩和、機動的な財政出動、規制緩和を「3本の矢」 とする「アベノミクス」によって経済成長戦略を進めてきたが、大企業や一部株主の利益が拡大したものの賃金はほとんど上がらず、設備投資も低迷して内部留保がさらに22.4%も増加した。デフレからの脱却も出来ず、名目経済成長率3%という政策目標の破綻が明らかになりつつある。

◆ 当研究所(労働総研)がかねてから主張してきた内部留保の活用による賃金・労働条件の改善が広く理解されるようになり、安倍首相や麻生財務相も「経済財政諮問会議」や「官民対話」の場で内部留保を活用した賃上げや国内設備投資の努力を経済界に要請した。政府・財界の思惑はともかく、客観的に見て、2016春闘には有利な風が吹いていると言える。

◆ 「アベノミクス」以降悪化した生活をその前まで戻し、流れを反転させるためには、6.13%、1万9224円の賃上げが必要であるが、蓄積された内部留保を取り崩すまでもなく、これ以上内部留保を増やさない経営に転換するだけで月5.9万円の賃上げが可能になる。もし2万円の賃上げであれば必要な原資はその3分の1であり、3分の2は設備投資や株式配当に回すことが出来る。

◆ 2013~15年春闘の賃上げはほとんど中小企業に波及していない。労働者の圧倒的多数は未組織の中小企業に働いており、全体の底上げのためには、最低賃金の引き上げと働くルールの確立による労働条件の改善が極めて重要である。そのために必要な原資は25.83兆円であり、2014年度の内部留保額543.1兆円(全規模)の4.76%にすぎない。

◆ 賃上げ、労働条件の改善は企業に負担増をもたらすが、回りまわって企業の生産活動を活発にし、GDPや税収を増やす。産業連関分析によりその大きさを計測したところ、生活防衛に必要なベースアップと最低賃金の引き上げ、働くルールの確立および非正規の正規化によって、GDPが20.4兆円、税収が3.52兆円増加することが分かった。

◆ 2016春闘のもう一つの課題は消費税である。消費税は景気が悪くても、収入が減っても、失業しても確実に税金を取られる最悪の税制である。法人税を増税するとともに、大企業にまともな税金を支払わせることによって消費税を廃止すべきである。

◆ 安倍政権および大企業経営者と対決して生活改善を勝ち取り、さらに「安全保障関連法」廃止、憲法改悪反対などで広範に結集する多くの国民と力を合わせて「アベノミクス」を止め、政治・経済の転換をはかることは、労働組合の社会的任務である。


【提言本文より 一部引用】

⑵「アベノミクス」前に戻り、生活を防衛するだけで6%以上の賃上げが必要。

賃金闘争の第一歩は要求を決定することであり、それは、組合員の討議によって決められるものであるが、労働総研として、一つのたたき台を示してみたい。

2014年の現金給与総額(1~5人以上の事業所、一般・パート)は、31万3757円で過去のピークである1997年の37万1670円を15.6%、5万7913円も下回っている。それが内需を縮小させ長期のデフレ不況を招いた最大の原因であるから、日本経済を持続的な成長軌道に戻すためには、一先ずそこまで賃金を引き上げ、再出発することが必要である。

しかし、一気に到達することは困難であるから、取り敢えず2016春闘では「アベノミクス」以降悪化した生活をその前まで戻し、流れを反転させることを重視したい。そのために必要な賃金要求額は、6.13%、1万9224円である。内訳は、以下の通り。(第2表)

①2012~15年の消費税3%分を含む物価上昇をカバーするために3.72%
②そこから、2012~15年の名目賃金上昇率(-0.09%)をマイナス
③社会保障改悪等による新たな負担増への対応0.92%
④2016年度の物価上昇への対応1.40%

そのために必要な原資(企業等の支払い総額)は14.2兆円であり、2014年度末の内部留保543.1兆円の2.61%にすぎない。
3最低賃金の引き上げと働くルールの確立
1の(1)で述べたように、2013~15年春闘の賃上げはほとんど中小企業に波及していない。労働者の圧倒的多数は未組織の中小企業に働いており、全体の底上げのためには、最低賃金の引き上げと働くルールの確立による組織労働者を含めた労働条件の改善が極めて重要である。

⑴最低賃金の引き上げ

マスコミ報道によると、安倍首相は、2015年11月24日、経済財政諮問会議で、現在は全国平均798円の最低賃金を毎年3%程度引き上げ、将来は1000円程度にするよう求め、関係閣僚に環境整備を指示した。
最低賃金の時給1000円への引上げは、全労連も連合も一貫して要求し、早期実現を目指してきた。日本の最低賃金は47都道府県ごとに決定されるが、使用者側の抵抗が大きいために、ここ数年、10円台の引き上げにとどまり、2015年の全国平均額は時給798円となっている。
安倍首相の経団連への要請は、「アベノミクス」の第3の矢、経済成長政策の行き詰まりを反映したものであろうが、首相がこのような意思表示を行った意義は大きい。

