2030年に再生エネ倍加で~ 日本GDP12-19兆円増
IRENA(国際再生可能エネルギー機関、世界140カ国以上と欧州連合が加盟)が、再生可能エネルギーの経済効果を試算。2030年に2010年比で①倍加させた場合、②輸送機器の電化を促進したうえで倍加
◆GDP① 全世界+0.6%、日本+2.3%
① 全世界+1.1%、日本+3.6%
(2014年実質GDP525億円を基準として ①12兆円 ②19兆円)
◆雇用 ①ケースの場合
・全世界 770万人→2440万人 日本20万人→110万人
・分野別 化石燃料2470万人、再生エネ2440万人、原子力160万人
原発ゼロを決断し、再生エネに進む社会的経済的価値は明白。 政府の「盛った」TPP効果も目じゃない。
なお、再生エネは爆発的な普及で、価格低下が驚異的にすすみ、市場競争力をもちはじめている。進むべき道ははっきりしている。
【再生可能エネルギーで世界のGDPを0.6%押し上げ、日本は+2.3%でトップ 1/20】
【2015年、自然エネルギー変革の幕開け 自然エネ財団理事長1/21】
【再生可能エネルギーで世界のGDPを0.6%押し上げ、日本は+2.3%でトップ 1/20】全世界を対象に再生可能エネルギーの導入を推進する国際機関が経済効果を初めて試算した。世界のエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を2倍に拡大させると、GDPが0.6%上昇する結果になった。2030年には再生可能エネルギー分野の雇用者数が2000万人を突破する。
[石田雅也,スマートジャパン]再生可能エネルギーの経済効果を試算したのはIRENA(国際再生可能エネルギー機関)で、世界140カ国以上と欧州連合が加盟している。化石燃料に代わって再生可能エネルギーを増やすことで、技術開発の投資や新規設備の増加、エネルギー価格や環境対策コストの変動などにより経済にインパクトを与える。その効果を世界各国の導入量の予測をもとに分析した
IRENAが設定した導入量の予測条件は3通りある。2010年から2030年までの導入量の増加を、
(1)各国の従来の見通しに基づいた場合(Reference)、
(2)全世界のエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を2倍に増やした場合(REmap)、
(3)さらに空調機器や自動車などの輸送機器の電化を促進したうえで再生可能エネルギーの比率を2倍に増やした場合(REmapE)である。この3通りで世界のGDP(国民総生産)に対する影響を試算したところ、従来の導入見通しに基づいた(1)の場合と比べて、再生可能エネルギーを倍増させる(2)ではGDPが0.6%上昇する。さらに電化を促進する(3)では1.1%の上昇が見込める。
金額に換算すると、(2)のケースでは7060億米ドル(約85兆円)、(3)のケースでは1兆3000億米ドル(約156兆円)のGDPが増えることになる。前者はコロンビアとマレーシアのGDPの合計額に匹敵して、後者はチリと南アフリカとスイスのGDPの合計額に相当する。
この経済効果を国別に見ると、なんと日本が最大の恩恵を受ける結果になっている。2030年までに再生可能エネルギーの比率を倍増させる(2)のケースでは、GDPを2.3%押し上げる効果が期待できて、主要国の中でトップだ(図3)。空調機器と輸送機器の電化を促進する(3)のケースでは3.6%の押し上げ効果になり、ウクライナ(3.7%)に次いで第2位に入る。
日本のGDP(実質)は2014年度で525兆円にのぼり、政府は2030年度に711兆円まで拡大させる目標を掲げている。かりに2030年度のGDPを2.3%上昇させることができると、金額では約16兆円の増加になる。再生可能エネルギーの導入を加速させる経済効果は大きい。■雇用が増えて生活環境も改善する
再生可能エネルギーの導入量を拡大するメリットはGDPの増加だけではなく、生活環境(Welfare)を改善する効果もある。IRENAは経済面のほかに、雇用の増加や健康・教育費の増加といった社会面な影響、さらに環境面の影響を含めて、生活環境を指数で評価した。
その結果、2030年までに再生可能エネルギーを倍増させる2つのケースでは、生活環境の指数が2.7~3.7%改善することがわかった。主要国のいずれにおいても指数は改善する。日本では平均を上回る3.3~5.2%の改善効果が期待できる。最大の恩恵を受ける国はインドだ。
生活環境に影響を与える要因の1つは雇用である。2014年の時点で再生可能エネルギー分野の雇用者数は全世界で770万人にのぼった。最大は中国の339万人で、日本では21万8000人を数える。中国と日本の差はほぼ人口に比例している。ただしGDPの規模から考えれば、日本の雇用者数は中国と比べて圧倒的に少ない。
2030年になると、再生可能エネルギーの導入量を従来の見通しで予測した場合には、全世界の雇用者数は1350万人に増える。もし再生可能エネルギーの比率を倍増させることができれば、2000万人以上の雇用が見込める。その場合には日本でも約5倍に増えて100万人を超える予想だ。
雇用者数をエネルギーの種類別に見ると、2030年の時点でも化石燃料の分野が最も多くて2500~2700万人程度にのぼる。これに対して再生可能エネルギーの比率を倍増させた場合には、化石燃料とほぼ同程度の雇用者数が期待できる。中でも太陽光とバイオマスの雇用者数が伸びる見通しだ。最も少ない風力でも原子力と比べると2倍以上の雇用を創出する。
【2015年、自然エネルギー変革の幕開け 自然エネ財団理事長1/21】2015年は、自然エネルギーの導入や発電に関して、国内・世界記録が数多く生まれた年だった。世界全体の風力発電の累積導入量は400 GWをはるかに超え、原子力発電の設備容量を上回った。風力発電と太陽光発電は、合わせて100 GW以上増加した。どちらも50 GW強増設されたと見込まれているのだ。
中国は現在、太陽光でも風力でも世界一の導入量を誇り、人口は世界の5分の1に満たないが、太陽光・風力の導入量は世界の約3分の1を占めている。設備容量においても、風力発電では数年前から世界一を誇ってきたが、2015年以降は太陽光発電でもドイツを抜いてトップに立つと見込まれている。
一方、自然エネルギー導入の先駆者であるドイツも、引き続き順調な成果を挙げている。ドイツの風力発電量は2014年から28 TWh増加し、年間の伸びとしては過去最高を記録した。自然エネルギーによる発電量の合計は、国の電力消費量の3分の1を占めるようになった。ドイツでは日本などの国々と違って水力発電の資源が乏しいため、1990年末の自然エネルギー比率がわずか5%だったにもかかわらず、である。
だが、自然エネルギーの変革は、導入量の急速な拡大だけでは成り立たない。導入が進んだことにより、電力業界で自然エネルギーの低コスト化が実現したことが重要なのである。デンマークやポルトガルなどの自然エネルギー先進国では、既に2014年には、新しい電源のなかで風力発電のコストが最も低くなっていた。
世界の多くの地域では、系統から購入するより屋上太陽光パネルで発電するほうが安価に電力を得られるようになった。2015年には、太陽光による電力は他のどの電源にも負けない市場競争力をもち始めた。ブルームバーグのレポートによると、チリで行われた電力入札で、太陽光発電業者が7米セント/kWh以下で落札し、残りの容量も風力発電業者が8セント/kWhを少し下回る価格で契約した。入札額が9セント/kWh以上だった石炭火力発電は、1件も契約に至らなかった。
太陽光発電で7セント/kWh以下という落札価格が実現したのは、チリだけではない。同様の入札結果は、ドバイ、テキサス、インドからも報告されている。ドイツのように太陽光資源の少ない国でも、これよりやや高い約8セント/kWhまで下がっている。
価格の低下は予想されていたことであり、今後も続くと見込まれている。この変革は、もはや助成金頼みではないのだ。誰でも電力市場に参入でき、最低コストの発電事業者が消費者に売電できるスポット市場が存在するところでは、いずれ火力発電より自然エネルギーによる発電が選ばれるようになるだろう。
いまだに電力会社が電力系統を支配し、新たな技術の競争を阻んでいる国では、このような発展は遅れるかもしれない。しかし、この流れはもう止まらない。自然エネルギーの利用を進める国は、大気汚染の削減、コストの低下という恩恵を得られるだけでなく、やがては輸入エネルギーへの依存からも脱却できるのだ。
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