ただし、最低賃金を時給1000円に引き上げたとしても、年間労働時間を年間1765時間として(5人以上の事業所、一般・パートの平均による)月収14.7万円であり、単身者がかろうじて生活できるレベルにすぎない。一日も早く時給1000円を実現し、欧米並みの1500円前後を目指すべきである。

厚生労働省の「賃金構造基本調査」から推計すると、時給1000円未満の労働者数は、一般およびパートを合わせて約19.1%、1056万人である。時給1000円に引き上げても、必要な原資(企業の総支払い増加額)は、年間2.78兆円であり、2014年度末の内部留保額543.1兆円の0.51%にすぎない。

⑵働くルールの確立

経団連は12月7日、2016年春闘で経営側の指針となる「経営労働政策委員会報告」(経労委報
告)の中で、加盟企業に2015年水準以上の賃上げや、非正規労働者の正社員化などに取り組むよう呼び掛ける方針を固めたと報じられているが、一方で、無制限のサービス残業を生み出しかねない労働時間制度「ホワイトカラーエグゼブション」や首切りを容易にする「解雇の金銭解決制度」を要求している。不安定雇用を増やす「労働者派遣法」は既に改悪された。これらは、労働者の生存権に係る事柄であり、賃上げと同時に力を入れて闘うべき課題である。

しかし、実態は、「労働基準法」などに規定され、当然行われていなければならない労働のルールすら守られていない。2016春闘では、違法労働の象徴である“サービス残業”の根絶、先進国では常識となっている年次有給休暇の完全取得と週休2日制の完全実施、および非正規社員の正規化を目指さなければならない。

①“サービス残業”の根絶
“サービス残業”とは、要するに不払い労働であり、労働基準法違反の犯罪行為である。にもかかわらず、実態として多くの企業で“サービス残業”がまかり通っている。
総務省「労働力調査」と厚生労働省「毎月勤労統計調査」から“サービス残業”の実態を推計すると、年間1人あたり184.8時間になる。これを根絶すれば、その穴埋めだけで300万人以上の新規雇用が必要になる。そのために必要な原資は10.7兆円であり、2014年度の内部留保543.1兆円の1.97%にすぎない。

②年次有給休暇の完全取得
日本の労働者1人当たりの年次有給休暇付与日数は18.1日であり、フランスの30日、イギリスの4労働週、ドイツの24日など、EU諸国と比べて極めて低い水準にある。にもかかわらず取得率は47.6%と5割を切っている(厚生労働省「就労条件総合調査」)。
これを改めるためには、EU諸国のように、生産計画のなかに年休完全取得を前提にした要員計画を組み込む必要があり、そのためには、151.5万人の雇用増が必要になる。それに要する原資は5.76兆円であり、2014年度の内部留保543.1兆円の1.06%にすぎない。

③週休2日制の完全実施
週休2日制は、日本でも一般的な制度として定着しているが、「就労条件総合調査」(2014年)によると、「週休1日制または週休1日半制」をとっている企業が、まだ7.8%もあり、そこに働く労働者は、全体の3.2%を占めている。週休2日制を完全実施するには、12.9万人の雇用者増が必要になり、そのために必要な原資は0.49兆円、内部留保の0.09%である。

以上の①~③を合計すると、穴埋めだけで464.8万人の新規雇用増が発生する。そのために必要な原資は16.95兆円であり、2014年度の内部留保額543.1兆円の3.12%である。

⑶非正規社員の正規化

総務省の「労働力調査・詳細集計」2014年によれば、非正規社員は雇用者全体の37.4%、1,962万人存在し、そもそも働くルールがきちんと適用されていない。
正社員と非正社員の賃金は、年間で、男229.3万円、女148.5万円の格差があり、非正社員のうち362万人が正社員になることを望んでいる。
希望する非正社員を正規社員にするためには、企業全体で6.1兆円の原資が必要になるが、その額は、2014年度の内部留保額543.1兆円の、わずか1.1%である。

以上、⑴~⑶の全てを実行すれば25.83兆円の原資(全企業合計の年間支払い賃金増加額)が必要になるが、これは、2014年度の内部留保額543.1兆円の4.76%にすぎない。

また、後述するように、2014年7~9月期~2015年7~9月期の1年間に内部留保が34.8兆円増加しており、必要額はその74.2%相当だから、過去の蓄積を取り崩さなくとも、これ以上内部留保を増やさない経営に転換するだけで、これらのすべてを持続的に行うことが可能になる。

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